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公開番号2025162814
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-10-28
出願番号2024066254
出願日2024-04-16
発明の名称低プリン体清酒
出願人月桂冠株式会社
代理人個人,個人,個人
主分類C12G 3/022 20190101AFI20251021BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】プリン体濃度0.5mg/dL以下の清酒であって、活性炭処理だけによらず、また醸造アルコールを添加することなく、プリン体濃度が低減している清酒を提供する。
【解決手段】プリン体濃度0.5mg/dL以下であり、醸造アルコールを含まない、特定名称酒以外の日本国の酒税法が定める清酒。この清酒は、麹歩合を15%未満にして、醸造アルコールを添加せずに醸造されたものである。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
プリン体濃度0.5mg/dL以下であり、醸造アルコールを含まない、特定名称酒以外の日本国の酒税法が定める清酒。
続きを表示(約 300 文字)【請求項2】
プリン体濃度0.5mg/dL以下、グアニン濃度0.002mg/dL以上である、日本国の酒税法が定める清酒。
【請求項3】
醸造アルコールを添加していない、請求項2に記載の清酒。
【請求項4】
麹歩合を15%未満にしてもろみを仕込み、醸造アルコールを添加せずに、醸造により、プリン体濃度0.5mg/dL以下である清酒を製造する方法。
【請求項5】
醸造により、プリン体濃度0.5mg/dL以下、グアニン濃度0.002mg/dL以上の清酒を製造する方法。
【請求項6】
熱処理した米麹を用いる、請求項5に記載の清酒の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、プリン体濃度が低い清酒とその製造方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年の消費者の健康志向の高まりにより、日常的に摂取する飲料は糖質やプリン体の含有量が少ないことが求められている。特に、プリン体は体内で代謝されて尿酸となり通風を引き起こし、またアルコールも血中尿酸値を増大させて通風の原因となるため、酒類のプリン体濃度を気にする消費者が多い。
【0003】
プリン体濃度を抑えた清酒を開示した文献として、特許文献1は、糖質濃度1.5g/dL以下の極めて低糖質の清酒と活性炭を接触させることでプリン体濃度を下げれば、香味が低下せずにプリン体濃度が低減することを教えている。
しかし、特許文献1の方法では、健康志向に沿う純米酒を原料とした場合は、活性炭処理してもプリン体濃度を0.64mg/dLにまでしか低減させることができず、醸造アルコールを含む清酒を原料として初めてプリン体濃度を0.5mg/dL以下にまで低減させることができる。また、活性炭処理によりプリン体濃度を下げているため、得られる清酒の香味が薄くなりがちである。
【0004】
また特許文献2は、特定の比表面積と算術平均径を有する活性炭に清酒を接触させれば、清酒のプリン体濃度が低減することを教えている。
しかし、特許文献2の方法では、プリン体濃度を0.5mg/dL以下にまで低減させることができない。また、活性炭処理によりプリン体濃度を下げているため、得られる清酒の香味が薄くなりがちである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2016-165261号
特開2013-106581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プリン体濃度0.5mg/dL以下の清酒であって、活性炭処理だけによらず、また醸造アルコールを添加することなく、プリン体濃度が低減している清酒、及びその製造方法を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は上記課題を解決するために研究を重ね、以下の知見を得た。
(1)米総重量に対する麹米の重量比率を15重量%未満(麹歩合15%未満)にしてもろみを仕込めば、活性炭処理だけによらず、また醸造アルコールを添加することなく、プリン体濃度を低減させることができる。醸造により得られたこのような清酒、中でも、プリン体濃度0.5mg/dL以下であり、醸造アルコールを含まない、特定名称酒以外の日本国の酒税法が定める清酒は知られていなかったが、本発明では、このような清酒を醸造により製造することに初めて成功した。
(2)プリン体のうちグアニンは苦み成分であるが、低濃度のグアニンは清酒にコクを与えることが知られている(醸協107巻12号、923~930頁、2012年)。プリン体濃度0.5mg/dL以下、グアニン濃度0.002mg/dL以上の清酒は、健康志向に合致すると共に良好な香味を有するものであるが、醸造により得られたこのような清酒は知られていなかった。本発明では、このような清酒を醸造により製造することに初めて成功した。
【0008】
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、下記〔1〕~〔6〕を提供する。
〔1〕 プリン体濃度0.5mg/dL以下であり、醸造アルコールを含まない、特定名称酒以外の日本国の酒税法が定める清酒。
〔2〕 プリン体濃度0.5mg/dL以下、グアニン濃度0.002mg/dL以上である、日本国の酒税法が定める清酒。
〔3〕 醸造アルコールを添加していない、〔2〕に記載の清酒。
〔4〕 麹歩合を15%未満にしてもろみを仕込み、醸造アルコールを添加せずに、醸造により、プリン体濃度0.5mg/dL以下である清酒を製造する方法。
〔5〕 醸造により、プリン体濃度0.5mg/dL以下、グアニン濃度0.002mg/dL以上の清酒を製造する方法。
〔6〕 熱処理した米麹を用いる、〔5〕に記載の清酒の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の清酒は、プリン体濃度が一般の清酒に比べて著しく低く、0.5mg/dL以下である。特にプリン体濃度が0.5mg/dL未満の場合は、「プリン体ゼロ」の表示を行うことができる。この表示は、プリン体濃度が非常に低いことを消費者に訴求するものであり、清酒の商品価値を大きく向上させる。
【0010】
プリン体濃度を下げる方法として、従来、上槽により得られた清酒を活性炭と接触させる方法が行われている。活性炭処理すると清酒の香味成分も除去されてしまい、香味が薄い清酒になりがちである。この点、本発明の清酒は、米総量に対する麹米の比率を15重量%未満(麹歩合15%未満)でもろみを仕込むことなどによりプリン体濃度を下げているため、活性炭処理を行わずに又は活性炭処理を少なく(活性炭量や接触時間を少なく)しても、また醸造アルコールを添加せずに、プリン体濃度0.5mg/dL以下になっている。
(【0011】以降は省略されています)

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