TOP
|
特許
|
意匠
|
商標
特許ウォッチ
Twitter
他の特許を見る
公開番号
2024142959
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-11
出願番号
2023055386
出願日
2023-03-30
発明の名称
陽イオン交換膜、イオン交換膜セル及び電気透析装置
出願人
株式会社アストム
,
国立大学法人山口大学
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
B01J
47/12 20170101AFI20241003BHJP(物理的または化学的方法または装置一般)
要約
【課題】本発明の課題は、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンに対する選択性が高い陽イオン交換膜を提供することにある。
【解決手段】W=(W
2
-W
1
)/W
1
により求めた含水率が0.05~0.2である陽イオン交換膜(ただし、Wは含水率、W
2
は湿潤重量、W
1
は乾燥重量である。)。
【選択図】図5
特許請求の範囲
【請求項1】
以下の式(A)により求めた含水率が0.05~0.2である陽イオン交換膜。
W=(W
2
-W
1
)/W
1
(A)
(ただし、式(A)中、Wは含水率、W
2
は湿潤重量、W
1
は乾燥重量である。)
続きを表示(約 500 文字)
【請求項2】
NH
4
Clの濃度が0.5mol/LのNH
4
Cl水溶液中で25℃での膜抵抗が2.0Ωcm
2
以下である請求項1記載の陽イオン交換膜。
【請求項3】
アンモニウムイオン濃縮用陽イオン交換膜である請求項1又は2記載の陽イオン交換膜。
【請求項4】
陽イオン交換膜を構成する陽イオン交換樹脂が、芳香族炭化水素系の樹脂に陽イオン交換基を導入した構造の樹脂である請求項1又は2記載の陽イオン交換膜。
【請求項5】
陽イオン交換膜を構成する陽イオン交換樹脂が、スルホン化ポリエーテルスルホン又はスルホン化スチレン-ジビニルベンゼン系共重合体である請求項4記載の陽イオン交換膜。
【請求項6】
陰イオン交換膜と請求項1又は2記載の陽イオン交換膜とが対向して配置されたイオン交換膜セル。
【請求項7】
陽極、陰極、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を備える電気透析装置であって、前記陽イオン交換膜が請求項1又は2記載の陽イオン交換膜である電気透析装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、含水率が0.05~0.2である陽イオン交換膜並びに前記陽イオン交換膜を使用するイオン交換膜セル及び電気透析装置に関する。
続きを表示(約 4,000 文字)
【背景技術】
【0002】
廃水中のイオンを濃縮分離する技術には、蒸留法、イオン交換法や吸着法、逆浸透(RO)膜法、正浸透(FO)膜法、ブラインコンセントレーション(BC)法、電気透析(ED)法、ドナン透析法等がある。これらにおいて、蒸留法は幅広い範囲の塩濃度や水質の処理水に対応可能で、耐汚染性に優れているが、多大なエネルギー消費を必要とし、特に希薄溶液の処理には不適である。イオン交換法や吸着法では、様々なイオン交換体や吸着剤が開発されているが、イオン交換材や吸着剤の再生プロセスが必要であるため、連続的運転は難しく、イオン交換材や吸着剤を再生する設備や薬品が必要となるため、連続的処理には不向きである。RO膜法では浸透圧以上の圧力を廃水に加えて脱水することでイオンを濃縮するため、希薄溶液からの濃縮では電力コストが高くなる。かつ膜汚染物質が含まれる廃水では膜の洗浄や交換の頻度が多くなる。また膜の耐圧限界から高い塩濃度の濃縮は困難である。FO膜法ではRO膜法と同様に脱水をすることでイオン濃縮を行う。駆動力溶質(DS)を使用することで、圧力を加える必要がなく、電力を必要としない利点はあるが、それ以外はRO膜と同様な問題点を有する。ブラインコンセントレーション(BC)法はFO膜モジュールを多段に直列接続することでRO膜よりも高塩濃度の濃縮が可能であるが、一方で濃縮液の一部を還流するため、RO膜法と比較して多くの膜面積を必要とする。ドナン透析法はFO膜法と同様にDSを使用してイオン濃縮分離するため、電力を必要としないが、DSと対象イオンを分離する必要がある。上記のとおりそれぞれ長所短所があるが、実際の処理水には不純物だけではなく、種々のイオンが存在するため、イオン交換法を除いては、これらのイオンによるスケール生成、及び目的とするイオン濃縮のエネルギー効率が低下するという問題点を有していた。
【0003】
