TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
10個以上の画像は省略されています。
公開番号
2024147487
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-16
出願番号
2023219802
出願日
2023-12-26
発明の名称
草本繊維質素材及びその湿式粉砕物、それらの製造方法並びに用途
出願人
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
代理人
弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
主分類
B27K
9/00 20060101AFI20241008BHJP(木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステープル打ち機一般)
要約
【課題】草本繊維質の解繊性を向上させるための新しい前処理技術の提供、当該前処理技術により得られる新規の草本繊維質素材の提供、並びに、当該新規素材を用いた応用製品の提供。
【解決手段】原料の組成と比較して、グルカン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が30%以下であり、キシラン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が5%以上50%以下である、草本繊維質素材を提供する。草本繊維質原料に対して、塩化水素ガス雰囲気下で処理するか、又は、塩酸と、塩化物イオンを水中で遊離する塩酸以外の電解質と、を含む混合水溶液と接触させる酸処理を、実質的に10℃以上50℃以下で行う酸処理工程を含む、前記草本繊維質素材の製造方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
原料である草本繊維質原料の組成と比較して、グルカン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が30%以下であり、キシラン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が5%以上50%以下であることを特徴とする、草本繊維質素材。
続きを表示(約 1,600 文字)
【請求項2】
草本繊維質原料に対して、塩化水素ガス雰囲気下で処理するか、又は、塩酸と、塩化物イオンを水中で遊離する塩酸以外の電解質と、を含む混合水溶液と接触させる酸処理を、実質的に10℃以上50℃以下で行う酸処理工程と、
前記酸処理工程を経た処理物について、洗浄及び/又はpH調整する工程と、
を含む方法により製造されることを特徴とする、請求項1に記載の草本繊維質素材。
【請求項3】
前記混合水溶液が、前記塩化物イオンを水中で遊離する塩酸以外の電解質として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムから選ばれる1種以上の電解質を溶解しているか、又は前記電解質が溶解している水溶液と実質的に同等の溶質を含むものであることを特徴とする、請求項2に記載の草本繊維質素材。
【請求項4】
前記草本繊維質原料が、稲わら、麦わら、コーンストーバー、サトウキビバガス、サトウキビトラッシュ、ススキ、オギススキ、エリアンサス、ソルガム、ネピアグラス、ジュード、ダンチク、麻からなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の草本繊維質素材。
【請求項5】
草本繊維質原料に対して、塩化水素ガス雰囲気下で処理するか、又は、塩酸と、塩化物イオンを水中で遊離する塩酸以外の電解質と、を含む混合水溶液と接触させる酸処理を、実質的に10℃以上50℃以下で行う酸処理工程と、
前記酸処理工程を経た処理物について、湿式粉砕処理を行う湿式粉砕工程と、
を含む方法により製造される草本繊維質素材の湿式粉砕物であって、
原料である草本繊維質原料に対して前記酸処理工程を実施しないことを除いて同様の方法により得られた湿式粉砕物と比較して、
当該湿式粉砕物を水に懸濁させて室温で1時間以上静置した際に得られる沈殿物の見かけ上の体積が2倍以上となること、及び/又は、当該湿式粉砕物を繊維質分解酵素で処理した際のグルカンの糖化率が1.5倍以上となることを特徴とする、草本繊維質素材の湿式粉砕物。
【請求項6】
原料である草本繊維質原料の組成と比較して、グルカン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が30%以下であり、キシラン含有率(対乾燥物、重量%)の減少率が5%以上50%以下であることを特徴とする、請求項5に記載の草本繊維質素材の湿式粉砕物。
【請求項7】
前記混合水溶液が、前記塩化物イオンを水中で遊離する塩酸以外の電解質として、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アンモニウムから選ばれる1種以上の電解質を溶解しているか、又は前記電解質が溶解している水溶液と実質的に同等の溶質を含むものであることを特徴とする、請求項5に記載の草本繊維質素材の湿式粉砕物。
【請求項8】
前記草本繊維質原料が、稲わら、麦わら、コーンストーバー、サトウキビバガス、サトウキビトラッシュ、ススキ、オギススキ、エリアンサス、ソルガム、ネピアグラス、ジュード、ダンチク、麻からなる群より選ばれた1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の草本繊維質素材の湿式粉砕物。
【請求項9】
前記湿式粉砕工程において、前記酸処理工程を経た処理物に対し、キトサン、キシログルカン、カルボシキメチルセルロース・ナトリウム塩、アルギン酸塩、ガラクトマンナン、ジェランガム、カラギーナン、(1-3),(1-4)-β-グルカンからなる群より選ばれた1種以上の多糖を添加することを特徴とする、請求項5に記載の草本繊維質素材の湿式粉砕物。
【請求項10】
