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公開番号2025019548
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-02-07
出願番号2023123208
出願日2023-07-28
発明の名称正極活物質の製造方法及び正極活物質
出願人国立大学法人山口大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人,個人
主分類H01M 4/505 20100101AFI20250131BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】本発明の課題は、放電容量及びサイクル特性に優れた正極活物質を得ることのできる方法を提供すること、放電容量及びサイクル特性に優れた正極活物質を提供することにある。
【解決手段】固相反応により合成されたLi1.2M10.4M20.4O2(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を機械的に粉砕し、更に加熱することを特徴とする正極活物質の製造方法。Li1.2M10.4M20.4O2(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)で表され、結晶子径が80~300Åである正極活物質。
【選択図】図8
特許請求の範囲【請求項1】
固相反応により合成されたLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を機械的に粉砕し、更に加熱することを特徴とする正極活物質の製造方法。
続きを表示(約 470 文字)【請求項2】
M1がCrであり、かつM2がMnであることを特徴とする請求項1記載の正極活物質の製造方法。
【請求項3】
加熱温度が400~900℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の正極活物質の製造方法。
【請求項4】
不規則岩塩型の結晶構造を有するLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を、加熱温度400~900℃で加熱することを特徴とする正極活物質のサイクル特性向上のための処理方法。
【請求項5】
Li
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)で表され、結晶子径が80~300Åである正極活物質。
【請求項6】
M1がCrであり、かつM2がMnであることを特徴とする請求項5記載の正極活物質。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的粉砕した後に加熱することにより正極活物質を得る正極活物質の製造方法、正極活物質のサイクル特性向上のための処理方法及び正極活物質に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)【背景技術】
【0002】
次世代リチウムイオン電池用正極材料として、層状岩塩型LiMO

(Mはバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト又はニッケル)を正極活物質として使用した材料が注目されている。これらの層状岩塩型化合物については、固相反応で合成し、機械的に粉砕(メカニカルミリング)してナノ粒子化することにより、菱面体晶系の層状岩塩型の結晶構造が立方晶系の不規則岩塩型の結晶構造となり、従来は不活性とされていた固相反応で合成されたLiMO

の電気化学的活性が向上することが報告されている(特許文献1参照)。また、LiCrO

とLi

MnO

の固溶体であるLi
1.2
Cr
0.4
Mn
0.4


が、同じく層状岩塩型正極活物質として報告されている。この正極活物質は、理論容量として323mAh/gを有し、LiVO

の理論容量298mAh/g、LiCrO

の理論容量297mAh/g、LiMnO

の理論容量285mAh/g、LiCoO

の理論容量274mAh/g、LiNiO

の理論容量275mAh/gと比較して高い理論容量を有するが、実際の容量としては180mAh/g程度に留まっていた。そこで、Li
1.2
Cr
0.4
Mn
0.4


等の層状岩塩型化合物の放電容量、サイクル特性等の電気化学的活性を向上させる方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-140018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、放電容量及びサイクル特性に優れた正極活物質を得ることのできる方法を提供することである。また、本発明の課題は、放電容量及びサイクル特性に優れた正極活物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、リチウムと2種の遷移金属とを含む酸化物であり、層状岩塩型の結晶構造を有するLi
1.2
Cr
0.4
Mn
0.4


