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公開番号2025016103
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-31
出願番号2023119156
出願日2023-07-21
発明の名称生体由来物質の濃縮方法
出願人ヤマト科学株式会社,個人
代理人個人,個人,個人
主分類C12Q 1/02 20060101AFI20250124BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】液体試料から生体由来物質を迅速、かつ、簡便に、高効率で回収/濃縮できるようにする。
【解決手段】生体由来物質の濃縮方法であって、前記生体由来物質を含む液体試料に、高分子クラウダーと可逆的なゾル/ゲル変換特性を有するゲル形成ポリマーとを添加し、撹拌する工程と、遠心分離によって、前記液体試料を高分子クラウダー相からなる高分子クラウダー層およびゲル形成ポリマー相からなるゲル形成ポリマー層を含む、多層に分離する工程と、前記ゲル形成ポリマー相のゲル化を誘導する工程と、ゲル化された前記ゲル形成ポリマー層を分け取る工程と、を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
生体由来物質の濃縮方法であって、
前記生体由来物質を含む液体試料に、高分子クラウダーと可逆的なゾル/ゲル変換特性を有するゲル形成ポリマーとを添加し、撹拌する工程と、
遠心分離によって、前記液体試料を高分子クラウダー相からなる高分子クラウダー層およびゲル形成ポリマー相からなるゲル形成ポリマー層を含む、多層に分離する工程と、
前記ゲル形成ポリマー層のゲル化を誘導する工程と、
ゲル化された前記ゲル形成ポリマー層を分け取る工程と、
を備えることを特徴とする生体由来物質の濃縮方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
生体由来物質の濃縮方法であって、
前記生体由来物質を含む液体試料に、高分子クラウダーと可逆的なゾル/ゲル変換特性を有するゲル形成ポリマー相とを添加し、撹拌する工程と、
前記ゲル形成ポリマー相のドロップレットのゲル化を誘導する工程と、
遠心分離によって、前記液体試料を高分子クラウダー相からなる高分子クラウダー層およびゲル化されたゲル形成ポリマー層を含む、多層に分離する工程と、
ゲル化された前記ゲル形成ポリマー層を分け取る工程と、
を備えることを特徴とする生体由来物質の濃縮方法。
【請求項3】
前記高分子クラウダーは、分子クラウディング効果を有するポリマーであって、好ましくは、PEGやPVAであることを特徴とする請求項1または2に記載の生体由来物質の濃縮方法。
【請求項4】
前記ゲル形成ポリマー相は、繰返しゾル/ゲル転換可能なポリマーであって、好ましくは、ゼラチンやアルギン酸塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の生体由来物質の濃縮方法。
【請求項5】
前記ゼラチンは、ゲル形成ポリマー相および高分子クラウダー相を含む系全体の濃度が0.05%~5.0%の範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の生体由来物質の濃縮方法。
【請求項6】
分け取った前記ゲル形成ポリマー層のゾル化を誘導し、融解させる工程を、さらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の生体由来物質の濃縮方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞外小胞(EV、例えば、エクソソーム)などの生体由来物質を簡便に濃縮するための生体由来物質の濃縮方法に関する。
続きを表示(約 2,300 文字)【背景技術】
【0002】
従来、温度やpH、有機溶剤の存在などといった、環境因子の影響を受けやすい生体由来物質(例えば、タンパク質やウイルス、EVなど)を、生物活性を維持したまま、液体試料中から回収/濃縮する技術が提案されている。
【0003】
即ち、生体由来物質を回収/濃縮する技術としては、超遠心分離法、限外ろ過法、サイズ排除クロマトグラフィ法、および、アフィニティを利用した精製法などがよく知られており、試料の特性や後処理、操作時間やコストなどに応じて適した手法が用いられる。また、特殊な装置を必要とせず、低コストで実施可能な回収/濃縮方法として、排除体積効果を利用したポリマー沈殿法や水性二相系(ATPS)を利用した分配法もある。
【0004】
なお、EVに関して言及すると、Total Exosome Isolation Reagent (Invitrogen)やExoQuickシリーズ(System Biosciences)など、ポリマー沈殿法を用いた回収/濃縮キットが市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6932529号公報
韓国登録特許第10-1761680号
韓国登録特許第10-1745455号
特表2022-508122号公報
国際公開第2019/160519号
特許第5271354号公報
【非特許文献】
【0006】
H. Shin et al., “High-yield isolation of extracellular vesicles using aqueous two-phase system”, (2015) Scientific Reports, 5: 13103
J. Kim et al., “Isolation of High-Purity Extracellular Vesicles by Extracting Proteins Using Aqueous Two-Phase System”, (2015) PLOS ONE, DOI:10.1371/journal.pone.0129760.
A. Torres-Bautista et al., “Characterization and optimization of polymer-polymer aqueous two-phase systems for the isolation and purification of CaCo2 cell-derived exosomes”, (2022) PLoS ONE 17(9): e0273243.
Y. Weng et al., “Effective isolation of exosomes with polyethylene glycol from cell culture supernatant for in-depth proteome profiling”, (2016) Analyst, 141: 4640-4646
T. Nezu & H. Maeda., “Phase Separation Coupled with Gelation in Polyethylene Glycol-Gelatin-Aqueous Buffer System”, (1991) Bulll Chem. Soc. Jpn, 64: 1618-1622
M. Yanagisawa, et al., “Phase separation in binary polymer solution: Gelatin/Poly(ethylene glycol) system”, (2014) Journal of Molecular Liquids 200: 2-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の、生体由来物質を回収/濃縮するための、排除体積効果を利用したポリマー沈殿法や水性二相系を利用した分配法の場合、いずれも特殊な装置を必要とせずにスケールアップ/ダウンが比較的容易で、かつ、低コストという利点を有する。
【0008】
しかしながら、前者は、操作が非常に簡便ではあるものの、目的物質の回収効率向上のためには、目的物質を排除体積効果によって遠心沈降可能なサイズにまで凝集させるインキュベーション工程や、小型の凝集物まで沈殿させる遠心分離工程に長い時間を要する。
【0009】
後者は、速やかな二相形成を利用するため(数十秒間程度)、短時間で目的物質を二相(層)分配できるものの、ある程度の修練が必要であった。即ち、水と有機溶媒との二相系とは異なり、二相とも水相であるために相間の界面張力が小さく、界面を乱さずに目的物質を優先的に含む相のみを分け取る操作は非常に困難を要する。
【0010】
また、後者において、目的物質の回収効率向上のためには、分散するドロップレット(微小液滴)を残さず集めて各相を二層へと分離させることが重要となる。相間界面張力の増加や二層分離の促進にはポリマー濃度の増加が有効ではあるが、ポリマー濃度の増加は同時に水溶液の粘性を増加させることになるため、回収効率と操作性とを共に向上させることが難しいという課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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