湿式粉砕物の表面の少なくとも一部が修飾及び/又は改変されてなることを特徴とする、請求項5に記載の草本繊維質素材の湿式粉砕物。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、草本繊維質素材及びその湿式粉砕物に関する。詳しくは、草本繊維質を原料とする解繊した繊維質素材を提供するための、環境負荷や製造コストを抑えた解繊前処理工程と、それにより得られる新規の構造特性を有する草本繊維質素材及びその湿式粉砕物に関する。
続きを表示(約 1,800 文字)
【背景技術】
【0002】
植物茎葉等のセルロースを主成分とするバイオマスは、パルプ、麻などの繊維質素材の回収を通じて、主に製紙・繊維産業において利用されてきた。植物由来の繊維質素材は、豊富な資源量、化石資源由来の繊維と比較した際の環境負荷、生体への親和性、生分解性などの面において優れた価値を有するものと期待される。
【0003】
また近年、このような天然の繊維質素材を高度に解繊・微細化することによって、新たな物性・機能性を発現させて、新用途へ適用するための検討が活発化している。その代表的な取組の1つが、セルロースナノファイバー(CNF)の製造・利用に関するものである。高度に解繊・微細化された繊維質素材は、機能性添加剤(増粘剤、ボールペン用インク、水性塗料、接着剤などへの適用)、高機能性日用品(シューズのゴム、エアーフィルターなどへの適用)、強化樹脂(ポリプロピレン、ナイロン6などへの適用)等への活用が検討されている。
【0004】
また、パルプや脱脂綿などを原料として、硫酸、塩酸等の強酸加水分解に供することでセルロース鎖を分断し、数百程度の重合度をもつ結晶セルロース部分のみを回収し、CNFの一種であるセルロースナノクリスタル(CNC)として機能性添加剤用途に供するための取組が進められている。このような解繊・微細化された繊維質素材は、脱炭素や環境負荷低減のためのバイオプラスチックの開発ニーズに後押しされて、産業利用への期待が高まりつつある。
【0005】
しかしながら、解繊・微細化繊維質素材の開発と利用は、主に木質原料を用いて進められており、脱脂によりセルロース精製が可能な綿などを除き、多くの草本繊維質が高度利用への先端的な検討から取り残されている。
【0006】
このような中で、草本繊維質を粉末化した後に、これを湿式粉砕して解繊・微細化する方法(グラインダー法)が提案・検討されている。しかしながら、この方法では、繰り返し粉砕処理を行うことで、エネルギー消費や製造コストが向上することが指摘されている。このように、製造コスト面で競争力を持ち、環境負荷を抑制した繊維質素材を提供するためには、原料の解繊性を向上するような解繊前処理工程が必要となるものと考えられる。
【0007】
繊維質原料の酸処理技術として、塩酸や硫酸水溶液中で加熱することで加水分解する方法が知られている。これまでに、グルカンとキシランを一段階(例えば濃硫酸糖化法)又は二段階(例えば希硫酸糖化法)で加水分解して可能な限り単糖として回収するような工程が提案されているが、グルカンやキシランの大部分を残しつつ加水分解する方法は検討されていない。
【0008】
繊維質原料に対して塩化水素ガスを作用させる酸加水分解工程は、古くから木材糖化のための中核工程として検討されている。塩化水素ガス処理では、固液界面から進む液体中での加水分解機構と異なり、基質中の自由水に溶解し、溶解時の熱により局所的かつ効率的に加水分解を行うと考えられる。しかしながら、従来の塩化水素ガス処理は、多糖の完全分解を目的としたものであった。
【0009】
近年、効率的なCNC回収工程として、濾紙粉末などのセルロース性原料に対して塩化水素ガス処理を行うことでセルロースが断片化され、CNCが回収できることが報告された(特許文献1、非特許文献1参照)。しかしながら、塩化水素ガス処理によって繊維質の解繊が促進されるとの知見は得られていない。
【0010】
また、本発明者らによる特許文献2には、多糖を含む素材を酸で処理することで、多糖の膨潤や低分子化が起こり、可溶性・分散性が賦与された新規素材が製造できる技術について示されている。しかしながら、「可溶化」及び「分散」とは、粒子が水中で見かけ上均質に分布する様態を示すことから、本開示が提供する嵩高い沈殿を与える素材とは明らかに異なる。また、特許文献2では「多糖」を膨潤するのに対し、本開示では草本茎葉組織全体を毛羽立たせて嵩高くさせる点で異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
個人
薪割り台
1か月前
個人
わら縄針金造形木
2か月前
個人
チェンソーの目立て用具
11か月前
個人
爪楊枝およびその製造方法
10か月前
株式会社日本設計
耐火木材
2か月前
個人
輪切り板材の加工方法
9か月前
株式会社日本設計
耐火木材
3か月前
株式会社大和工務店
構面構造
6か月前
アイカ工業株式会社
化粧板の製造方法
3か月前
恒成株式会社
木製荷受台製造装置
7か月前
株式会社ノダ
木削薄片板および床材
2か月前
工機ホールディングス株式会社
切断機
10か月前
舛元木工株式会社
フレーム材の端部処理方法
1か月前
宮川工機株式会社
プレカット加工装置
24日前
工機ホールディングス株式会社
作業機
3か月前
三和合板株式会社
化粧板の製造装置
1か月前
株式会社カスタム・クール・センター
ヤスリ工具
8か月前
太田ベニヤ株式会社
木型用合板の製造方法
11か月前
旭興進株式会社
人工木材及びその製造方法
2か月前
三商株式会社
難燃処理木質建材及びその製造方法
11か月前
株式会社ノダ
不燃繊維板およびその製造方法
4か月前
マックス株式会社
リフィル
24日前
個人
入隅部用補強具
9か月前
広平凱王圧密科技有限公司
圧密木強制焼入れ装置
3か月前
ホクシン株式会社
中質繊維板の製造装置および製造方法
9か月前
三菱鉛筆株式会社
再生自然素材
10か月前
株式会社トーアエンジニアリング
プレカット加工方法
3か月前
株式会社マキタ
卓上切断機
9か月前
広平凱王圧密科技有限公司
高周波に基づく定尺圧密板
3か月前
株式会社マキタ
卓上切断機
5か月前
デンカ株式会社
敷板
3か月前
マックス株式会社
ステープラ
6か月前
株式会社マキタ
テーブルソー
3か月前
株式会社マキタ
テーブルソー
3か月前
マックス株式会社
ステープラ
24日前
株式会社マキタ
携帯用切断機
6か月前
続きを見る
他の特許を見る