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公開番号2024166558
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-11-29
出願番号2023082736
出願日2023-05-19
発明の名称細胞培養膜及び細胞培養方法
出願人豊田合成株式会社
代理人個人
主分類C12M 3/04 20060101AFI20241122BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】貫通孔を含むポリウレタン多孔膜の片面のみに細胞を単層にて培養する際に、貫通孔を通じて細胞が反対側に回り込まないようにする。
【解決手段】樹脂で形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔である樹脂多孔膜と、樹脂多孔膜のいずれか一方の面に被覆された、細胞が貫通孔を通過するのを抑制する固体の被覆材とを含む細胞培養膜とする。例えば、樹脂はポリウレタンであり、細孔及び貫通孔はすり鉢状である。被覆材は、例えば、糖タンパク質乾固物、タンパク質ゲル、多糖類ゲルである。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
樹脂で形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔である樹脂多孔膜と、樹脂多孔膜のいずれか一方の面に被覆された、細胞が貫通孔を通過するのを抑制する固体の被覆材とを含む細胞培養膜。
続きを表示(約 620 文字)【請求項2】
樹脂はポリウレタンであり、細孔及び貫通孔はすり鉢状である請求項1記載の細胞培養膜。
【請求項3】
被覆材は、糖タンパク質乾固物である請求項1又は2記載の細胞培養膜。
【請求項4】
被覆材は、タンパク質ゲルである請求項1又は2記載の細胞培養膜。
【請求項5】
被覆材は、多糖類ゲルである請求項1又は2記載の細胞培養膜。
【請求項6】
樹脂で形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔である樹脂多孔膜を使用し、
樹脂多孔膜のいずれか一方の面に、細胞が貫通孔を通過するのを抑制する固体の被覆材を被覆して細胞培養膜とし、該細胞培養膜の片面に細胞を単層培養することを特徴とする細胞培養方法。
【請求項7】
樹脂で形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔である第1及び第2の樹脂多孔膜を使用し、
第1の樹脂多孔膜を細胞培養膜とし、該細胞培養膜の両面に異種の細胞を2層培養するステップと、
第2の樹脂多孔膜のいずれか一方の面に、細胞が貫通孔を通過するのを抑制する固体の被覆材を被覆して細胞培養膜とし、該細胞培養膜の片面に細胞を単層培養するステップとを含むことを特徴とする細胞培養方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養膜及び細胞培養方法に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)【背景技術】
【0002】
創薬、再生医療などの種々の分野で、細胞の培養が行われている。通常、細胞培養膜を足場として使用し、その上に栄養素を含む培地を添加して細胞を培養するのが一般的である。
【0003】
本出願人は先に新規な細胞培養膜として、熱硬化性樹脂によって形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔であることを特徴とする多孔膜を開発し開示した(特許文献1)。その実施例では、熱硬化性樹脂としてポリウレタンを採用した。また、細孔及び貫通孔はすり鉢形状であり、貫通孔の平均孔径は、開口側で5~15μmであるが、貫通した反対側でより小さくなる(例えば3μm前後)。よって、細胞は貫通孔を通過しにくい。
【0004】
このポリウレタン多孔膜によれば、その両面に異なる種類の細胞A,Bを培養して、異種細胞間の相互作用を解析することが可能になる。具体的には、一方の面に細胞Aを播いて細孔を塞ぎ、他方の面に別の細胞Bを播くことで、2層での培養を行う。
【0005】
しかしながら、このポリウレタン多孔膜の片面のみに細胞(細胞A単体又は細胞B単体)を単層にて培養しようとすると、貫通孔を通じて細胞が反対面に回り込むことがある。細胞によっては遊走能や浸潤能があり、細胞が収縮して貫通孔を通過するためである。貫通孔の数が多く径が大きい場合には、この通過も多くなる。よって、このポリウレタン多孔膜では、2層培養の比較としての単層培養を行うことが困難であった。
【0006】
なお、特許文献2には、下層用マイクロ流路チップと上層用マイクロ流路チップを、細胞を通過させないサイズのポアを有するポーラス膜を隔てて積層した2層式流路デバイスが開示され、上層流路にフィブロネクチンをコーティングし、細胞懸濁液を導入することで細胞を播種したときに、下層には細胞が観察されなかったとされている。ポーラス膜の材質は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ニトロセルロース、ポリジメチルシロキサン、コラーゲンビトリゲル等である。フィブロネクチンのコーティングは、主に細胞の接着を促進するものと記載されており、細胞が貫通孔を通過するのを抑制するとの記載はなく、フィブロネクチンが液体か固体かも不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2017-29092号公報
特開2020-188723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、貫通孔を含むポリウレタン多孔膜の片面のみに細胞を単層にて培養する際に、貫通孔を通じて細胞が反対側に回り込まないようにすること、そして例えば2層培養の比較としての単層培養を可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]樹脂で形成され、少なくとも一方の面において開口する複数の細孔を有し、細孔の少なくとも一部は膜厚方向に貫通する貫通孔である樹脂多孔膜と、樹脂多孔膜のいずれか一方の面に被覆された、細胞が貫通孔を通過するのを抑制する被覆材とを含む細胞培養膜。
【0010】
[作用]
被覆材は、樹脂多孔膜の貫通孔を適度に埋めて塞ぐことで、樹脂多孔膜の一方の面に播種した細胞が貫通孔を通過して反対面へ回り込むのを抑制する。
被覆材が貫通孔を完全に塞いだものは、細胞の核、仮足ともに回り込まない。
被覆材が貫通孔をある程度塞いだものは、細胞の核は回り込まないが、細胞質部分の仮足は回り込む(頭出しする)ことがある。
(【0011】以降は省略されています)

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