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公開番号
2025009949
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-20
出願番号
2024101524
出願日
2024-06-24
発明の名称
積層体及び包装容器
出願人
大日本印刷株式会社
代理人
個人
,
個人
主分類
B32B
27/32 20060101AFI20250109BHJP(積層体)
要約
【課題】バリア層における樹脂の使用量を削減しやすく、ガスバリア性に優れ、加工適性が向上され、耐内容物適性に優れる包装容器を作製可能な積層体及びこれを使用した包装容器を提供する。
【解決手段】本開示の積層体10は、少なくとも第一層11とバリア層12とを備え、バリア層12が、ガスバリア性樹脂層14及び接着性樹脂層15の二層の共押出層であり、ガスバリア性樹脂層14が、第一層11と接着性樹脂層15との間に位置しており、ガスバリア性樹脂層14が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含み、接着性樹脂層15が、未変性ポリオレフィンと無水マレイン酸変性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物で構成され、接着性樹脂層15における未変性ポリオレフィンの含有量が、10質量%以上40質量%以下であり、接着性樹脂層15の厚みが、3μm以上20μm以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも第一層とバリア層とを備える積層体であって、
前記バリア層が、ガスバリア性樹脂層及び接着性樹脂層の二層の共押出層であり、
前記ガスバリア性樹脂層が、前記第一層と前記接着性樹脂層との間に位置しており、
前記ガスバリア性樹脂層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を含み、
前記接着性樹脂層が、未変性ポリオレフィンと無水マレイン酸変性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物で構成され、
前記接着性樹脂層における前記未変性ポリオレフィンの含有量が、10質量%以上80質量%以下であり、
前記接着性樹脂層の厚みが、3μm以上20μm以下である、積層体。
続きを表示(約 610 文字)
【請求項2】
前記接着性樹脂層における無水マレイン酸由来の基の含有量が、0.18質量%以上0.25質量%以下である、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記樹脂組成物のメルトフローレートが、2g/10分以上13g/10分以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記ガスバリア性樹脂層の厚みが、3μm以上20μmである、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項5】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体において、エチレンに由来する構成単位の含有割合が、20モル%以上60モル%以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項6】
前記エチレン-ビニルアルコール共重合体のメルトフローレートが、0.1g/10分以上15g/10分以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項7】
前記バリア層の厚みが、10μm以上30μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項8】
前記接着性樹脂層上に、第二層をさらに備える、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項9】
前記第二層がシーラントフィルムである、請求項8に記載の積層体。
【請求項10】
前記第一層が紙を備える、請求項1又は2に記載の積層体。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層体及び包装容器に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)
【背景技術】
【0002】
従来より、包装材料の構成材料として、樹脂材料からなる樹脂フィルムが使用され、複数の樹脂フィルムから構成される包装材料用積層体が広く使用されている。包装材料には、充填される内容物に応じ、様々な機能が求められる。例えば、内容物の経時的な劣化を防止するため、酸素バリア性及び水蒸気バリア性などのガスバリア性が要求される。
【0003】
ガスバリア性樹脂であるエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)を用いてガスバリア性を改善した包装材料用積層体が、これまでに提案されている。
例えば、特許文献1には、基材フィルム、バリアフィルム、シーラントフィルムが順次積層された包装材料であって、前記バリアフィルムがエチレン-ビニルアルコール共重合体層/接着性樹脂層/ポリオレフィン層という構成の共押出フィルムである、バリア性包装材料が記載されている。このバリア性包装材料は、適度なガスバリア性と保香性を有する。
また、特許文献2には、基材とバリア層とを備え、前記バリア層がポリオレフィン系樹脂/接着性樹脂/エチレン-ビニルアルコール共重合体/接着性樹脂/ポリオレフィン系樹脂の三種五層共押出によって形成された、積層体が記載されている。この積層体は、バリア性が必要な包装材料や高耐性の品質要求がある包装材料に広く利用が可能である。
