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公開番号
2025011387
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-01-24
出願番号
2023113472
出願日
2023-07-11
発明の名称
休眠卵を用いた遺伝子組換えカイコの作製方法
出願人
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
代理人
弁理士法人平木国際特許事務所
主分類
C12N
5/10 20060101AFI20250117BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】あらゆる親系統から遺伝子組み換えカイコを作製し、さらに、その系統遺伝的に安定な状態で維持する新たな方法を開発し、提供することである。
【解決手段】食道下神経節を除去した単為発生系統カイコの雌個体から非休眠未受精卵を採取した後、単為発生誘導処理を行い、処理後の卵に目的の核酸を導入して遺伝子組換えクローンカイコを得る方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
遺伝子組換えカイコの作製方法であって、
カイコの雌個体から食道下神経節を除去する除去工程、
前記除去工程後の雌個体を交配させる交配工程、
前記交配工程後の雌個体にムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを接触させ、又は導入し、産卵を誘導する産卵誘導工程、
前記産卵誘導工程後の雌個体から受精卵を採取する採卵工程、
前記採卵工程で得られた受精卵に目的の核酸を導入する核酸導入工程、
前記核酸導入工程後の非休眠卵より発生した個体を交配して得られる次世代から遺伝子組換え体を遺伝子組換えカイコとして選抜する選抜工程
を含む前記作製方法。
続きを表示(約 1,200 文字)
【請求項2】
前記除去工程で使用するカイコが休眠性系統カイコである、請求項1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記産卵誘導工程におけるムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストがピロカルピン、セビメリン、カルプロニウム、キサノメリン、カルバコール、ベタネコール、アセクリジン、アルバメリンマレアート、及びアクラトニウムナパジシル酸からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の作製方法。
【請求項4】
前記核酸導入工程で標識遺伝子をさらに導入する、請求項1又は2に記載の作製方法。
【請求項5】
前記選抜工程における選抜が前記標識遺伝子の発現に基づく、請求項4に記載の作製方法。
【請求項6】
遺伝子組換えクローンカイコの作製方法であって、
単為発生系統カイコの雌個体から食道下神経節を除去する除去工程、
前記除去工程後のカイコから非休眠未受精卵を採取する未受精卵採取工程、
前記未受精卵採取工程で得られた非休眠未受精卵に単為発生誘導処理を行う単為発生誘導工程、
前記単為発生誘導工程後の非休眠未受精卵に目的の核酸を導入する核酸導入工程、及び
前記核酸導入工程後の非休眠卵より発生した個体から遺伝子組換え体を遺伝子組換えクローンカイコとして選抜する選抜工程
を含む前記作製方法。
【請求項7】
遺伝子組換えクローンカイコの作製方法であって、
カイコの雌個体から食道下神経節を除去する除去工程、
前記除去工程後の雌個体を交配させる交配工程、
前記交配工程後の雌個体にムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを接触させ、又は導入し、産卵を誘導する産卵誘導工程、
前記産卵誘導工程後の雌個体から受精卵を採取する採卵工程、
前記採卵工程で得られた受精卵に目的の核酸を導入する核酸導入工程、
前記核酸導入工程後の受精卵より得られる雌個体から未受精卵を採取する未受精卵採取工程、
前記未受精卵採取工程で得られた未受精卵に単為発生誘導処理を行う単為発生誘導工程、及び
前記単為発生誘導工程後に発生した個体から遺伝子組換え体を遺伝子組換えクローンカイコとして選抜する選抜工程
を含む前記作製方法。
【請求項8】
前記除去工程で使用するカイコが休眠性系統カイコである、請求項7に記載の作製方法。
【請求項9】
前記産卵誘導工程におけるムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストがピロカルピン、セビメリン、カルプロニウム、キサノメリン、カルバコール、ベタネコール、アセクリジン、アルバメリンマレアート、及びアクラトニウムナパジシル酸からなる群から選択される、請求項7又は8に記載の作製方法。
【請求項10】
前記除去工程におけるカイコが終齢幼虫又は蛹である、請求項6~8のいずれか一項に記載の作製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は休眠卵を用いた遺伝子組換えカイコの作製方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)
