特許ウォッチ

公開番号2024039156
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-03-22
出願番号2022143492
出願日2022-09-09
発明の名称横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造並びにそれらを用いた横型多段ホットプレス装置
出願人株式会社太平製作所
代理人個人,個人,個人
主分類B27D 3/02 20060101AFI20240314BHJP(木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステープル打ち機一般)
要約【課題】複雑な搬入・搬出構造や煩雑な搬送面の位置調整を要することなく、加熱圧締部(ホットプレス部)に対する搬入・搬出スピードの高速化を容易とし、サイクルタイムの短縮を図ることのできる横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造と、それらを用いた横型多段ホットプレス装置を提供する。
【解決手段】搬入側倒伏搬送部100により倒伏状態で搬送される複数の板材Wは、搬送終端部において搬入側姿勢変換部200により起立状態に姿勢変更された後順次ロード棚310により受け止め保持され、さらにロード台車320が加熱圧締部の下方に移動した後、ロード棚310により起立状態のまま上昇して対応する熱板間に各々導入される。
【選択図】図3
特許請求の範囲【請求項１】
起立状態に保持された複数の矩形状の被処理板材を加熱圧締部に配置された複数の熱板の間にそれぞれ搬入して、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧し、それによって得られた複数の矩形状の処理済板材を起立状態にて前記加熱圧締部から搬出する横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造であって、
倒伏状態の被処理板材をその長辺側又は短辺側が平面視において前記押圧方向と平行な搬送方向となるように搬送する搬入側倒伏搬送部と、
前記搬入側倒伏搬送部の搬送方向下流側端部に配置され、長辺側又は短辺側が搬送方向を向く倒伏状態で導入された被処理板材をその長辺側又は短辺側が上下方向を向く縦長状又は横長状の起立状態に姿勢変更して導出する搬入側姿勢変換部と、
前記搬入側姿勢変換部から起立状態で導出された被処理板材の短辺側又は長辺側を厚さ方向に所定の間隔をあけて受け止め保持可能な搬入側起立収容棚と、該搬入側起立収容棚を昇降案内可能に搭載するとともに、前記搬入側姿勢変換部及び前記加熱圧締部のいずれよりも下位に位置してそれらの下方空間を移動可能な搬入側収容台車とを有するローダ部と、を備え、
前記搬入側倒伏搬送部により倒伏状態で搬送される複数の被処理板材は、搬送終端部において前記搬入側姿勢変換部により起立状態に姿勢変更されて順次前記ローダ部に収容され、さらに前記搬入側収容台車が前記加熱圧締部の下方に移動した後、前記搬入側起立収容棚により起立状態のまま上昇して対応する熱板間に各々導入されることを特徴とする横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
続きを表示（約 1,900 文字）【請求項２】
前記複数の熱板は被処理板材の厚さに応じて定められる熱板ピッチで前記押圧方向に並列して配置され、
前記搬入側姿勢変換部及び前記ローダ部のうち少なくとも一方が前記熱板ピッチを基準単位として前記押圧方向に沿って間欠移動する請求項１に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
【請求項３】
静止状態の前記ローダ部に対して前記搬入側姿勢変換部が前記押圧方向に沿って間欠移動するとともに、それと同期して前記搬入側倒伏搬送部の搬送長さが搬送方向に沿って伸縮調整される請求項２に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
【請求項４】
前記搬入側収容台車は、前記搬入側姿勢変換部及び前記加熱圧締部の下方空間を平面視において前記押圧方向と直交する水平方向に移動可能である請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
【請求項５】
前記搬入側収容台車には、前記搬入側起立収容棚により複数の被処理板材が対応する熱板間に各々導入される際に、被処理板材毎に個別の導入通路を形成するための搬入側仕切部材が設けられ、
