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公開番号2024171339
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-11
出願番号2024087406
出願日2024-05-29
発明の名称心筋を再生するための医薬組成物
出願人国立大学法人山口大学
代理人個人
主分類A61K 45/00 20060101AFI20241204BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約【課題】本発明の課題は、酸化ストレスの制御と共に他のストレス制御によって心筋を再生するための医薬組成物を提供することにある。
【解決手段】小胞体ストレス低減剤を有効成分として含み、抗酸化剤と同時併用又は逐次併用で投与されるように用いるための、心筋を再生するための医薬組成物を調整する。小胞体ストレス低減剤がダントロレン又はその薬学上許容される塩あるいはそれらの水和物であることや、抗酸化剤がN-アセチル-L-システイン(NAC)であることが好ましい。
【選択図】図3C



特許請求の範囲【請求項1】
小胞体ストレス低減剤を有効成分として含み、抗酸化剤と同時併用又は逐次併用で投与されるように用いるための、心筋を再生するための医薬組成物。
続きを表示(約 270 文字)【請求項2】
小胞体ストレス低減剤がダントロレン又はその薬学上許容される塩あるいはそれらの水和物であることを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗酸化剤がN-アセチル-L-システイン(NAC)であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
心疾患の予防又は治療に用いるための、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
心疾患が心筋梗塞、拡張型心筋症、慢性心不全又は虚血性心筋症であることを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は心筋を再生するための医薬組成物に関する。
続きを表示(約 3,900 文字)【背景技術】
【0002】
哺乳類の胎仔及び新生仔は、心筋細胞の細胞分裂能を有するものの、生後まもなく細胞増殖を止めてしまう。マウスにおいても、出生後10日までで多くは二核となった後にG1期で細胞周期を停止して細胞分裂能を失う。一度細胞周期を停止した哺乳類の心筋細胞は、細胞周期調節因子であるサイクリン依存性キナーゼ(CDK)が強力に阻害されており、その後二度と細胞分裂能を獲得することはないと考えられてきた。しかしながら、近年になって、いったん増殖を止めた心筋細胞も代謝制御や外来遺伝子の発現等により細胞周期再エントリーを起こすことが次々と明らかになってきた(非特許文献1、2参照)。なかでも注目されているのが低酸素である。近年、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化に由来する活性酸素種(ROS)によって、心筋細胞核における酸化DNA損傷レベルが上昇して細胞周期が停止するが、グルタチオンの前駆体であるN-アセチル-L-システイン(NAC)や低酸素飼育でROSを抑えることで心筋の細胞分裂能を獲得するとする報告が注目を集めている。
【0003】
これまで本発明者らは、心筋リアノジン受容体(RyR2)のカルモジュリン(CaM)結合ドメインを変異させて、RyR2へのCaMの親和性を高めたRyR2 V3599K KIマウスを作製した(非特許文献3参照)。このRyR2 V3599K KIマウスは、横行大動脈縮窄(TAC)モデルにおいても心肥大を起こさないことを報告している。このマウスでは小胞体(ER)からのCa
2+
漏出抑制によりERストレスを抑制し、アルツハイマー病の発症の抑制ができることも報告している(非特許文献4参照)。
【0004】
これまで心筋再生については、iPS細胞等から作製した心筋細胞を外から心筋に打ち込む(非特許文献5参照)、あるいは細胞シートにして心臓に貼り付ける(非特許文献6参照)というものが多かった。また繊維芽細胞を再プログラミングして心筋細胞にするということが行われてきた。
【0005】
心筋そのものを分裂させる試みとしては、サイクリン依存性キナーゼ(CDK)、クルッペル様(Kruppel-like)転写因子(KLF)、所定のマイクロRNAを用いる方法が試みられている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特表2018-512179号公報
特表2022-543589号公報
特表2017-186339号公報
【非特許文献】
【0007】
Puente BN, Kimura W, Muralidhar SA, Moon J, Amatruda JF, Phelps KL, Grinsfelder D, Rothermel BA, Chen R, Garcia JA, Santos CX, Thet S, Mori E, Kinter MT, Rindler PM, Zacchigna S, Mukherjee S, Chen DJ, Mahmoud AI, Giacca M, Rabinovitch PS, Aroumougame A, Shah AM, Szweda LI, Sadek HA. The oxygen-rich postnatal environment induces cardiomyocyte cell-cycle arrest through DNA damage response. Cell. 2014 Apr 24;157(3):565-79. doi: 10.1016/j.cell.2014.03.032.
