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公開番号2024162361
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-21
出願番号2023077785
出願日2023-05-10
発明の名称麺類又はベーカリー食品用小麦粉
出願人日清製粉株式会社
代理人弁理士法人アルガ特許事務所
主分類A23L 7/10 20160101AFI20241114BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】麺類又はベーカリー食品用原料として優れた性質を有する高アミロース小麦粉。
【解決手段】コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつヨウ素解離率が9.0~10.5%である、麺類又はベーカリー食品用小麦粉。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
麺類又はベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつヨウ素解離率が9.0~10.5%であり、
該ヨウ素解離率が下記手順1~10により測定される、小麦粉:
1.対照アミロースを40mg、被験小麦粉を100mgそれぞれ試験管に秤量する;
2.各試験管に1mLの95%エタノール、9mLの1N NaOHを添加して混合する;
3.次いで、各試験管を100℃の恒温槽で10分インキュベート後、25℃(±2℃)で放冷する;
4.放冷後の溶液を純水で100mLに定容し、対照アミロース溶液は100μL、200μL、300μL、400μL、及び500μL分取し(それぞれ分取数=5)、被験小麦粉溶液は500μL分取する(分取数=5);
5.分取した溶液に1N酢酸及びヨード液を下記の量で添加し、純水で10mLに定容してサンプル溶液とし、該サンプル溶液を20分間25℃(±2℃)で静置し、ついで該サンプル溶液の620nmにおける吸光度を測定する;
分取溶液 1N酢酸 ヨード液
対照アミロース溶液 100μL 20μL 200μL
200μL 40μL 200μL
300μL 60μL 200μL
400μL 80μL 200μL
500μL 100μL 200μL
被験小麦粉溶液 500μL 100μL 200μL
6.前記5.で測定した前記対照アミロースを含む各サンプル溶液から得られた吸光度の値から、検量線を作成する;
7.前記6.で作成した検量線を用いて、前記5.で得られた被験小麦粉を含むサンプル溶液のアミロース濃度(A)を、前記5.で測定したその吸光度に基づき算出する;
8.前記被験小麦粉を含むサンプル溶液を40℃の恒温槽でさらに5分間インキュベートし、インキュベート終了から20秒以内に再度該サンプル溶液の620nmにおける吸光度を測定する;
9.前記6.で作成した検量線を用いて、前記8.で得られた加温後のサンプル溶液のアミロース濃度(B)を、前記8.で測定したその吸光度に基づき測定する;
10.以下の式により、被験小麦粉のヨウ素解離率を計算する;
ヨウ素解離率(%)={(A-B)/A}×100。
続きを表示(約 280 文字)【請求項2】
SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、請求項1記載の小麦粉。
【請求項3】
平均粒径が20~110μmである、請求項1記載の小麦粉。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項記載の小麦粉を含有するベーカリー食品。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項記載の小麦粉を含有する麺類。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項記載の小麦粉を用いるベーカリー食品の製造方法。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか1項記載の小麦粉を用いる麺類の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、麺類又はベーカリー食品用の、改良された性質を有する高アミロース小麦粉に関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
穀粉の代わりに食物繊維素材を配合した麺類が提供されている。特許文献1~4には、穀粉とは別に難消化性澱粉や難消化性デキストリンを配合した低糖質な麺類が開示されている。特許文献5には、水不溶性食物繊維(IDF)と水溶性高分子食物繊維(HSDF)の総量が5質量%以下であり、水溶性低分子食物繊維(LSDF)の量が25質量%以上である加工澱粉からなる水溶性食物繊維強化剤、これをベーカリー食品や麺に使用すること、及び該食物繊維強化剤を添加した食品の食感が良好であることが記載されている。しかし、穀粉の代わりに難消化性澱粉や難消化性デキストリンを配合した麺類は、生地の作業性や保形性が悪く、食感も低下しがちである。
【0003】
穀物に含まれる澱粉にはアミロースとアミロペクチンが含まれる。アミロースは、消化酵素による消化性が悪く、そのため、ヒトの消化酵素で消化されない難消化性成分、すなわち食物繊維として機能し得、難消化性澱粉に分類される。高アミロース澱粉としては、高アミロース型トウモロコシ由来の高アミロースコーンスターチがよく知られている。また近年、澱粉合成に関連する酵素に変異を有することでアミロース含有量を増加させた高アミロース小麦が開発されている(非特許文献1、2)。特許文献6~9には、澱粉分枝酵素SBEIIaの遺伝子の点変異を有し、SBEIIaの活性が低下しており、穀粒に含まれる澱粉のアミロース含有量が高い高アミロース小麦が開示されている。しかし一方で、アミロースは食品がパサついたり硬くなったりする原因でもある。例えば、前述の非特許文献2には、高アミロース小麦から製造したパンが、通常の小麦を使用したものと比べて膨らみが悪く品質に劣っていたこと、一方で、高アミロース小麦粉の配合によりパスタのようなテクスチャーの中華麺が得られたことが記載されている。そのため、ベーカリー食品や麺類では、食品の食感をソフトで口当たりのよいものにしたい場合、アミロース含有量の低い穀粉が利用されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特開2016-2000号公報
