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公開番号
2024157233
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-07
出願番号
2023071475
出願日
2023-04-25
発明の名称
抗アミラーゼ抗体
出願人
花王株式会社
代理人
弁理士法人アルガ特許事務所
主分類
C12N
15/13 20060101AFI20241030BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】ヒト唾液アミラーゼに結合する抗体及びその利用法の提供。
【解決手段】特定のアミノ酸配列からなるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ヒト唾液アミラーゼに結合する抗体。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)又は(k)で示されるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ヒト唾液アミラーゼに結合する抗体。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号3で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(b)配列番号4で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号5で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号6で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(c)配列番号7で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号8で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号9で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(d)配列番号10で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号11で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(e)配列番号13で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号14で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号15で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(f)配列番号16で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号17で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号18で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(g)配列番号19で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号20で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号21で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(h)配列番号22で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号23で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号24で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(i)配列番号25で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号26で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号27で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(j)配列番号28で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号29で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号30で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(k)配列番号31で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号32で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号33で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
続きを表示(約 3,700 文字)
【請求項2】
(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)又は(k)におけるアミノ酸の置換が下記の置換である、請求項1記載の抗体。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、2番目のイソロイシン残基のロイシン残基への置換、4番目のアスパラギン酸残基のアラニン残基への置換、5番目のセリン残基のアルギニン残基への置換、及び7番目のアスパラギン酸残基のグリシン残基又はアラニン残基への置換からなる群より選択される1~4個の置換であり、配列番号2で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、7番目のアスパラギン酸残基のグリシン残基への置換及び8番目のアスパラギン残基のリジン残基への置換からなる群より選択される1又は2個の置換であり、配列番号3で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のアスパラギン残基のイソロイシン残基への置換及び11番目のアルギニン残基のリシン残基への置換からなる群より選択される1又は2個の置換である
(b)配列番号4で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のアルギニン残基のシステイン残基への置換、2番目のスレオニン残基のプロリン残基への置換、5番目のセリン残基のアスパラギン残基、スレオニン残基又はアルギニン残基への置換、6番目のセリン残基のプロリン残基への置換、及び7番目のアスパラギン酸残基のアラニン残基又はグリシン残基への置換からなる群より選択される1~5個の置換であり、配列番号5で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、4番目のセリン残基のプロリン残基への置換であり、配列番号6で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のセリン残基のアルギニン残基への置換、6番目のセリン残基のイソロイシン残基への置換、及び11番目のチロシン残基のアスパラギン酸残基への置換からなる群より選択される1~3個の置換である
(c)配列番号7で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のセリン残基のアルギニン残基への置換、3番目のセリン残基のロイシン残基への置換、4番目のセリン残基のアスパラギン酸残基への置換、及び5番目のアスパラギン残基のセリン残基への置換からなる群より選択される1~4個の置換であり、配列番号8で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のセリン残基のスレオニン残基への置換、4番目のトリプトファン残基のセリン残基への置換及び8番目のセリン残基のスレオニン残基への置換からなる群より選択される1~3個の置換である
