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公開番号
2025016305
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-31
出願番号
2023119503
出願日
2023-07-21
発明の名称
がん治療のための剤、及びそれを含む医薬組成物
出願人
国立大学法人 岡山大学
,
株式会社J-BEAM
代理人
弁理士法人須磨特許事務所
主分類
A61K
31/403 20060101AFI20250124BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】がん治療のための剤、特にホウ素中性子捕捉療法と光線力学療法を併用してがんを治療し得る剤を提供することを一つの課題とする。
【解決手段】がんを治療するための剤であって、がん集積性の担体と、前記担体に共有結合及び/又は非共有結合したホウ素含有化合物及び/又は光増感剤を含み、前記剤を投与した対象に放射線を照射してがんを治療するために用いられる剤を提供することにより上記課題を解決する。
【選択図】図21
特許請求の範囲
【請求項1】
がんを治療するための剤であって、
がん集積性の担体と、前記担体に共有結合及び/又は非共有結合した光増感剤を含み、
前記剤を投与した対象に放射線を照射してがんを治療するための剤。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記光増感剤が、波長600nm乃至900nmの範囲内に吸収極大波長を有する光増感剤である、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
前記光増感剤が下記式(II):
TIFF
2025016305000016.tif
32
113
(上記式(II)において、R
1
及びR
4
は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基であり;R
2
及びR
3
は、H又は互いに連結して環状構造を形成する基であり;Xは、H又はハロゲンであり;環B及び環Dは、それぞれ独立して、含窒素縮合芳香族複素環であり;A
-
は陰イオンであり、mは0または1である。)で表される光増感剤である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
前記光増感剤が、下記式(III):
TIFF
2025016305000017.tif
34
128
(上記式(III)において、R
1
及びR
4
は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基であり;R
2
及びR
3
は、H又は互いに連結して環状構造を形成する基であり;R
5
及びR
6
は、H又は互いに連結してアリール基を形成する基であり;R
7
及びR
8
は、H又は互いに連結してアリール基を形成する基であり;Xは、H又はハロゲンであり;A
-
は陰イオンであり、mは0または1である。)で表される光増感剤である、請求項3に記載の剤。
【請求項5】
がん集積性の前記担体が、動的光散乱法で測定される平均粒径が直径20nm以上150nm以下の微粒子である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の剤。
【請求項6】
前記微粒子が、親水性ブロックと疎水性ブロックを有する両親媒性高分子を含む微粒子であり、前記疎水性ブロックがポリ乳酸を含む、請求項5に記載の剤。
【請求項7】
前記親水性ブロックがポリサルコシンを含む、請求項6に記載の剤。
【請求項8】
さらにホウ素含有化合物を含み、
前記放射線が少なくとも中性子を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の剤。
【請求項9】
前記ホウ素含有化合物が下記式(I):
TIFF
2025016305000018.tif
62
103
(上記式(I)において、●はCであり;〇は、それぞれ独立して、BH又はB-ハロゲンであり;Rは、それぞれ独立して、H又は置換されていてもよい飽和又は不飽和のアルキル基を有する置換基である。)で表されることを特徴とする請求項8に記載の剤。
【請求項10】
上記式(I)において、前記置換基が有する前記アルキル基の炭素原子数が3以上11以下である請求項9に記載の剤。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、がん治療のための剤、特に、ホウ素中性子捕捉療法と光線力学療法の併用によりがんを治療するための剤に関する。なお、本願明細書を通じて、「がん」とは、特に断りがない限り、「がん疾患」を指すが、「がん細胞」又は「がん組織」を指す場合もある。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、放射線や近赤外光などの外部エネルギーと、その外部エネルギーを受けて活性化する薬剤とを組み合わせ、がんを治療するホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)や光線力学療法(Photodynamic Therapy:PDT)などの、がんの治療方法が注目を集めている。
【0003】
ホウ素中性子捕捉療法とは、ホウ素10(
10
B)を含有するホウ素薬剤をがん細胞へ送り込んだ後に、中性子を照射することで、腫瘍組織において
4
He原子核(α線)と
7
Li核を放出させ、がん細胞を死滅させる治療方法である。ホウ素の同位体であるホウ素10(
10
B)は、原子炉や加速器から取り出される放射線に含まれる中性子を吸収し、核分裂反応(
10
B(n,α)
7
Li反応)により、
4
He原子核(α線)と
7
Li原子核を放出する性質を有している。中性子はホウ素以外にも様々な原子核によって捕獲されるが、生体を構成する諸原子による中性子の捕獲の確率は高くない。これに対し、捕獲断面積で表される
10
B原子核による中性子の捕獲の確率は、生体を構成する諸元素と比べると遥かに大きく、その中で最大の捕獲断面積を有する窒素(
14
N)と比べても約2,000倍と桁違いに大きい。中性子を吸収した
10
B原子核から放出される
4
He原子核(α線)の飛程は約9μm程度、
7
Li原子核の飛程は約4μm程度であり、一般的な細胞の直径より短い。したがって、