ED法は、イオン交換膜を用いたイオンの濃縮や脱塩の技術であり、濃縮プロセスの場合、イオンを移動して濃縮するため、特に膜汚染物質や特定の微量イオンを分離濃縮する場合には有効である。高濃度の塩処理には電力を必要とするが、BC法と同様に高濃度処理が可能な技術である。しかし、ED法では目的とするイオン以外のイオンも同時に濃縮される。この場合、カルシウムイオン等の2価カチオンが濃縮されると膜中や膜表面または溶液流路中にスケールが生成して、膜破壊やシステム効率の低下を招く。そのため、カルシウムイオン等によるスケール生成を防ぐために、1価陽イオン選択透過性陽イオン交換膜を使用することが提案されている(特許文献1参照)。しかし、目的とするイオンと同じ価数のカチオン、例えば、1価のアンモニウムイオンを目的とする場合、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の1価イオンが存在すると、目的以外のイオンの濃縮に電力が消費されるため、目的とするイオンの分離濃縮のエネルギー効率が低下するという問題点があった。従来、目的とする特定の陽イオンと異なる価数の陽イオンとの間の選択性だけでなく、同じ価数の陽イオンとの間の選択性にも優れる陽イオン交換膜は提案されていなかった。そのため、アンモニウムイオン等の目的とする特定の陽イオンを選択的に透過する陽イオン交換膜の開発が望まれていた。
【0004】
カチオンのうち特にアンモニウムイオンの分離濃縮が注目されているが、その理由は次の通りである。現在、廃ガスや廃水中の窒素化合物は多大なエネルギーをかけ無害化処理がなされている。しかしながら、処理されずに窒素化合物が放出されているケース、処理が不十分であるケースもあり、環境への影響が大きい。そこで、これらの人為活動に由来する有害な窒素化合物の無害化・資源化(CleanEarth)を実現する、廃水中窒素化合物の資源アンモニア化技術の構築が求められている。そのため、廃水中窒素化合物に着目し、それらをアンモニア(アンモニウムイオンを含む)に変換、濃縮することで有価物として利用できる形態(資源アンモニア)にする技術の開発が行われている。この技術の中では、排水中に存在するアンモニウムイオンを省エネルギーで分離濃縮することが注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特開2007-268337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンに対する選択性が高い陽イオン交換膜を提供することにある。さらには、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンに対する選択性が高く、膜抵抗の低い陽イオン交換膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の陽イオンに対する選択性の高い陽イオン交換膜の検討を開始し、目的とする特定の陽イオンとしてアンモニウムイオンに対する選択透過性の高い陽イオン交換膜の検討を進めた。従来、陽イオン交換膜のイオン選択性を高める方法としては、膜表面に反対荷電層を形成する方法、膜表面に緻密層を形成する方法等が行われてきている(特許文献1参照)。例えば、陽イオン交換膜の表面に高分子カチオン層(正荷電層)を形成すると、Na、K等の1価陽イオンよりも、Ca、Mg等の2価陽イオンの方がこの正荷電層(反対荷電層)との静電反発力が大きいため、1価陽イオンを選択的に通す陽イオン交換膜が得られる。しかしながら、1価陽イオンの中でアンモニウムイオンを特に選択的に透過するといった選択透過性は得られなかった。一方、膜表面に緻密層を形成させた膜ではNa、K等の水和イオン半径の小さなイオンより、Ca、Mg等の水和イオン半径の大きなイオンの透過性が抑制される。しかし、Na、K等のイオン透過性の低減も大きいため実用的な膜は得られなかった。本発明者らは、従来とは全く異なる方法により選択透過性を有する陽イオン交換膜を得ることができないかと考え検討を進めたところ、陽イオン交換膜の含水率を特定の含水率とすることにより、アンモニウムイオンに対する選択性が発現することを見いだした。従来、陽イオン交換膜の含水率がアンモニウムイオンに対する選択性に影響することは、全く知られていなかった。さらに、本発明者らが見出した特定の含水率は、通常の陽イオン交換膜であれば検討しないレベルの低含水率であった。また、本発明者らが開発した陽イオン交換膜は、低含水率であるにもかかわらず低膜抵抗のものであった。本発明は、こうして完成されたものである。
【0008】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
