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公開番号
2024143491
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023056207
出願日
2023-03-30
発明の名称
血管硬化度算出方法
出願人
個人
代理人
主分類
A61B
5/02 20060101AFI20241003BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】動脈局所のスティフネスパラメータβを求める方法は、動脈硬化を非観血的に定量診断する最良の手法であるが、収縮期・拡張期の血管径の変化を精度良く測定するために、高精度・高価格な装置と高度な画像解析技術が必要であるため普及に至っていない。これを解決する手法として、CAVIが導入されたが、CAVIは、局所ではなく血管系全体の評価になってしまう。また、モデルと比較する方法も提案されているが、厳密さに欠けることはいなめない。
【解決手段】本発明では、(1)カフ圧を大きくかけなくても正確に脈波を取得できる、高感度で小型なセンサを使い、2点の微小カフ圧下での収縮期と拡張期の血管径変化量の比を皮膚表面から計測し、(2)同時に測定した、収縮期血圧と拡張期血圧と合わせ、多元連立方程式を数値解析的に解き、スティフネスパラメータβを直接求めることで、上記の課題を解決する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
2点の微小カフ圧下での収縮期と拡張期の血管径変化量の比の測定値と収縮期血圧と拡張期血圧とで、林の式
ln(P/Pstd)=β(D/Dstd−1)
を応用した、多元連立方程式を解き、スティフネスパラメータβを直接求める
ことを特徴とする血管硬化度算出方法。
続きを表示(約 520 文字)
【請求項2】
前記の、2点の微小カフ圧下での収縮期と拡張期の血管径変化量の比を、センサを使って体表面から変位波形として測定することを特徴とする請求項1記載の血管硬化度算出方法。
【請求項3】
前記センサが速度検出型の振動センサであることを特徴とする請求項2記載の血管硬化度算出方法。
【請求項4】
前記多元連立方程式が、
ln((Ps-Po)/(Pd-Po)) = β(Ds/Dd-1)
ln((Ps-Pc)/(Pd-Pc)) = β(Dsc/Ddc-1)
ln((Pd-Pc)/(Pd-Po)) = β(Ddc/Dd-1)
ln((Ps-Pc)/(Ps-Po)) = β(Dsc/Ds-1)
(Ds-Dd) / (Dsc-Ddc) = e
但し、Psは収縮期血圧、Pdは拡張期血圧、カフ圧Poをかけた時の収縮期血管径をDs 、拡張期血管径をDd、カフ圧Pcをかけた時の収縮期血管径をDsc 、拡張期血管径をDdc、カフ圧をPcからPoに変化させた際の、血管径変化量の比の計測値をeとする。
であることを特徴とする請求項1記載の血管硬化度算出方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、血管の硬化度を算出する血管硬化度算出装置、および、演算処理装置内で実
行されその演算処理装置を血管硬化度算出装置として動作させる血管硬化度算出プログラ
ムに関する。
続きを表示(約 2,600 文字)
【背景技術】
【0002】
近年、益々の高齢化社会を迎え、動脈硬化性疾患の早期診断、早期治療への対策が急務
とされている。このためには、先ずは、動脈硬化がどの程度進んでいるかを正しく測定、
評価する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特許第6028898号
動脈硬化を非観血的に定量診断する手法の1つとして、動脈のスティフネスパラメータβを測定する検査法が注目されている。スティフネスパラメータβ は,収縮期および拡張期の、心拍動に伴う血管径の変化と測定時の血圧から算出される、局所の動脈壁の固有の硬化度(硬さ)を示す指標である。同一局所の血管でも、血圧の変動により血管壁の伸展性は変化するが、測定時血圧で補正することにより血圧の影響を受けにくい指標として提唱された。臨床においては、(1)エコートラッキングシステムを装備した超音波法による総頸動脈、大腿動脈の体表動脈、腹部大動脈の局所の血管径の変化、および(2)局所動脈内血圧の代替として上腕動脈の収縮期血圧および拡張期血圧の測定値を用いた定義式から算出される。しかし、本手法では、0.1 mm単位での血管径の測定精度を得るために、高解像度プローブ(7.5MHz以上)を搭載した超音波機器で測定することが必要であるため、普遍性・再現性などの問題が指摘され、普及に至っていない。
