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公開番号2025114612
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-08-05
出願番号2025071230,2024069793
出願日2025-04-23,2020-10-22
発明の名称熱収縮性ポリエステル系フィルムロール
出願人東洋紡株式会社
代理人
主分類C08J 5/18 20060101AFI20250729BHJP(有機高分子化合物;その製造または化学的加工;それに基づく組成物)
要約【課題】 ペットボトルリサイクル原料を含有しても、フィルムロール内での熱収縮率の変動に起因する熱収縮工程でのシワやタテヒケなどの不良の発生を低減する熱収縮性ポリエステルフィルムロールを提供すること。
【解決手段】 ペットボトル再生原料を5質量%以上50質量%以下含有すると共に、イソフタル酸成分を含有するポリエステルから構成される熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールであり、以下の要件(1)~(3)を満足することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
(1)ロール長手方向に100mピッチで採取したフィルムサンプルを、90℃温湯中に10秒浸漬させた時の主収縮方向における収縮率が、主収縮方向で平均値が40%以上であり、すべてのサンプルにおいての収縮率が平均値±3%以内であること
(2)ロール長手方向に100mピッチで採取したフィルムサンプルにおいて、フィルムを構成するポリエステルは、の全酸成分100モル%中におけるイソフタル酸含有比率が全てその平均値±0.3mol%以内であること
(3)ロール長手方向の厚みムラが20%以下であること
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
ペットボトル再生原料を5質量%以上45質量%以下含有すると共に、イソフタル酸成分を含有するポリエステルから構成され、該ポリエステルは全構成成分100モル%に対してエチレンテレフタレートを50モル%以上含有すると共に、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,2-ジエチル1,3-プロパンジオール、2-n-ブチル2-エチル1,3-プロパンジオール、2,2-イソプロピル1,3-プロパンジオール、2,2-ジn-ブチル1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、及びヘキサンジオールからなる群より選択されてなる1種以上のモノマー成分を、多価アルコール成分100モル%中あるいは多価カルボン酸成分100モル%中の合計量が14モル%以上となる量で含有し、3価以上の多価カルボン酸成分を含有しない、厚みが5μm以上40μm以下の熱収縮性ポリエステル系フィルムからなるフィルムロールであり、以下の要件(1)~(3)を満足することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
(1)ロール長手方向に100mピッチで採取したフィルムサンプルを、90℃温湯中に10秒浸漬させた時の主収縮方向における収縮率が、平均値が40%以上であり、すべてのサンプルにおいて平均値±3%以内であること
(2)ロール長手方向に100mピッチで採取したフィルムサンプルにおいて、フィルムを構成するポリエステルは、全酸成分100モル%中におけるイソフタル酸含有比率が全てその平均値±0.3mol%以内であること
(3)ロール長手方向の厚みムラが20%以下であること
続きを表示(約 370 文字)【請求項2】
熱収縮ポリエステル系フィルムが、少なくともペットボトル再生原料と1種類以上の組成の異なるポリマーチップの混合物から形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
【請求項3】
熱収縮性ポリエステルフィルムを構成するポリエステルが、エチレンテレフタレートを主たる構成成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。
【請求項4】
ロール長手方向に100mピッチで採取したフィルムサンプルにおいて、フィルムを構成するポリエステルは、全酸成分100モル%中におけるイソフタル酸含有比率の平均値が0.3モル%以上3.0モル%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の熱収縮性ポリエステル系フィルムロール。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性ポリエステル系フィルムを巻き取ってなるフィルムロールに関する。さらに詳しくは、ペットボトルリサイクル原料を使用していながら、高い収縮性を有し、フィルムロール長手方向の収縮物性のばらつきが小さく、後工程での収縮不足、収縮ムラ、歪み、タテ引け等の不良発生が少ない熱収縮性ポリエステル系フィルムロールに関するものである。
続きを表示(約 2,500 文字)【背景技術】
【0002】
