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公開番号2025100137
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-07-03
出願番号2023217287
出願日2023-12-22
発明の名称植物生育調節剤、植物生育調節方法、植物生育調節用装置、植物生育調節用システム及び植物生育調節用キット
出願人国立大学法人 岡山大学
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類A01N 43/40 20060101AFI20250626BHJP(農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業)
要約【課題】植物の気孔の開閉を制御することにより植物生育を促進する新たな方法を提供する。
【解決手段】気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないアブシジン酸(abscisic acid、ABA)アゴニストを含む、植物生育調節剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないアブシジン酸(abscisic acid、ABA)アゴニストを含む、植物生育調節剤。
続きを表示(約 680 文字)【請求項2】
気孔開口促進因子と併用されるように用いられる、請求項1に記載の植物生育調節剤。
【請求項3】
前記ABAアゴニストが非ABAアナログ型である、請求項1又は2に記載の植物生育調節剤。
【請求項4】
前記ABAアゴニストが二量体型ABA受容体と結合する、請求項1又は2に記載の植物生育調節剤。
【請求項5】
前記ABAアゴニストがピラバクチンである、請求項1又は2に記載の植物生育調節剤。
【請求項6】
(A)気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを含む植物生育調節剤を植物に供給する工程
を含む、植物生育調節方法。
【請求項7】
(B)気孔開口促進因子を植物に供給する工程
をさらに含む、請求項6に記載の植物生育調節方法。
【請求項8】
気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを植物に供給する手段を備える、植物生育調節用装置。
【請求項9】
気孔開口促進因子を植物に供給する手段をさらに備える、請求項8に記載の植物生育調節用装置。
【請求項10】
(A)植物の気孔開口度を測定する測定部;
(B)気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを植物に供給する第1の供給部;及び
(C)気孔開口促進因子を植物に供給する第2の供給部
を含む植物生育調節用システム。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、植物生育調節剤、植物生育調節方法、植物生育調節用装置、植物生育調節用システム及び植物生育調節用キットに関する。
続きを表示(約 5,200 文字)【背景技術】
【0002】
従来、植物生育調節剤としては、有害植物に対する選択的除草剤(特許文献1)、目的とする特定の植物種の生育を調節する剤(特許文献2)、及び病虫害抵抗力を高める作用を有する剤(特許文献3)等が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特表2005-525351号公報
WO2010/047185
特開平7-285816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、植物の気孔の開閉を制御することにより植物生育を促進する新たな方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ピラバクチンがABAと同様に気孔の閉鎖を誘導するものの、ABAとは異なり、気孔の開口を阻害しないことを初めて明らかにし、さらに、このピラバクチンの性質を利用することにより、植物の気孔の開閉を制御できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいてさらに検討を加えることにより完成したものであり、以下の態様を含む。
【0006】
項1.
気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないアブシジン酸(abscisic acid、ABA)アゴニストを含む、植物生育調節剤。
項2.
気孔開口促進因子と併用されるように用いられる、項1に記載の植物生育調節剤。
項3.
前記ABAアゴニストが非ABAアナログ型である、項1又は2に記載の植物生育調節剤。
項4.
前記ABAアゴニストが二量体型ABA受容体と結合する、項1又は2に記載の植物生育調節剤。
項5.
前記ABAアゴニストがピラバクチンである、項1又は2に記載の植物生育調節剤。
項6.
(A)気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを含む植物生育調節剤を植物に供給する工程
を含む、植物生育調節方法。
項7.
(B)気孔開口促進因子を植物に供給する工程
をさらに含む、項6に記載の植物生育調節方法。
項8.
気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを植物に供給する手段を備える、植物生育調節用装置。
項9.
気孔開口促進因子を植物に供給する手段をさらに備える、項8に記載の植物生育調節用装置。
項10.
(A)植物の気孔開口度を測定する測定部;
(B)気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを植物に供給する第1の供給部;及び
(C)気孔開口促進因子を植物に供給する第2の供給部
を含む植物生育調節用システム。
項11.
