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公開番号2024139168
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-09
出願番号2023049988
出願日2023-03-27
発明の名称木材の接着方法、接合品及び接着可能な木材
出願人銘建工業株式会社,地方独立行政法人北海道立総合研究機構
代理人弁理士法人せとうち国際特許事務所
主分類B27D 1/04 20060101AFI20241002BHJP(木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステープル打ち機一般)
要約【課題】
木材の元々の物性や風合いを維持しながら、接着剤なしで木材同士を強く接着する方法を提供する。
【解決手段】接着剤を用いることなく木材同士を接着する接着方法であって、酸化剤を含有するアルカリ性の水溶液を用いて両方の木材の表面のリグニンを除去することによって、リグニン残存部の表面にセルロースが露出した脱リグニン層を形成する表面処理工程、前記脱リグニン層同士を対向させて両方の木材を押圧し、当該脱リグニン層のセルロース同士を湿潤状態で接触させる湿潤押圧工程、及び押圧したままで乾燥させる乾燥工程を有し、表面処理工程前のリグニン残存部の密度(d1)に対する乾燥工程後のリグニン残存部の密度(d2)の比(d2/d1)が1.5以下である接着方法とする。
【選択図】図5


特許請求の範囲【請求項1】
接着剤を用いることなく木材同士を接着する接着方法であって、
酸化剤を含有するアルカリ性の水溶液を用いて両方の木材の表面のリグニンを除去することによって、リグニン残存部の表面にセルロースが露出した脱リグニン層を形成する表面処理工程、
前記脱リグニン層同士を対向させて両方の木材を押圧し、当該脱リグニン層のセルロース同士を湿潤状態で接触させる湿潤押圧工程、及び
押圧したままで乾燥させる乾燥工程を有し、
表面処理工程前のリグニン残存部の密度(d1)に対する乾燥工程後のリグニン残存部の密度(d2)の比(d2/d1)が1.5以下である、接着方法。
続きを表示(約 670 文字)【請求項2】
前記表面処理工程において形成される脱リグニン層の平均厚さが0.1~3mmである請求項1に記載の接着方法。
【請求項3】
前記水溶液が次亜塩素酸塩を含む請求項1又は2に記載の接着方法。
【請求項4】
前記表面処理工程において、リグニンを除去するとともに木材表面を擦ることによってフィブリル化させたセルロースを露出させる、請求項1又は2に記載の接着方法。
【請求項5】
前記表面処理工程の後に一旦乾燥させてから、水を用いて前記脱リグニン層のセルロースを湿潤状態とし、その後湿潤押圧工程に供する、請求項1又は2に記載の接着方法。
【請求項6】
木材同士が接着されてなる接合品であって、接合部に脱リグニン層を有し、リグニン残存部の密度(d2)が0.8g/cm

以下であり、該脱リグニン層に含まれる中性糖のうちアラビノースの割合が0.5質量%以下である、接合品。
【請求項7】
前記接合部の脱リグニン層の平均厚さが0.05~1.5mmである請求項6に記載の接合品。
【請求項8】
表面のリグニンが除去されてリグニン残存部の表面にセルロースが露出した脱リグニン層を有する乾燥した木材であって、該脱リグニン層に含まれる中性糖のうちアラビノースの割合が0.5質量%以下であり、接着剤なしで水を用いて接着することの可能な木材。
【請求項9】
前記脱リグニン層の平均厚さが0.1~3mmである請求項8に記載の木材。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤を用いることなく木材同士を接着する接着方法に関する。また、木材同士が接着されてなる接合品に関する。さらに、接着剤なしで水を用いて接着することの可能な木材に関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
これまで、木材は主に接着剤を用いて接合されてきた。木材工業で用いられる接着剤には、天然接着剤と合成接着剤があるが、近年では合成接着剤が主流になっている。合成接着剤としては、フェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール系接着剤、水性高分子イソシアネート系接着剤などが主なものとして挙げられる。このような木材用合成接着剤は、石油化学由来の合成化学製品がほとんどであるが、近年では、脱化石資源への機運が高まっている。また、多くの合成接着剤はホルムアルデヒドをはじめとする揮発性化学物質を周辺環境に放出するおそれがあり、消費者によっては、そのような化学物質の揮散を望まない場合もある。
【0003】
これに対し、合成接着剤を使わない自己接着技術も古くから研究されている。例えば、木材の表面同士の摩擦によって発生する熱によってリグニンを軟化させて接合する方法などが報告されている(例えば非特許文献1)。
【0004】
非特許文献2及び特許文献1には、水酸化ナトリウムと亜硫酸ナトリウムを含む沸騰水溶液中に木材を浸漬して木材中のリグニン及びヘミセルロースの一部を除去し、引き続きホットプレスすることによって、天然木材よりもはるかに強度の高い圧縮木材が得られることが記載されている。当該圧縮木材の密度は1g/cm

を超え、その引張強度は未処理木材の10倍を超え、比強度は軽量チタン合金を超えるとされている。そしてホットプレスする際に複数の木材を重ねることによって、木材同士が接着されることも記載されている。
【0005】
非特許文献3には、2枚のスギ板材の片面を1規定のNaOH水溶液に1日浸し、水洗後浸した表面をメラミンスポンジの角で柔らかく擦った後、当該2枚のスギを合わせて荷重をかけて乾燥させたところ両板材は接着したことが記載されている。また、水溶液を1規定の次亜塩素酸水溶液に変更して同様に行って両木材が接着したことも記載されている。そして非特許文献3には、これらの水溶液を脱リグニンのために用いたことも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2020-516497号公報
【非特許文献】
【0007】
Ajith K. A. Gedara et al., “Adhesiveless Bonding of Wood - A Review with a Focus on Wood Welding”, BioResources 16(3), 6448-6470 (2021)
Jianwei Song et al., “Processing bulk natural wood into a high-performance structural material”, Nature, vol 554, 224-228 (2018)
中村昇、「ソリッドな木材のフィブリル化による水素結合を用いた接合法の可能性」第70回日本木材学会大会(鳥取)研究発表要旨集、H16-06-1500 (2020)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1記載のようにリグニンを軟化させて接合する方法では、接合面が高温になってしまうし、特殊な装置も必要である。また、非特許文献2及び特許文献1に記載された方法で製造される圧縮木材は、木材同士を接合できるものの、もはや木材とは物性や風合いが大きく異なるものになってしまう。さらに非特許文献3に記載された方法で木材同士を接着した場合の強度は不十分であった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、木材の元々の物性や風合いを維持しながら、接着剤なしで木材同士を強く接着する方法を提供することを目的とするものである。また、そのようにして接着された接合品を提供することを目的とするものである。さらに、そのような接着方法に用いられる木材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、接着剤を用いることなく木材同士を接着する接着方法であって、
酸化剤を含有するアルカリ性の水溶液を用いて両方の木材の表面のリグニンを除去することによって、リグニン残存部の表面にセルロースが露出した脱リグニン層を形成する表面処理工程、
前記脱リグニン層同士を対向させて両方の木材を押圧し、当該脱リグニン層のセルロース同士を湿潤状態で接触させる湿潤押圧工程、及び
押圧したままで乾燥させる乾燥工程を有し、
表面処理工程前のリグニン残存部の密度(d1)に対する乾燥工程後のリグニン残存部の密度(d2)の比(d2/d1)が1.5以下である、接着方法を提供することによって解決される。
(【0011】以降は省略されています)

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