【背景技術】
【0002】
カイコ(Bombyx mori)は、絹を生産するために古くから産業上利用されてきた昆虫であり、繭を作るため絹糸を短期間で大量に生産することができる。これは、カイコの絹糸腺におけるタンパク質生産能力の高さによるものである。現在では、遺伝子操作技術によって、このカイコの能力を絹糸以外の有用タンパク質の大量生産に利用することが可能となっている。
【0003】
カイコをタンパク質の大量生産系宿主とする場合、外来遺伝子を導入した形質転換体、すなわち遺伝子組換えカイコ(トランスジェニックカイコ)の作出技術が不可欠となる。遺伝子組換えカイコの作出には、トランスポゾンを利用して卵に所望の遺伝子を導入するマイクロインジェクション法が採用されている(非特許文献1)。カイコの卵は、産卵後2時間以内に受精をし、その後、シンシチウムと呼ばれる細胞膜を持たない裸の核が分裂を繰り返しながら卵の表面へと移動する。所望の遺伝子を導入するには、胚発生が進行する、この産卵後2~8時間の卵に行う必要がある。この期間を過ぎると、形質転換体の出現効率が著しく減少するためである(非特許文献2)。つまり、既存の方法で遺伝子組換えカイコを作製するには、胚発生が停止しない卵に対して、産卵後特定の時間内に目的の遺伝子を導入することが重要となる。
【0004】
ところで、カイコの多くは、通常、年に1回成虫が発生する一化性系統である。一化性系統のカイコは、休眠卵を産卵し、卵で休眠状態となる。この休眠状態は、マイクロインジェクション後も維持されるため、休眠卵に前記遺伝子導入を行っても形質転換体を得ることはできない。つまり、マイクロインジェクション法を実施するには休眠状態とならない非休眠卵を使用しなければならず、本方法は非休眠卵を産卵する親系統に制限されるという問題があった。ところが、非休眠卵を産卵する非休眠性系統の多くは実験系統であり、元来実用としての素質が劣悪であるため、産業利用には不適というさらなる問題があった。それ故に、従来は、非休眠性系統から得た非休眠卵を用いてマイクロインジェクション法による遺伝子組換えを行った後、得られた遺伝子組換えカイコを休眠性実用系統と交配して、産業利用に適した実用系統に育成するという方法が用いられており、この方法には多大な手間と時間を要していた。
【0005】
前記課題を解決するため、現在、休眠性系統である実用系統から、休眠状態に入らない休眠卵又は非休眠卵を得る方法が開発されている。例えば、外部からの物理的又は化学的刺激により休眠卵の休眠状態への移行を回避し、胚発生を維持させる休眠打破法と、休眠性系統の親カイコを処理して非休眠卵を産卵させる非休眠卵産卵法が挙げられる。
【0006】
休眠打破法の例として、非特許文献3に開示の浸酸処理がある。浸酸処理は通常では、産卵24時間後の休眠卵を塩酸溶液に浸漬して休眠打破を行う方法である。非特許文献3では、産卵後3時間以内に浸酸処理を行った二化性系統休眠卵に対して、マイクロインジェクション法により遺伝子組換え操作を行っている。しかし、この方法は、酸による化学的刺激に加えてマイクロインジェクションという物理的刺激が卵に付与されるため、その後の孵化率が著しく低下するという問題があった。
【0007】
非休眠卵産卵法の例として、非特許文献4及び非特許文献5に開示の低温暗催青法がある。低温暗催青法は、親卵の催青を低温暗条件で行い、羽化した親カイコに非休眠卵を産卵させる方法である。ところが、低温暗催青法は、カイコの系統によって非休眠卵の産卵数に著しい差異がみられ、時には全く非休眠を産卵しないという問題があった(特許文献1)。また、この方法で得られた非休眠卵にマイクロインジェクションを行った場合、浸酸法と同様に孵化率が極端に低下するという問題もあった。
【0008】
そこで、上記問題を解決し、マイクロインジェクション後の孵化率を維持できる技術として、特許文献2では、休眠ホルモン抗体法が開示されている。この方法は、終齢幼虫~蛹初期の親カイコに休眠ホルモンに対する中和抗体(抗休眠ホルモン抗体)を注射し、雌親カイコの休眠ホルモンを機能的に阻害することで休眠性系統カイコに非休眠卵を産卵させ、得られた非休眠卵にマイクロインジェクションを行う方法である。特許文献2の方法であれば、カイコ系統に関わらず、マイクロインジェクション後の孵化率が高くなることを開示している。しかし、この方法も効果的な中和抗体の調製や二度にわたる抗体注射が必要であり、手間や労力の面での問題があった。
【0009】
一方、マイクロインジェクション法によって得られる遺伝子組換えカイコは、導入した目的の遺伝子が同じであっても、それぞれの形質転換体によってゲノム組成が異なる。これはトランスポゾン由来の転移酵素活性を利用して遺伝子組換えを行うと目的の遺伝子の挿入がゲノム上のランダムな位置で起こることや、カイコの系統は交配によって遺伝的に不均一な集団として維持されているためである。
【0010】
加えて、カイコは一般に卵の状態で保存されるが、その保存期間は最長で一年である。そのため系統を維持するには毎年飼育を行い、交配をさせ次世代の卵を得る必要がある。長期間にわたって交配を繰り返した場合、同一系統内でも遺伝的安定性を確保することが難しくなる。
(【0011】以降は省略されています)
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