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公開番号2025016203
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-31
出願番号2023119331
出願日2023-07-21
発明の名称アルギニン非分解性乳酸菌株の取得方法
出願人ヤマサ醤油株式会社
代理人
主分類C12N 1/20 20060101AFI20250124BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】アルギニンデイミナーゼ経路が機能欠損しているなど、アルギニン非分解性の乳酸菌株を優占的に生育させる方法を確立することにより、多様な乳酸菌株の中からアルギニン非分解性の乳酸菌株を選抜し、あるいは特定の菌株からアルギニン非分解性変異菌株を取得することを容易にすることで、醤油等の発酵食品の製造に使用可能な発酵スターターを効率的に取得する。
【解決手段】乳酸菌をアルギニンの類縁化合物を含む培地で培養することで、アルギニン非分解性乳酸菌株を優占的に生育させることにより、発酵食品の製造に適した乳酸菌株を効率的に選抜し、あるいはアルギニン非分解性乳酸菌発酵スターターを効率的に取得する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
(1)乳酸菌を、アルギニンの類縁化合物を含む液体培地中で培養する工程、
(2)培養した乳酸菌の中から、アルギニン非分解性の乳酸菌株を選抜する工程を含む、
アルギニン非分解性乳酸菌株の取得方法。
続きを表示(約 340 文字)【請求項2】
乳酸菌を、アルギニンの類縁化合物を含む液体培地中で培養することにより、アルギニン非分解性乳酸菌株を含む発酵スターターを製造する方法。
【請求項3】
アルギニンの類縁化合物がカナバニンである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
液体培地中での培養を、菌数が10

~10
10
cfu/培地mLになるまで行う、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
乳酸菌がテトラジェノコッカス属に属する乳酸菌である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
請求項1で取得したアルギニン非分解性乳酸菌株を発酵スターターに使用する、醸造食品の製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、アルギニン非分解性乳酸菌株の取得方法に関するものである。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
テトラジェノコッカス・ハロフィラス(Tetragenococcus halophilus)などの乳酸菌は、醤油をはじめ漬物、チーズなどの発酵食品の生産において欠くことのできない有用な細菌であり、有機酸をはじめとする各種の成分を生成することにより、当該食品のpHを降下させ、特徴的な香味を付与する役割を担っている。発酵食品の製造、例えば醤油の醸造においては、これらの乳酸菌のうち、好ましい性質を保有する優良菌株を適宜発酵スターターとして添加することにより、品質のすぐれた醤油を得ることが可能となる。
【0003】
乳酸菌の中には、菌体内のアルギニンをシトルリンやオルニチンに変換する反応を含む、アルギニンデイミナーゼ経路(Arginine deiminase pathyway)を有する菌株が存在することが知られている。アルギニンデイミナーゼ経路の代謝産物であるシトルリンは、発がん性が指摘されるカルバミン酸エチルの前駆体となるため、発酵食品の製造に発酵スターターとして用いられる菌株としては、アルギニンデイミナーゼ経路を有しない菌株が一般に好まれる(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、自然界から分離される乳酸菌の多くはアルギニンデイミナーゼ経路を有する(非特許文献1)。したがって、発酵スターターとしてアルギニンデイミナーゼ経路を有しない菌株を使用する場合、野生の乳酸菌の中から、アルギニンデイミナーゼ経路を有さず発酵スターターに適した菌株を選別する必要があった。
【0005】
近年、アルギニンデイミナーゼ経路を有する乳酸菌を親株として、アルギニンデイミナーゼ経路を有しない変異菌株を育種可能であることが報告された(非特許文献2)。しかしこの方法では、2万株の親株からわずか5株の育種に成功したのみであり、目的とする菌株の選抜に多大な労力を要するため、実用的な方法とは言い難かった。
【0006】
一方、アルギニンの類縁化合物であるカナバニンを寒天培地に添加し、当該培地上で酵母を播種後、生育するコロニーをもとにカナバニン耐性を有する株を得ることで、アルギニンの細胞内への取り込み能を喪失した有用菌株等を取得する方法が知られる(非特許文献3、4)。しかしながら、発酵食品の製造に用いる乳酸菌に用いられた例はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
特開平5-227914
特開2013-202008
飯塚庚一, 後安正夫. 調味科学, 1973, 20, 17.
Wakinaka & Watanabe, Applied and Environmental Microbiology, 2019, 85, e00208-19.
秋田,日本醸造協会誌,1989年 第84巻第2号 96-99頁
高峯,鹿工技ニュース,1996年4月 No.33 8-9頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
すなわち、本願発明の課題は、アルギニンデイミナーゼ経路が機能欠損しているなど、アルギニン非分解性の乳酸菌株を優占的に生育させる方法を確立することにより、多様な乳酸菌株の中からアルギニン非分解性の乳酸菌株を選抜し、あるいは特定の菌株からアルギニン非分解性変異菌株を取得することを容易にすることで、醤油等の発酵食品の製造に使用可能な発酵スターターを効率的に取得する方法を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、アルギニン合成系を有しない乳酸菌では、アルギニンの取り込み能を喪失すると菌が生存できないこと、そして、カナバニン等のアルギニンの類縁化合物が、アルギニンデイミナーゼ経路を有する乳酸菌株の生育を抑制することを新たに発見した。これらに加えて、アルギニン非分解性乳酸菌株は、アルギニンの類縁化合物によって生育が抑制されにくいことから、アルギニンの類縁化合物を含む液体培地中で乳酸菌を培養することにより、アルギニン非分解性乳酸菌株を優占的に生育させ、効率的に選抜できることを明らかにした。
【0010】
すなわち、本願発明は、乳酸菌をアルギニンの類縁化合物を含む培地で培養することで、アルギニン非分解性乳酸菌株を優占的に生育させることを特徴とする、発酵食品の製造に適した乳酸菌株の効率的な選抜方法およびアルギニン非分解性乳酸菌発酵スターターの効率的な取得方法に関するものである。
【発明の効果】
(【0011】以降は省略されています)

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