10
B原子を含有する化合物を標的細胞であるがん細胞に導入し、中性子線を照射すれば、がん組織において周辺に存在する免疫細胞などの正常細胞を温存しながら、がん細胞のみを選択的に死滅させることができる。BNCTを利用したがん治療としては、2020年6月から「切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌」について保険診療が開始されている。
【0004】
BNCTにおいては、主として、中性子線のエネルギーと標的細胞中に導入される
10
B原子の量によって治療効果が決定することから、標的細胞内に多くの
10
B原子を導入することができるホウ素薬剤の開発が極めて重要である。また、標的細胞における
10
B原子の量を周辺組織と比較して高めることができれば、放射線傷害の原因となる中性子線のエネルギーを抑えるとともに、周辺組織におけるα線及び
7
Li原子核の発生量を抑えることができるため、副作用少なく、がん細胞を死滅させることができると期待される。
【0005】
BNCT用のホウ素薬剤は種々開発されているが、臨床研究まで進んでいるものは数が少なく、例えば、L-BPA(4-borono-L-phenylalanine(
10
B))、その
18
F標識体である[
18
F]F-BPA(
18
F-fluoro-borono-L-phenylalanine)、ホウ酸、BSH(sodium mercaptododecaborate(
10
B))などに限られる。日本国で薬事承認されているホウ素薬剤は、2023年7月現在において、L-BPA(ステラファーマ株式会社製、非特許文献1)のみである。
【0006】
しかしながら、L-BPAの腫瘍への集積性は高くなく、現状では、治療対象となる腫瘍において十分なホウ素濃度を得るために、L-BPAは500 mg/kgもの高濃度で投与されている。また、L-BPAは、アミノ酸であるフェニルアラニン1分子に1原子の
10
Bが修飾された化合物であり、がん細胞に高発現しているアミノ酸トランスポータの1つであるLAT-1(L-type amino acid transporter 1)を介して標的細胞に取り込まれると考えられている(非特許文献2)が、必ずしも全てのがん細胞においてLAT-1が高発現しているわけではなく、L-BPAに基づくBNCTの適用が困難ながん種も存在する。よって、種々のがん組織に高濃度の
10
B原子を集積させることができる、新たなホウ素薬剤の開発が強く求められている。
【0007】
カルボランなどのホウ素クラスターは、一分子中に多くのホウ素原子を含むことから、標的細胞に対する
10
B原子の導入量を飛躍的に高め得るホウ素薬剤として注目を集めている。しかし、ホウ素クラスターは、細胞内へ取り込まれ難く、また、がん組織へ選択的に集積し難いことから、ホウ素クラスターの細胞への取り込み量の向上、がん組織への集積性を向上させるためのデリバリーシステムが種々開発されている。中でも、ナノ粒子型のデリバリーシステムは、主として、EPR効果(Enhanced Permeability and Retention Effect)(J. Fang et al., Advanced Drug Delivery Reviews 63 (2011) 136-151)やターゲティング分子を利用したアクティブターゲティングによりがん組織に集積及び蓄積し、がん組織におけるホウ素薬剤濃度を効率的に高め得る送達手段として期待されている。ナノ粒子型のホウ素クラスターのデリバリーシステムとしては、ホウ素クラスターを担持するリポソーム(特許文献1、特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)、高分子ミセル(特許文献3、非特許文献5)などが提案されているが、本発明者らの知る限りにおいて、未だナノ粒子型のホウ素クラスターデリバリーシステムによるBNCT治療が実現されるには至っていない。
【0008】
一方、光線力学療法とは、特定の波長を有する光が照射されると活性酸素を産生する性質を有する光増感剤を、標的であるがんに送達して、上記波長を有する光を照射することにより、がん特異的に活性酸素を発生させ、がんの治療効果を得る方法である。活性酸素の中でも、特に細胞傷害性が高いとされる一重項酸素は、寿命が短く、生体内における拡散距離は10~50nm程度と言われている。したがって、光増感剤を標的細胞であるがん細胞に導入し、当該光増感剤を励起すれば、がん細胞のみを選択的に死滅させることができるものと期待される。光線力学療法は実用化されており、光線力学療法用の光増感剤としては、例えば、タラポルフィンナトリウム(商品名:レザフィリン(登録商標)、Meiji Seika ファルマ株式会社)が市販されている。
【0009】
ホウ素中性子捕捉療法はホウ素10(
10
B)の核分裂反応に起因する
4
He原子核(α線)と
7
Li原子核によりがん組織を破壊するのに対し、光線力学療法は活性酸素によりがん組織を破壊することから、両者を組み合わせることができれば、互いに相補的、相乗的ながんの治療効果が奏されることが期待される。ホウ素中性子捕捉療法と光線力学療法との併用療法についての試みは、例えば、特許文献4、非特許文献6、非特許文献7などにも記載されている。しかしながら、本発明者らが知る限りにおいて、ホウ素中性子捕捉療法と光線力学療法を併用しようとするこれらの試みは、いずれも中性子を照射してBNCTによる治療効果を、近赤外光を照射してPDTによる治療効果を得ようとするものであり、2種類の外部エネルギーの照射を必要とする。PDTによる治療効果を得るために照射される近赤外光は、比較的組織透過性が高いことが知られているが、それでも、その浸透性は2cm程度である。深部のがんを標的とする場合には、標的となるがん付近に励起光である近赤外光を届けることができず、BNCTによる治療効果とPDTによる治療効果の双方を得ることは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
特開2008-074817号公報
国際公開第WO2014/030715号
特開2015-044920号公報
特開2013-227233号公報
【非特許文献】
(【0011】以降は省略されています)
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