等の化合物に着目して、正極活物質としての開発を進めた。LiCrO

の場合と同様に、これらの化合物を固相反応で合成し、合成された化合物を機械的に粉砕したところ、結晶構造が層状岩塩型から不規則岩塩型に変化し、粉砕前に比べて初期の放電容量は増加したものの、サイクル特性が低下した。そこで、本発明者は検討を更に進めたところ、意外にも機械的に粉砕した後に、粉砕物を加熱処理することにより、放電容量が増加すると共に、サイクル特性にも優れる正極活物質が得られることを見いだした。本発明は、こうして完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)固相反応により合成されたLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を機械的に粉砕し、更に加熱することを特徴とする正極活物質の製造方法。
(2)M1がCrであり、かつM2がMnであることを特徴とする上記(1)の正極活物質の製造方法。
(3)加熱温度が400~900℃であることを特徴とする上記(1)又は(2)の正極活物質の製造方法。
(4)不規則岩塩型の結晶構造を有するLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を、加熱温度400~900℃で加熱することを特徴とする正極活物質のサイクル特性向上のための処理方法。
(5)Li
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)で表され、結晶子径が80~300Åである正極活物質。
(6)M1がCrであり、かつM2がMnであることを特徴とする上記(5)の正極活物質。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法によれば、放電容量及びサイクル特性に優れた正極活物質を製造することができる。本発明の処理方法によれば、正極活物質のサイクル特性を向上させることができる。本発明の正極活物質は、放電容量及びサイクル特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1は、比較例1~6のX線回折測定結果を示す図である。
図2は、比較例1及び4並びに実施例1~4のSEM画像を示す図である。L-LCMOが比較例1、m-LCMOが比較例4、500-LCMOが実施例1、600-LCMOが実施例2、700-LCMOが実施例3、800-LCMOが実施例4を示す。
図3は、電気化学的評価に使用した電池の構成を示す図である。
図4は、比較例1~6の充放電曲線を示す図である。
図5は、比較例1~6のサイクル特性を示す図である。
図6は、実施例1~4及び比較例4のX線回折測定結果を示す図である。
図7は、実施例1~4及び比較例4の充放電曲線を示す図である。
図8は、実施例1~4及び比較例4のサイクル特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の正極活物質の製造方法は、固相反応により合成されたLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


(ただし、M1はCr又はNiであり、M2はMn又はTiである。)を機械的に粉砕し、更に加熱することを特徴とする製造方法である。本発明において固相反応とは、2種類以上の固体原料を混合した後、高温で反応させて目的物を得る反応のことであり、Liを含む原料、M1を含む原料及びM2を含む原料を混合して焼結することによりLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


を得ることができる。Liを含む原料としては特に制限されないが、例えば、Liの炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩等のLiの塩を挙げることができ、M1を含む原料としては特に制限されないが、例えば、Cr



、NiO等のM1の酸化物などを挙げることができ、M2を含む原料としては特に制限されないが、例えば、Mn



、TiO

等のM2の酸化物などを挙げることができる。これらの原料を混合して焼成するが、焼成温度、焼成時間等の焼成条件、その他の製造条件などは、Li
1.2
M1
0.4
M2
0.4


を製造するための通常の条件に従うことができ、適宜選択することができる。例えば、Li
1.2
Cr
0.4
Mn
0.4


の場合、焼成温度として700~1000℃を挙げることができ、前記焼成温度で本焼成する前に、例えば、300~600℃で仮焼成してもよい。焼成は、大気中で行っても不活性ガス中で行ってもよく、焼成時間は焼成温度に応じて適宜選択すればよいが、例えば、本焼成時間として8~30時間、仮焼成時間として3~6時間を挙げることができる。
【0010】
本発明において機械的に粉砕するとは、機械的エネルギーを加えることによりLi
1.2
M1
0.4
M2
0.4


を粉砕することをいい、機械的エネルギーを加える粉砕方法であれば特に制限されないが、例えば、ローラーミル、ハンマーミル、ピンミル、粉砕媒体を使用する粉砕機等を使用する方法などを挙げることができる。粉砕媒体を使用する粉砕機としては、例えば、回転ミル、振動ミル、遊星ミル、アトライター、ビーズミル等を挙げることができ、粉砕媒体の材質としては、ジルコニア等のセラミックス製、ステンレス等の金属製などを挙げることができ、粉砕媒体の形状としてはボール状(ビーズを含む)、ロッド状等を挙げることができる。粉砕媒体としては材質、形状又は大きさが異なる複数種類の粉砕媒体を使用してもよい。ボール形状を有する粉砕媒体を使用する粉砕機をボールミルと総称するが、ボールミルは本発明における粉砕処理に使用する粉砕機として好適である。特に遊星ボールミルが好ましい。本発明における粉砕処理は乾式でも湿式でもよく、粉砕雰囲気は大気雰囲気でも不活性ガス雰囲気でもよいが、より簡便な乾式、大気雰囲気で粉砕処理を行うことができる。また、粉砕時に特に加熱等を行う必要もない。
(【0011】以降は省略されています)

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