気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないABAアゴニストを含む第1の剤;及び
気孔開口促進因子を含む第2の剤
を含む、植物生育調節用キット。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、植物の気孔の開閉を制御することにより植物生育を促進する新たな方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
アブシシン酸(ABA)とABAアゴニストであるピラバクチンの気孔運動に対する部分的に異なる効果を示す図である。Aは、野生型、ABA受容体の、四重変異体(pyr1 pyl1 pyl2 pyl4)および六重変異体(pyr1 pyl1 pyl2 pyl4 pyl5 pyl8)におけるピラバクチンによって誘導される気孔閉鎖を示す。同じ文字は、Tukeyの正直有意差検定により5%レベルで有意ではないことを示す。Bは野生型および六重変異体におけるABAによって誘導される気孔閉鎖を示す。アスタリスクは、スチューデントのt検定による5%の有意水準での野生型と六重変異体の間の有意差を示す。Cは、野生型、四重変異体および六重変異体における気孔開口に対するピラバクチンの効果を示す。上部の表は、溶媒対照(0.1%DMSO、0 μMピラバクチン)の開口幅に対して正規化された%として示された開口幅を示す。気孔開口幅の平均値を暗所での結果とともに棒グラフで示す。Dは、野生型および六重変異体の気孔開口に対するABAの効果を示す。上部の表では、開口幅が%で示されており、溶媒コントロール(0.1%エタノール、0 μM ABA)の開口幅に対して正規化されている。気孔開口幅の平均値を暗所での結果とともに棒グラフで示した。CおよびDにおいて、アスタリスクは、ダネット検定による5%有意水準(
*
)または1%有意水準(
**
)での各対照との有意差を示す。n.s.は有意ではないことを示す。5回の独立した実験からの平均を示す(実験ごとに20個の気孔が測定された)。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。
孔辺細胞プロトプラストにおけるI
Kin
に対するピラバクチンの効果を示す図である。Aは野生型を示す。Bは四重変異体(pyr1 pyl1 pyl2 pyl4)を示す。Cは六重変異体(pyr1 pyl1 pyl2 pyl4 pyl5 pyl8)を示す。上のパネルは、50 μMピラバクチンの非存在下(上)および存在下(下)でのI
Kin
の典型的な生の痕跡を示す。下のパネルは、定常状態電流(3~3.5秒)での電流-電圧曲線を示す。エラーバーは平均値の標準誤差を示す。IとVmはそれぞれ全セル電流と膜電圧を示す。
ピラバクチンおよびABAによる、青色光による細胞膜H
+
-ATPaseのリン酸化の阻害を示す図である。Aは抗pThr抗血清で標識された気孔の典型的な蛍光画像を示す。スケールバー:20 μm。矢印は気孔の位置を示す。Bは孔辺細胞における蛍光強度の半定量を示す。材料と方法に記載されているように、背景の赤色光で20分間照射された表皮断片を、赤色光と青色光で2.5分間連続的に照射した。示されている場合、ピラバクチンまたはABAは、背景の赤色光の照射前に添加された。n=3回の独立した実験。各実験で120個の孔辺細胞が測定された。4つの条件すべてにおいて、スチューデントのt検定による有意水準5%では、野生型と六重変異体の間に有意差は見つからなかった。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。
四重変異および六重変異を含む孔辺細胞におけるピラバクチンによるH
2
O
2
およびNO蓄積レベルとサイトゾルpHのアップレギュレーションおよびダウンレギュレーションを示す図である。AおよびCは、ABAまたはピラバクチンの存在下でのH
2
DCF染色(H
2
O
2
)、DAF染色(NO)、およびBCECF染色(pH)した孔辺細胞の代表的な蛍光画像を示す。スケールバー=10 μmである。BおよびDは、対照条件(点線の水平線)と比較した蛍光強度の差を、平均±標準誤差(生物学的複製3つ、複製あたり50孔辺細胞)として示す。WTは野生型を示す。Quadはpyr1 pyl1 pyl2 pyl4四重変異体を示す。Sextはpyr1 pyl1 pyl2 pyl4 pyl5 pyl8六重変異体を示す。アスタリスクは、各対照からのスチューデントのt検定による5%有意水準(