さらに、特許文献3には、バリア層としてナイロンフィルム又はEVOHフィルムを用いた積層体により構成された、液体用紙容器が記載されている。この液体用紙容器は、バリア層とシーラント層との接着に用いられる接着層の接着強度の低下を防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開平7-304139号公報
特開2012-76305号公報
特開2013-144556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、二酸化炭素排出量削減等の環境負荷の低減を目的として、包装材料を構成する積層体においても、プラスチック使用量の削減が強く求められるようになってきている。さらに、プラスチック使用量の削減がコスト削減にも繋がるという利点もある。そのため、特許文献1に記載の三種三層の共押出や、特許文献2に記載の三種五層の共押出の代わりに、二種二層の共押出により製膜し、層の数を減らして樹脂量を少なくすることが求められている。
【0006】
特許文献1及び2に記載の共押出層は、エチレン-ビニルアルコール共重合体、接着性樹脂、及びポリオレフィン樹脂という三種の樹脂の共押出により製膜されたものである。これら三種の樹脂からポリオレフィンを除外し、エチレン-ビニルアルコール共重合体及び接着性樹脂のみを用いて二種二層の共押出により製膜すると、以下のような問題が発生していた。
【0007】
接着性樹脂には、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが従来から用いられている。無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、接着成分である無水マレイン酸をポリオレフィンにグラフト重合させ、エチレン-ビニルアルコール共重合体の層との接着性を未変性のポリオレフィンよりも高めた樹脂である。無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、接着成分である無水マレイン酸を過剰に含むため、積層体を作製する過程で使用する金属製チルロール又はゴム製ニップロールに接着しやすい。
エチレン-ビニルアルコール共重合体及び無水マレイン酸変性ポリオレフィンの二種二層の共押出により製膜すると、製膜したフィルムのいずれか一方の面を構成する無水マレイン酸変性ポリオレフィンの層が、金属製チルロール又はゴム製ニップロールに接着し、金属製チルロール又はゴム製ニップロールからフィルムが離脱しにくくなり、フィルムから積層体に加工しにくくなるという問題が発生していた。
【0008】
エチレン-ビニルアルコール共重合体及び接着性樹脂は、高温にすると分解によって色調が変化したり臭気又は異物が発生したりすることがあるが、未変性のポリオレフィンではこのような現象が発生しにくい。このことから、未変性ポリオレフィンは相対的に耐熱性に優れる樹脂といえる。特許文献1及び2に記載の三種の樹脂の共押出では、耐熱性に優れる未変性ポリオレフィンを高温で押出し、共押出層全体として高温にすることで、層同士が互いに溶け合い、層同士の接着強度を高めることが行われていた。
共押出に用いる三種の樹脂から未変性ポリオレフィンを除外し、エチレン-ビニルアルコール共重合体及び接着性樹脂の二種二層の共押出により製膜すると、耐熱性に優れる未変性ポリオレフィンが共押出層中に存在しないため、共押出層全体を高温に維持しにくく、共押出した層同士が溶け合いにくくなり、接着強度が低下しやすくなる。その結果、層間剥離が発生しやすくなり、ガスバリア性が低下しやすくなるという問題も発生していた。
【0009】
また、エチレン-ビニルアルコール共重合体を使用する代わりに、シリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、アルミニウム箔等のガスバリア層を積層し、積層体のガスバリア性を向上させることも行われている。しかしながら、これらのガスバリア層を備える積層体から作製した包装容器では、充填される内容物によって積層体に層間剥離が発生することがあった。
例えば、アルカリ性の内容物を充填する包装容器にシリカ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム又はアルミナ蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した場合、アルカリによってポリエチレンテレフタレートが加水分解してしまい、積層体に層間剥離が発生することがあった。また、酸性の内容物を充填する包装容器にアルミニウム箔を使用した場合、酸によってアルミニウム箔が腐食してしまい、積層体に層間剥離が発生することがあった。さらに、包装容器に溶剤を内容物として充填した場合では、積層体に使用されている接着剤が溶剤によって溶解し、積層体に層間剥離が発生することがあった。
そのため、様々な内容物への用途に適した耐内容物適性に優れる包装容器と、該包装容器の作製が可能な積層体と、が求められていた。
【0010】
従って、本開示の目的は、バリア層における樹脂の使用量を削減しやすく、ガスバリア性に優れ、加工適性が向上され、耐内容物適性に優れる包装容器を作製可能な、積層体を提供することである。また、本開示の別の目的は、該積層体を使用した包装容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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