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公開番号
2025019112
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2025-02-06
出願番号
2024201873,2023018050
出願日
2024-11-19,2018-10-09
発明の名称
メモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤、悪性腫瘍再発抑制剤、及びT細胞又はB細胞にメモリー機能を誘導する誘導剤
出願人
国立大学法人山口大学
,
国立大学法人鳥取大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12N
5/078 20100101AFI20250130BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】長期にわたって悪性腫瘍を拒絶し続けるべく、メモリー機能を有する内在性のT細胞又はB細胞の増強剤及び悪性腫瘍再発抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】核酸送達媒体、インターロイキン7(IL-7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含む、投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤や投与対象におけるT細胞又はB細胞にメモリー機能を誘導する誘導剤を作製する。また、核酸送達媒体、インターロイキン7(IL-7)をコードする核酸、及びCCL19をコードする核酸を含む、悪性腫瘍再発抑制剤を作製する。
【選択図】図10
特許請求の範囲
【請求項1】
核酸送達媒体、インターロイキン7(IL―7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含み、
内在性の免疫担当細胞のメモリー化を誘導する、
誘導剤。
続きを表示(約 760 文字)
【請求項2】
前記核酸送達媒体が、免疫担当細胞、ウイルス、嫌気性菌、リポソーム、間葉系幹細胞(MSC)、及びナノ粒子から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、請求項1記載の誘導剤。
【請求項3】
前記核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞への集積能、又は悪性腫瘍細胞において特異的な増殖能を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の誘導剤。
【請求項4】
前記核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞傷害能を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか記載の誘導剤。
【請求項5】
前記核酸送達媒体が免疫担当細胞であり、当該免疫担当細胞が悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか記載の誘導剤。
【請求項6】
前記核酸送達媒体が、悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子を有する免疫担当細胞であり、
前記誘導剤が、当該細胞表面分子が特異的に認識する悪性腫瘍抗原を有さない悪性腫瘍細胞に起因する悪性腫瘍再発又は悪性腫瘍転移に有用であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか記載の誘導剤。
【請求項7】
前記悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子が、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)であることを特徴とする、請求項5又は6記載の誘導剤。
【請求項8】
前記免疫担当細胞が、T細胞であることを特徴とする、請求項5~7のいずれか記載の誘導剤。
【請求項9】
前記核酸送達媒体が、インターロイキン7(IL―7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含む、請求項1~8のいずれか記載の誘導剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は核酸送達媒体、インターロイキン7(Interleukin-7:IL-7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(chemokine(C-C motif) ligand 19:CCL19)をコードする核酸を含む、投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤、悪性腫瘍再発抑制剤、及び投与対象におけるT細胞又はB細胞にメモリー機能を誘導する誘導剤に関する。
続きを表示(約 4,300 文字)
【背景技術】
【0002】
悪性腫瘍は世界中で多くの罹患者がいる疾患であり、一般的に化学療法、放射線療法、又は外科療法が広く行われている。しかしながら、副作用が生じることや、一部の機能が失われることや、再発若しくは転移を治療できないこと等、様々な問題があった。そこで、より患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を高く維持すべく、近年、免疫細胞療法の開発が進められている。この免疫細胞療法は、患者から免疫担当細胞を採取し、かかる免疫担当細胞の免疫機能を高めるように処置して増幅し、再度患者に移入する療法である。具体的には、患者からT細胞を採取し、かかるT細胞にCARをコードする核酸を導入して増幅し、再度患者に移入する療法(非特許文献1参照)が知られている。かかる療法は、現在世界中で臨床試験が進行しており、白血病やリンパ腫等の造血器悪性腫瘍等において有効性を示す結果が得られている。
【0003】
また、T細胞等の免疫担当細胞の免疫機能制御因子としては、サイトカイン、ケモカイン、シグナル制御タンパク質等、少なくとも数百種類の因子が知られている。その中でインターロイキン7(IL-7)はT細胞の生存に必須のサイトカインであり、骨髄、胸腺、リンパ器官・組織のストローマ細胞等の非造血細胞によって産生されることが知られている。かかるIL-7の機能を利用したT細胞として、IL-7とIL-7Rアルファを融合したキメラサイトカイン受容体を発現するT細胞(特許文献1参照)が開示されている。しかしながら、かかるT細胞におけるキメラサイトカイン受容体は、一つの融合タンパク質として、導入したT細胞の膜表面に限定して発現し、自己の細胞に対してのみリガンド非依存的にIL-7R等のサイトカインシグナルを伝達するものに過ぎず、上記受容体を導入していないT細胞の機能を高めることはできなかった。
【0004】
また、CCL19やCCL21、IL-7の発現低下がSIRPアルファ変異マウスにおける脾臓でのT細胞領域の維持欠損の原因となること(非特許文献2参照)や、CCL19やCCL21、IL-7が二次リンパ組織(脾臓やリンパ節)においてT細胞の恒常性を維持する働きを有していること(非特許文献3参照)が開示されている。しかしながら、上記非特許文献2、3は二次リンパ組織のT細胞領域に恒常的に存在する非活性化T細胞に対する作用を示したものであり、抗腫瘍免疫応答と直接的な関係性を示すものではなかった。さらに、上記非特許文献2、3におけるCCL19やCCL21、IL-7発現細胞はT細胞ではなく、二次リンパ組織に存在する細網内皮系の細胞であった。
【0005】
一方、本発明者らは、IL-7とCCL19を同時に発現することで、固形がんを顕著に抑制する免疫細胞療法(特許文献2、3参照)を提案した。かかる方法によって、宿主(レシピエント)における内在性の免疫担当細胞の活性化や腫瘍細胞への集積能を高めることができるが、当該免疫細胞療法によって長期に渡って再発等を防ぎ、悪性腫瘍を拒絶し続けることができるかは不明であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
国際公開第2013/123061号パンフレット
