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公開番号
2024167678
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-04
出願番号
2023083911
出願日
2023-05-22
発明の名称
卵凝固促進剤
出願人
不二製油株式会社
代理人
主分類
A23L
15/00 20160101AFI20241127BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】
本発明は、卵の凝固を促進させるような素材で、比較的低温の温度域において卵の凝固を促進させ、得られる卵加工品の品質も良好にする卵凝固促進剤を提供することを目的とする。
【解決手段】
豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類が卵の凝固を促進し、品質の良好な卵加工品が得られることを見出した。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含む卵凝固促進剤。
続きを表示(約 640 文字)
【請求項2】
豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類が水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類である、請求項1記載の卵凝固促進剤。
【請求項3】
以下の(A)~(C)の全工程を有する卵加工食品の製造方法。
(A)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を準備する工程。
(B)(A)の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類と卵を含む原料とを混合する際、該豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、卵の蛋白質の質量に対して0.5~250質量%添加する工程。
(C)(B)で得られる混合物を加熱する工程。
【請求項4】
(C)の工程において、加熱温度が95℃未満である、請求項3記載の卵加工食品の製造方法。
【請求項5】
以下の(a)~(c)の全工程を有する卵加工食品の製造時における卵の凝固促進方法。
(a)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を準備する工程。
(b)(a)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類と卵を含む原料とを混合する際、該豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、卵の蛋白質の質量に対して0.5~250質量%添加する工程。
(c)(b)で得られる混合物を加熱する工程。
【請求項6】
(c)の工程において、加熱温度が95℃未満である、請求項5記載の卵の凝固促進方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵凝固促進剤に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、調理済み食品の需要が拡大しており、特に卵加工品は、専用工場で大量製造されたものが、コンビニエンスストア、スーパーマーケットで販売されている。また、ホテルや飲食店では一度に大量調理することで多くの消費者が利用するようになった。これら流通・市販される卵加工品において、特に問題となるのが卵の食感と製造・調理時間の短縮である。
従来、卵はタンパク質の熱凝固性を用いて固めたり、ゼラチンなどのゲル化剤を用いて固めることで調理をしたり卵加工品を産業的に製造している(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2008-125447号公報
特開2001-037446号公報
特開2000-189112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に、卵の熱凝固性を利用すると乳原料・調味液・具材といったような卵以外の原料や加熱のばらつきによって品位が安定しない、卵加工品として望ましい固さを得ることができずに品位が確立できないといった課題が生じている。また、熱凝固させるために長時間を必要とするため大量生産に支障が出るといった課題も生じている。
結果として、卵加工品の安定した品位を確立させるために、卵の熱凝固性を利用するよりもゼラチンや寒天などのゲル化剤や加工でんぷんに頼らざるを得ない環境にある。しかし、卵の熱凝固力を利用せずに食感を構築しても卵本来の風味や食感を大きく損なうため望ましくない。
こうした卵の熱凝固力を向上するためには乾燥卵の熱蔵処理が挙げられる。熱蔵処理をすると卵のゲル強度が上がるため一般的に多くの乾燥卵製品は熱蔵処理を欠かすことができない。しかし、乾燥卵はコストも高く、流通量も少ないため大量に使用することが難しい。また、流通量の多い液卵製品では熱蔵処理をすることができないため熱凝固力を上げることができないという問題がある。
また、水溶性ヘミセルロースを用いた卵加工食品用卵素材の製造に関する技術(特許文献3)では、95℃以上の熱水中にヘミセルロースを含む解いた卵を流し込んで卵を凝固させることが記載されているがより低温での加熱で製造するような卵加工品に関する効果は不明である。
本発明は、卵の凝固を促進させるような素材で、比較的低温の温度域において卵の凝固を促進させ、得られる卵加工品の品質も良好にする卵凝固促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題の解決に対し鋭意検討を重ねた結果、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類が卵の凝固を促進し、品質の良好な卵加工品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含む卵凝固促進剤、
(2)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類が水溶性大豆多糖類または水溶性エンドウ多糖類である、(1)記載の卵凝固促進剤、
(3)以下の(A)~(C)の全工程を有する卵加工食品の製造方法、
(A)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を準備する工程、
