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公開番号
2025079494
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-05-22
出願番号
2023192202
出願日
2023-11-10
発明の名称
核酸配列情報のフィルタリング方法
出願人
株式会社豊田中央研究所
代理人
個人
,
個人
主分類
C12Q
1/6869 20180101AFI20250515BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】効率よく簡便な方法により生物由来RNAからrRNAの配列を除去する。
【解決手段】核酸配列情報のフィルタリング方法は、生物由来RNAを含有する生物由来RNA含有物を回収して生物由来RNAを抽出し、抽出した前記生物由来RNAから次世代シーケンシングによって核酸リードを取得し、rRNAのうち、解析対象の核酸配列情報から除去したいrRNAの種類を特定して、特定したrRNAの種類の配列情報であって、rRNAの配列情報が既知である任意の生物種のrRNAの配列情報を取得し、取得した任意の生物種のrRNAの配列情報をリファレンス配列として核酸リードを用いたマッピングを行い、リファレンス配列上にアライメントされた核酸リード以外の残余の核酸リードを、解析対象の核酸配列情報として取得する。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
核酸配列情報のフィルタリング方法であって、
生物由来RNAを含有する生物由来RNA含有物を回収して、前記生物由来RNA含有物から生物由来RNAを抽出し、
抽出した前記生物由来RNAから、次世代シーケンシング(NGS)によって塩基配列が読まれた核酸リードを取得し、
rRNAのうち、解析対象の核酸配列情報から除去したいrRNAの種類を特定して、特定したrRNAの種類の配列情報であって、rRNAの配列情報が既知である任意の生物種のrRNAの配列情報を取得し、
取得した前記任意の生物種のrRNAの配列情報をリファレンス配列として、前記核酸リードを用いたマッピングを行い、前記リファレンス配列上にアライメントされた前記核酸リード以外の残余の核酸リードを、解析対象の核酸配列情報として取得する
核酸配列情報のフィルタリング方法。
続きを表示(約 420 文字)
【請求項2】
請求項1に記載の核酸配列情報のフィルタリング方法であって、
解析対象の核酸配列情報から除去したい前記rRNAの種類は、原核生物由来、ミトコンドリア由来、または葉緑体由来の16SrRNAおよび23SrRNAのうちの少なくともいずれか1種である
核酸配列情報のフィルタリング方法。
【請求項3】
請求項1に記載の核酸配列情報のフィルタリング方法であって、
前記生物由来RNA含有物の回収は、環境水、大気、土壌のうちの少なくともいずれか1種を回収源として行う
核酸配列情報のフィルタリング方法。
【請求項4】
請求項1に記載の核酸配列情報のフィルタリング方法であって、
前記特定したrRNAの種類の配列情報として、前記特定したrRNAの種類ごとに、1種類の任意の生物種のrRNAの配列情報を取得する
核酸配列情報のフィルタリング方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本開示は、核酸配列情報のフィルタリング方法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
特定の環境下で生息する生物の多様性などを調査するために、調査対象である環境中から生物由来核酸を含む環境核酸を回収し、回収した生物由来核酸を解析する作業が進められている。特に、生物由来核酸としてリボ核酸(RNA)を回収して解析する場合には、生物由来核酸を取得した環境における生物由来核酸の採取時の状態を反映する解析結果を得ることが可能になり、また、実際に環境中で発現されている遺伝子の状態を解析することが可能になる。生物由来核酸を解析するためには、上記特定の環境を構成するある程度広い範囲から生物由来核酸を回収し、回収した生物由来核酸を用いて種々の生物種について網羅的な解析を行うことが望まれる。そして、環境中の生物多様性を調べる際に、解析を効率的に行うためには、回収した生物由来核酸から、解析対象とすることが適切ではない核酸配列を除去することが望ましい。
【0003】
