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公開番号2025008264
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2023110266
出願日2023-07-04
発明の名称試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法
出願人三浦工業株式会社
代理人個人
主分類C12N 1/02 20060101AFI20250109BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】微生物の生体と死骸とを含む試料液から誘電泳動により生体を抽出する。
【解決手段】誘電泳動装置1の泳動器10に設けられた流路113に第2シリンジポンプ124からの泳動媒体を充填した後、電圧印加部20により電極部14に交流電圧を印加して第1シリンジポンプ123から流路113へ試料液を供給し、試料液中の生体を電極部14により捕捉する。電極部14への電圧印加を維持した状態で第2シリンジポンプ124から流路113へ泳動媒体をさらに供給し、流路113内の残留液を排出管130から廃液槽134へ流して泳動媒体により置換した後、電極部14への電圧印加を解除して第2シリンジポンプ124から流路113へ泳動媒体をさらに供給し、流路113からの流出液を排出管130を通じて回収器135に回収する。微生物の生体は流出液に含まれた状態で回収器135に回収され、廃液槽134へ流れた残留液中の死骸と分離される。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
一端に導入部を有しかつ他端に排出部を有する流路を備えた泳動器と、前記流路において前記導入部と前記排出部との間に配置された電極と、前記電極への電圧印加部とを備えた誘電泳動装置を用い、微生物の生体と死骸とを含む試料液から前記生体を抽出するための方法であって、
前記電圧印加部による前記電極への電圧印加を維持した状態で前記導入部から前記流路へ前記試料液を供給する工程1と、
工程1の後、前記電圧印加部による前記電極への電圧印加を維持した状態で前記導入部から前記流路へ泳動媒体を供給し、供給された前記泳動媒体により前記流路内の残留液を置換する工程2と、
工程2の後、前記電圧印加部による前記電極への電圧印加を解除した状態で前記導入部から前記流路へ前記泳動媒体をさらに供給し、前記排出部からの流出液を回収する工程3と、
を含み、
前記泳動媒体は、前記電圧印加部により電圧を印加された前記電極が前記生体を選択的に捕捉可能な電気伝導度を有するものであり、
前記試料液は、前記泳動媒体に前記微生物を含むものである、
試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
続きを表示(約 1,400 文字)【請求項2】
工程1の前に、前記泳動媒体を前記導入部から供給し、前記流路を前記泳動媒体により充填する準備工程をさらに含む、請求項1に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項3】
前記導入部は前記流路に連絡する導入管並びに前記導入管から分岐した第1導入口および第2導入口を備え、前記試料液および前記泳動媒体をそれぞれ前記第1導入口および第2導入口から前記導入管を通じて供給する、請求項1に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項4】
前記導入部は前記流路にそれぞれ連絡する第1導入口および第2導入口を備えかつ第1導入口が第2導入口と前記電極との間に設けられており、前記試料液および前記泳動媒体をそれぞれ第1導入口および第2導入口から供給する、請求項1に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項5】
工程2の前に、前記電圧印加部による前記電極への電圧印加を維持した状態で第2導入口から前記流路へ前記泳動媒体を供給し、工程1において第1導入口から前記流路へ供給した前記試料液を前記電極に向けて圧送する工程2Aをさらに含む、請求項3または4に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項6】
工程2Aに続いて前記電圧印加部による前記電極への電圧印加を維持しながら第2導入口から前記流路に向けて前記泳動媒体を供給し、供給された前記泳動媒体の少なくとも一部を第1導入口へ吸引する工程2Bをさらに含む、請求項5に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項7】
前記微生物が耐酸性微生物である、請求項1に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項8】
前記試料液は前記耐酸性微生物を含む検水に由来のものであって、前記試料液は、
前記耐酸性微生物が耐性を示す酸性領域に前記検水のpHを調整する工程Aと、
工程Aで調整した前記検水のpH値を含む高pH領域において負極性の電荷を有しかつ前記耐酸性微生物が通過可能なろ過材に対し、工程AにおいてpHを調整した前記検水を通過させる工程Bと、
工程Bを経た前記ろ過材に対し、前記耐酸性微生物が耐性を示す酸性領域のpHでありかつ前記電圧印加部により電圧を印加された前記電極が前記生体を選択的に捕捉可能な電気伝導度を有する泳動媒体Aを通過させる工程Cと、
工程Cを経た前記ろ過材に対して前記耐酸性微生物の等電点より高pHでありかつ前記電圧印加部により電圧を印加された前記電極が前記生体を選択的に捕捉可能な電気伝導度を有する泳動媒体Bを通過させ、通過液を確保する工程Dと、
を含む検水処理工程により調製されたものである、請求項7に記載の試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法。
【請求項9】
請求項1に記載の微生物の生体の抽出方法の工程3において回収した流出液の検査工程を含む、
試料液に含まれる微生物の検査方法。
【請求項10】
前記検査工程は、
前記流出液に含まれる微生物の生体から核酸を抽出する工程と、
抽出された前記核酸を核酸増幅法により検査する工程と、
を含む、
請求項9に記載の試料液に含まれる微生物の検査方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、試料液に含まれる微生物の生体の抽出方法、特に、一端に導入部を有しかつ他端に排出部を有する流路を備えた泳動器と、流路において導入部と排出部との間に配置された電極と、電極への電圧印加部とを備えた誘電泳動装置を用い、微生物の生体と死骸とを含む試料液から生体を抽出するための方法に関する。
