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公開番号
2024165930
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2023082531
出願日
2023-05-18
発明の名称
調理済み麺類の製造方法
出願人
日清製粉株式会社
代理人
弁理士法人アルガ特許事務所
主分類
A23L
7/109 20160101AFI20241121BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】高アミロース小麦粉を用いて、乾麺のような張りと生麺のような粘弾性を併せ持つ調理済み麺類を製造する方法の提供。
【解決手段】調理済み麺類の製造方法であって、高アミロース小麦粉を含有する麺生地を押出して麺線を製造すること、及び、該麺線を乾麺にすることなく加熱調理することを含み、該麺生地の原料粉が、該高アミロース小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の合計質量中に30質量%以上含有し、該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
調理済み麺類の製造方法であって、
高アミロース小麦粉を含有する麺生地を押出して麺線を製造すること、及び、
該麺線を乾麺にすることなく加熱調理すること、
を含み、
該麺生地の原料粉が、該高アミロース小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の合計質量中に30質量%以上含有し、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、
方法。
続きを表示(約 260 文字)
【請求項2】
前記高アミロース小麦粉が、SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記原料粉が、穀粉類及び澱粉類の合計質量中にデュラム小麦粉砕物を20質量%以上含有する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記原料粉における、前記高アミロース小麦粉と前記デュラム小麦粉砕物の合計含有量が80質量%以上である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記デュラム小麦粉砕物の平均粒径が200μm以下である、請求項3記載の方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理済み麺類の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献1~4には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。しかし一方で、アミロースは食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたこと、一方で、高アミロース小麦粉の配合によりパスタのようなテクスチャーの中華麺が得られたことが記載されている。そのため、ベーカリーや麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。
【0003】
麺類は、製麺方法によって、切出し麺、押出し麺、手延べ麺などに分けられる。このうち、押出し麺としては、主にスパゲッティや、マカロニ等のパスタ類があるが、これらの押出しパスタ類は、製麺後に乾燥させて、乾パスタとされるのが一般的である。乾パスタ等の乾麺は、硬く張りがあり歯切れの良い食感を特徴とする。一方、切出し麺は、生麺のまま調理されることが多く、こうした麺は、粘弾性ある食感を有する。切出し麺の代表的なものはうどんであるが、近年では、生パスタも多く提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2007-504803号公報
特表2008-526690号公報
特表2015-504301号公報
特表2019-527054号公報
【非特許文献】
【0005】
J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。本発明は、高アミロース小麦粉を用いて、乾麺のような表面に張りのある食感と、生麺のような粘弾性のある食感とを併せ持つ調理済み麺類を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕調理済み麺類の製造方法であって、
高アミロース小麦粉を含有する麺生地を押出して麺線を製造すること、及び、
該麺線を乾麺にすることなく加熱調理すること、
を含み、
該麺生地の原料粉が、該高アミロース小麦粉を、穀粉類及び澱粉類の合計質量中に30質量%以上含有し、
該高アミロース小麦粉が、コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上の小麦粉である、
方法。
〔2〕前記高アミロース小麦粉が、SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕記載の方法。
〔3〕前記原料粉が、穀粉類及び澱粉類の合計質量中にデュラム小麦粉砕物を20質量%以上含有する、〔1〕又は〔2〕記載の方法。
〔4〕前記原料粉における、前記高アミロース小麦粉と前記デュラム小麦粉砕物の合計含有量が80質量%以上である、〔3〕記載の方法。
〔5〕前記デュラム小麦粉砕物の平均粒径が200μm以下である、〔3〕又は〔4〕記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法によれば、高アミロース小麦粉を用いて、乾麺のような表面に張りのある食感と、生麺のような粘弾性のある食感とを併せ持つ調理済み麺類を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、高アミロース小麦粉を用いた調理済み麺類の製造方法を提供する。本発明で提供される調理済み麺類の製造方法(以下、「本発明の方法」という)は、高アミロース小麦粉を含有する麺生地を押出して麺線を製造すること、及び該麺線を乾麺にすることなく加熱調理すること、を含む。
【0010】
本明細書において、高アミロース小麦粉とは、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉をいう。小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1~2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
(【0011】以降は省略されています)
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