(d)配列番号10で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のアルギニン残基のセリン残基又はシステイン残基への置換、2番目のイソロイシン残基のフェニルアラニン残基又はロイシン残基への置換、3番目のロイシン残基のフェニルアラニン残基への置換、4番目のアスパラギン酸残基のアラニン残基、バリン残基又はグリシン残基への置換、5番目のセリン残基のシステイン残基、アルギニン残基又はイソロイシン残基への置換、6番目のセリン残基のチロシン残基、スレオニン残基又はフェニルアラニン残基への置換、及び7番目のアラニン残基のバリン残基への置換からなる群より選択される1~7個の置換であり、配列番号11で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のグリシン残基のグルタミン酸残基への置換及び7番目のアスパラギン酸残基のバリン又はアスパラギン残基への置換からなる群より選択される1又は2個の置換であり、配列番号12で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、2番目のセリン残基のシステイン残基への置換、3番目のアスパラギン残基のリシン残基又はセリン残基への置換、5番目のスレオニン残基のアラニン残基又はシステイン残基への置換、6番目のチロシン残基のヒスチジン残基、フェニルアラニン残基又はアスパラギン酸残基への置換、8番目のグリシン残基のアルギニン残基への置換、9番目のスレオニン残基のアラニン残基、セリン残基又はプロリン残基への置換、及び10番目のアラニン残基のスレオニン残基への置換からなる群より選択される1~3個の置換である
(e)配列番号13で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、2番目のイソロイシン残基のスレオニン残基への置換、3番目のフェニルアラニン残基のロイシン残基への置換、4番目のセリン残基のアスパラギン酸残基又はアスパラギン残基への置換、5番目のイソロイシン残基のセリン残基への置換、6番目のセリン残基のチロシン残基への置換、及び7番目のアスパラギン酸残基のアラニン残基への置換からなる群より選択される1~6個の置換である
(f)配列番号16で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のセリン残基のシステイン残基又はアルギニン残基への置換、2番目のスレオニン残基のイソロイシン残基への置換、3番目のフェニルアラニン残基のロイシン残基又はセリン残基への置換、4番目のセリン残基のアスパラギン酸残基への置換、5番目のアスパラギン残基のセリン残基又はイソロイシン残基への置換、6番目のセリン残基のチロシン残基への置換、及び7番目のアラニン残基のアスパラギン酸残基への置換からなる群より選択される1~7個の置換であり、配列番号17で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のスレオニン残基のグリシン残基又はアラニン残基への置換、3番目のセリン残基のスレオニン残基又はアスパラギン残基への置換、4番目のアルギニン残基のセリン残基又はグリシン残基への置換、5番目のセリン残基のグリシン残基への置換、7番目のスレオニン残基のアスパラギン酸残基又はグリシン残基への置換、及び8番目のアスパラギン残基のスレオニン残基又はチロシン残基への置換からなる群より選択される1~6個の置換であり、配列番号18で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のヒスチジン残基のアスパラギン残基への置換及び7番目のチロシン残基のプロリン残基への置換からなる群より選択される1又は2個の置換である
(g)配列番号19で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のアルギニン残基のシステイン残基への置換及び6番目のセリン残基のフェニルアラニン残基への置換からなる群より選択される1又は2個の置換であり、配列番号21で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、9番目のスレオニン残基のアラニン残基への置換である
(h)配列番号22で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のセリン残基のフェニルアラニン残基への置換、5番目のイソロイシン残基のセリン残基への置換、及び7番目のアスパラギン酸残基のアラニン残基への置換からなる群より選択される1~3個の置換である
(i)配列番号25で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、1番目のセリン残基のアルギニン残基への置換であり、配列番号26で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、4番目のセリン残基のロイシン残基への置換である
(j)配列番号28で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3残基目のセリン残基のロイシン残基への置換、4番目のアスパラギン酸残基のセリン残基への置換、5番目のイソロイシン残基のフェニルアラニン残基又はセリン残基への置換、6番目のチロシン残基のセリン残基への置換、及び7番目のアラニン残基のアスパラギン酸残基への置換からなる群より選択される1~5個の置換であり、配列番号29で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、3番目のアスパラギン残基のセリン残基への置換、4番目のスレオニン残基のセリン残基への置換、7番目のアスパラギン酸残基のグリシン残基への置換、及び8番目のアスパラギン残基のチロシン残基への置換からなる群より選択される1~4個の置換であり、配列番号30で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、8番目のスレオニン残基のアラニン残基への置換である
(k)配列番号33で示されるアミノ酸配列におけるアミノ酸の置換が、6番目のセリン残基のアルギニン残基への置換である
【請求項3】
単一ドメイン抗体又は単一ドメイン抗体多量体である、請求項1又は2記載の抗体。
【請求項4】
VHH抗体又はVHH抗体多量体である、請求項1又は2記載の抗体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項記載の抗体をコードする核酸。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項記載の抗体を被験試料に接触させる工程を含む、試料中のヒト唾液アミラーゼの検出方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項記載の抗体を含有するヒト唾液アミラーゼ検出キット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はヒト唾液アミラーゼに結合する抗体及びその利用法に関する。
続きを表示(約 4,600 文字)
【背景技術】
【0002】
唾液は、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの大きな唾液腺といくつかの小唾液腺から口腔内に分泌される分泌液で、健常な成人で1日に1000~1500mL程度分泌される。唾液は、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの様々な電解質やアミラーゼ、ヒスタチン、リゾチームなどのタンパク質やムチン等を含み、口腔組織の保護や抗菌活性、消化等の作用を有することが知られている(非特許文献1)。
【0003】
感染症は、ウイルスや細菌等の病原体が体内に侵入、増殖し、発熱や咳等の症状がでることをいう。主な感染経路は、手指や各種器具・部材を介した接触感染、咳やくしゃみ、会話によって発生した飛沫を直接吸入することによる飛沫感染、あるいは空気中を浮遊する飛沫核を吸入することによる空気感染である。感染症では病原体(感染源)、感染経路及び宿主の3要因が揃うことで感染が成立することから、感染症対策においてはこれらの要因のうち少なくとも1つを排除すること、すなわち病原体(感染源)の排除、感染経路の遮断及び宿主の抵抗力の向上が求められる。なかでも、感染経路の遮断は感染拡大防止のためにも重要である。