近年、ガラス瓶やペットボトル等の保護と商品の表示を兼ねたラベル包装、キャップシール、集積包装等の用途に、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等からなる延伸フィルム(所謂、熱収縮性フィルム)が広範に使用されるようになってきている。そのような熱収縮性フィルムの内、ポリ塩化ビニル系フィルムは、耐熱性が低い上に焼却時に塩化水素ガスを発生したり、ダイオキシンの原因となる等の問題がある。また、ポリスチレン系フィルムは、耐溶剤性に劣り、印刷の際に特殊な組成のインキを使用しなければならない上、高温で焼却する必要があり、焼却時に異臭を伴って多量の黒煙が発生するという問題がある。それゆえ、耐熱性が高く、焼却が容易であり、耐溶剤性に優れたポリエステル系の熱収縮性フィルムが、収縮ラベルとして広汎に利用されるようになってきており、PET容器(ペットボトル)の流通量の増大に伴って、使用量が増加している傾向にある。
【0003】
しかし、一方でペットボトル使用量の飛躍的な増大により、ごみ問題や省資源が社会的な課題となっている。その対策のひとつとして、使用済みのペットボトルを回収し、資源として再度使用する(リサイクル)動きが活発である。
リサイクル技術としては、主にメカニカルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルなどがあるが、その中でもメカニカルリサイクルが最も広く普及しており、使用済みの容器を選別、粉砕、洗浄を行い、押出機で再度樹脂チップ化し、その後、再びペットボトルまたは繊維やフィルムに加工され使用される。
【0004】
熱収縮性ポリエステル系フィルムラベルにおいても、上記のようなペットボトルリサイクル(再生)原料を一部使用することで、PETの生産、使用、廃棄にわたるライフサイクルに寄与し、環境負荷低減に貢献することが可能である。
【0005】
熱収縮性ポリエステル系フィルムは、一般的に、高い収縮性を得るためにフィルムを構成するポリエステルの結晶性を低下させる必要がある。しかしながら、ペットボトルリサイクル原料は結晶性の高い原料である。よって、ペットボトルリサイクル原料を使用する際は、非晶性の高い原料と少なくとも2種類の原料を混合して使用することが必須である。
【0006】
熱収縮性フィルムは、製造後、一旦ロール状に巻き取られ、フィルムロールの形態で、各種図柄の印刷工程へ送られ、印刷終了後は、必要に応じて、最終製品に用いられるラベル等のサイズに合わせてスリット加工され、さらに溶剤接着等の手段によりフィルムの左右端部を重ね合わせてシールしてチューブ状体にされ、チューブ状体のものを裁断して、ラベル、袋等の形態に加工される。そして、ラベルや袋状のものを容器に装着し、スチームを吹き付けて熱収縮させるタイプの収縮トンネル(熱風トンネル)の内部をベルトコンベアー等にのせて通過させ、熱収縮させて容器に密着させている。
【0007】
ところで、この熱収縮工程において、前記のラベルや袋等の単位において1個1個の熱収縮率ばらつく、つまり変動が大きいと、トンネル内の加熱条件は同じであるため、適正な熱収縮率を示さないラベルや袋等が発生することとなり、これらは収縮不足、収縮ムラ、シワ、図柄の歪み、タテヒケ等のよる外観不良を起こすため、最終製品とすることができなくなる。ここでタテヒケとは、収縮後のラベルの長さが不揃いになることで、ラベルの上端縁が下向きに湾曲するラインを描いたり、下端縁が上向きに湾曲ラインを描いたりす
る外観不良である。
【0008】
このような、熱収縮率の変動は、ロール長手方向のフィルムを構成するポリエステル組成の変動が熱収縮率に与える影響が大きい。
通常熱収縮性ポリエステル系フィルムは、各種原料チップを押出機に投入、溶融してダイスから溶融樹脂を押し出して未延伸原反を得て、その後延伸されるが、組成の変動は、各種原料チップの押出機への供給までに発生している、つまり、各種原料チップの混合が均一でなく、偏析しているために組成の変動が発生していると考えられる。
【0009】
ポリエステルフィルムに必要な成分を単一組成の原料チップにして使用する(原料チップを1種類にする)方法を採ることで、偏析は発生しないが、上述のようにペットボトルリサイクル原料を使用する場合、少なくとも2種類の原料チップを混合して使用する必要があり、偏析のリスクは存在する。つまり、ペットボトルリサイクル原料を使用する以上、長手方向の熱収縮率の変動が発生するリスクを含んでいる。例えば、ペットボトルのリサイクル工程で、粉砕・洗浄して再チップ化する際に非晶性ポリエステルを添加して、フィルムに必要な成分を全て含んだ単一組成の原料チップを得ることも不可能ではないが、リサイクル原料はフィルム以外の用途にも使用するため現実的ではない。
また、ペットボトルリサイクル原料は、様々なペットボトルを無作為に混合してリサイクルされている場合が多く、繰り返し使用により分子量等が低下しており、また高結晶化核剤等の添加剤が用いられている場合が多く、フィルムの原料として使用した場合、偏析による配合量の変動によるフィルム物性変動への影響が他の原料よりも大きく現れる悪さがあることを本願発明者らは見出した。
【0010】
特許文献1にペットボトルリサイクル原料を使用した熱収縮性ポリエステル系フィルムが記載されているが、長手方向の熱収縮率の変動についての記載はない。
特許文献2においては、ペットボトルリサイクル原料を高比率含有した熱収縮性ポリエステル系フィルムが記載されているが、記載の方法では、90℃で45%以上の収縮率を得ることは困難であり、また長手方向の熱収縮率の変動についての記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
(【0011】以降は省略されています)

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