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公開番号2024155898
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2024068711
出願日2024-04-19
発明の名称パック入り焼きサバとその製造方法
出願人株式会社STIフードホールディングス
代理人弁理士法人須磨特許事務所
主分類A23L 17/00 20160101AFI20241024BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】優れた外観を有し、また、所定の時間、チルド保存した後にも皮目のパリパリ感や、ふっくらとした身の食感、魚臭さの感じなさ、箸で食した際の皮の剥けなさ等の優れた特性を示し、美味しく食せるパック入り焼きサバとその製造方法を提供することを一つの課題とする。
【解決手段】サバのフィーレの皮目に切れ込みを設ける工程と、切れ込みが設けられた前記皮目を上にした状態で前記フィーレを焼成する工程と、焼成された前記フィーレをパック詰めする工程とを含むパック入り焼きサバの製造方法を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図6
特許請求の範囲【請求項1】
サバのフィーレの皮目に切れ込みを設ける工程と、
切れ込みが設けられた前記皮目を上にした状態で前記フィーレを焼成する工程と、
焼成された前記フィーレをパック詰めする工程と、
を含むパック入り焼きサバの製造方法。
続きを表示(約 630 文字)【請求項2】
フィーレを焼成する前記工程が、
第1の焼成過程と、
前記第1の焼成過程よりも近火及び/又は強火で焼成する第2の焼成過程と、
を、この順で含む請求項1に記載のパック入り焼きサバの製造方法。
【請求項3】
前記第2の焼成過程におけるフィーレの皮目の到達温度が95℃以上である請求項2に記載のパック入り焼きサバの製造方法。
【請求項4】
フィーレの皮目に設けられる前記切れ込みの深さが1mm以上5mm以下である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパック入り焼きサバの製造方法。
【請求項5】
フィーレの皮目に切れ込みを設ける前記工程が、冷凍状態のフィーレに切れ込みを設ける工程である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のパック入り焼きサバの製造方法。
【請求項6】
フィーレの皮目に切れ込みを設ける前記工程が、冷凍状態のフィーレに切れ込みを設ける工程である請求項4に記載のパック入り焼きサバの製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法で得られるパック入り焼きサバ。
【請求項8】
請求項4に記載の方法で得られるパック入り焼きサバ。
【請求項9】
請求項5に記載の方法で得られるパック入り焼きサバ。
【請求項10】
請求項6に記載の方法で得られるパック入り焼きサバ。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はパック入り焼きサバとその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
焼きサバ(鯖)は、日本国民に最も食されている焼き魚の一つと言っても過言ではない。パリッと焼かれた皮目と、適度にのった油、ふっくらと仕上がった身のコンビネーションは抜群であり、世代によらず大きな人気を集めている。スーパーや魚屋でサバを購入してきて自ら調理したことがある人であれば経験したことがあるかもしれないが、単純に見える焼きサバであっても美味しく焼き上げるのは難しい。品質の高い焼きサバを誰もが手軽に食すことができれば素晴らしいことであるが、これを、例えば、コンビニで販売されるようなパック詰めされたパック入りの焼き魚として、大量に効率良く、且つ、所定の時間が経過した後も美味しく食せる品質で製造することは容易ではない。例えば、焼きサバの好ましい特徴といえる皮目のパリッと感は保存時間が長くなるとともに特に失われ易く、また、サバ特有の魚臭さも保存期間が長くなると顕著になってくる。
【0003】
焼き魚の皮目をパリッと仕上げる焼き魚の製造方法は種々検討されており、例えば、特許文献1には、魚を焙焼する前に、魚の表皮を貫通する複数の孔を穿設する工程と、乾燥卵白、大豆タンパク質、ホエータンパク質、コラーゲン、カゼイン等の加熱凝固性蛋白質溶液やコラーゲンパウダー、小麦粉、澱粉、加工澱粉等を魚の表面に接触・付着させる工程とを行うことを特徴とする焼き魚の製造方法が開示されている。特許文献1によれば、このような製造方法により製造された焼き魚は、焙焼後、冷蔵又は凍結保存した後に、再加熱した場合にも焼き魚特有の表面のパリパリとした食感及び内部のジューシーな食感の低下が抑制されるとされている。しかしながら、特許文献1に開示されているように乾燥卵白、大豆タンパク質、ホエータンパク質、コラーゲン、カゼイン等の加熱凝固性蛋白質を含む溶液やコラーゲンパウダー、小麦粉、澱粉、加工澱粉等を魚の表面に付着させることは、サバ本来の味とは異なる味を焼きサバに付与してしまう恐れがあるので好ましくない。