【0004】
特許第4606836号
そこで、この問題を解決するために、大動脈起始部から、下肢、足首までの動脈全体の弾性を表す指標であるCAVIが開発された。スティフネスパラメータβは、局所の動脈スティフネスを示すが、これを長さのある血管に応用したのがCAVIであり、局所の値を対象血管全体に対して加算平均した値と考えられる。それを可能にしたのは、血管径の変化はPWV(脈波伝搬速度、Pulse Wave Velocity)の2乗に関係するというBramwell-Hillの式を使うことで、動脈全体のスティフネスを求めている。しかし、本来,局所の血管径変化と血圧変化から求めるスティフネスパラメータβを長さのある血管に当てはめることに意味があるかという議論があり、CAVIも確立された評価方法に至っていない。
【0005】
特許第5751540号
また、局所の血管径の変化を推定するために、圧力を変化させながら血管を加圧し、加圧中の血管の圧力を測定し、血管圧力計算手段により、圧力段階毎に、血管の圧力の平均圧力と圧力振幅とを求め、その結果を、あらかじめ用意した、平均圧力に対する圧力振幅の変化に関する特性指標とスティフネスパラメータとの関係性に関するモデルと比較することで、スティフネスパラメータβを求めるという手法も提案されている。しかし、この手法は、モデルを使うために、測定した結果といいづらいという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の通り、動脈局所のスティフネスパラメータβを求める方法は、血管弾性を厳密に評価できるため、動脈硬化を非観血的に定量診断する最良の手法であるが、収縮期・拡張期の血管径の変化を精度良く測定するために、高精度・高価格の超音波診断装置と高度な画像解析技術が必要であるため普及に至っていない。また、これを解決する手法として、CAVIが導入されたが、CAVIは、局所の動脈の評価ではなく、弾性動脈だけでなく、筋性動脈を含む、血管系全体のスティフネスの評価になってしまう。また、平均圧力に対する圧力振幅の変化に関する特性指標とスティフネスパラメータとの関係性に関するモデルと比較する方法も提案されているが、モデルを使用するため、厳密さに欠けることはいなめない。
【0007】
本発明は、動脈局所の、収縮期・拡張期の血管径の変化を精度良く、しかも、簡便に測定評価し、モデル等を使わず、直接、スティフネスパラメータβを求める手法を確立することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(1)カフ圧を大きくかけなくても正確に脈波を取得できる変位センサ、速度センサ、加速度センサなどの、高感度で小型なセンサを使い、2点の微小カフ圧下での収縮期と拡張期の血管径変化量の比を皮膚表面から計測し、(2)同時に測定した、収縮期血圧と拡張期血圧と合わせて、林の式
ln(P/Pstd)=β(D/Dstd−1)
を使って、多元連立方程式を数値解析的に解き、スティフネスパラメータβを直接求めることで、上記の課題を解決する。
【0009】
なお、検出に、速度センサや加速度センサを使用する場合には、それぞれ、1階積分あるいは2階積分を行い、変位に変換して使用する。この時に、変位の絶対値を測定できる必要はなく、カフ圧を変化させた時の、変位量の変化率を測定できればよい。
【0010】
収縮期血圧をPs、拡張期血圧をPd、カフ圧Poをかけた時の収縮期血管径をDs 、拡張期血管径をDd、カフ圧Pcをかけた時の収縮期血管径をDsc 、拡張期血管径をDdcとすると、林の式から、以下の等式が成立する。ここで、下式の左辺は血圧とカフ圧であるため、外部から測定可能であるので、これらを定数a, b, c, dとおく。
ln((Ps-Po)/(Pd-Po)) = β(Ds/Dd-1) = a ・・・(i)
ln((Ps-Pc)/(Pd-Pc)) = β(Dsc/Ddc-1) = b ・・(ii)
ln((Pd-Pc)/(Pd-Po)) = β(Ddc/Dd-1) = c ・・(iii)
ln((Ps-Pc)/(Ps-Po)) = β(Dsc/Ds-1) = d ・・・(iv)
また、カフ圧をPcからPoに変化させた際の、変位に変換した波形のエンベロープの比の計測値をeとすると
(Ds-Dd) / (Dsc-Ddc) = e ・・・(v)
この5元連立方程式を数値解析的に解けば、βを求めることができる。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)
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