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公開番号2025010277
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-20
出願番号2024189740,2024509263
出願日2024-10-29,2023-03-24
発明の名称ホエイ加工食品
出願人株式会社明治
代理人弁理士法人三枝国際特許事務所
主分類A23C 21/00 20250101AFI20250109BHJP(食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理)
要約【課題】食感が良好なホエイ加工食品を提供する。
【解決手段】本加工食品は、乳糖を20質量%以上の割合で含有するホエイ加工食品であって、ホエイ加工食品中の乳糖結晶の割合が3~5%であり、且つ ホエイ加工食品中の乳糖結晶に占める、粗大乳糖結晶の割合が10%以下、微細乳糖結晶の割合が70%以上である、ホエイ加工食品である。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
乳糖を20質量%以上の割合で含有するホエイ加工食品であって、
ホエイ加工食品中の乳糖結晶の割合が3~5%であり、且つ
ホエイ加工食品中の乳糖結晶に占める、粗大乳糖結晶の割合が10%以下、微細乳糖結晶の割合が70%以上である、ホエイ加工食品;
ここで、前記乳糖結晶の割合は、X線回折装置で測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=19.9~20.4°の範囲に検出される乳糖一水和物結晶(標準品)のメインピークの面積を基準として、被験ホエイ加工食品について得られる該当位置におけるピークの面積から求められる割合であり、
前記乳糖結晶に占める粗大乳糖結晶及び微細乳糖結晶の割合は、位相差顕微鏡観察により求められる、被験ホエイ加工食品中の乳糖結晶粒子の総面積100%に対する粗大乳糖結晶粒子の総面積の割合及び微細乳糖結晶粒子の総面積の割合である。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
ホエイ加工食品が、ブラウンホエイチーズ、イェトスト、又はキャラメルである、請求項1に記載するホエイ加工食品。
【請求項3】
乳糖を20質量%以上の割合で含有するホエイ加工食品について、舌触りを滑らかに、且つ、噛んだときに歯への付着性を少なくする方法であって、
前記方法が、ホエイ加工食品中の乳糖結晶の割合を3~5%に、且つ
ホエイ加工食品中の乳糖結晶に占める、粗大乳糖結晶の割合を10%以下、微細乳糖結晶の割合を70%以上にすることを特徴とする、前記方法;
ここで、前記乳糖結晶の割合は、X線回折装置で測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=19.9~20.4°の範囲に検出される乳糖一水和物結晶(標準品)のメインピークの面積を基準として、被験ホエイ加工食品について得られる該当位置におけるピークの面積から求められる割合であり、
前記乳糖結晶に占める粗大乳糖結晶及び微細乳糖結晶の割合は、位相差顕微鏡観察により求められる、被験ホエイ加工食品中の乳糖結晶粒子の総面積100%に対する粗大乳糖結晶粒子の総面積の割合及び微細乳糖結晶粒子の総面積の割合である。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明はホエイを原料として製造されるホエイ加工食品に関する。
続きを表示(約 2,900 文字)【背景技術】
【0002】
生乳は加工技術によって、牛乳、チーズ、ヨーグルト、バター、又はクリームなど、多彩な乳製品へと加工され、人々に食されている。しかし、チーズの製造工程において、生乳からチーズになるのは約10%のみであり、残りの約90%がホエイ(乳清)として排出される。ホエイは、チーズの製造工程における副生物であるため、各種の必須アミノ酸、たんぱく質、ビタミン類、及び糖類を多量に含んでおり、栄養学的に優れた食品素材でもある。しかしながら、ホエイは変質しやすく保存性が低いことや、特有の風味を有することから、食品分野で十分に利用されていない。このため、工業利用されているホエイは世界中で排出されるホエイ全体の59%に留まり、残り41%は家畜飼料や農業肥料として利用されるか、若しくは産業廃棄物として処理されているのが実情である。このため、ホエイの有効活用や活用先の拡大を図ることは、未利用乳資源の有効利用、廃棄物を減少して環境保全を図るなど、サステナブルな社会の実現を目指すうえで、特に乳製品を製造する会社の責務として重要な課題である。
【0003】
ホエイの変質の一つとして、ホエイに含まれる乳糖の変質が挙げられる。一般に、乳糖濃度の高い飲食物中では、乳糖の結晶が生成し、巨大化することで、舌にザラツキを感じ、滑らかな食感を失うことが知られている。この現象は、乳糖濃度が高くなるほど顕著に発生する。乳糖濃度が高いホエイ加工食品の一つであるブラウンホエイチーズについても、乳糖結晶が食感に及ぼす影響が指摘されており、理想的な結晶サイズは20-30μmであること、結晶サイズが100μmを超えると舌にザラツキを感じるようになることが知られている(非特許文献1)。このため、乳糖を多く含むホエイを食品素材として有効利用するためには、ホエイに含まれる乳糖の結晶化やその巨大化を防止し、良好な食感を保つことが求められる。
