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公開番号2025004693
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-15
出願番号2023104552
出願日2023-06-26
発明の名称細胞処理装置、細胞処理システム及び細胞処理方法
出願人個人
代理人個人,個人
主分類C12M 1/00 20060101AFI20250107BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】より高品質な細胞をより効率的に得ることが可能な細胞の継代培養技術を実現する。
【解決手段】細胞処理装置100は、培養制御部53と、振動制御部54と、を備えている。培養制御部53は、培養された培養細胞にタンパク質分解酵素を作用させて接着力を低下させる。振動制御部54は、接着力が低下された培養細胞を含む培養容器に培地を添加し、物理的刺激を付与することにより、培養細胞を剥離させる。培養制御部53は、振動制御部54によって剥離された培養細胞を設定された培養環境で培養することにより、細胞の継代培養を行う。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
細胞の培養を行う細胞処理装置であって、
培養容器に播種された処理対象となる培養細胞を設定された培養環境で培養する細胞培養手段と、
培養された前記培養細胞にタンパク質分解酵素を作用させて接着力を低下させる接着力低下手段と、
接着力が低下された前記培養細胞を含む前記培養容器に培地を添加し、物理的刺激を付与することにより、前記培養細胞を剥離させる物理的刺激付与手段と、
を備え、
前記細胞培養手段は、前記物理的刺激付与手段によって剥離された前記培養細胞を設定された培養環境で培養することにより、細胞の継代培養を行うことを特徴とする細胞処理装置。
続きを表示(約 1,900 文字)【請求項2】
前記培養容器は、初代の前記培養細胞を培養するための第1の培養領域と、
前記第1の培養領域を仕切る仕切部材を取り外すことで形成され、前記第1の培養領域より大きい培養容量の第2の培養領域と、
を備え、
前記接着力低下手段は、前記細胞培養手段が前記第1の培養領域で初代の前記培養細胞を培養した後、前記第1の培養領域における前記培養細胞の接着力を低下させ、
前記物理的刺激付与手段は、前記第1の培養領域の前記培養細胞を剥離させ、
前記細胞培養手段は、前記第1の培養領域の初代の前記培養細胞を、前記物理的刺激付与手段が剥離させた後に形成された前記第2の培養領域において、設定された培養環境で培養することを特徴とする請求項1に記載の細胞処理装置。
【請求項3】
前記培養容器は、前記第2の培養領域を仕切る仕切部材を取り外すことで形成され、前記第2の培養領域より大きい培養容量の第3の培養領域を備え、
前記接着力低下手段は、前記細胞培養手段が前記第2の培養領域で継代された前記培養細胞を培養した後、前記第2の培養領域における前記培養細胞の接着力を低下させ、
前記物理的刺激付与手段は、前記第2の培養領域の前記培養細胞を剥離させ、
前記細胞培養手段は、前記第2の培養領域の継代された前記培養細胞を、前記物理的刺激付与手段が剥離させた後に形成された前記第3の培養領域において、設定された培養環境で培養することを特徴とする請求項2に記載の細胞処理装置。
【請求項4】
前記接着力低下手段は、前記物理的刺激として、強制振動、衝撃力または流体による刺激を接着力が低下された前記培養細胞に付与することで、前記培養細胞を剥離させることを特徴とする請求項1に記載の細胞処理装置。
【請求項5】
細胞の培養を行う細胞処理システムであって、
処理対象となる培養容器を前記細胞の培養のための工程が実行される位置に搬送する搬送手段と、
前記培養容器に播種された処理対象となる培養細胞を設定された培養環境で培養する細胞培養手段と、
培養された前記培養細胞にタンパク質分解酵素を作用させて接着力を低下させる接着力低下手段と、
接着力が低下された前記培養細胞を含む前記培養容器に培地を添加し、物理的刺激を付与することにより、前記培養細胞を剥離させる物理的刺激付与手段と、
を備え、
前記細胞培養手段は、前記物理的刺激付与手段によって剥離された前記培養細胞を設定された培養環境で培養することにより、細胞の継代培養を行うことを特徴とする細胞処理システム。
【請求項6】
前記物理的刺激付与手段は、前記搬送手段によって前記培養容器が搬送される工程で発生する振動を前記物理的刺激として前記培養容器に付与することにより、前記培養細胞を剥離させることを特徴とする請求項5に記載の細胞処理システム。
【請求項7】
培養容器に播種された処理対象となる培養細胞を設定された培養環境で培養する細胞培養工程と、
培養された前記培養細胞にタンパク質分解酵素を作用させて接着力を低下させる接着力低下工程と、
接着力が低下された前記培養細胞を含む前記培養容器に培地を添加し、物理的刺激を付与することにより、前記培養細胞を剥離させる物理的刺激付与工程と、
前記物理的刺激付与工程において剥離された前記培養細胞を設定された培養環境で培養することにより、細胞の継代培養を行う第1継代培養工程と、
を含むことを特徴とする細胞処理方法。
【請求項8】
前記物理的刺激付与工程では、前記物理的刺激として、強制振動、衝撃力または流体による刺激を接着力が低下された前記培養細胞に付与することで、前記培養細胞を剥離させることを特徴とする請求項7に記載の細胞処理方法。
【請求項9】
前記第1継代培養工程で培養された前記培養細胞に対し、前記接着力低下工程によって接着力を低下させ、前記物理的刺激付与工程によって前記培養細胞が剥離された後、設定された培養環境で培養を行う第2継代培養工程をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の細胞処理方法。
【請求項10】
前記培養細胞の継代が行われる場合、継代の前に前記培養細胞が培養された培養領域よりも、継代の後に前記培養細胞が培養される培養領域の方が培養容量を拡大されることを特徴とする請求項7または9に記載の細胞処理方法。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞処理装置、細胞処理システム及び細胞処理方法に関する。
続きを表示(約 2,800 文字)【背景技術】
【0002】
従来、医療あるいはバイオテクノロジーの分野等では、目的に応じた種々の細胞を培養する技術が用いられている。
細胞を培養する場合、所望の数の細胞を取得するために、細胞の継代培養が行われることがある。
細胞の継代培養において、所望の数の細胞を取得するためは、培養容器内で適切な細胞密度を保つことが必要であり、培養面を拡大して細胞数を増加させたり、培養容器の数を拡大して細胞数を増加させたりするには、継代時の細胞の回収及び再播種を必要としていた。このため、細胞の継代培養では、一般に、タンパク質分解酵素(トリプシン)を用いた培養面からの細胞の剥離、遠心分離、培地への懸濁、再播種は実質的に必須の工程であると考えられている。
なお、細胞の継代培養に関する技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2004-097047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、細胞の継代培養において、タンパク質分解酵素(トリプシン)を用いた培養面からの細胞の剥離、遠心分離、培地への懸濁、再播種という一連の工程は、作業負担の大きい工程であることから効率の低下を招くものであり、また、培養の自動化を阻害し、コンタミネーションのリスクを高める要因ともなる。
また、上記一連の工程の一部を省略したり、自動化したりすることが試みられているものの、効率的に高品質な細胞を得ることが可能な細胞の継代培養方法は確立されていないのが現状である。
【0005】
本発明の課題は、より高品質な細胞をより効率的に得ることが可能な細胞の継代培養技術を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の細胞処理装置は、
細胞の培養を行う細胞処理装置であって、
培養容器に播種された処理対象となる培養細胞を設定された培養環境で培養する細胞培養手段と、
培養された前記培養細胞にタンパク質分解酵素を作用させて接着力を低下させる接着力低下手段と、
接着力が低下された前記培養細胞を含む前記培養容器に培地を添加し、物理的刺激を付与することにより、前記培養細胞を剥離させる物理的刺激付与手段と、
を備え、
前記細胞培養手段は、前記物理的刺激付与手段によって剥離された前記培養細胞を設定された培養環境で培養することにより、細胞の継代培養を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より高品質な細胞をより効率的に得ることが可能な細胞の継代培養技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の一実施形態に係る細胞処理方法の手順を示す図である。
接着力低下実験の手順を示す模式図である。
培養ディッシュをインキュベータ内に静置した時間と、細胞剥離率R