該搬入側仕切部材は、平面視において前記熱板の下方に位置し、前記押圧方向と直交する水平方向にスライド移動可能に配置される請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
【請求項６】
被処理板材の長辺側が搬送方向であり、
前記搬入側起立収容棚は、複数の被処理板材の短辺側を下側から受け止め、縦長状の起立状態のまま鉛直方向に沿って一斉に昇降可能である請求項１ないし請求項３のいずれか１項に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造。
【請求項７】
起立状態に保持された複数の矩形状の被処理板材を加熱圧締部に配置された複数の熱板の間にそれぞれ搬入して、各被処理板材の厚さ方向を押圧方向として前記複数の熱板により一斉に加熱加圧し、それによって得られた複数の矩形状の処理済板材を起立状態にて前記加熱圧締部から搬出する横型多段ホットプレス装置の板材搬出構造であって、
倒伏状態の処理済板材をその長辺側又は短辺側が平面視において前記押圧方向と平行な搬送方向となるように搬送する搬出側倒伏搬送部と、
前記搬出側倒伏搬送部の搬送方向上流側端部に配置され、長辺側又は短辺側が上下方向を向く縦長状又は横長状の起立状態で導入された処理済板材をその長辺側又は短辺側が搬送方向を向く倒伏状態に姿勢変更して導出する搬出側姿勢変換部と、
前記加熱圧締部から起立状態で導出された処理済板材の短辺側又は長辺側を厚さ方向に所定の間隔をあけて受け止め保持可能な搬出側起立収容棚と、該搬出側起立収容棚を昇降案内可能に搭載するとともに、前記搬出側姿勢変換部及び前記加熱圧締部のいずれよりも下位に位置してそれらの下方空間を移動可能な搬出側収容台車とを有するアンローダ部と、を備え、
前記加熱圧締部の対応する熱板間から起立状態で各々導出される複数の処理済板材は、前記搬出側起立収容棚により受け止め保持されて起立状態のまま下降し、さらに前記搬出側収容台車が前記搬出側姿勢変換部の下方に移動した後、前記搬出側姿勢変換部により前記アンローダ部での起立状態から順次倒伏状態に姿勢変更され、前記搬出側倒伏搬送部により倒伏状態で搬出されることを特徴とする横型多段ホットプレス装置の板材搬出構造。
【請求項８】
前記複数の熱板は処理済板材の厚さに応じて定められる熱板ピッチで前記押圧方向に並列して配置され、
前記搬出側姿勢変換部及び前記アンローダ部のうち少なくとも一方が前記熱板ピッチを基準単位として前記押圧方向に沿って間欠移動する請求項７に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬出構造。
【請求項９】
静止状態の前記アンローダ部に対して前記搬出側姿勢変換部が前記押圧方向に沿って間欠移動するとともに、それと同期して前記搬出側倒伏搬送部の搬送長さが搬送方向に沿って伸縮調整される請求項８に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬出構造。
【請求項１０】
前記搬出側収容台車は、前記搬出側姿勢変換部及び前記加熱圧締部の下方空間を平面視において前記押圧方向と直交する水平方向に移動可能である請求項７ないし請求項９のいずれか１項に記載の横型多段ホットプレス装置の板材搬出構造。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、被処理板材を加熱加圧する横型多段ホットプレス装置の板材搬入構造及び板材搬出構造に関し、またそれらを用いた横型多段ホットプレス装置に関する。
続きを表示（約 2,300 文字）【背景技術】
【０００２】
合板、化粧板、繊維板、パーティクルボード、ベニヤ単板等の木質系で矩形状の板材（被処理板材）を加熱加圧して所定の板厚に成形する多段プレス装置（ホットプレス）において、起立状態に保持された複数の板材の各々を、鉛直方向に垂下して対向配置された複数の熱板の間に搬入して加熱加圧する横型方式が知られている。この横型方式（横型ホットプレス）は、水平方向に保持された板材と熱板とを上下方向に交互に積み重ねて加熱加圧する縦型方式（縦型ホットプレス）に比して、板材や熱板自身の重量の影響による成形ムラ（板厚の不揃い）が発生しにくい利点を有する。
【０００３】