【0004】
ホエイ中の乳糖の結晶化を抑制する方法として、ホエイをナノフィルトレーションにより脱塩処理し、のち乳糖分解酵素で乳糖分解処理をする方法が知られている(特許文献1)。この方法によると、脱塩することで風味がよく、乳糖を分解することで濃縮した場合も粘度が低く、また濃縮液の輸送時等に乳糖の結晶化が惹起されないという特徴を有する乳糖分解脱塩ホエイを得ることができる。また、乳糖の結晶化抑制方法ではないものの、マンニトールの結晶化抑制方法として、非結晶性糖質を結晶析出調整剤として用いることが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2004-129579号公報
特開2007-215450号公報
【非特許文献】
【0006】
Siv Skeie, Roger K. Abrahamsen, “Chapter 45: Brown Whey Cheese”, Cheese 4th edition: Chemistry, Physics and Microbiologys
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ホエイの有効活用や活用先の拡大を図るために、食感が良好なホエイ加工食品を提供することを課題とする。より詳細には、本発明は、舌でのザラツキが少なく舌触りが滑らかで、且つ、噛んだときに歯への付着性が少なく歯切れ感が良好なホエイ加工食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、乳糖を20質量%以上もの高濃度で含むホエイ加工食品において、乳糖結晶の含有量を低減するとザラつきを感じず舌触りが滑らかになる一方で、噛んだ際に歯への付着性が高く、歯切れが悪いという問題があることを知見した。このため、滑らかさと歯切れの良さを両立した、食感良好なホエイ加工食品を得るべく、さらに研究を重ねた。その結果、乳糖結晶の含有割合を3~5%まで低減するとともに、乳糖結晶に占める粗大結晶の割合と微細結晶の割合を適当量に調整することで、これを実現できることを見出した。
【0009】
本発明は、かかる知見と更なる研究に基づいて完成したものであり、下記の実施形態を包含するものである。
項1:乳糖を20質量%以上の割合で含有するホエイ加工食品であって、
ホエイ加工食品中の乳糖結晶の割合が3~5%であり、且つ
ホエイ加工食品中の乳糖結晶に占める、粗大乳糖結晶の割合が10%以下、微細乳糖結晶の割合が70%以上である、ホエイ加工食品;
ここで、前記乳糖結晶の割合は、X線回折装置で測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=19.9~20.4°の範囲に検出される乳糖一水和物結晶(標準品)のメインピークの面積を基準として、被験ホエイ加工食品について得られる該当位置におけるピークの面積から求められる割合であり、
前記乳糖結晶に占める粗大乳糖結晶及び微細乳糖結晶の割合は、位相差顕微鏡観察により求められる、被験ホエイ加工食品中の乳糖結晶粒子の総面積100%に対する粗大乳糖結晶粒子の総面積の割合及び微細乳糖結晶粒子の総面積の割合である。
項2:ホエイ加工食品が、ブラウンホエイチーズ、ブラウンチーズ、イェトスト、ブルノスト、又はキャラメルである、項1に記載するホエイ加工食品。
項3:乳糖を20質量%以上の割合で含有するホエイ加工食品について、舌触りを滑らかに、且つ、噛んだときの歯への付着性を少なくする方法であって、
前記方法が、ホエイ加工食品中の乳糖結晶の割合を3~5%に、且つ
ホエイ加工食品中の乳糖結晶に占める、粗大乳糖結晶の割合を10%以下、微細乳糖結晶の割合を70%以上にすることを特徴とする、前記方法;
ここで、前記乳糖結晶の割合は、X線回折装置で測定されるX線回折パターンにおいて、2θ=19.9~20.4°の範囲に検出される乳糖一水和物結晶(標準品)のメインピークの面積を基準として、被験ホエイ加工食品について得られる該当位置におけるピークの面積から求められる割合であり、
前記乳糖結晶に占める粗大乳糖結晶及び微細乳糖結晶の割合は、位相差顕微鏡観察により求められる、被験ホエイ加工食品中の乳糖結晶粒子の総面積100%に対する粗大乳糖結晶粒子の総面積の割合及び微細乳糖結晶粒子の総面積の割合である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、舌でのザラツキが少なく舌触りが滑らかで、且つ、噛んだときに歯への付着性が少なく歯切れ感が良好なホエイ加工食品を提供することができる。本発明によれば、従来、栄養学的に優れながらも有効活用できていなかったホエイの問題を解決することにより、ホエイを食品素材として有効活用することができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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