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公開番号2025071487
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-08
出願番号2023181691
出願日2023-10-23
発明の名称ポリイミドフィルムを用いた積層体、その製造方法及びその用途
出願人国立大学法人 岡山大学
代理人弁理士法人あーく事務所
主分類B32B 27/34 20060101AFI20250428BHJP(積層体)
要約【課題】100℃以下の生活温度帯域及び低温帯域における熱入力に対しても大きな機械的変形量を有する積層体、その製造方法及びその用途を提供する。
【解決手段】第1のポリイミドフィルムと、第1のポリイミドフィルムに面接合した第2のポリイミドフィルムとを備えた積層体において、第1のポリイミドフィルムは、第2のポリイミドフィルムよりも熱膨張係数が大きい構成とする。そのうえで、両ポリイミドフィルムが有する面のうち、両ポリイミドフィルムの接合面と反対の面の少なくとも一方に、所定パターンの凹凸形状を有するテクスチャが形成された構成とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲【請求項1】
第1のポリイミドフィルムと、当該第1のポリイミドフィルムに面接合した第2のポリイミドフィルムとを備え、
前記第1のポリイミドフィルムは、前記第2のポリイミドフィルムよりも熱膨張係数が大きく、
前記両ポリイミドフィルムが有する面のうち、前記両ポリイミドフィルムの接合面と反対の面の少なくとも一方に、所定パターンの凹凸形状を有するテクスチャが形成されていることを特徴とする積層体。
続きを表示(約 950 文字)【請求項2】
請求項1に記載の積層体であって、
前記第1のポリイミドフィルムに前記テクスチャが形成されていることを特徴とする積層体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の積層体であって、
前記第1のポリイミドフィルムは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有するポリイミドフィルム、又は下記式(2)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含有するポリイミドフィルムであり、
前記第2のポリイミドフィルムは、熱硬化性ポリイミドフィルムであることを特徴とする積層体。
TIFF
2025071487000004.tif
61
170
・・・(1)
TIFF
2025071487000005.tif
62
170
・・・(2)
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の積層体を含むアクチュエータであって、
前記第1及び第2のポリイミドフィルムが有する面のうち、前記両ポリイミドフィルムの接合面と反対の面の少なくとも一方の面上に、導電性部材が配置されていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の積層体が、温度変化によって湾曲、伸展又は振動の駆動をすることで発電することを特徴とする発電機。
【請求項6】
請求項4に記載のアクチュエータを含むことを特徴とするカメラモジュール駆動装置。
【請求項7】
請求項2に記載の積層体の製造方法であって、
所定パターンの凹凸形状を表面に有し且つ加熱された金型と、前記金型と対向する部材であって表面に弾力性を有する対向部材との間に、前記第1及び第2のポリイミドフィルムを前記対向部材側からこの順で配置した状態から、前記金型及び前記対向部材で前記両ポリイミドフィルムを挟み押圧することで、
前記両ポリイミドフィルムを面接合するとともに、前記第1のポリイミドフィルムが有する面のうち前記対向部材と接触する面に、所定パターンの凹凸形状を有するテクスチャを形成することを特徴とする積層体の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリイミドフィルムを用いた積層体、その製造方法及びその用途に関し、その用途としては主にアクチュエータに関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、電気エネルギを介さずに、熱エネルギを機械的運動エネルギに変換する要素技術として、熱機関、形状記憶合金、バイメタル等の機械要素が知られている。
【0003】