[1]以下の式(A)により求めた含水率が0.05~0.2である陽イオン交換膜。
W=(W
2
-W
1
)/W
1
(A)
(ただし、式(A)中、Wは含水率、W
2
は湿潤重量、W
1
は乾燥重量である。)
[2]NH
4
Clの濃度が0.5mol/LのNH
4
Cl水溶液中で25℃での膜抵抗が2.0Ωcm
2
以下である上記[1]の陽イオン交換膜。
[3]アンモニウムイオン濃縮用陽イオン交換膜である上記[1]又は[2]の陽イオン交換膜。
[4]陽イオン交換膜を構成する陽イオン交換樹脂が、芳香族炭化水素系の樹脂に陽イオン交換基を導入した構造の樹脂である上記[1]又は[2]の陽イオン交換膜。
[5]陽イオン交換膜を構成する陽イオン交換樹脂が、スルホン化ポリエーテルスルホン又はスルホン化スチレン-ジビニルベンゼン系共重合体である上記[4]の陽イオン交換膜。
[6]陰イオン交換膜と上記[1]又は[2]の陽イオン交換膜とが対向して配置されたイオン交換膜セル。
[7]陽極、陰極、陽イオン交換膜及び陰イオン交換膜を備える電気透析装置であって、前記陽イオン交換膜が上記[1]又は[2]の陽イオン交換膜である電気透析装置。
【発明の効果】
【0009】
本発明の陽イオン交換膜は、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンに対する選択透過性に優れる。また、本発明の陽イオン交換膜は、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンに対する選択透過性に優れ、膜抵抗が低い。本発明のイオン交換膜セルは、電気透析等の装置に使用して、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンを選択的に濃縮することができる。本発明の電気透析装置は、特定の陽イオン、特にアンモニウムイオンを選択的に濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1は、本発明のイオン交換膜セルを使用した一例を示す模式図である。
図2は、実施例と比較例で使用した膜抵抗の測定装置と測定条件を示す図である。
図3は、実施例と比較例で使用した電気透析試験装置を示す図である。
図4は、実施例1で作製した膜の写真である。
図5は、実施例1で作製した膜を使用した電気透析試験結果を示す図である。
図6は、実施例2で作製した膜を使用した電気透析試験結果を示す図である。
図7は、比較例1で作製した膜を使用した電気透析試験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)
この特許をJ-PlatPatで参照する
関連特許
東レ株式会社
分離方法
1か月前
個人
トリチウム水濃縮装置
19日前
株式会社タクマ
触媒反応装置
1か月前
NOK株式会社
除湿装置
17日前
株式会社テイエルブイ
フィルター装置
1か月前
株式会社ビジサー
タンクシステム
1か月前
ユニチカ株式会社
吸油材の製造方法
1か月前
東レ株式会社
再生複合半透膜およびエレメント
1か月前
住友化学株式会社
混合物の製造方法
25日前
三菱重工業株式会社
脱硫装置
18日前
トヨタ自動車株式会社
二酸化炭素の固定方法
25日前
株式会社栗本鐵工所
撹拌軸の製造方法
1か月前
トリニティ工業株式会社
塗料ミスト除去装置
1か月前
トリニティ工業株式会社
塗料ミスト除去装置
1か月前
株式会社前川製作所
油分離器
1か月前
三菱重工業株式会社
還元剤注入装置
1か月前
ダイキン工業株式会社
ガス分離方法
1か月前
ダイキン工業株式会社
ガス分離方法
1か月前
ダイキン工業株式会社
ガス分離方法
1か月前
株式会社デンソー
二酸化炭素供給装置
1か月前
TOTO株式会社
光触媒塗装体
1か月前
TOTO株式会社
光触媒塗装体
1か月前
TOTO株式会社
光触媒塗装体
1か月前
株式会社日阪製作所
混合器
1か月前
株式会社デンソー
二酸化炭素供給装置
17日前
株式会社日阪製作所
混合器
1か月前
JFEスチール株式会社
炭酸ガスの固定化方法
25日前
株式会社パウレック
フィルタ及び粉粒体処理装置
17日前
日本特殊陶業株式会社
反応装置
26日前
三菱ケミカル株式会社
移動床吸着用多孔質成型体
1か月前
CKD株式会社
ガス製造装置、及びガス製造方法
5日前
日本濾過器株式会社
フィルタエレメント及びフィルタ装置
11日前
トヨタ自動車株式会社
逆浸透膜
3日前
株式会社グリーンケミカル
固体ルイス酸の再生方法
1か月前
トヨタ自動車株式会社
直接空気回収装置のリサイクル方法
25日前
徳晃有限公司
大気汚染を防止する排出ガス排出循環濾過装置
10日前
続きを見る
他の特許を見る