そして、このような横型ホットプレスにおいて例えば特許文献１～３には、多数の被処理板材を水平状態（倒伏状態）から所定間隔で並ぶ垂直状態（起立状態）に連続的に姿勢変更させる供給手段が提案されている。これらの供給手段は、多数の被処理板材を倒伏状態から起立状態へ次々と姿勢変更できるので、起立状態に整列された被処理板材をホットプレス部（すなわち加熱圧締部）の熱板間へ一斉に搬入することが可能となる。
【０００４】
また、特許文献１～３には、多数の処理済板材を所定間隔で並ぶ垂直状態（起立状態）から水平状態（倒伏状態）に連続的に姿勢変更させる排出手段が提案されている。これらの排出手段は、多数の加熱加圧後の板材（処理済板材）を起立状態から倒伏状態へ次々と姿勢変更できるので、ホットプレス部の熱板間から起立状態で一斉に取り出された処理済板材を倒伏状態へ整列し直して搬出することが可能となる。
【０００５】
ところで、特許文献１～３の例示からも見て取れるように、横型ホットプレスにおいては、加熱加圧直前の各被処理板材を供給手段からホットプレス部へ停滞、詰り等の異常を発生させることなく円滑に搬入する（取り込む）こと、及び加熱加圧直後の各処理済板材をホットプレス部から排出手段へ停滞、詰り等の異常を発生させることなく円滑に搬出する（取り出す）ことは、ホットプレス部で各板材に変形、損傷等の欠陥を発生させることなく加熱加圧することと並んで、あるいはそのこと以上に重要なテーマである。
【０００６】
このうち特許文献１、２においては、ホットプレス部の上流側に位置する搬入側搬送部において、繊維方向が前後方向となる横長状の起立状態に姿勢変更された各被処理板材の長辺側端面が搬入体（搬入コンベヤ）の水平な搬送面で受け止められ、次に加熱加圧直前の各被処理板材を熱板間に搬入し加熱加圧直後の各処理済板材を熱板間から搬出するために、起立状態の各板材はホットプレス部の下部に配置された搬送体（搬送コンベヤ）の水平な搬送面に受け継がれ、さらに下流側に位置する搬出側搬送部において、起立状態の各処理済板材は搬出体（搬出コンベヤ）の水平な搬送面に受け継がれた後倒伏状態へ姿勢変更される。
【０００７】
そして、特許文献１、２では、搬入体、搬送体及び搬出体の三者間で被処理板材及び処理済板材を円滑に受け渡すために、中間的な搬送手段（例えば補助搬入体、補助搬出体）や調整手段（例えば搬入体回動機構、搬出体回動機構）を付加し、上記三者の各搬送面に対して位置関係の調整（高さ位置合わせ）を行って、受け継ぐ際に各板材の停滞、詰り等の異常発生の防止を図っている。よって、特許文献１、２のように、ホットプレス部の下部に配置された搬送体に対する中間搬送手段、調整手段等の増設は、各板材の円滑な搬送受け渡しを可能とするが、その反面搬入・搬出構造の複雑化（ひいては設備費の高騰）や各搬送面の位置調整の煩雑化を招く要因ともなる。
【０００８】
一方、特許文献３においては、ホットプレス部の上流側に位置する搬入側搬送部において、繊維方向が上下方向となる横長状の起立状態に姿勢変更された各被処理板材の上部が搬入用把持部材で把持され、ホットプレス部の周囲を迂回した後上方から熱板間に移送（搬入）され、さらに下流側に位置する搬出側搬送部において、上部を搬出用把持部材で把持された各処理済板材が起立状態で熱板間から上方へ取り出され、ホットプレス部の周囲を迂回した後倒伏状態へ姿勢変更されて移送（搬出）される。
【０００９】
このように、特許文献３では、ホットプレス部の下部に搬送体を設けず、中間搬送手段や調整手段も不要となり、搬入・搬出構造の簡素化（設備費の抑制）や各搬送面の位置調整の簡略化が図られている。しかし、各板材は、把持部材による宙吊り状態となってホットプレス部の周囲を迂回して移送（搬入、搬出）されるので、移送開始時・移送停止時等の速度変化発生時（加減速時）に発生する慣性力や風圧を受けてバタつきを生じ、姿勢が不安定になって停滞、詰り等の異常が発生するおそれがある（特に単板のような薄く軽量な板材を高速で移送するときに顕著に現れる）。よって、特許文献３のように、把持部材で各板材の上部を把持して移送することは、搬入・搬出構造の簡素化や各搬送面の位置調整の簡略化に寄与するが、その反面ホットプレス部に対する搬入・搬出スピードの高速化が困難となり、サイクルタイムの短縮を図る上で障害となるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【００１０】
特許第４７７６４４０号公報
特許第４７７６４４１号公報
特許第５５９０９２８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
（【００１１】以降は省略されています）

関連特許