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公開番号2025060486
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-10
出願番号2024169179
出願日2024-09-27
発明の名称フィルムおよびその製造方法
出願人三菱ケミカル株式会社
代理人弁理士法人秀和特許事務所
主分類B29C 48/10 20190101AFI20250403BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】一方向への引き裂きやすさ、及び包装材として必要とされる強度を両立したフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】脂肪族-芳香族ポリエステルを含む樹脂組成物からなるフィルムであって、脂肪族-芳香族ポリエステルを20質量%以上含み、該脂肪族-芳香族ポリエステルがテレフタル酸に由来する構成単位を含み、前記フィルム表面の偏光ラマンスペクトルを測定することによって求められる異方性パラメーターAPの内、以下の評価方法により測定されるAPmaxおよびAPоrgで表される比APmax/APоrgが1.25以上である、フィルム。(評価方法)テレフタル酸単位由来のベンゼン環およびメチレン基の伸縮振動に対応するピーク面積をそれぞれI1612およびI2850とした場合において、前記任意の角度の方向うち、I1612/I2850で表される比が最大となる方向および該方向に直交する方向で測定される異方性パラメーターをそれぞれAPmaxおよびAPоrgとする。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
脂肪族-芳香族ポリエステルを含む樹脂組成物からなるフィルムであって、
脂肪族-芳香族ポリエステルを20質量%以上含み、
該脂肪族-芳香族ポリエステルがテレフタル酸に由来する構成単位を含み、
前記フィルム表面の偏光ラマンスペクトルを測定することによって求められる異方性パラメーターAPの内、以下の評価方法により測定されるAP
max
およびAP
оrg
で表される比AP
max
/AP
оrg
が1.25以上である、フィルム。
(評価方法)
顕微レーザーラマン分光装置にて、波長633nmのレーザー光に1/2λ板を挿入して偏光の方向(電場の振動方向)を任意の角度に設定した直線偏光レーザー光を、前記フィルムの表面に垂直に入射させ、発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する。テレフタル酸単位由来のベンゼン環のC=C伸縮振動に対応する1612cm
-1
付近にピークを持つラマンバンドの面積をI
1612
とし、高分子鎖中のメチレン基の伸縮振動に対応する2850cm
-1
付近にピークを持つラマンバンドの面積をI
2850
とした場合において、前記任意の角度の方向うち、I
1612
/I
2850
で表される比が最大となる方向で測定される異方性パラメーターをAP
max
とし、該方向に直交する方向で測定される異方性パラメーターをAP
оrg
とする。
続きを表示(約 900 文字)【請求項2】
ISO 6383-2に基づいて測定される、前記AP
max
が測定された方向の引裂強さを前記フィルムの厚さで割った値(TR

)が70N/mm以上であり、前記AP
оrg
が測定された方向の引裂強さを前記フィルムの厚さで割った値(TR

)がTR

の1/10以下である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記樹脂組成物が更に脂肪族ポリエステルを含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記脂肪族ポリエステルが、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主構成単位として含むポリエステルである、請求項3に記載のフィルム。
【請求項5】
前記脂肪族ポリエステルが、コハク酸単位、アジピン酸単位、及びセバシン酸単位からなる群から選択される一種類以上の脂肪族ジカルボン酸単位を構成単位として含む、請求項4に記載のフィルム。
【請求項6】
前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位及びコハク酸に由来する構成単位を含む、請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記樹脂組成物のISO 16620-2に従って測定されるバイオベース炭素含有率が20%以上である、請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルムからなる、易開封性包装材。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1項に記載のフィルムの製造方法であって、
脂肪族-芳香族ポリエステルを含む前記樹脂組成物をダイリップから押出してインフレーション成形を行い、フィルムを得る成形工程を含み、
前記成形工程において、前記ダイリップの間隙d(mm)、ブロー比B、及び成形後のフィルムの厚さt(mm)が、下記式(1)で表される関係式を満たす、
フィルムの製造方法。
d/(B

