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公開番号2024102777
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-07-31
出願番号2023015674
出願日2023-01-19
発明の名称ターポリン
出願人ダイニック株式会社
代理人
主分類B32B 27/28 20060101AFI20240724BHJP(積層体)
要約【課題】樹脂層の樹脂成分としてエチレン-酢酸ビニル共重合体を主に用い、適度な柔軟性と高周波ウェルダー加工性を有している耐熱性に優れたターポリンであって、特に耐熱クリープ性に優れたターポリンを提供する。
【解決手段】基布2の両面に樹脂層3を設けたターポリン1であって、前記樹脂層3が、樹脂成分と含水無機化合物とを含有し、前記樹脂層3が、樹脂成分として、融点80℃以上95℃未満の範囲であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と融点95℃以上110℃以下の範囲であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)とを含有し、樹脂層中のエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)の総含有量が樹脂層全体の70.0質量%以上95.0質量%以下の範囲であって、前記樹脂層3が樹脂成分として含有する全てのエチレン-酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル単位含有量が11.0質量%以上18.0質量%以下の範囲であるターポリン1。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
基布の両面に樹脂層を設けたターポリンであって、
前記樹脂層が、樹脂成分と含水無機化合物とを含有し、
前記樹脂層が、樹脂成分として、融点80.0℃以上95.0℃未満の範囲であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)と融点95.0℃以上110.0℃以下の範囲であるエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)とを含有し、樹脂層中のエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)とエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)の総含有量が樹脂層全体の70.0質量%以上95.0質量%以下の範囲であって、前記樹脂層が樹脂成分として含有する全てのエチレン-酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル単位含有量が11.0質量%以上18.0質量%以下の範囲であるターポリン。
続きを表示(約 730 文字)【請求項2】
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の融点と、エチレン-酢酸ビニル共重合体(B)の融点との差が絶対値で5.0℃以上である請求項1に記載のターポリン。
【請求項3】
ターポリンの樹脂層が樹脂成分として含有する全てのエチレン-酢酸ビニル共重合体の融点の加重平均値が86.0℃以上である請求項1に記載のターポリン。
【請求項4】
ターポリンの樹脂層が樹脂成分として含有する全てのエチレン-酢酸ビニル共重合体の融点の加重平均値が86.0℃以上である請求項2に記載のターポリン。
【請求項5】
ターポリンの樹脂層が、含水無機化合物としてシリカゲル微粒子を樹脂成分100.0質量部に対し1.0質量部以上20.0質量部以下の範囲で含有する請求項1~請求項4のいずれかに記載のターポリン。
【請求項6】
エチレン-酢酸ビニル共重合体(A)の曲げ弾性率が30.0Mpa以上80.0MPa以下の範囲で且つエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)の曲げ弾性率が90.0MPa以上150.0MPa以下の範囲である請求項1~請求項4のいずれかに記載のターポリン。
【請求項7】
ターポリンの樹脂層が樹脂成分として含有する全てのエチレン-酢酸ビニル共重合体の曲げ弾性率の加重平均値が110.0MPa以下である請求項1~請求項4のいずれかに記載のターポリン。
【請求項8】
樹脂層がエチレン-酢酸ビニル共重合体(A)100.0質量部に対してエチレン-酢酸ビニル共重合体(B)を33.3質量部以上150.0質量部以下の範囲の割合で含有する請求項1~請求項4のいずれかに記載のターポリン。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂層の樹脂成分としてエチレン-酢酸ビニル共重合体を用いたターポリンであって、耐熱性に優れたターポリンに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)【背景技術】
