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公開番号2025081116
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-27
出願番号2023194666
出願日2023-11-15
発明の名称核酸塩基検出剤
出願人学校法人上智学院
代理人弁理士法人平木国際特許事務所
主分類C12N 15/11 20060101AFI20250520BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、設計及び検出が容易で安価な方法であり、かつ、修飾様式の差異をも検出可能な高感度な変異の検出手段を提供することを課題とする。
【解決手段】被験核酸にハイブリダイズ可能な塩基配列領域を含む核酸分子を含む核酸塩基検出剤であって、塩基配列領域は、1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基からなる検知ドメインを含み、核酸分子は、被験核酸とハイブリダイズした際に、検知ドメインが被験核酸に含まれる1つの共用塩基と共に右巻きの二本鎖構造を形成し、共用塩基が所定の塩基か否かによって異なる塩基対が形成される構成を有する、被験核酸における所定の塩基を検出するための核酸塩基検出剤、及びそれを用いた検出方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
被験核酸における所定の塩基を検出するための核酸塩基検出剤であって、
前記核酸塩基検出剤は、前記被験核酸にハイブリダイズ可能な塩基配列領域を含む核酸分子を含み、
前記塩基配列領域は、1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基からなる検知ドメインを含み、
前記核酸分子は、前記被験核酸とハイブリダイズした際に、
前記検知ドメインが前記被験核酸に含まれる1つの共用塩基と共に右巻きの二本鎖構造を形成し、
前記共用塩基が前記所定の塩基以外である場合には、前記共用塩基と前記表示塩基の塩基対が形成され、
前記共用塩基が前記所定の塩基である場合には、前記共用塩基と前記作動塩基の塩基対が形成される構成を有する、
前記核酸塩基検出剤。
続きを表示(約 600 文字)【請求項2】
前記塩基配列領域が6塩基以上の長さである、請求項1に記載の核酸塩基検出剤。
【請求項3】
前記核酸分子が複数の前記検知ドメインを含む、請求項1に記載の核酸塩基検出剤。
【請求項4】
前記所定の塩基がアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、6-メチルアデニン、4-メチルチミン、6-メチルグアニン、7-メチルグアニン、5-メチルシトシン及び5-メチルウラシルからなる群から選択される一以上の塩基である、請求項1に記載の核酸塩基検出剤。
【請求項5】
請求項1に記載の核酸塩基検出剤を含む、所定の塩基の検出用組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の核酸塩基検出剤を含む、点変異の検出用組成物。
【請求項7】
前記点変異が一塩基多型である、請求項6に記載の検出用組成物。
【請求項8】
核酸塩基検出剤を複数種類含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の検出用組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の核酸塩基検出剤及び/又は請求項5に記載の検出用組成物を含む、所定の塩基の検出キット。
【請求項10】
請求項1に記載の核酸塩基検出剤及び/又は請求項5に記載の検出用組成物を含む、所定の塩基の検出デバイス。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸塩基検出剤及びそれを用いた組成物、キット及びデバイス、並びに目的の核酸の検出方法に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
一塩基多型は、薬剤に対する副作用の程度、疾患に対する罹りやすさといった表現型に関係していることが知られている。また、植物においては、病害抵抗性、ストレス耐性、バイオマス量等の表現型にも一塩基多型が関係している。特に、転写後修飾による変異やSNPはがんのリスクを高めたり、その発症原因となることが明らかになってきている。このように、一塩基多型を検出することで、疾患に罹患するリスクや、副作用の発生リスク等を予測することができ、その情報に基づいて患者個人に最適な治療や薬剤投与を可能にする治療等を行うオーダーメイド医療にも注目が集まっている。
【0003】
一塩基多型を検出する方法としては、例えば、一塩基多型を含むDNA断片を増幅して塩基配列を読み取るダイレクトシーケンス法、一塩基多型部位を含むプローブを使用する方法、ミスマッチの存在によって異なる挙動を示すタンパク質を用いる方法等が知られている。一塩基多型部位を含むプローブを使用する方法には、リアルタイムPCRを適用したサイクリングプローブ法、ビーズアレイ法やマイクロアレイ(DNAチップ)法等が挙げられる。
【0004】
この中で、工程の少なさ等に基づく検出方法の簡便さ、SNPの種類に応じた設計の容易さ等の点から、プローブを用いた方法が特に有用であり、中でも、分子ビーコンを用いた方法は特に簡便で安価な方法として知られている。典型的な分子ビーコンは、その中央部分には、標的となる一本鎖DNA又はRNAの野生型の配列に対して相補的な塩基配列を有し、両末端には互いに相補的な塩基配列を有する。さらに、この各末端には、それぞれ蛍光物質及び消光物質が結合している(非特許文献1)。