続きを表示(約 2,700 文字)【背景技術】
【0002】
飲用水や浴槽水などの生活用水は、水源や環境などの諸要因により種々の微生物を微量に含むことがあり、その含有量が一定量を超えると感染症等を誘発するおそれがある。例えば、公衆浴場や宿泊施設での循環式の温泉水や浴槽水、或いは、クーリングタワーの循環冷却水において屡々検出されるレジオネラ属菌は、耐酸性微生物であってポンティアック熱や重篤な肺炎(レジオネラ肺炎)等の疾病の原因となる病原菌である。そこで、温泉水等の浴槽水については、条例によりレジオネラ属菌の規制値が10CFU/100mL未満と規定されるとともに、年に一度のレジオネラ属菌の検査が義務付けられており、また、クーリングタワーの循環冷却水については、別途100CFU/100mL未満の推奨値が設けられるとともに同様の検査が推奨されている。
【0003】
浴槽水や循環冷却水に含まれるレジオネラ属菌が規制値を超えるか否かを判定するための標準的な検査方法として、例えば非特許文献1、2において規定された培養法が用いられている。しかし、培養法は、培養に日数を要することから、検査対象からの検水の採取から結果の判定までに少なくとも10日前後の長期間を要し、この点が浴槽水や循環冷却水等の水質管理上の難点である。そこで、非特許文献1は、浴槽水が水質基準に適合しているか否かを判断するための検査方法として、レジオネラ属菌の生菌の核酸を定量的に検出可能な迅速検査法であるLC EMA-qPCR法(非特許文献3、4)を認めている。LC EMA-qPCR法では、検水をろ過濃縮後に酸処理することで検水中の夾雑微生物の生息を抑制し、レジオネラ属菌を選択的に増殖するための液体培養(Liquid Culture(LC))を開始する。続いて、液体培養された試料に対して選択的膜透過性色素であるエチジウムモノアジド(EMA)を添加するとともに光照射し、それによって生息を抑制された夾雑微生物およびレジオネラ属菌の死骸に由来の核酸をEMAにより修飾した後、この試料に対して迅速検査法であるリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法(qPCR法)を適用する。このqPCR法においては、生息を抑制された夾雑微生物およびレジオネラ属菌の死骸の両者に由来の核酸がEMAにより修飾されることでポリメラーゼ連鎖反応の鋳型とならないことから、レジオネラ属菌の生菌に由来の核酸が選択的に増幅し、当該生菌に由来の核酸を選択的に検出することができる。LC EMA-qPCR法によれば、浴槽水についてレジオネラ属菌に係る水質基準の適合・不適合を培養法よりも大幅に短縮された2日で判定可能とされている。
【0004】
しかし、LC EMA-qPCR法は夾雑微生物等による汚れの比較的少ない浴槽水を検査対象とするものであり、夾雑微生物等、特に、レジオネラ属菌の死菌による汚染度の高い循環冷却水が検査対象の場合は検査精度が低下する。
【0005】
一方、試料液中に含まれる細菌の量を簡単に検査可能な方法として、特許文献1は誘電泳動を用いた方法を開示している。この方法は、誘電泳動装置において高周波の交流電圧を印加することで試料液に含まれる細菌の生菌を選択的に捕捉し、そのときのインピーダンス変化を測定することで試料液中の生菌を定量評価するものである。
【0006】
誘電泳動は試料水中の生菌を選択的に捕捉可能であることから、死菌による汚染度の高い循環冷却水に由来の試料水についても誘電泳動により死菌を分離し、捕捉した生菌をLC EMA-qPCR法に適用すれば、生菌の高精度な検査が可能となる。しかし、特許文献1に記載された誘電泳動装置は、生菌を捕捉した状態のインピーダンスを測定するものであることから、捕捉した生菌を誘電泳動装置から取り出すのが困難である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
令和元年9月19日 厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長通知「公衆浴場における浴槽水等のレジオネラ属菌検査方法について」
日本工業規格 JIS K 0350-50-10:2006、「工業用水・工場排水中のレジオネラ試験方法」
タカラバイオ株式会社、レジオネラ属菌検査 生菌検出法(LC EMA-qPCR法) [検索日 2023.07.04]、インターネット <URL:https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100007673>
タカラバイオ株式会社、Viable Bacteria Selectionシステムによる生菌由来DNAの選択的検出(EMA-PCR法) [検索日 2023.07.04]、インターネット <URL:https://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.php?unitid=U100006890#ema-pcr>
【特許文献】
【0008】
特開2007-006858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、誘電泳動を利用し、微生物の生体と死骸とを含む試料液から生体を容易に抽出できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一端に導入部を有しかつ他端に排出部を有する流路を備えた泳動器と、流路において導入部と排出部との間に配置された電極と、電極への電圧印加部とを備えた誘電泳動装置を用い、微生物の生体と死骸とを含む試料液から生体を抽出するための方法に関する。この抽出方法は、電圧印加部による電極への電圧印加を維持した状態で導入部から流路へ試料液を供給する工程1と、工程1の後、電圧印加部による電極への電圧印加を維持した状態で導入部から流路へ泳動媒体を供給し、供給された泳動媒体により流路内の残留液を置換する工程2と、工程2の後、電圧印加部による電極への電圧印加を解除した状態で導入部から流路へ泳動媒体をさらに供給し、排出部からの流出液を回収する工程3とを含む。ここで、泳動媒体は、電圧印加部により電圧を印加された電極が生体を選択的に捕捉可能な電気伝導度を有するものであり、試料液は、泳動媒体に微生物を含むものである。
(【0011】以降は省略されています)

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