【0004】
焼き魚の食感や外観を改善するために特許文献1のように魚の皮目に穿孔を設ける方法は種々検討されており、例えば、特許文献2には、ウナギの皮層及びコラーゲン層を貫通する穿孔を設けることにより、不快臭並びに酸化が抑えられ、火のとおりを良くし、皮部はパリパリした食感を有し、内部は柔らかい食感を有するウナギの蒲焼の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、生の魚体表面に、表皮を貫通する複数の微細な小孔を設けておくことを特徴とする焼き魚の製造方法が開示されている。焼成前の魚体の表面に予め小孔を設けておくことにより、焼成中に生じる魚体内部からのガスが外部に放出され、皮に無理な内圧が作用せず、鯛等の皮の剥離が防止されるとされている。
【0005】
しかしながら、本発明者らが知る限りにおいて、焼きサバ、しかもパック入りの焼きサバについて詳細に検討した例はなく、所定の期間、チルド保存した場合であっても、良好な皮目のパリパリ感と、しっとり・ふっくらとした身の食感、魚臭さの感じなさ、箸で食した際に皮が剥がれずに破れる程度の皮のはげなさ等の優れた特性を示すパック入りの焼きサバは未だ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2000-004840号公報
特開2012-065627号公報
特開昭61-219358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような従来技術に鑑みて為されたものであり、ある一側面において、優れた外観を有するとともに、所定の時間、チルド保存した後にも皮目のパリパリ感や、ふっくらとした身の食感、魚臭さの感じなさ、箸で食した際に皮が剥がれずに破れる程度の皮のはげなさ等の好ましい特性を示し、美味しく食せるパック入り焼きサバとその製造方法を提供することを一つの課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決しようと鋭意研究努力を重ねる過程において、焼きサバの皮目を強く焼き上げる製造方法を検討した。しかしながら、脂が多いサバは身と皮の間に脂が溜まりやすく、身から発生する水蒸気と相まって、焼成中に皮が膨らむこともしばしばであり、場合によっては破裂してしまう。皮の膨らみや皮の破れが目立つ焼きサバは消費者に選好されないため、製品として使用できない場合があるが、本発明者らが検討したところ、皮目を強く焼き上げようと皮目を強く焼成すると、その分、皮の膨らみが顕著になり、皮の破れが目立つ焼きサバが得られてしまう結果となった。それどころか、皮目を強く焼き上げた焼きサバであっても、パック詰めし、所定の期間チルド保存した後に喫食すると、皮目のパリッと感や身のふっくらとした食感、魚臭さ等は、特に火力を強めずに従来通り焼成して得られたパック入り焼きサバとほとんど変わりなく、また、箸で取り扱った際に皮が破れず、皮が剥離してしまう傾向も顕著であった。
【0009】
一方、後述する実験例に示すとおり、例えば、特許文献1~3に示されるような穿孔をサバのフィーレの皮目に設け、焼成する製造方法を検討したところ、このような製造方法で製造された焼きサバも、パック詰めし、所定の期間チルド保存した後に喫食してみると、皮目のパリッと感や身のふっくらとした食感は、皮目に穿孔を設けず従来通りの製造方法で製造して得られたパック入り焼きサバとほとんど変わりなく、また、箸で取り扱った際に皮が破れず、皮が剥離してしまう傾向も顕著であった。このように調理後直ちに喫食されるのではなく、パック詰めされ、所定の期間チルド保存した後に喫食されるパック入り焼きサバの品質を高めるには困難を極めたのである。
【0010】
以上のような状況のもと、本発明者らは、さらに鋭意研究努力を重ねる過程において、フィーレ状のサバの切り身の皮目に所定の切れ込みを設け、これを焼成に供したところ、皮目を強く焼き上げた場合であっても、焼成中の皮の膨らみが抑制され、皮の破れがほとんど見られなくなることを見出した。このとき更に興味深いことに、皮目に設けられた切れ込みの部分から溢れ出した油分が徐々に皮全体に広がり、皮全体に広がった油分により、あたかも皮目が揚げられるかのように焼成されていた。そこで、このようにして焼成された焼きサバをパック詰めし、チルド保存した後、電子レンジでレンジアップして喫食したところ、驚くべきことに、皮のパリッと感や身のふっくらとした食感に優れ、また、魚臭さも感じず、食味も良好であり、箸で取り扱った際の皮の破れも良好であるなど、極めて品位の高いパック入り焼きサバが得られることを見出した。
(【0011】以降は省略されています)

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