*
)または1%有意水準(
**
)での有意差を示す。n.s.は有意ではないことを示す。
光誘発性気孔開口の阻害におけるROS生成の関与を示す図である。A、野生型およびrbohD rbohF二重変異体(atrbohD/F)における気孔開口のABA阻害。B、開口幅は、溶媒対照(0.1%エタノール、0 μM ABA)の開口幅に対して正規化された%として示す。C~Eは、それぞれジフェニレンヨードニウム(DPI)、チロン(tiron)、N-アセチルシステイン(NAC)の効果を示す。同じ文字は、Tukeyの正直有意差検定により5%レベルで有意ではないことを示す。パネルC~Hでは野生型植物を使用した。DPI(12.5 μM)、チロン(5 mM)およびNAC(1 mM)を暗所で10 μM ABAの添加と同時に添加した。5つの独立した実験(実験ごとに20個の気孔)からの平均を示す。FはABA誘導性H
2
O
2
生成に対するDPIの影響を、GはABA誘導性H
2
O
2
生成に対するチロンの影響を、HはABA誘導性H
2
O
2
生成に対するNACの影響を示す。代表的なグレースケールDCF蛍光画像を上部(F、G、およびH)に示す(スケールバー=10 μm)。垂直方向のスケールは、下のパネルのDCF蛍光強度の差のパーセンテージを表す。蛍光強度は、各実験の対照値を100%として正規化している。データは、平均値±平均値の標準誤差として示す(n=3回の独立した実験、実験ごとに50個の孔辺細胞)。二重アスタリスクは、各対照からのスチューデントのt検定による1%有意水準での有意差を示す。n.s.は有意ではないことを示す。
ABAによって誘発される気孔閉鎖におけるROS生成の関与を示す図である。Aは、野生型およびrbohD rbohF二重変異体(atrbohD/F)におけるABA誘導性気孔閉鎖を示す。アスタリスクは、スチューデントのt検定による5%有意水準(
*
)または1%有意水準(
**
)での野生型とatrbohD/F間の有意差を示す。B~Dは、ABA誘発気孔閉鎖に対するジフェニレンヨードニウム(DPI)、チロン、およびN-アセチルシステイン(NAC)の影響を示す。同じ文字は、Tukeyの正直有意差検定により5%レベルで有意ではないことを示す。パネルB~Dでは野生型植物を使用した。DPI(12.5 μM)、チロン(5 mM)およびNAC(1 mM)を10 μM ABAの添加と同時に添加した。5つの独立した実験(実験ごとに20個の気孔)からの平均を示す。エラーバーは平均値の標準誤差を表す。
rbohD rbohF二重変異体(atrbohD/F)孔辺細胞における気孔の動きとH
2
O
2
蓄積レベルに対するピラバクチンの影響を示す図である。Aは閉鎖誘導アッセイを示す。Bは開口阻害アッセイを示す。5つの独立した実験(実験ごとに20個の気孔)からの平均を示す。Cは、細胞質H
2
O
2
レベルに対するABA(10 μM)およびピラバクチン(10 μM)の効果を示す。パネルCの縦軸は、孔辺細胞におけるDCF蛍光強度の差のパーセンテージを表す。データは、平均値±平均値の標準誤差として示す(n=3回の独立した実験、実験ごとに50個の孔辺細胞)。二重アスタリスクは、スチューデントのt検定による対照との1%の有意差を示す。n.s.は有意ではないことを示す。
気孔調節におけるROSの異なる作用を示すモデルの提案を示す図である。ピラバクチンを認識しないABA受容体は、サイトゾルおよびアポプラストにおけるROS産生を誘導し、気孔閉鎖を誘導し、気孔開口を阻害する。ピラバクチンを認識するABA受容体は、サイトゾルでのROS産生のみを誘導し、気孔の閉鎖を誘導する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中で使用される用語は、当該技術分野において通常使用される意味を有する。これらの用語およびその定義や意味は、本願の出願時において入手または閲覧可能な様々な学術文献、教育用テキスト、技術文書、ウェブページ等の様々な公開情報を参照することで容易に理解される。なお、本願明細書の記載と、公開情報の記載との間に一致しない点がある場合には、本明細書の記載を優先的に適用するものとする。
【0010】
1.
本発明の植物生育調節剤
本発明の植物生育調節剤は、気孔の閉鎖を誘導し、かつ気孔の開口を阻害しないアブシジン酸(abscisic acid、ABA)アゴニストを含む。
(【0011】以降は省略されています)

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