(B)(A)の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類と卵を含む原料とを混合する際、該豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、卵の蛋白質の質量に対して0.5~250質量%添加する工程、
(C)(B)で得られる混合物を加熱する工程、
(4)(C)の工程において、加熱温度が95℃未満である、(3)記載の卵加工食品の製造方法、
(5)以下の(a)~(c)の全工程を有する卵加工食品の製造時における卵の凝固促進方法、
(a)豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を準備する工程、
(b)(a)の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類と卵を含む原料とを混合する際、該豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類として、卵の蛋白質の質量に対して0.5~250質量%添加する工程、
(c)(b)で得られる混合物を加熱する工程、
(6)(c)の工程において、加熱温度が95℃未満である、(5)記載の卵の凝固促進方法、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含む卵凝固促進剤を用いることで、卵の凝固を促進し、品質の良好な卵加工品が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(卵凝固促進剤)
本発明の卵凝固促進剤は、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含むことを特徴とする。
本発明の卵凝固促進剤を、卵加工食品の製造時に用いることで卵の凝固を促進させることができ、効率よく、品質の優れた卵加工食品を製造することができる。
本発明において卵の凝固促進は、後述する卵の凝固試験において、豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を全卵、卵黄あるいは卵白に添加したものが、無添加の全卵、卵黄あるいは卵白よりも凝固時間が短縮されることを意味する。凝固時間は豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を全卵、卵黄または卵白に添加したものが、無添加の全卵、卵黄または卵白よりも好ましくは、5%以上、より好ましくは10%以上短縮されることをいう。対象となる卵は、全卵または卵黄が好ましい。
また、本発明の卵凝固促進剤は、卵の凝固促進ができるとともに、卵の凝固物の大きさや弾力。硬さなどの凝固した卵加工物の状態や、卵加工物の離水がない等の品質も良好である特徴を有する。この点、他の増粘多糖類を用いた場合、凝固時間が短縮されなかったり、凝固時間が短縮される場合でも凝固物の品質が悪くなり、卵の凝固物の品質の点において、本発明の豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類を含む卵凝固促進剤は優れている。
また、本発明において卵凝固促進剤は、沸騰温度やそれ以上の温度よりも、比較的低い温度帯で、ある程度時間をかけて加熱する場合により効果を奏する。
この観点から、本発明の卵凝固促進剤で凝固促進させる温度として、好ましくは95℃未満であり、より好ましくは90℃以下である。また、下限の温度は、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上、60℃以上または65℃以上とすることができる。
また、加熱時間は好ましくは、5分間以上であり、より好ましくは8分間以上、10分間以上、12分間以上、15分間以上とすることもできる。また、加熱時間の上限は、好ましくは120分間以下であり、より好ましくは100分間以下、90分間以下、80分間以下、70分間以下とすることができる。
本発明の卵凝固促進剤に用いる豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類の、該卵凝固促進剤中の含有量は、固形分中、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、85質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、100質量%とすることができる。
本発明の卵凝固促進剤の形態は限定されず、液体、粉末、造粒物などの形態で使用することができる。
【0009】
本発明の卵凝固促進剤には、本発明の効果を損なわない範囲で適宜、他の添加剤と併用することができる。他の添加剤としては、砂糖、グルコース,フルクトース等の単糖類、蔗糖,マルト─ス,ラクトース,ラフィノース,マルトトリオース,トレハロ─ス,スタキオース,マルトテトラオース等の少糖類、及び糖アルコ─ル、ぶどう糖果糖液糖、還元水あめ、水あめ、オリゴ糖、還元オリゴ糖、はちみつ、スクラロース、アスパルテーム、ステビアなどの甘味料、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂などの食用油脂、塩類、食塩、醤油、胡椒、アミノ酸、塩化カルシウム、核酸等の調味料類、酢酸,クエン酸,乳酸,アジピン酸,グルコン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸等の有機酸、アスコルビン酸等の酸味料、湿熱処理澱粉、加工澱粉、ビタミンE等の酸化防止剤、色素等が挙げられる。
【0010】
(豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類)
本発明でいう豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類の原料として、大豆、小豆、緑豆、ササゲ、金時豆、花豆、インゲン豆、バタービーン、ソラ豆、エンドウ豆、ヒヨコ豆、イナゴ豆、ナタ豆、ルピン豆、レンズ豆、落花生などが例示される。本発明で使用する豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類としては、特に水溶性エンドウ多糖類、水溶性大豆多糖類が好ましい。豆類由来のガラクツロン酸を含有する水溶性多糖類は2種以上を併用して用いることもできる。
(【0011】以降は省略されています)
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