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公開番号2025043944
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-04-01
出願番号2023151559
出願日2023-09-19
発明の名称ウイルスからの核酸抽出法
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C12Q 1/70 20060101AFI20250325BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】熱処理工程を行うことなく、より簡便に試料中のウイルス由来の核酸を抽出、検出する方法およびキットを提供する。
【解決手段】本発明は、以下の工程:
(1)前記試料を、アルカリとキレート剤とを含む抽出剤に接触させ、核酸抽出液を生成させる工程、
(2)工程(1)で得られた核酸抽出液を核酸増幅用組成物と混合し、核酸増幅反応液を得る工程、
(3)工程(2)で得られた核酸増幅反応液を用いて核酸を増幅する工程、を含むことを特徴とする、ウイルスを含み得る試料から核酸を検出する方法を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ウイルスを含み得る試料から核酸を検出する方法であって、
(1)前記試料を、アルカリとキレート剤とを含む抽出剤に接触させ、核酸抽出液を生成させる工程、
(2)工程(1)で得られた核酸抽出液を核酸増幅用組成物と混合し、核酸増幅反応液を得る工程、
(3)工程(2)で得られた核酸増幅反応液を用いて核酸を増幅する工程、を含むことを特徴とする方法。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記核酸抽出液を前記核酸増幅用組成物と混合する前に熱処理を行わない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記工程(1)が室温で実施される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工程(1)が30℃以下で実施される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記工程(3)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温核酸増幅法のいずれかの方法によって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記工程(3)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、糞便、胆汁、尿、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、喀痰、肺吸引物、脳脊髄液、うがい液、唾液、涙液、血液、培養細胞、培養液、食品、河川水、雨水、海水、下水、風呂水、温泉水、プール水、土壌、及び環境から回収された試料からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ウイルスが、エンベロープ性または非エンベロープ性のRNAウイルスである請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記エンベロープ性のウイルスが、インフルエンザウイルスである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非エンベロープ性のウイルスが、ノロウイルスである請求項8に記載の方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスの検出のための核酸増幅の分野に関する。より具体的には試料の熱処理を行うことなく、試料に含まれ得るウイルスに由来する核酸を検出するための方法ならびにキットに関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。代表的な核酸増幅法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。アニーリングと伸長を同温度で、2ステップで行う場合もある。
【0003】
核酸増幅法としてPCRの他、等温核酸増幅法が用いられることもある。等温核酸増幅法は、PCRと異なり、温度を上げ下げする必要がなく一定の温度で増幅する方法である。代表的な等温核酸増幅法として、LAMP(Loop-mediated isothermal amplification)、TMA(Transcription Mediated Amplification)、NEAR(Nicking Endonuclease Amplification Reaction)、SDA(Strand displacement amplification)、HDA(Helicase-dependent amplification)、NASBA(Nucleic Acid Sequences Based Amplification)、SPIA(Single primer isothermal amplification)などが挙げられる。
【0004】
核酸増幅法を利用した検査の対象となる試料は目的に応じて様々である。感染症原因菌の検出であれば、原因菌が存在しうる試料、すなわち、糞便、尿、血液、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、喀痰、唾液をはじめとする生体由来試料などである。食品衛生検査であれば食品、あるいは食品取扱者から採取された糞便や尿など、環境衛生検査であれば土壌や河川水、雨水、海水、下水などの環境水、製造設備等の拭き取り試料などである。
【0005】
試料から細菌を検出する場合、細菌から核酸を抽出したのち、核酸増幅を行う必要がある。細菌から核酸を抽出する方法として、さまざまな手法がある。