【0004】
接触感染では、感染者に触れることで病原体が直接伝播する直接接触感染と、病原体で汚染された物や人を介して病原体が伝播する間接接触感染がある。ここで、ある物が病原体で汚染されているか否かを判別することは必ずしも容易なケースばかりではなく、汚染の有無を簡便に判別することができる手法が求められている。
【0005】
一方、ラクダ科動物の血清中から見いだされた重鎖抗体の可変領域を利用した天然のシングルドメイン抗体であるVHH抗体は、その分子量がIgG抗体の10分の1と小さく、耐酸性や耐熱性に優れる。また、IgG抗体は培養細胞を用いて生産する必要があるが、VHH抗体は大腸菌や酵母で生産できる。また、VHH抗体は1本鎖のペプチドなので、蛋白質工学や化学修飾による機能の改変がしやすく、抗体薬物複合体(ADC)を作製しやすいという特徴を有する。その一方で、基質との親和性が高いVHH抗体を取得するのは難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
S P Humphrey, R T Williamson, J Prosthet Dent. 2001, 85(2):162-9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
感染症の感染者の唾液には、多くの場合、当該感染症の原因となるウイルス及び/又は細菌が含まれ、飛散した唾液が付着した物はウイルス及び/又は細菌で汚染され得る。よって、唾液を検出できれば、唾液が付着した物、すなわちウイルス及び/又は細菌で汚染された又は汚染され得る物を特定することができる。
ヒト唾液アミラーゼは唾液中に含まれる酵素であり、ヒト唾液アミラーゼの検出量が多い箇所は、アミラーゼないしアミラーゼを含む成分、例えば唾液が、様々な形態で付着しやすい箇所であると想定される。
よって、本発明は、ヒト唾液に含まれる唾液アミラーゼを検出可能なヒト唾液アミラーゼに結合する抗体及びその利用法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはヒト唾液アミラーゼに結合する抗体を得るべく検討した結果、VHH抗体ライブラリーからファージディスプレイ法によるスクリーニングにより、ヒト唾液アミラーゼに反応性の高いクローンを得ることに成功した。
【0009】
すなわち、本発明は以下の1)~4)に係るものである。
1)以下の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)、(j)又は(k)で示されるCDRを含む構造ドメインを1つ以上有する、ヒト唾液アミラーゼに結合する抗体。
(a)配列番号1で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号2で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号3で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(b)配列番号4で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号5で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号6で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(c)配列番号7で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号8で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号9で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(d)配列番号10で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号11で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号12で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(e)配列番号13で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号14で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号15で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(f)配列番号16で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号17で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号18で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(g)配列番号19で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号20で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号21で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(h)配列番号22で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号23で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号24で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(i)配列番号25で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号26で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号27で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(j)配列番号28で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号29で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号30で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
(k)配列番号31で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~7個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換された及び/又は1~3個のアミノ酸が欠失若しくは挿入されたアミノ酸配列からなるCDR1、配列番号32で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~6個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR2、及び配列番号33で示されるアミノ酸配列又は当該アミノ酸配列において1~3個のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列からなるCDR3
。
2)1)の抗体をコードする核酸。
3)1)の抗体を被験試料に接触させる工程を含む、試料中のヒト唾液アミラーゼの検出方法。
4)1)の抗体を含有するヒト唾液アミラーゼ検出キット。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反応性の高い抗ヒト唾液アミラーゼ抗体を提供することができる。当該抗体を用いることにより、ヒト唾液を検出でき、唾液が付着した物、すなわち感染症の原因となるウイルス及び/又は細菌で汚染された又は汚染され得る物の特定が可能となり、ひいては当該物を洗浄・消毒する等、感染症の感染予防又は感染拡大防止のための措置を効果的に講じることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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