特開2017-23050号公報
特開平10-313804号公報
国際公開公報第2018/216706号
特開2009-95316号公報
特表2007-504803号公報
特表2008-526690号公報
特表2015-504301号公報
特表2019-527054号公報
【非特許文献】
【0005】
J Jpn Assoc Dietary Fiber Res, 2003, 7(1):20-25
Trends in Food Science and Technology, 2006, 17:448-456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高アミロース小麦粉は有望な食物繊維素材の1つである。本発明は、麺類又はベーカリー食品用原料として優れた性質を有するように改良された高アミロース小麦粉に関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特定の性質の澱粉成分を含有する高アミロース小麦粉により、良好な食感を有する麺類又はベーカリー食品を製造することができることを見出した。
【0008】
本発明の代表的実施形態として、以下を提供する。
〔1〕麺類又はベーカリー食品用小麦粉であって、
コンカナバリンA法で分析された総澱粉中のアミロース含有量が40質量%以上、かつヨウ素解離率が9.0~10.5%であり、
該ヨウ素解離率が下記手順1~10により測定される、小麦粉:
1.対照アミロースを40mg、被験小麦粉を100mgそれぞれ試験管に秤量する;
2.各試験管に1mLの95%エタノール、9mLの1N NaOHを添加して混合する;
3.次いで、各試験管を100℃の恒温槽で10分インキュベート後、25℃(±2℃)で放冷する;
4.放冷後の溶液を純水で100mLに定容し、対照アミロース溶液は100μL、200μL、300μL、400μL、及び500μL分取し(それぞれ分取数=5)、被験小麦粉溶液は500μL分取する(分取数=5);
5.分取した溶液に1N酢酸及びヨード液を下記の量で添加し、純水で10mLに定容してサンプル溶液とし、該サンプル溶液を20分間25℃(±2℃)で静置し、ついで該サンプル溶液の620nmにおける吸光度を測定する;
分取溶液 1N酢酸 ヨード液
対照アミロース溶液 100μL 20μL 200μL
200μL 40μL 200μL
300μL 60μL 200μL
400μL 80μL 200μL
500μL 100μL 200μL
被験小麦粉溶液 500μL 100μL 200μL
6.前記5.で測定した前記対照アミロースを含む各サンプル溶液から得られた吸光度の値から、検量線を作成する;
7.前記6.で作成した検量線を用いて、前記5.で得られた被験小麦粉を含むサンプル溶液のアミロース濃度(A)を、前記5.で測定したその吸光度に基づき算出する;
8.前記被験小麦粉を含むサンプル溶液を40℃の恒温槽でさらに5分間インキュベートし、インキュベート終了から20秒以内に再度該サンプル溶液の620nmにおける吸光度を測定する;
9.前記6.で作成した検量線を用いて、前記8.で得られた加温後のサンプル溶液のアミロース濃度(B)を、前記8.で測定したその吸光度に基づき測定する;
10.以下の式により、被験小麦粉のヨウ素解離率を計算する;
ヨウ素解離率(%)={(A-B)/A}×100。
〔2〕SBEIIaの活性が低い改変小麦由来の小麦粉である、〔1〕記載の小麦粉。
〔3〕平均粒径が20~110μmである、〔1〕又は〔2〕記載の小麦粉。
〔4〕〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の小麦粉を含有するベーカリー食品。
〔5〕〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の小麦粉を含有する麺類。
〔6〕〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の小麦粉を用いるベーカリー食品の製造方法。
〔7〕〔1〕~〔3〕のいずれか1項記載の小麦粉を用いる麺類の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明で提供される高アミロース小麦粉を用いることで、従来の高アミロース小麦粉と比べて、より良好な食感を有する麺類又はベーカリー食品を製造することができる。また本発明の高アミロース小麦粉を用いて製造された麺類又はベーカリー食品は、老化耐性に優れ、冷凍保存後にも食感を良好に維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、高アミロース小麦粉とは、アミロース含有量が、好ましくは40質量%以上、より好ましくは43質量%以上、さらに好ましくは47質量%以上の小麦粉をいう。小麦粉のアミロース含有量とは、該小麦粉に含まれる総澱粉中のアミロース含有量をいう。本明細書における小麦粉のアミロース含有量は、コンカナバリンA(ConA)法により分析された値として定義され、例えば、該小麦粉をMegazyme社のアミロース/アミロペクチン分析キット(AMYLOSE/AMYLOPECTIN ASSAY KIT)で分析することで測定することができる。従来一般的なアミロース含有量の分析方法としては、(1) アミロースのヨウ素に対する結合能の高さを利用した方法(ヨウ素親和力測定法;例えば電流滴定法、比色定量法、AACC61-03法など)、(2) アミロペクチンとConAが特異的に結合することを利用した方法(ConA法)が知られている。しかし(1)を利用した方法ではアミロース量がより高く算出される傾向がある。例えば、非特許文献1や非特許文献2に記載されるSGP-1遺伝子の機能欠失型変異(null変異)を有する高アミロース小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では37質量%程度であるが、ConA法では31質量%程度である。なお、従来一般的な小麦粉のアミロース含有量は、ヨウ素親和力測定法では32質量%未満、ConA法では28質量%未満である。
(【0011】以降は省略されています)

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