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公開番号2024171490
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023088524
出願日2023-05-30
発明の名称静電荷像現像用トナーの製造方法
出願人花王株式会社
代理人弁理士法人大谷特許事務所
主分類G03G 9/08 20060101AFI20241205BHJP(写真;映画;光波以外の波を使用する類似技術;電子写真;ホログラフイ)
要約【課題】帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【解決手段】非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、非晶性樹脂が、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有し、結晶性樹脂が、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する、静電荷像現像用トナーの製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
非晶性樹脂が、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有し、
結晶性樹脂が、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
非晶性ポリエステル系樹脂Aが、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数15以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項3】
結晶性ポリエステル樹脂Cが、エチレングリコール由来の構成単位を含む、請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項4】
非晶性ポリエステル系樹脂A中、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量が1質量%以上10質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
【請求項5】
結晶性ポリエステル樹脂C中、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するアルコール由来の構成単位及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位の含有量が合計で、0.2モル%以上20モル%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像に用いられる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高速化及び高画質化に対応した電子写真用トナーの開発が求められている。高速化に伴い、トナーが紙へと転写される時間も短くなることから、帯電性に優れるトナーが必要とされている。また、高画質化に対応するために、カブリの発生を抑制できるトナーが必要とされている。
【0003】
特許文献1には、凝集融着法等のケミカル法により製造するコアシェル構造を有するトナーにおいて、帯電性に優れ、画質が良好なトナーを得ることが可能なトナーの製造方法を提供することを目的として、下記工程1~4をこの順で含み、非晶性ポリエステル系樹脂Bがアルコール成分としてビスフェノールAのエチレンオキシド付加物を50モル%以上含有する、静電荷像現像用トナーの製造方法が記載されている。工程1:水系媒体中で結晶性ポリエステル樹脂C及び非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有するポリエステル系樹脂粒子Xと着色剤粒子とを混合し凝集させて、凝集粒子1を得る工程、工程2:工程1で得られた凝集粒子1に対して、非晶性ポリエステル系樹脂Bを含有する樹脂粒子Yを凝集させて、凝集粒子2を得る工程、工程3:結晶性ポリエステル樹脂Cの融点以下の温度で、凝集粒子2にナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物を添加する工程、工程4:非晶性ポリエステル系樹脂Bのガラス転移温度以上、かつ、結晶性ポリエステル樹脂Cの融点-10℃以上の温度で、凝集粒子2を融着させてトナー粒子を得る工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2021-182046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らの検討により、特許文献1に記載された静電荷像現像用トナーの製造方法により得られたトナーには、帯電性及びカブリの発生抑制について、改善の余地があることがわかってきた。
本発明は、帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、特定の炭素数の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有する非晶性樹脂と、特定の炭素数の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は特定の炭素数の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する結晶性樹脂とを、同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を含む方法により製造された静電荷像現像用トナーが、帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できることを見出した。
本発明は、以下の〔1〕に関する。
〔1〕非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する、静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
非晶性樹脂が、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有し、
結晶性樹脂が、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する、
静電荷像現像用トナーの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できる静電荷像現像用トナーの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[静電荷像現像用トナーの製造方法]
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、以下の非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有する。
非晶性樹脂が、ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂Aを含有する。そして、結晶性樹脂が、炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂Cを含有する。
以上の製造方法により、帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できるトナーが得られる。
なお、以下、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」、「静電荷像現像用トナーの製造方法」を単に「製造方法」、「ポリエステル樹脂セグメント、及び炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するビニルモノマー由来の構成単位を含有する付加重合樹脂セグメントを含む非晶性ポリエステル系樹脂A」を単に「樹脂A」、「炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノアルコール由来の構成単位及び/又は炭素数9以上24以下の炭化水素基を有するモノカルボン酸由来の構成単位を含む結晶性ポリエステル樹脂C」を単に「樹脂C」、と称することもある。
【0009】
本発明の製造方法により、帯電性に優れ、かつ、カブリの発生を抑制できるトナーが得られる詳細なメカニズムは定かではないが、次のように考えられる。
トナー中に結晶性ポリエステル樹脂を含有させることにより、トナーの低温定着性を高めることができる。しかし、疎水性の比較的高い結晶性ポリエステル樹脂は、トナー表面に露出しやすく、また、非晶性樹脂を含むトナー中で分散しにくい。そのため、結晶性ポリエステル樹脂を用いることは、トナーの帯電性低下及びカブリ発生の要因にもなり得る。
本発明の製造方法は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を同一又は異なる粒子に含有する樹脂粒子を、水系媒体中で凝集させる工程及び融着させる工程を有し、非晶性樹脂が含有する非晶性ポリエステル系樹脂Aと、結晶性樹脂が含有する結晶性ポリエステル樹脂Cとが、互いに特定の炭素数の長鎖炭化水素基を有することで、水系媒体中ではこれらの炭化水素基が疎水性部位として樹脂粒子及びトナー粒子の粒子内部を向き、当該炭化水素基を介して非晶性樹脂及び結晶性樹脂間で疎水性相互作用が強く働く。そのため、非晶性ポリエステル系樹脂Aと結晶性ポリエステル樹脂Cとの親和性が高まり、トナー粒子中に疎水性の高い結晶性樹脂を均一に分散させることができるとともに、結晶性ポリエステル樹脂Cのトナー表面への露出が抑制される。その結果、トナーの帯電性が向上し、カブリの発生を抑制できるトナーが得られると考えられる。
なお、本発明の効果に関する上記のメカニズムは推定であり、これに限定されるものではない。
【0010】
本明細書における各種用語の定義等を以下に示す。
明細書中、ポリエステル系樹脂のカルボン酸成分には、その化合物のみならず、反応中に分解してカルボン酸を生成する無水物、及び各カルボン酸のアルキルエステル(アルキル基の炭素数1以上3以下)も含まれる。
樹脂が結晶性であるか非晶性であるかについては、結晶性指数により判定される。結晶性指数は、後述する実施例に記載の測定方法における、樹脂の軟化点と吸熱の最大ピーク温度との比(軟化点(℃)/吸熱の最大ピーク温度(℃))で定義される。結晶性樹脂とは、結晶性指数が0.6以上1.4以下のものである。非晶性樹脂とは、吸熱ピークが観測されないか、観測される場合は、結晶性指数が0.6未満又は1.4超のものである。結晶性指数は、原料モノマーの種類及びその比率、並びに反応温度、反応時間、冷却速度等の製造条件により適宜調整することができる。
炭化水素基に関して、「(イソ)」を括弧とする記載は、これらの接頭辞が存在する場合としない場合の双方を意味し、これらの接頭辞が存在しない場合には、ノルマルを示す。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
「スチレン系化合物」とは、無置換又は置換スチレンを意味する。
(【0011】以降は省略されています)

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