回収した核酸サンプルから解析対象とすることが適切ではない核酸配列情報を除去する方法としては、例えば、回収した核酸サンプルから得られる核酸配列情報から、生物多様性等の所望の解析に寄与しないと考えられる特定の生物種のゲノム配列情報を除去する方法が挙げられる。解析に寄与しないと考えられる特定の生物種のゲノム配列情報を除去する技術の例としては、ヒトから生物由来核酸を回収して核酸配列情報を得て、得られた核酸配列情報から既知のヒトゲノム配列情報を除去し、残余の核酸配列情報を用いて病原体や腸内細菌などに係る核酸配列情報を解析する技術が知られている。具体的には、例えば、患者から核酸サンプル(RNA)を回収して核酸配列情報を得て、得られた核酸配列情報から既知のヒトゲノム配列情報を除去し、残余の核酸配列情報を用いて新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の解析を行う技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。さらに、関連する技術として、核酸配列情報から核酸の回収源であるヒト由来のDNAの配列情報を除去するためのツール(フレームワーク)が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
Sun Zhaoyang et al., "Clinical characteristics of the host DNA-removed metagenomic next-generation sequencing technology for tectiong SARS-CoV-2, revealing host local immune signaling and assisting genomic epidemiology", Frontiers in Immunology, 15 November 2022, DOI:10.3389/fimmu.2022.1016440
Robert Schmieder et al., "Fast Identification and Removal of Sequence Contamination from Genomic and Metagenomic Datasets", PLoS ONE, March 2011;6(3).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、どのような生物がどれくらい存在するのかがわからない環境中の生物由来核酸を解析する場合には、解析対象とすることが適切ではない核酸配列としてゲノム配列情報を除去すべき生物種を特定することが困難となる。また、ゲノム配列情報を解析対象から除去すべき生物種を特定できる場合であっても、特定した生物種の全ゲノム配列が未解読である場合には、回収した生物由来核酸の配列情報からゲノム配列情報を除去することができない。そのため、どのような生物がどれくらい存在するのかがわからない環境中の生物由来核酸を解析する場合であっても、解析対象とすることが適切ではない核酸配列を、回収した生物由来核酸から効率よく除去する技術が望まれていた。
【0006】
回収した生物由来核酸から解析対象とすることが適切ではない核酸配列を除去する他の方法として、リボ核酸(RNA)を解析対象とする場合には、生物由来RNA中に多量に存在するrRNAを除去する方法が考えられる。解析対象からrRNAの配列を除去する方法としては、環境中から回収したRNAサンプル中のrRNAを、予め実験的に分解除去する方法が知られている。しかしながら、実験的にrRNAを分解する場合には、分解の過程でサンプリングしたRNAの歩留まりが低下するため、環境中の存在量が比較的少ないRNAが由来する生物種の特定が困難になる等の不都合が生じる可能性がある。
【0007】
また、解析対象からrRNAの配列を除去する方法としては、塩基配列が解読されてデータベースに格納されている種々の生物種のrRNAの配列情報を、回収した生物由来核酸の配列情報から除去する方法も考えられる。しかしながら、すべての生物種のrRNA情報が解読されているわけではないため、所望の生物種のrRNA配列を除去できない場合があり、また、データベース内のすべてのrRNAの配列情報を解析対象から除去する場合には、除去のためのデータ処理における処理負担が大きく採用し難い場合がある。このように、どのような生物がどれくらい存在するのかがわからない環境中の生物由来RNAを解析する場合に、効率よく簡便な方法により解析対象からrRNAの配列を除去する方法については、十分な検討がされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本開示の一形態によれば、核酸配列情報のフィルタリング方法が提供される。この核酸配列情報のフィルタリング方法は、生物由来RNAを含有する生物由来RNA含有物を回収して、前記生物由来RNA含有物から生物由来RNAを抽出し、抽出した前記生物由来RNAから、次世代シーケンシング(NGS)によって塩基配列が読まれた核酸リードを取得し、rRNAのうち、解析対象の核酸配列情報から除去したいrRNAの種類を特定して、特定したrRNAの種類の配列情報であって、rRNAの配列情報が既知である任意の生物種のrRNAの配列情報を取得し、取得した前記任意の生物種のrRNAの配列情報をリファレンス配列として、前記核酸リードを用いたマッピングを行い、前記リファレンス配列上にアライメントされた前記核酸リード以外の残余の核酸リードを、解析対象の核酸配列情報として取得する。