Nakada Y, Canseco DC, Thet S, Abdisalaam S, Asaithamby A, Santos CX, Shah AM, Zhang H, Faber JE, Kinter MT, Szweda LI, Xing C, Hu Z, Deberardinis RJ, Schiattarella G, Hill JA, Oz O, Lu Z, Zhang CC, Kimura W, Sadek HA. Hypoxia induces heart regeneration in adult mice. Nature. 2017 Jan 12;541(7636):222-227. doi: 10.1038/nature20173.
Nakamura Y, Yamamoto T, Kobayashi S, Tamitani M, Hamada Y, Fukui G, Xu X, Nishimura S, Kato T, Uchinoumi H, Oda T, Okuda S, Yano M. Ryanodine receptor-bound calmodulin is essential to protect against catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia. JCI Insight. 2019 Jun 6;4(11):e126112. doi: 10.1172/jci.insight.126112.
Nakamura Y, Yamamoto T, Xu X, Kobayashi S, Tanaka S, Tamitani M, Saito T, Saido TC, Yano M. Enhancing calmodulin binding to ryanodine receptor is crucial to limit neuronal cell loss in Alzheimer disease. Sci Rep. 2021 Mar 31;11(1):7289. doi: 10.1038/s41598-021-86822-x.
Kawaguchi S, Soma Y, Nakajima K,et.al. Intramyocardial Transplantation of Human iPS Cell-Derived Cardiac Spheroids Improves Cardiac Function in Heart Failure Animals. JACC Basic Transl Sci. 2021 Feb 19;6(3):239-254.
Kashiyama N, Miyagawa S, Fukushima S,et.al. MHC-mismatched Allotransplantation of Induced Pluripotent Stem Cell-derived Cardiomyocyte Sheets to Improve Cardiac Function in a Primate Ischemic Cardiomyopathy Model. Transplantation. 2019 Aug;103(8):1582-1590.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これまで心筋再生においては酸化ストレスに着目されていたが、酸化ストレスの制御だけでは十分な心筋再生効果があるとはいえない状況であった。そこで、本発明の課題は、酸化ストレスの制御と共に他のストレス制御によって心筋を再生するための医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述のように、哺乳類の心筋は、分裂再生能が生後10日前後で停止することが知られている。この原因として、これまで心筋の分裂には酸化ストレスが重要であると考えられてきた。また、本発明者らの研究により、酸化ストレスの制御だけでは、わずかな量の心筋細胞が細胞周期へ再エントリーするのみであった。そこで本発明者らは、酸化ストレスのみならずERストレスも心筋が細胞周期に入ることに重要であると仮説を立てた。その結果、酸化ストレスと共にERストレスを取り除くことで、生後8週齢以降のマウスにおいて心筋が細胞周期再エントリーを引き起こすことを見いだし、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕小胞体ストレス低減剤を有効成分として含み、抗酸化剤と同時併用又は逐次併用で投与されるように用いるための、心筋を再生するための医薬組成物。
〔2〕小胞体ストレス低減剤がダントロレン又はその薬学上許容される塩あるいはそれらの水和物であることを特徴とする、上記〔1〕に記載の医薬組成物。
〔3〕抗酸化剤がN-アセチル-L-システイン(NAC)であることを特徴とする、上記〔1〕又は〔2〕に記載の医薬組成物。
〔4〕心疾患の予防又は治療に用いるための、上記〔1〕又は〔2〕に記載の医薬組成物。
〔5〕心疾患が心筋梗塞、拡張型心筋症、慢性心不全又は虚血性心筋症であることを特徴とする、上記〔4〕に記載の医薬組成物。
さらに、本発明の別の態様は、以下のとおりである。
(【0011】以降は省略されています)

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