【0002】
織編物からなる基布の両面に樹脂層を設けたターポリンは、防水性・耐久性に優れる為に、フレキシブルコンテナ、テント、構造物の膜屋根、垂れ幕の他、各種建築用資材、各種工業用資材、各種土木工事用資材等の幅広い用途で従来から用いられている。
【0003】
ターポリンの樹脂層に使用する樹脂成分としては、安価で柔軟性や耐久性に優れた軟質塩化ビニル樹脂が主に用いられているが、軟質塩化ビニル樹脂には多量の可塑剤が含まれている為に、廃棄や焼却処理に伴う環境汚染の問題や、フレキシブルコンテナに使用した場合などに可塑剤が内容物に移行する懸念があることなどから、その様な問題が発生する恐れの少ないエチレン系共重合体、特にエチレン-酢酸ビニル共重合体を樹脂層の樹脂成分として用いたターポリンの要望が年々増加してきている。
【0004】
この様な、エチレン-酢酸ビニル共重合体を樹脂層の樹脂成分として用いたターポリンは、軟質塩化ビニル樹脂を樹脂層の樹脂成分として用いたターポリンに比べて、上述したような環境汚染の問題や可塑剤の内容物に対する移行の懸念が少なく、軽量であるという利点がある一方で、耐熱性や柔軟性や高周波ウェルダー加工性の面で劣るという問題があった。
【0005】
例えばターポリンを用いたフレキシブルコンテナにおいては、まずターポリンを所定のサイズに裁断してフレキシブルコンテナのパーツを作製し、各パーツ同士を高周波ウェルダー加工によって溶着して接合する事によってJIS Z1651(2017)に規定されている様なフレキシブルコンテナを作製する事などから、高周波ウェルダー溶着部の強度の観点やフレキシブルコンテナの製造効率を考える上で、ターポリンの高周波ウェルダー加工性は重要な要素となる。
【0006】
次に出来上がったフレキシブルコンテナには、熱を帯びた内容物が充填される事もある事などから、ターポリン自体が熱による変形や破断や自己融着を起こし難いような耐熱性を有している事が必要なのはもちろんであるが、特に上述した高周波ウェルダー加工によって溶着された部分に関して耐熱性評価の一つである耐熱クリープ性が比較的脆弱になり易い事が経験上知られており、ターポリンの高周波ウェルダー溶着部の耐熱クリープ性はターポリンを評価する上で非常に重要な要素となっている。高周波ウェルダー溶着部の耐熱クリープ性が劣ると、熱を帯びた内容物を充填した際にフレキシブルコンテナの高周波ウェルダー溶着部が破断する事によってフレキシブルコンテナが破袋し、内容物が大量に漏れ出すといった重大事故が発生しやすくなる。
【0007】
また、充填された内容物が取り出された後のフレキシブルコンテナは、再利用する為に折り畳まれて回収されるが、その際にターポリンの柔軟性がないと、折り畳む作業が困難になる為にターポリンの柔軟性もまたターポリンを評価する上で重要な要素となる。
【0008】
しかしながら上記の各特性は、ターポリンの樹脂層の樹脂成分として使用するエチレン-酢酸ビニル共重合体の性状の影響を大きく受ける為に、例えばターポリンの耐熱性を向上させる意図をもって、ターポリンの樹脂層の樹脂成分として比較的軟化点の高い酢酸ビニル単位含有量の少ないエチレン-酢酸ビニル共重合体を単独で用いると、ターポリンの耐熱性は向上するものの、高周波ウェルダー加工性や柔軟性が悪化する傾向にあり、その逆に高周波ウェルダー加工性と柔軟性を向上させる意図をもって、ターポリンの樹脂層の樹脂成分として酢酸ビニル単位含有量の多いエチレン-酢酸ビニル共重合体を単独で用いると、ターポリンの高周波ウェルダー加工性や柔軟性は向上するものの、ターポリンの耐熱性が悪化する傾向にあるといったトレードオフの関係にある事が知られている。
【0009】
上記問題点を改善する為に、特許文献1では、酢酸ビニル単位含有量が10~30重量%のエチレン-酢酸ビニル共重合体100重量部に、エチレン・プロピレン・ジエンターポリマー5~40重量部、誘電率と誘電損失との積が0.1以上の高周波発熱性の良い無機物5~30重量部、およびリン酸エステル系液状滑剤0.5~5.0重量%をそれぞれ配合した組成物を樹脂層として用いたターポリンが提案されている。
【0010】
また、特許文献2では、酢酸ビニル単位含有量が10~20重量%でメルトフローレートが0.1~10g/10分のエチレン-酢酸ビニル共重合体60~90重量%と酢酸ビニル単位含有量が22~35重量%でメルトフローレートが0.1~10g/分のエチレン-酢酸ビニル共重合体10~40重量%とからなり、かつ平均酢酸ビニル単位含有量が15~22重量%であるエチレン-酢酸ビニル共重合体を樹脂層の樹脂成分として用いたターポリンが提案されている。
(【0011】以降は省略されています)

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