この形態の核酸配列情報のフィルタリング方法によれば、回収した生物由来RNA含有物から抽出した生物由来RNAより取得した核酸リードを解析する際に、解析対象の核酸配列情報から除去したいrRNAの種類を特定する。そして、特定したrRNAの種類の配列情報であって、rRNAの配列情報が既知である任意の生物種のrRNAの配列情報をリファレンス配列としてマッピングを行い、アライメントされなかった核酸リードを取得することによって、上記核酸リードのフィルタリングを行う。そのため、回収した生物由来RNAにおいて、どのような生物がどれくらい存在するのかがわからない場合であっても、効率よく簡便な方法により、解析対象の核酸リードからrRNAの配列を除去することができる。このように、解析対象の核酸リードからrRNAの配列を除去することにより、解析の対象として用いる核酸リードにおいて、解析の対象としたいRNA配列の割合を増加させることができる。
(2)上記形態の核酸配列情報のフィルタリング方法において、解析対象の核酸配列情報から除去したい前記rRNAの種類は、原核生物由来、ミトコンドリア由来、または葉緑体由来の16SrRNAおよび23SrRNAのうちの少なくともいずれか1種であることとしてもよい。このような構成とすれば、解析の対象として用いる核酸リードから、16SrRNAおよび23SrRNAのうちの少なくとも一方の配列を、広い生物種の範囲にわたって効率よく除去することができる。
(3)上記形態の核酸配列情報のフィルタリング方法において、前記生物由来RNA含有物の回収は、環境水、大気、土壌のうちの少なくともいずれか1種を回収源として行うこととしてもよい。このような構成とすれば、環境水、大気、土壌のうちの少なくともいずれか1種から採取される生物由来RNAを解析する際に、解析対象の生物由来RNAからのrRNA配列の除去を、広い生物種の範囲にわたって効率よく行うことができる。
(4)上記形態の核酸配列情報のフィルタリング方法において、前記特定したrRNAの種類の配列情報として、前記特定したrRNAの種類ごとに、1種類の任意の生物種のrRNAの配列情報を取得することとしてもよい。このような構成とすれば、解析対象の核酸配列情報からrRNAの配列情報を除去する際の処理負担を軽減しつつ、効率よくrRNAの配列情報を除去することができる。
本開示は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、生物由来核酸の解析方法、生物多様性の調査方法、生物多様性のモニタリング方法などの形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
実施形態の核酸配列情報のフィルタリング方法を表すフローチャート。
8本のコンティグについてのblast検索結果とマップ率とを示す説明図。
GenBankに登録されたrRNA配列にマッピングを行った結果を示す説明図。
GenBankに登録されたrRNA配列にマッピングを行った結果を示す説明図。
フィルタリング後のリードをblast検索した結果を示す説明図。
16SrRNAの配列をアライメントして配列間の相同性を示した説明図。
23SrRNAの配列をアライメントして配列間の相同性を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の実施形態としての核酸配列情報のフィルタリング方法を表すフローチャートである。本実施形態の核酸配列情報のフィルタリング方法は、例えば、調査対象である環境中から生物由来RNAを回収し、回収した生物由来RNAを解析することによって、調査対象である環境下で生息する生物の多様性などを調査する際に用いることができる。本実施形態の核酸配列情報のフィルタリング方法は、回収した生物由来RNAの解析等を行う際に、回収した生物由来RNAの配列情報から、解析対象として用いることが適切ではない核酸配列としてrRNAの配列情報を除去するための方法である。
(【0011】以降は省略されています)
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