たとえば、特許文献1には、アルカリ熱抽出によって核酸を抽出する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特許第5884108号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の方法に記載されるようなアルカリ処理だけでは核酸の抽出効率が十分でなく、別途試料を加熱処理する必要があり、時間がかかる。また、加熱処理工程をなくして時短を図るためにアルカリの濃度を高くすると、直接核酸増幅反応液に添加すると核酸増幅酵素が失活し、核酸増幅が阻害される要因となり、核酸抽出液を中和する工程が必要となるため、やはり時短を達成することができないという課題を本発明者等は見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、核酸増幅を阻害しない濃度のアルカリと、キレート剤とを含む抽出剤を用いることで、事前の核酸精製や熱処理を行わずにウイルスより核酸を抽出できることを見出し本発明に到達した。
【0009】
すなわち、代表的な本願発明は、以下の通りである。
[項1]
ウイルスを含み得る試料から核酸を検出する方法であって、
(1)前記試料を、アルカリとキレート剤とを含む抽出剤に接触させ、核酸抽出液を生成させる工程、
(2)工程(1)で得られた核酸抽出液を核酸増幅用組成物と混合し、核酸増幅反応液を得る工程、
(3)工程(2)で得られた核酸増幅反応液を用いて核酸を増幅する工程、を含むことを特徴とする方法。
[項2]
前記核酸抽出液を前記核酸増幅用組成物と混合する前に熱処理を行わない、項1に記載の方法。
[項3]
前記工程(1)が室温で実施される、項1または2に記載の方法。
[項4]
前記工程(1)が30℃以下で実施される、項1~3のいずれか1つに記載の方法。
[項5]
前記工程(3)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温核酸増幅法のいずれかの方法によって実施される、項1~4のいずれか1つに記載の方法。
[項6]
前記工程(3)が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって実施される、項5に記載の方法。
[項7]
前記試料が、糞便、胆汁、尿、咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、喀痰、肺吸引物、脳脊髄液、うがい液、唾液、涙液、血液、培養細胞、培養液、食品、河川水、雨水、海水、下水、風呂水、温泉水、プール水、土壌、及び環境から回収された試料からなる群より選択される少なくとも1種である項1~6のいずれか1つに記載の方法。
[項8]
前記ウイルスが、エンベロープ性または非エンベロープ性のRNAウイルスである項1~7のいずれか1つに記載の方法。
[項9]
前記エンベロープ性のウイルスが、インフルエンザウイルスである項8に記載の方法。
[項10]
前記非エンベロープ性のウイルスが、ノロウイルスである項8に記載の方法。
[項11]
前記アルカリが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選択される少なくとも1つ若しくは当該少なくとも1つのアルカリの溶液であるか、又は、トリス緩衝液、グリシン緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、若しくはグッド緩衝液である、項1~10のいずれか1つに記載の方法。
[項12]
前記核酸抽出液中における前記アルカリの濃度が、0.01N~2Nである、項1~11のいずれか1つに記載の方法。
[項13]
前記キレート剤がエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(EGTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、トリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)、グルタミン酸二酢酸(GLDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、メチレンホスホン酸(NTMP)、ホスホノブタントリカルボン酸(PBTC)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(EDTMP)、クエン酸、シュウ酸、フィチン酸、及びグルコン酸からなる群より選択される少なくとも1つである、項1~12のいずれか1つに記載の方法。
[項14]
前記核酸抽出液中における前記キレート剤の濃度が、0.5mM~100mMである、項1~13のいずれか1つに記載の方法。
[項15]
(a)アルカリ又はその溶液と、キレート剤又はその溶液とを含むか、または、
(b)アルカリおよびキレート剤またはそれらの溶液を含む、
熱処理を行うことなく、ウイルスを含み得る試料から核酸を抽出するための核酸抽出用キット。
[項16]
請求項1に記載の方法に使用するためのウイルスの検出用キットであって、
(a)アルカリ又はその溶液と、キレート剤又はその溶液と、核酸増幅用組成物とを含むか、
(b)アルカリおよびキレート剤またはそれらの溶液と、核酸増幅用組成物とを含むキット。
[項17]
前記工程(1)が室温で実施される、項15または16に記載のキット。
[項18]
前記工程(1)が30℃以下で実施される、項15~17のいずれか1つに記載のキット。
[項19]
前記核酸増幅用組成物が耐熱性DNAポリメラーゼを含む項16~18のいずれか1つに記載のキット。
[項20]
前記核酸の検出領域に対応するハイブリダイゼーションプローブをさらに含むことを特徴とする項16~19のいずれか1つに記載のキット。
[項21]
前記ウイルスが、エンベロープ性または非エンベロープ性のRNAウイルスである項15~20のいずれか1つに記載のキット。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法によれば、核酸増幅を阻害しない濃度のアルカリと、キレート剤とを含む抽出剤を用いることで、試料の熱処理を行わずに核酸を検出することができる。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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