×t)≧3 (1)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムおよびその製造方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
包装材として、プラスチックフィルムが広く使用されている。現在、プラスチック製包装材のリサイクルに対する取り組みが進められているが、各家庭にて分別したり、場合により内容物を洗浄したりする必要があるため、手間がかかり、資源の有効利用の妨げになっていた。また、環境中に流出すれば長期間残留するため、環境保護の観点からも問題になっていた。
これらの解決策として、生分解性プラスチックの使用が進められている。生分解性の包装材であれば、分別や洗浄することなく、食品残渣とともにコンポスト設備に投入して堆肥化することができる。また、環境中に流出した場合も、残留する期間を短縮することができる。さらに、バイオマス由来の生分解性樹脂であれば、二酸化炭素の排出抑制の観点からも有益である。
【0003】
生分解性プラスチックフィルムを包装材として使用するには、成形性や耐衝撃性など様々な性能が要求されるが、これらを兼ね備えた樹脂として、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)等の脂肪族-芳香族ポリエステルが知られている。
また、家庭で使用される包装材の場合、内容物を保護するだけでなく、手で簡単にかつ直線的に引き裂くことができれば、より有用である。
特許文献1には、脂肪族ポリエステル樹脂及び/又は芳香族ポリエステル樹脂、無機充填剤、及び滑剤を特定の比率で混合し、かつ特定のブロー比でインフレーション成形することで、TD方向に引き裂きやすく、引き剥がしやすい特徴を有する生分解性養生フィルムを提供することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特表2007-002011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した通り、包装材フィルムとしてより有用であるには、適切な引き裂きやすさと強度を両立させることが要求される。
特許文献1に記載された養生フィルムは、必要とされる強度、剥離性及びTD方向への引き裂きやすさを兼ね備えたものではあるが、易開封性包装材料としては、一方向への直線的な引き裂きやすさが不十分であった。
【0006】
そこで本発明は、上記の問題に鑑み、一方向への引き裂きやすさ、及び包装材として必要とされる強度を両立したフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題に対して検討を行った結果、テレフタル酸に由来する構成単位を含む脂肪族-芳香族ポリエステルを特定量以上含み、かつフィルム表面の偏光ラマンスペクトルを測定することによって求められる異方性パラメーターAPの内、特定の方向の異方性パラメーターAPとそれに直交する方向の異方性パラメーターAPとの比を特定の範囲とすることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明の要旨は以下の各項に存する。
[1] 脂肪族-芳香族ポリエステルを含む樹脂組成物からなるフィルムであって、
脂肪族-芳香族ポリエステルを20質量%以上含み、
該脂肪族-芳香族ポリエステルがテレフタル酸に由来する構成単位を含み、
前記フィルム表面の偏光ラマンスペクトルを測定することによって求められる異方性パラメーターAPの内、以下の評価方法により測定されるAP
max
およびAP
оrg
で表される比AP
max
/AP
оrg
が1.25以上である、フィルム。
(評価方法)
顕微レーザーラマン分光装置にて、波長633nmのレーザー光に1/2λ板を挿入して偏光の方向(電場の振動方向)を任意の角度に設定した直線偏光レーザー光を、前記フィルムの表面に垂直に入射させ、発生したラマン散乱光のスペクトルを測定する。テレフタル酸単位由来のベンゼン環のC=C伸縮振動に対応する1612cm
-1
付近にピークを持つラマンバンドの面積をI
1612
とし、高分子鎖中のメチレン基の伸縮振動に対応する2850cm
-1
付近にピークを持つラマンバンドの面積をI
2850
とした場合において、前記任意の角度の方向うち、I
1612
/I
2850
で表される比が最大となる方向で測定される異方性パラメーターをAP
max
とし、該方向に直交する方向で測定される異方性パラメーターをAP
оrg
とする。
[2] ISO 6383-2に基づいて測定される、前記AP
max
が測定された方向の引裂強さを前記フィルムの厚さで割った値(TR

)が70N/mm以上であり、前記AP
оrg
が測定された方向の引裂強さを前記フィルムの厚さで割った値(TR

)がTR

の1/10以下である、[1]に記載のフィルム。
[3] 前記樹脂組成物が更に脂肪族ポリエステルを含む、[1]又は[2]に記載のフィルム。
[4] 前記脂肪族ポリエステルが、脂肪族ジオール単位及び脂肪族ジカルボン酸単位を主構成単位として含むポリエステルである、[3]に記載のフィルム。
[5] 前記脂肪族ポリエステルが、コハク酸単位、アジピン酸単位、及びセバシン酸単位からなる群から選択される一種類以上の脂肪族ジカルボン酸単位を構成単位として含む、[3]又は[4]に記載のフィルム。
[6] 前記脂肪族-芳香族ポリエステルが、1,4-ブタンジオールに由来する構成単位及びコハク酸に由来する構成単位を含む、[1]~[5]のいずれか1つに記載のフィルム。
[7] 前記樹脂組成物のISO 16620-2に従って測定されるバイオベース炭素含有率が20%以上である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のフィルム。
[8] [1]~[7]のいずれか1つに記載のフィルムからなる、易開封性包装材。
[9] [1]~[7]のいずれか1つに記載のフィルムの製造方法であって、
脂肪族-芳香族ポリエステルを含む前記樹脂組成物をダイリップから押出してインフレーション成形を行い、フィルムを得る成形工程を含み、
前記成形工程において、前記ダイリップの間隙d(mm)、ブロー比B、及び成形後のフィルムの厚さt(mm)が、下記式(1)で表される関係式を満たす、
フィルムの製造方法。
d/(B

×t)≧3 (1)
【発明の効果】
【0009】
本発明により、一方向への引き裂きやすさ、及び包装材として必要とされる強度を両立した生分解性フィルムおよびその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
尚、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
また、本明細書において「A又はB」の表現は、「A及びBからなる群から選択される少なくとも1つ」と読み替えることができる。
また、本明細書において、“質量%”及び“質量部”と、“重量%”及び“重量部”とは、それぞれ同義である。
また、本明細書では複数の実施形態を説明するが、適用できる範囲で各実施形態における種々の条件を互いに適用し得る。
(【0011】以降は省略されています)

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