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公開番号2025168977
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-11-12
出願番号2024073897
出願日2024-04-30
発明の名称新規免疫抑制方法
出願人株式会社カクサスバイオ
代理人個人,個人
主分類C12N 5/10 20060101AFI20251105BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】本発明は、簡便な技術で細胞の移植時のレシピエント個体の免疫機構からの回避が可能な細胞を提供することを課題とする。より具体的には、本発明は、ウイルスがレシピエント個体の免疫機構から回避する手段を模倣することで、レシピエント個体の免疫機構からの回避が可能な細胞を作製する技術を開発することを課題とする。
【解決手段】本発明において、ウイルス由来のMIR1タンパク質およびMIR2タンパク質を細胞中で産生させた、組換え細胞を提供することにより、上記課題を解決することができることを示した。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
を細胞中で産生させた、組換え細胞。
続きを表示(約 1,300 文字)【請求項2】
細胞が、ヒト多能性幹細胞、ヒト体性幹細胞、ヒト体細胞からなる群から選択される、請求項1に記載の組換え細胞。
【請求項3】
生体内に投与された場合に、レシピエント個体の免疫系から非自己細胞と認識されない、請求項1または2に記載の組換え細胞。
【請求項4】
生体に対して移植または投与するための、請求項1または2に記載の組換え細胞。
【請求項5】
細胞内でMIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質を産生させることにより、レシピエント個体免疫系のMHCクラスIの抑制により、前記細胞に対する細胞障害性T細胞(CTL)の反応を抑制する、請求項1または2に記載の組換え細胞。
【請求項6】
細胞内でMIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質を産生させることにより、HLA-C、HLA-Eの発現が保たれ、さらにNK細胞活性化分子の抑制により,前記細胞に対するNK細胞の反応を抑制する、請求項1または2に記載の組換え細胞。
【請求項7】
MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質
を細胞内で産生させた細胞から、分化・誘導させた、生体投与用組換え細胞。
【請求項8】
MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質
を細胞内で産生させた細胞から、分化・誘導させた、生体投与用組換え細胞を含む、細胞移植または細胞治療に伴う生体内での前記細胞に対する免疫反応を抑制した医薬。
【請求項9】
MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)をコードする塩基配列またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)をコードする塩基配列またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列をベクター構築物中に発現可能に組み込んだ、発現ベクター。
【請求項10】
遺伝子治療のために使用する、請求項9に記載の発現ベクター。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、移植用細胞に対するレシピエント個体の免疫反応を抑制する新規な手段を提供することに関する。
続きを表示(約 3,700 文字)【背景技術】
【0002】
近年、細胞治療や再生医療の分野においては、癌のリンパ球療法や、ヒト由来の細胞を用いて作製した細胞シートなど、臨床研究や治験レベルの試験での有用性が示されている治療法も徐々に増えてきている。細胞移植も含めたこうした治療の問題点として、目的の細胞や組織を患者に投与・移植した際に生じる拒絶反応があり、この問題を回避するために、これまでに免疫抑制剤の併用や、細胞表面のHLAをノックアウトして除去するなどの方法が提案されてきた。
【0003】
しかし、免疫抑制剤については、副作用のリスクがあるだけでなく、長期間の投与が必要であったり、免疫を抑制することによる感染症のリスクなどが問題となることが多い。また、HLAをノックアウトして完全に除去してしまうと、型不適合による拒絶反応は回避できるが、生体内のNK細胞の標的となってしまうという新たな問題が生じるリスクがある。このような状況から、現時点においては、拒絶反応を確実に回避する方法は、患者自身の細胞や組織を用いる自家移植のみと考えられている。
【0004】
一方、この問題を解決するために、国内外のいくつかの研究グループでは、免疫拒絶反応を回避するためにβ2ミクログロブリンやHLA、その他のHLA関連分子をノックアウトすることで免疫を回避する細胞を作製する研究がおこなわれている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
しかしながら、現状では、完全に免疫を回避することが困難であったり、逆にNK細胞の標的となってしまう場合などが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
WO2021/241658
WO2021/251271
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、簡便な技術で細胞の移植時のレシピエント個体の免疫機構からの回避が可能な細胞を提供することを課題とする。より具体的には、本発明は、ウイルスが宿主個体の免疫機構から回避する手段を模倣することで、宿主個体の免疫機構からの回避が可能な細胞を作製する技術を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明において、ウイルス由来のMIR1タンパク質およびMIR2タンパク質を細胞中で産生させた、組換え細胞を提供することにより、上記課題を解決することができることを示した。
【0009】
より具体的には、本件出願は、前述した課題を解決するため、以下の態様を提供する:
[1]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、およびMIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
を細胞中で産生させた、組換え細胞;
[2]: 細胞が、ヒト多能性幹細胞、ヒト体性幹細胞、ヒト体細胞からなる群から選択される、[1]に記載の組換え細胞;
[3]: 生体内に投与された場合に、レシピエント個体の免疫系から非自己細胞と認識されない、[1]または[2]に記載の組換え細胞;
[4]: 生体に対して移植または投与するための、[1]または[2]に記載の組換え細胞;
[5]: 細胞内でMIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質を産生させることにより、レシピエント個体免疫系のMHCクラスIの抑制により、前記細胞に対する細胞障害性T細胞(CTL)の反応を抑制する、[1]または[2]に記載の組換え細胞;
[6]: 細胞内でMIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質を産生させることにより、HLA-C、HLA-Eの発現が保たれ、さらにNK細胞活性化分子の抑制により,前記細胞に対するNK細胞の反応を抑制する、[1]または[2]に記載の組換え細胞;
[7]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、およびMIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質
を細胞内で産生させた細胞から、分化・誘導させた、生体投与用組換え細胞;
[8]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、およびMIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質
を細胞内で産生させた細胞から、分化・誘導させた、生体投与用組換え細胞を含む、細胞移植または細胞治療に伴う生体内での前記細胞に対する免疫反応を抑制した医薬;
[9]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)をコードする塩基配列またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)をコードする塩基配列またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列
をベクター構築物中に発現可能に組み込んだ、発現ベクター;
[10]: 遺伝子治療のために使用する、[9]に記載の発現ベクター;
[11]: ベクター構築物が、プラスミドベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レンチウイルスベクターからなる群から選択される、[9]または[10]に記載の発現ベクター;
[12]: 生体に対して投与するための、[9]または[10]に記載の発現ベクター。
[13]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
を含む、免疫抑制剤;
[14]: 生体に対して投与するための、[13]に記載の免疫抑制剤;
[15]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質、
を細胞内で産生させた細胞から、分化・誘導させた、生体投与用組換え細胞を投与することを含む、生体内での免疫反応を抑制した細胞移植方法または細胞治療方法;
[16]: MIR1タンパク質(SEQ ID NO: 2)をコードする塩基配列またはMIR1タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列および
MIR2タンパク質(SEQ ID NO: 4)をコードする塩基配列またはMIR2タンパク質において1または数個のアミノ酸の置換、挿入、または欠失を含むアミノ酸配列を有するタンパク質をコードする塩基配列
をベクター構築物中に発現可能に組み込んだ、発現ベクターを細胞に対して投与することにより、組換え細胞に対する免疫反応を抑制する方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明において、ウイルス由来のMIR1タンパク質およびMIR2タンパク質を細胞中で産生させた、組換え細胞を提供することにより、細胞の移植時のレシピエント個体の免疫機構からの回避が可能な細胞を作製する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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