【0005】
分子ビーコンは以下の様に機能する。標的分子がない状態では、分子ビーコンはその両端同士がハイブリダイズすることにより蛍光物質と消光物質が近接し、蛍光を発さない状態となっている。野生型の標的配列の存在下では、分子ビーコンは、その両端で形成していた二本鎖領域を開裂させ、標的配列にハイブリダイズする。これにより、蛍光物質と消光物質が離れ、蛍光を発する。一方、SNPによって標的配列に変異が生じると、分子ビーコンがハイブリダイズしにくくなるため蛍光は消光されたままとなる。これにより、SNPの存在が、蛍光を発しないことにより検出される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Tyagi, S., & Kramer, F. R. (1996) Nature biotechnology, 14(3), 303-308.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
分子ビーコンの作動機構はシンプルであるため、検出の工程や試薬の種類も少なくて済み、分子ビーコン自体の設計も容易である。その一方で、SNPは一塩基という微細な変異であることから、分子ビーコンはミスマッチを含んだ状態でも標的配列と弱くハイブリダイズしてしまい、SNPをうまく検出できない場合がある。また、SNP以外の塩基に変異が存在する場合や標的配列が存在しない場合等には、SNPの有無にかかわらずハイブリダイズが起こらずに蛍光は消光されたままとなり、SNPが検出された場合と区別がつかない等の問題が明らかとなった。
【0008】
さらに、mRNAの転写後修飾等に基づく修飾様式の差異が近年注目されているものの、その検出が可能な技術は存在しなかった。
【0009】
本発明の課題は、分子ビーコンと同様に設計及び検出が容易で安価な方法であり、かつ、修飾様式の差異をも検出可能な高感度な変異の検出手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意研究を行った結果、ハイブリダイズの有無ではなく、プローブの設計を工夫することにより、塩基の局所的な変化を立体構造の変化に変換し、直接的に検出可能にできることを見出した。さらに、この方法に基づけば、修飾様式の差異をも検出可能であることを見出した。本発明は、当該新規知見等に基づくものであり、以下を提供する。
[1]被験核酸における所定の塩基を検出するための核酸塩基検出剤であって、前記核酸塩基検出剤は、前記被験核酸にハイブリダイズ可能な塩基配列領域を含む核酸分子を含み、前記塩基配列領域は、1つの作動塩基及びそれに隣接する1つの表示塩基からなる検知ドメインを含み、前記核酸分子は、前記被験核酸とハイブリダイズした際に、前記検知ドメインが前記被験核酸に含まれる1つの共用塩基と共に右巻きの二本鎖構造を形成し、前記共用塩基が前記所定の塩基以外である場合には、前記共用塩基と前記表示塩基の塩基対が形成され、前記共用塩基が前記所定の塩基である場合には、前記共用塩基と前記作動塩基の塩基対が形成される構成を有する、前記核酸塩基検出剤。
[2]前記塩基配列領域が6塩基以上の長さである、[1]に記載の核酸塩基検出剤。
[3]前記核酸分子が複数の前記検知ドメインを含む、[1]又は[2]に記載の核酸塩基検出剤。
[4]前記所定の塩基がアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシル、6-メチルアデニン、4-メチルチミン、6-メチルグアニン、7-メチルグアニン、5-メチルシトシン及び5-メチルウラシルからなる群から選択される一以上の塩基である、[1]~[3]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤を含む、所定の塩基の検出用組成物。
[6][1]~[4]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤を含む、点変異の検出用組成物。
[7]前記点変異が一塩基多型である、[6]に記載の検出用組成物。
[8]核酸塩基検出剤を複数種類含む、[5]~[7]のいずれかに記載の検出用組成物。
[9][1]~[4]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤及び/又は[5]~[8]のいずれかに記載の検出用組成物を含む、所定の塩基の検出キット。
[10][1]~[4]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤及び/又は[5]~[8]のいずれかに記載の検出用組成物を含む、所定の塩基の検出デバイス。
[11]所定の塩基を共有塩基として含む目的の核酸の検出方法であって、核酸を含む被験試料を、[1]~[4]のいずれかに記載の核酸塩基検出剤及び/又は[5]~[8]のいずれかに記載の検出用組成物と接触させる接触工程、前記表示塩基の前記二本鎖構造からの突出を検出する検出工程、及び前記表示塩基の突出が検出された場合に、前記被験試料中に前記目的の核酸が存在すると判定する判定工程を含む、前記検出方法。
[12]前記被験試料が、液体、半固体及びエアロゾルからなる群から選択される形態である、[11]に記載の検出方法。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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