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公開番号
2024136028
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-04
出願番号
2023046980
出願日
2023-03-23
発明の名称
紅茶葉の製造方法
出願人
三井農林株式会社
代理人
主分類
A23F
3/08 20060101AFI20240927BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約
【課題】熱風乾燥機を用いて萎凋させた茶葉の発酵を効率的に進行させる手段を提供すること。
【解決手段】粗揉機や中揉機のような熱風乾燥機を用いて対原料生葉で45~85%の重量となるまで移調させた茶葉に対し、対原料生茶葉で10~50%の質量の水を加えて混合することによって茶葉に水分を吸収させる工程を具備した紅茶の製造法。この操作の後に発酵処理を行うと発酵の進行が促進され、青臭みが少なく、花や果実の香りが感じられる紅茶を得ることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
原料生茶葉を熱風乾燥機によって、対原料生茶葉で45~85%以下の質量となるまで萎凋させた茶葉に、対原料生茶葉で10~50%の質量の水を茶葉に加水した後に発酵処理することを特徴とする紅茶葉の製造方法。
続きを表示(約 280 文字)
【請求項2】
熱風乾燥機が粗揉機、中揉機、葉打ち機から選ばれるいずれか一以上であることを特徴とする請求項1記載の紅茶葉の製造方法。
【請求項3】
前記萎凋させた茶葉を加水前に粉砕および/または加水後に揉捻した後に発酵処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の紅茶葉の製造方法。
【請求項4】
生茶葉の80%以上が緑茶品種の茶葉であることを特徴とする請求項1に記載の紅茶葉の製造方法。
【請求項5】
萎凋後の茶葉に発酵茶品種の生茶葉を混合することを特徴とする請求項1に記載の紅茶葉の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、紅茶葉の製造方法に関する。
続きを表示(約 2,400 文字)
【背景技術】
【0002】
日本国内において、緑茶の消費量・茶葉価格は低下の傾向にあり、収入の低下や生産者の高齢化もあって茶農家離れの原因ともなっている。一方、国産紅茶に関しては近年見直されてきており、国内だけでなく、海外市場での需要も高まりを見せている。このような背景から、紅茶の工業的な生産が検討され始めているが、紅茶の製造技術や設備上の課題から、工業的に紅茶を生産できる茶農家はほとんど出現していない。その原因の一つとして、一般的な茶農家では緑茶の生産をベースとしているため、その製造ラインは紅茶特有の製造工程である「萎凋」や「発酵」を組み入れて生産することが困難となるためである。
【0003】
発酵茶の生産において必要となる「萎凋」の工程に関しては、烏龍茶の製造に緑茶製造設備を活用する検討がなされている。例えば、引用文献1~4には緑茶製造用の粗揉機や中揉機を利用して萎凋を行うことが提案されている。しかしながら、紅茶の製造においては、萎凋した茶葉を揉捻し、発酵させる工程が必要となるが、効果的に発酵を進める手段についてはこれまでに知られていない。特に「やぶきた」のような緑茶用の品種では発酵力が乏しいため、短時間で簡便に発酵を進行させる効果的な手段が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
半発酵による新香味茶製造技術開発に関する研究、三重県農業技術センター研究報告、1992年3月、第20号、p.31-39
花香を有する新香味緑茶製造のための萎凋処理技術と適性品種、滋賀県農業技術振興センター主要研究成果 平成29年度報告書、2018年4月27日
半発酵茶特有の花の香りを活かす既存製茶機械を利用した萎凋法とその適性品種、滋賀県農業技術振興センター主要研究成果 平成29年度報告書、2018年4月27日
新香味茶製造実用化技術の開発、茶業研究報告、1991年、第74号、p.1-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明者らが実際に萎凋に関する従来技術を適用し、緑茶生産用の粗揉機を利用して得た萎凋葉を発酵工程に供したところ、発酵はあまり進行せず、紅茶らしい香りや色調を持った茶葉とはなりにくい課題を認識した。これは、粗揉機を用いた萎凋では、短時間で茶葉の含水率を低下できる一方で、比較的に高温に晒されることになり、茶葉に存在する酸化発酵酵素がダメージを受けることや、緑茶品種であるやぶきた種ではそもそも発酵力が弱いことが原因であると考えられた。すなわち、本発明の課題は、緑茶製造設備を利用して萎凋させた茶葉の発酵を効率的に進行させる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた過程で、萎凋後の茶葉に対して加水して、低下させた水分含量を引き上げる操作を行ったところ、その後の発酵の速度が速くなる効果が認められた。また、得られる茶葉は青みのある香りが低減され、熟したフルーツのような香りを有し、穏やかで甘みをともなう渋みを有した紅茶となることを見出した。さらに、萎凋による水分の減少は45~85%以下とし、加水量は対原料生葉で10~50%とすることが特に有効であることを突き止め、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 原料生茶葉を熱風乾燥機によって、対原料生茶葉で45~85%以下の質量となるまで萎凋させた茶葉に、対原料生茶葉で10~50%の質量の水を茶葉に加水した後に発酵処理することを特徴とする紅茶葉の製造方法。
[2] 熱風乾燥機が粗揉機、中揉機、葉打ち機から選ばれるいずれか一以上であることを特徴とする[1]に記載の紅茶葉の製造方法。
[3] 前記萎凋させた茶葉を加水前に粉砕および/または加水後に揉捻した後に発酵処理を行うことを特徴とする[1]または[2]に記載の紅茶葉の製造方法。
[4] 生茶葉の80%以上が緑茶品種の茶葉であることを特徴とする[1]に記載の紅茶葉の製造方法。
[5] 萎凋後の茶葉に発酵茶品種の生茶葉を混合することを特徴とする[1]に記載の紅茶葉の製造方法。
【0008】
本発明によれば、従来の方法では難しかった紅茶の工業的生産を容易にするものであり、本発明の手段を用いることによって、青みのある香りが低減され、芳醇な花や熟したフルーツのような香りを有し、穏やかで甘みをともなう渋みを有した紅茶を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、特別な記載がない場合、「%」は質量%を示す。また、「下限値~上限値」の数値範囲は、特に他の意味であることを明記しない限り、「下限値以上、上限値以下」の数値範囲を意味する。
【0010】
本発明は紅茶の製造工程に関するものである。本発明における紅茶とは、発酵茶の一種であり、原料茶葉として、チャノキ(学名:Camellia sinensis)の葉や茎などの摘採物を原料として、少なくとも萎凋および発酵を含む工程を得て製造された乾燥茶葉(荒茶や仕上げ茶)を意味する。紅茶の一般的な製造方法としては、摘採した茶の生葉を静置して茶葉中の水分を減少させることで香りを形成させ(萎凋工程)、この萎凋した茶葉を必要に応じて裁断してから圧力をかけて揉み込み(揉捻工程)、これを一定時間放置して茶葉中の酸化酵素の働きによって発酵させ(発酵工程)、最終的に加熱乾燥(乾燥工程)によって製造される。
(【0011】以降は省略されています)
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