国際公開第2016/056228号パンフレット
国際公開第2017/159736号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
中沢洋三 信州医誌 61(4):197~203(2013)
SATO-HASHIMOTO M. et al., J. Immunol., 2011, vol.187, no. 1,291-7
SIEGERT S. et al., Front. Immunol., 2012, vol.3, article 285
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のようにIL-7とCCL19を同時に発現するCAR発現T細胞やTCR発現T細胞等の免疫細胞療法を開発し、免疫担当細胞の増殖能、生存能、又は宿主の免疫担当細胞の集積能を顕著に向上させ、従来免疫細胞療法で十分な治療効果が認められなかった固形がんに適応できる技術の開発が進んでいる。しかしながら、悪性腫瘍は再発することが多く、たとえ上記免疫細胞療法で一時的に悪性腫瘍の治療ができても、長期にわたって悪性腫瘍を拒絶し続けるか否かは明らかでなかく、また、再発に対する予防策も検討されていなかった。そこで本発明の課題は、長期にわたって悪性腫瘍を拒絶し続けるべく、メモリー機能を有する内在性のT細胞又はB細胞の増強剤、悪性腫瘍再発抑制剤、及び内在性のT細胞又はB細胞にメモリー機能を誘導する誘導剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者ら、これまで自らが開発してきたCAR、IL-7及びCCL19を発現するT細胞の更なる可能性を検討した中で、かかるT細胞を対象に投与すると、投与したT細胞だけでなく対象(宿主)における内在性のT細胞においてもメモリー機能を誘導してメモリー機能を有する細胞の絶対数が増加すること、及び悪性腫瘍の再発モデル実験において、CARが認識する抗原を有さない細胞に対して悪性腫瘍形成を抑制することを見出した。さらにCARの代わりにTCRを用いた場合や、T細胞の代わりにウイルスを用いた場合でも同様の効果があることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)核酸送達媒体、インターロイキン7(IL-7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含む、投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(2)核酸送達媒体が、免疫担当細胞、ウイルス、嫌気性菌、リポソーム、間葉系幹細胞(Mesenchymal stem cell:MSC)、ナノ粒子から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、上記(1)記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(3)核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞への集積能、又は悪性腫瘍細胞において特異的な増殖能を有することを特徴とする、上記(1)又は(2)記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(4)核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞傷害能を有することを特徴とする、上記(1)~(3)のいずれか記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(5)核酸送達媒体が免疫担当細胞であり、当該免疫担当細胞が悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子を有することを特徴とする、上記(1)~(4)のいずれか記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(6)悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子が、キメラ抗原受容体(Chimeric antigen receptor:CAR)又はT細胞受容体(T-Cell Receptor:TCR)であることを特徴とする、上記(5)記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(7)免疫担当細胞が、T細胞であることを特徴とする、上記(5)又は(6)記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(8)メモリー機能を有するT細胞又はB細胞が、セントラルメモリーT細胞であることと特徴とする、上記(1)~(7)のいずれか記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤。
(9)上記(1)~(8)のいずれか記載の投与対象におけるメモリー機能を有するT細胞又はB細胞の増強剤と薬学的に許容される添加剤とを含有する医薬組成物
(10)核酸送達媒体、インターロイキン7(IL-7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含む、悪性腫瘍再発抑制剤。
(11)核酸送達媒体が、免疫担当細胞、ウイルス、嫌気性菌、リポソーム、間葉系幹細胞(MSC)、ナノ粒子から選択される少なくとも1種以上であることを特徴とする、上記(10)記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(12)核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞への集積能、又は悪性腫瘍細胞において特異的な増殖能を有することを特徴とする、上記(10)又は(11)記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(13)核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞傷害能を有することを特徴とする、上記(10)~(12)のいずれか記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(14)核酸送達媒体が免疫担当細胞であり、当該免疫担当細胞が悪性腫瘍抗原を認識する細胞表面分子を有することを特徴とする、上記(10)~(13)のいずれか記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(15)核酸送達媒体が、悪性腫瘍細胞抗原を認識する細胞表面分子を有する免疫担当細胞であり、悪性腫瘍再発が、当該細胞表面分子が特異的に認識する悪性腫瘍抗原を有さない悪性腫瘍細胞に起因する悪性腫瘍再発であることを特徴とする、上記(14)記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(16)悪性腫瘍細胞抗原を認識する細胞表面分子が、キメラ抗原受容体(CAR)又はT細胞受容体(TCR)であることを特徴とする、上記(14)又は(15)記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(17)免疫担当細胞が、T細胞であることを特徴とする、上記(14)~(16)のいずれか記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(18)核酸送達媒体が腫瘍溶解性ウイルスであることを特徴とする、上記(11)記載の悪性腫瘍再発抑制剤。
(19)上記(10)~(18)のいずれか記載の悪性腫瘍再発抑制剤と薬学的に許容される添加剤とを含有する医薬組成物。
(20)核酸送達媒体、インターロイキン7(IL-7)をコードする核酸、及びケモカイン(C-C モチーフ)リガンド19(CCL19)をコードする核酸を含む、投与対象におけるT細胞又はB細胞にメモリー機能を誘導する誘導剤。
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPat(特許庁公式サイト)で参照する
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