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公開番号2025001983
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-01-09
出願番号2023101828
出願日2023-06-21
発明の名称哺乳動物細胞の多分化能を評価する方法
出願人国立大学法人山口大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 5/071 20100101AFI20241226BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】免疫不全マウス等の実験哺乳動物を使用せずに、当該実験哺乳動物を用いたテラトーマ形成試験の結果を再現でき、当該実験哺乳動物を用いた場合よりも費用対効果や時間対効果が優れ、かつ、比較的簡便な操作により、哺乳動物細胞の多能性を評価できる方法の提供。
【解決手段】哺乳動物細胞を、発育鶏卵の漿尿膜上に移した後、当該発育鶏卵を培養する工程(a);と、工程(a)で培養した発育鶏卵におけるテラトーマ形成を指標として、前記哺乳動物細胞の多分化能を評価する工程(b);とを含む方法を用いて、前記哺乳動物細胞の多分化能を評価する。
【選択図】なし
特許請求の範囲【請求項1】
以下の工程(a)及び(b)を含む、哺乳動物細胞の多分化能を評価する方法。
(a)哺乳動物細胞を、発育鶏卵の漿尿膜上に移した後、当該発育鶏卵を培養する工程;
(b)工程(a)で培養した発育鶏卵におけるテラトーマ形成を指標として、前記哺乳動物細胞の多分化能を評価する工程;
続きを表示(約 190 文字)【請求項2】
工程(a)において、哺乳動物細胞を、孵卵開始後10日目以降の発育鶏卵の漿尿膜上に移す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において、発育鶏卵を6日間以上培養する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(a)において、哺乳動物細胞を、注射器を用いて発育鶏卵の漿尿膜上に注入する、請求項1又は2に記載の方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、被験対象である哺乳動物細胞について、発育鶏卵を用いたテラトーマ形成試験を行うことにより、前記哺乳動物細胞の多分化能を評価する方法に関する。
続きを表示(約 2,200 文字)【背景技術】
【0002】
近年、多能性幹細胞研究の急速な発展によって再生医療への気運は高まっており、その知識や理解は、研究者のみならず、一般にも広く普及してきている。多能性幹細胞を用いた再生医療は、多能性幹細胞が有する自己複製能と多分化能や、多能性幹細胞が分泌する因子を利用して、様々な疾患で損傷を受けた細胞や組織の機能を回復させることを目的とした医療である。
【0003】
多能性幹細胞の品質を評価する方法としては、例えば、細胞形態による評価(特許文献1)、遺伝子発現解析による評価(特許文献2)、表面抗原を用いた評価等が知られている。また、胚性幹細胞(ES細胞)や誘導多能性幹細胞(iPS細胞)の多分化能の評価法として、免疫不全マウスを用いたテラトーマ形成試験が国際的な基準となっている。免疫不全マウスの皮下や精巣に注入した哺乳動物細胞が、多分化能を有している場合、注入後一定期間を経た皮下や精巣においては、外胚葉、中胚葉、及び内胚葉からなる三胚葉性の組織へと分化したテラトーマが認められる。一方、免疫不全マウスを用いたテラトーマ形成試験は、コストパフォーマンスや簡便性、さらには、動物愛護の観点から問題があり、免疫不全マウス等の実験哺乳動物を用いずに多分化能を評価できる方法が求められていた。
【0004】
発育鶏卵の漿尿膜上培養法は、腫瘍細胞を培養する古典的な方法として知られている。発育鶏卵は、インフルエンザウイルスや豚デルタコロナウイルス等のウイルスワクチンを製造するために、ウイルスを培養増殖する際に用いられることも知られている(特許文献3、特許文献4)。また、最近、2日胚(孵卵開始後2日目の発育鶏卵)における胚盤葉の周辺静脈内に、キャピラリーを用いてマウスES細胞を注入し、テラトーマ形成試験を行ったことが報告されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
国際公開第2006/057444号パンフレット
特開2004-194655号公報
特表2010-539918号公報
特開2021-119750号公報
【非特許文献】
【0006】
Dev Growth Differ. 2016 Feb;58(2):194-204.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、免疫不全マウス等の実験哺乳動物を使用せずに、当該実験哺乳動物を用いたテラトーマ形成試験の結果を再現でき、当該実験哺乳動物を用いた場合よりも費用対効果や時間対効果が優れ、かつ、比較的簡便な操作により、哺乳動物細胞の多能性を評価できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
非特許文献1には、前述のとおり、孵卵開始後2日目の発育鶏卵における胚盤葉の周辺静脈内に、キャピラリーを用いてマウスES細胞を注入し、テラトーマ形成試験を行ったことが記載されているものの、周辺静脈は非常の小さいため、キャピラリーを用いてマウスES細胞を周辺静脈に注入することは、熟練が必要である。また、孵卵開始後2日目の発育鶏卵では、無精卵か有精卵の判別が困難である。
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けている。その過程において、古典的な発育鶏卵の漿尿膜上培養法に着目した。まず予備実験として、メラノーマ細胞(B16F10細胞)を、孵卵開始後10日目の発育鶏卵の尿膜腔又は漿尿膜上に注入し、2日間、4日間、又は6日間培養し、B16F10細胞の生着率を解析した結果、尿膜腔に注入した場合の生着率は、それぞれ0%(0/12)、33.3%(2/6)、及び16.7%(1/6)であったのに対して、漿尿膜上に注入した場合の生着率は、それぞれ53.3%(16/30)、74.2%(23/31)、及び90.3%(28/31)であり、B16F10細胞を(尿膜腔ではなく)漿尿膜上に注入すると、B16F10細胞の生着率が高く、特に、注入後の発育鶏卵を6日間培養した場合が高いことを確認した。
【0010】
そこで、通常のマウスES細胞株である2倍体のマウスES細胞株を、孵卵開始後10日目の発育鶏卵の漿尿膜上に注入し、当該発育鶏卵を6日間培養後、卵生存率及びテラトーマ形成率を測定した。その結果、かかる本件漿尿膜上テラトーマ形成法を実施すると、非特許文献1に記載の方法(すなわち、哺乳動物細胞を、孵卵開始後2日目の発育鶏卵の周辺静脈に注入し、当該発育鶏卵を培養することにより、テラトーマ形成を確認する方法)と比べ、卵生存率の低下と、テラトーマ形成の低下を抑制できるとともに、テラトーマ形成の再現性が高いことを見いだした。さらに、免疫不全マウスを用いたテラトーマ形成試験により、テラトーマ形成能力が低いことが知られている4倍体のマウスES細胞株を用いて、本件漿尿膜上テラトーマ形成法を行った結果、免疫不全マウスを用いたテラトーマ形成試験の結果と同様に、4倍体のマウスES細胞株のテラトーマ形成能力は、2倍体のマウスES細胞株のテラトーマ形成能力と比べ、低いことを確認することができた。本発明は、これらの知見に基づき、完成するに至ったものである。
(【0011】以降は省略されています)

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