熱機関は、熱エネルギを動力に変換する代表的な手法であり、(1)燃料を燃焼させた際に発生する高温高圧の燃焼ガスから運動を取り出す内燃機関と、(2)燃焼熱を利用して高温高圧の蒸気を作り、その蒸気でタービンを回転させる蒸気タービン等の外燃機関とがある。高温熱源が持つ熱エネルギを低温熱源に放熱することで運動を取り出すため、常に高温熱源における燃料の消費と、低温熱源における冷却とが必要であるが、熱サイクルが続く限り連続的に大きな運動を取り出すことが可能であるため、最も多く使用されている機械要素である。
【0004】
しかしながら、内燃機関では、燃料の燃焼に伴う高温のガスによって作動流体を加熱・膨張させて仕事を取り出すため、高温熱源を必要とする問題がある。また、断熱変化を利用することや、高温高圧に耐えられる構造にする必要性から、装置が大型化・大質量化するという問題がある。タービンの場合でもこれは同様であり、燃焼ガス、高温蒸気等の作動流体が持つ運動エネルギを回転運動に変換するため、装置の使用温度帯は高温であり、装置が大型化・大質量化するという問題がある。
【0005】
形状記憶合金は、特定の温度に達すると元々記憶していた形状に回復することが可能な合金であり、形状記憶合金単体では形状の復元しか行えないが、バイアス力を加えるバネ機構等と組み合わせることで、加熱時は記憶していた形状へと変形し、冷却時はバイアス力が加わった状態へと変形する等の手法により温度変化に応答する駆動源として利用できる。熱エネルギを直接機械的運動エネルギに変換できるため、複雑な熱変換機構及び減速機構を省略できる。また、通電加熱も容易であり、材料変形を利用するため静音でオイルレス構造を採用できるというメリットがある。
【0006】
しかしながら、形状記憶合金の製造には、レアメタルをはじめとした複数の材料、複雑な材料組成及び複雑な製造プロセスが必要であるという問題がある。また、形状記憶合金単体では、温度変化によって元の形状に戻るという単一動作しか行えず、繰り返して運動を取り出すためには、バネ機構等と組み合わせる必要があるという問題がある。加えて、100℃以下の温度帯では単位長さ辺りの変形量が小さく、変位拡大構造を採用することで数ミリメートルの変形量を得られるに留まる。形状記憶合金は、形状記憶温度以上に加熱されると形状記憶効果を失ってしまうため、制御回路に保護回路等を必要とする等、使用時の取り扱いに注意が必要であるという問題もある。
【0007】
バイメタルは、熱膨張係数が異なる2枚の金属板を貼り合わせて1枚の板状に成形した金属板である。温度が上昇すると、熱膨張係数が大きい金属は熱膨張係数が小さい金属と比較して面内方向(金属板の面と水平方向)に大きく伸びるため、金属板が厚さ方向に曲がる(反る)動作を行う。そのため、バイメタルは平板状、渦巻(スパイラル)状、螺旋(ヘリックス、弦巻)状等の形状にすることで、曲げ変形から単一方向への運動に変換可能である。金属の熱膨張を利用することから、低温から高温まで幅広い温度領域で使用可能である。バイメタルの変位を利用した機械要素は、温調器のスイッチ(サーモスタット)、温度計、サーマルリレー等に使用されている。
【0008】
しかしながら、バイメタルは、温度変化に対して単位長さ辺りの変形量が小さいという問題や、一枚のバイメタルの金属板から生み出せる運動は、金属板の長辺側が湾曲する曲げ運動、又はそれを変換した単一方向の運動に限定されるという問題がある。また、バイメタルの駆動温度及び変形量は、組み合わせる材料及び形状のみで制御されるため、利用環境、機械的変形量等の仕様に合わせて、都度材料から変更する必要があるという問題がある。加えて、バイメタルに使用する合金の製造のためには、レアメタルが必要であるという問題もある。
【0009】
多層膜を備えたアクチュエータに関して、特許文献1には、電気信号によって力や変位を発生するアクチュエータが開示されている。具体的には、伸縮層及び下地層が接合された多層膜と、伸縮層に電圧を印加する入力電極とを備えたアクチュエータにおいて、伸縮層は導電性粒子及びバインダー材料を成分として含み、下地層は線熱膨張係数が伸縮層よりも小さい材料で構成されており、多層膜内に生じる応力分布が、多層膜の膜厚分布によって生じるものであるとともに、多層膜の膜厚分布の形状が縞状であることで、縞の方向と平行な軸を中心軸とする円筒形状に屈曲(湾曲)することが開示されている。
【0010】
ところで、ポリイミドは、酸二無水物とジアミンとの重縮合によって得られる有機高分子である。ポリイミドのなかでも古くから知られるものとして、DuPont社によって開発された芳香族ポリイミド「KAPTON(登録商標)」が挙げられる。このKAPTONを含む芳香族ポリイミドは耐熱性及び絶縁性が高く、特に宇宙環境、高温環境、極低温環境、酸性・アルカリ性溶液中といった、人が近づくのが困難な極限環境で利用する物品の材料として、魅力的な性質を有している。
(【0011】以降は省略されています)

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