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公開番号
2024175323
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-18
出願番号
2023093018
出願日
2023-06-06
発明の名称
脂肪細胞の成長抑制剤
出願人
株式会社渡辺オイスター研究所
代理人
個人
主分類
C12N
5/077 20100101AFI20241211BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明は、DHMBAを含む培養が試験管内で3T3-L1前駆脂肪細胞の成長を抑制し、細胞数の減少につながり、脂肪細胞の分化過程においては、DHMBAの存在下で培養するとインスリンシグナル伝達に関連する多様なシグナル伝達プロセスの調節を介して、3T3-L1前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の過程における脂肪生成が抑制される、DHMBAを用いた肥満に関係する脂肪生成の有用な治療ツールを提供するものである。
【解決手段】本発明は3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした3T3-L1前駆脂肪細胞成長の抑制作用を有することを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした3T3-L1前駆脂肪細胞成長の抑制作用を有する、
ことを特徴とする脂肪細胞の成長抑制剤。
続きを表示(約 530 文字)
【請求項2】
3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした脂肪細胞における脂質蓄積の抑制作用を有する、
ことを特徴とする 脂肪細胞における脂質蓄積の抑制剤。
【請求項3】
3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした脂肪細胞生成の抑制作用を有する、
ことを特徴とする脂肪細胞の生成抑制剤。
【請求項4】
3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした脂肪細胞の有するシグナル伝達経路の調節作用を備えた、
ことを特徴とする脂肪細胞が有するシグナル伝達経路の調節剤。
【請求項5】
3,5-dihydroxy-4-methoxybenzyl alcohol(DHMBA)を有効成分とした脂肪細胞における脂肪生成のシグナル伝達プロセスに関連するタンパク質レベルを低下させる低下作用を有する、
ことを特徴とする脂肪細胞における脂肪生成のシグナル伝達プロセスに関連するタンパク質レベルを低下させる低下促進剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪細胞の成長抑制剤に関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)
【背景技術】
【0002】
脂肪組織における脂肪細胞の増大は、2型糖尿病、高脂血症、高血圧、心血管疾患、および癌を含む無秩序な病態生理的状態をもたらす。フェノール系抗酸化物質である3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(以下、DHMBAとも称する)は、細胞内のラジカルスカベンジングとして酸化ストレスを制御することができる。しかしながら、疾病の病態の改善ならび修復における役割は充分に解明されていない。
この発明は、試験管内でのマウス3T3-L1脂肪細胞における脂肪生成に対するDHMBAの調節効果を究明したものである。3T3-L1前駆脂肪細胞は、10%ウシ胎児血清を含むDMEM培養液中で培養した。培養液にDHMBAを添加すると、脂肪細胞への細胞分化因子を含まない培養液で培養された3T3-L1前駆脂肪細胞の増殖が抑制された。
【0003】
興味深いことに、3T3-L1前駆脂肪細胞がインスリンを含む分化誘導因子を含む培養液で培養された場合、DHMBAは脂肪生成の分化過程において、細胞数に影響を与えなかった。
3T3-L1前駆脂肪細胞をDHMBA(1、10、または100μM)を含有する培養液で培養すると、脂肪細胞の脂質蓄積が抑制され、さらに、3T3-L1脂肪細胞の脂肪生成が阻害された。
【0004】
脂肪生成に対するDHMBAの強い抑制効果は、インスリン添加した培養の後期段階で見られた。脂肪生成は、インスリンシグナル伝達経路に関連する経路の阻害剤であるワートマニン、PD98059、またはBay 11-7082の存在によって阻害された。特に、脂肪生成に対するDHMBAの抑制効果は、これらの阻害剤の存在下においても発現された。
さらに、その発現メカニズムとして、DHMBAが、前駆脂肪細胞の分化に関連するPPARγおよびC/EBPαのレベルと、インスリンシグナル伝達経路に関与するPI3キナーゼ100α、Akt、MAPK、リン酸化MAPK、およびmTORのレベルを低下させたことに関連した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2017-132753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、DHMBAが、多様なシグナル伝達経路の調節を介して、脂肪生成を抑制し、肥満予防と治療のための新しい戦略を提供するものである。
【0007】
一般に、肥満は高カロリー食品の摂取による過剰なエネルギーによって引き起こされ、脂肪細胞においては脂肪酸を介してトリグリセリドが蓄積される。
脂肪組織における脂肪細胞の増加は、その組織から分泌されるホルモンおよびサイトカインのレベルの異常な上昇をもたらし、2型糖尿病、高脂血症、高血圧、心血管疾患、および癌などの病的状態を引き起こす。現在、肥満はさまざまな病気の危険因子として認識されている。したがって、脂肪組織は、病態生理的恒常性を維持する上で、重要な役割を果たしている。
【0008】
脂肪組織は、骨髄間葉系幹細胞からの前駆脂肪細胞の分化によって形成される脂肪細胞で構成されている。脂肪生成は、脂肪細胞の形成と脂質の蓄積における重要なプロセスである。このプロセスを調節する主な転写因子は、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質アルファ(C/EBPα)、ペルオキシソーム増殖活性化受容体ガンマ(PPARγ)、ステロール応答エレメント結合タンパク質-1c(SREBP-1c)をよび脂肪酸結合タンパク(FABP4)が知られている。C/EBPαとPPARγは、前駆細胞から成熟脂肪細胞への分化に不可欠である。PPARγは、C/EBP発現を欠く細胞における脂肪生成の促進に関与している。SREBPは脂肪生成の補助的調節因子であり、脂質代謝の調節において、重要な役割を果たしている。これらの転写因子は、脂肪生成中の脂肪酸とトリグリセリドの合成を調節している。さらに、インスリンシグナル伝達経路に関連するマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)およびプロテインキナーゼB(AKT)は、脂肪細胞の脂肪生成を活性化することが知られている。
【0009】
新しいフェノール系抗酸化物質である3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシベンジルアルコール(DHMBA)は、太平洋のカキ(Crassostrea Gigas)から、最初に発見された。DHMBAには、いくつかの細胞でのラジカル捕捉として酸化ストレスを防ぐ二特性がある。DHMBAは、抗酸化物質として細胞機能の調節において、栄養的重要な役割を果たしている可能性がある。最近、DHMBAは、多様なシグナル伝達経路を標的とすることで、転移性前立腺癌細胞の増殖を抑制することが実証され、DHMBAによる前立腺癌治療の新しい戦略が提起された。
さらに、DHMBAの薬理学的効果を解明することは、さまざまな疾患の予防と治療に重要である。
【0010】
この発明は、DHMBAが試験管内で3T3-L1前駆脂肪細胞の脂肪生成を調節するかどうかを解明するために行われた。ここでは、DHMBAを含む培養が、試験管内で、3T3-L1前駆脂肪細胞の成長を抑制し、細胞数の減少につながることが明らかにされた。このような効果は、脂肪細胞の分化過程においては、引き起こされなかった。この細胞分化過程において、DHMBAの存在下で培養すると、インスリンシグナル伝達に関連する多様なシグナル伝達プロセスの調節を介して、3T3-L1前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化の過程における脂肪生成が抑制されることが見出された。この発明は、DHMBAを用いた、肥満に関係する脂肪生成の有用な治療ツールを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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