との関係を示す模式図である。
物理的刺激における培養細胞の剥離実験の手順を示す模式図である。
物理的刺激としての強制振動の加振周波数及び振動時間と、細胞剥離率R

との関係を示す模式図である。
本発明及び従来の培養手法を用いた比較実験の手順を示す模式図である。
本発明及び従来の培養手法で細胞を培養した場合の生細胞率を示す模式図である。
本発明を適用した細胞処理装置100の構成例を示す模式図である。
可変容量培養容器200の構成を示す模式図である。
可変容量培養容器200の使用形態を示す模式図である。
制御ユニット130の機能的構成を示す模式図である。
細胞処理装置100が実行する細胞培養制御処理の流れを示すフローチャートである。
複数の装置を組み合わせて構成された細胞処理システム300のシステム構成を示す模式図である。
制御装置410の機能的構成を示す模式図である。
細胞処理システム300が実行する細胞培養制御処理の流れを示すフローチャートである。
可変容量培養容器200内に中領域を1つ、中領域内に小領域を複数設置した場合の細胞培養方法の工程例を示す模式図である。
可変容量培養容器200内に中領域を1つ、中領域内に小領域を複数設置し、複数の小領域において異種の細胞を培養する場合の細胞培養方法の工程例を示す模式図である。
小領域の底面を平面、中領域の底面に凹部(半球状の窪み)を形成して培養細胞を培養する場合の細胞処理方法の工程例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
[本発明の基本的概念]
本発明は、細胞の継代培養を行う際に、タンパク質分解酵素(例えば、トリプシン)を用いた培養面からの細胞の剥離、遠心分離、培地への懸濁、再播種という一連の工程を行うことなく、培養面への接着力を低下させる工程及び振動により培養面から細胞を剥離させる工程を経ることにより、培養面に細胞を維持したまま細胞の培養容量を拡大することを可能としている。
これにより、タンパク質分解酵素によって培養面から細胞を完全に剥離する必要がないため、タンパク質分解酵素に細胞を浸漬する時間を短縮することができる。また、細胞を回収して再播種する必要がないため、培養容器の拡張等により培養容量を拡大することができる。さらに、細胞の回収、遠心分離、懸濁及び再播種等の工程が不要となることから、細胞の継代培養に要する作業負担を軽減することができる。
したがって、より高品質な細胞をより効率的に得ることが可能な細胞の継代培養技術を実現することができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
【0010】
[細胞処理方法]
図1は、本発明の一実施形態に係る細胞処理方法の手順を示す図である。
図1に示すように、本実施形態に係る細胞処理方法が実施される場合、培養領域を小領域から大領域に拡大可能な培養容器を用意する。
そして、細胞処理方法のステップS1において、用意した培養容器における小領域に初代の培養細胞を播種する(培養細胞播種工程)。このとき、培養細胞は培養容器における小領域に播種されるため、限られた数の初代の培養細胞を一定の細胞密度で播種された状態とすることができる。
(【0011】以降は省略されています)

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