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公開番号2024154690
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-10-31
出願番号2023068660
出願日2023-04-19
発明の名称細胞培養基材、および、その製造方法
出願人日本バイリーン株式会社
代理人
主分類C12M 3/00 20060101AFI20241024BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】
本発明では、細胞培養に好適な細胞培養基材の提供を目的とする。特に、培養肉の作製にかかる煩雑さとコストを低減可能であると共に、安全性が高く当該安全性の確認に要する時間を短縮可能である、細胞培養基材の提供を目的とする。
【解決手段】
ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物上で、細胞を培養できることを見出した。そのため、当該複合構造物を備えた細胞培養基材は、細胞培養に好適に使用できる。また、当該複合構造物は、一種類の素材由来のタンパク質と脂質(例えば、牛乳由来のタンパク質と脂質や、大豆由来のタンパク質と脂質)で構成された複合構造物であることができる。そのため、本発明にかかる複合構造物を備えた細胞培養基材によって、培養肉の作製にかかる煩雑さとコストを低減可能であると共に、安全性が高く当該安全性の確認に要する時間を短縮可能な培養肉を提供できる。
【選択図】 なし
特許請求の範囲【請求項1】
ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物を備えた、細胞培養基材。
続きを表示(約 460 文字)【請求項2】
前記複合構造物が膜である、請求項1に記載の細胞培養基材。
【請求項3】
(工程1)分散媒中にタンパク質と脂質が分散している分散液を用意する工程、
(工程2)前記分散液に含まれる前記分散媒を除去してゆくことで、前記タンパク質と前記脂質を含む複合構造物を形成する工程、
(工程3)前記複合構造物を回収する工程、
を備える、ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物を備えた、細胞培養基材の製造方法。
【請求項4】
(工程1)分散媒中にタンパク質と脂質が分散している分散液を用意する工程、
(工程2)前記分散液に含まれる前記分散媒を除去してゆくことで、前記分散液の液面に前記タンパク質と前記脂質を含む複合構造物の膜を形成する工程、
(工程3)前記液面から前記複合構造物の膜を回収する工程、
を備える、ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物の膜を備えた、細胞培養基材の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養基材、および、その製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年では、世界の人口増加に伴い、食肉需要が増加することが予想されている。このような食肉需要に対応できるようにするため、加えて家畜動物を愛護するという要望に応えるため、細胞を培養して作製される培養肉の研究開発が進められている。
【0003】
例えばステーキ肉、刺身、切り身、フォアグラなどの所望の形状や食感を有するように制御された培養肉を作製できるよう、細胞培養基材上に筋肉細胞や肝細胞などを3次元的に培養する必要がある。このとき、上述した趣旨に沿うよう培養肉を作製するにあたって、ゼラチンやコラーゲンなどの動物を殺傷して得られる材料を使用しないことが望ましい。
【0004】
このような培養肉の作製に使用可能な細胞培養基材として、望ましくは動物由来材料を使用しない多孔材(例えば、アルギン酸もしくはアルギン酸塩、グルコマンナン、セルロース誘導体、アミロース、ペクチン、グルコマンナン、アガロース、カラギーナン、ローカストビーンガムなどの天然高分子多糖類、バクテリアセルロース、キサンタンガム、ジェラン、プルラン、ヒアルロン酸などの微生物産生型多糖類、あるいは、ポリグルタミン酸、ポリリジンなどの微生物産生ポリアミノ酸類などで構成された多孔材)からなる可食性基材に、
・乳または卵など由来の非殺傷性動物由来成分を含む接着向上剤(特開2022-159217;特許文献1)、
あるいは、
・大豆など由来の非殺傷性植物由来成分を含む接着向上剤(特開2022-159216;特許文献2)、
が練り込まれた細胞培養基材、または、可食性基材の表面へこれら接着向上剤が付与された細胞培養基材が活用されている。
【0005】
特許文献1~2にかかる細胞培養基材は、上述した接着向上剤の存在によって、細胞培養基材と細胞との接着性を向上できるという知見のもと発明されたものであって、共に可食性である基材と接着向上剤から構成されている。そのため、当該細胞培養基材上で培養された培養肉から当該細胞培養基材および接着向上剤を除去することなく、培養された培養肉を細胞培養基材ごと口にして消化可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2022-159217号公報
特開2022-159216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述の従来技術にかかる細胞培養基材を提供するためには、可食性基材と接着向上剤を各々用意する必要があった。また、接着向上剤を可食性基材に練り込み細胞培養基材を調製する、あるいは、接着向上剤を可食性基材の表面へ付与して細胞培養基材を調製する必要があった。そのため、上述の従来技術にかかる細胞培養基材を用いた培養肉の提供は、煩雑でコストがかかるという問題を有しているものであった。
【0008】
更に、当該細胞培養基材は少なくとも二種類の素材(例えば、動物由来材料を使用しない多孔材と非殺傷性動物由来成分からなる接着向上剤)から構成されている。そのため、食物アレルギーを有する人が培養肉を細胞培養基材ごと口にしようとする場合、口にする前に当該人における、多孔材と接着向上剤いずれに対してもアレルギーの有無を確認する必要があった。そのため、上述の従来技術にかかる細胞培養基材を用いて培養した培養肉を、アレルギーに配慮し安全性を高くして提供することには限界があり、また、その安全性を確認するためには時間を要するという問題を有しているものであった。
【0009】
本発明では、細胞培養に好適な細胞培養基材の提供を目的とする。特に、培養肉の作製にかかる煩雑さとコストを低減可能であると共に、安全性が高く当該安全性の確認に要する時間を短縮可能である、細胞培養基材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
「(請求項1)
ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物を備えた、細胞培養基材。
(請求項2)
前記複合構造物が膜である、請求項1に記載の細胞培養基材。
(請求項3)
(工程1)分散媒中にタンパク質と脂質が分散している分散液を用意する工程、
(工程2)前記分散液に含まれる前記分散媒を除去してゆくことで、前記タンパク質と前記脂質を含む複合構造物を形成する工程、
(工程3)前記複合構造物を回収する工程、
を備える、ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物を備えた、細胞培養基材の製造方法。
(請求項4)
(工程1)分散媒中にタンパク質と脂質が分散している分散液を用意する工程、
(工程2)前記分散液に含まれる前記分散媒を除去してゆくことで、前記分散液の液面に前記タンパク質と前記脂質を含む複合構造物の膜を形成する工程、
(工程3)前記液面から前記複合構造物の膜を回収する工程、
を備える、ラムスデン現象によって生じたタンパク質と脂質を含む複合構造物の膜を備えた、細胞培養基材の製造方法。」
である。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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