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公開番号
2024163413
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-22
出願番号
2023078967
出願日
2023-05-12
発明の名称
吸収制御剤
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
A61K
47/12 20060101AFI20241115BHJP(医学または獣医学;衛生学)
要約
【課題】皮膚や粘膜等において、バリア機能に関わらず有効成分の透過量を一定に制御できる吸収制御剤を提供すること。
【解決手段】イオン液体を含む、有効成分の吸収制御剤。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
イオン液体を含む、有効成分の吸収制御剤。
続きを表示(約 1,300 文字)
【請求項2】
前記有効成分が以下の式1を満たす、請求項1記載の吸収制御剤。
(電気抵抗値が2.5kΩ以下のヘアレスマウス皮膚における有効成分の24時間累積透過量) ÷ (電気抵抗値が7.0kΩ以上のヘアレスマウス皮膚における24時間累積透過量) ≧5 ・・・式1
【請求項3】
請求項1又は2記載の吸収制御剤と有効成分を有する医薬組成物。
【請求項4】
以下の式2を満たす、請求項3記載の医薬組成物。
(電気抵抗値が1.3kΩ以上4.0kΩ未満のヘアレスマウス皮膚に対する有効成分の24時間累積透過量) ÷ (電気抵抗値が7.0kΩ以上10.0kΩ以下のヘアレスマウス皮膚に対する有効成分の24時間累積透過量) ≦5 ・・・式2
【請求項5】
前記吸収制御剤は、下記一般式(I)又は(II)で示されるアニオンを有するイオン液体であり、
前記有効成分は、骨格筋弛緩剤、抗てんかん剤、パーキンソン病治療薬、抗精神病薬、認知症治療薬、注意欠如・多動性治療薬、ヤヌスキナーゼ阻害剤、片頭痛治療薬及びホスホジエステラーゼ4阻害剤からなる群から選択される塩基性薬物である、請求項3又は4記載の医薬組成物。
TIFF
2024163413000008.tif
74
114
(式(II)中、R
1
は、水素原子又はアシル基を表し、R
2
は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、スルホ基、アリール基又はアルコキシ基を表す。)
【請求項6】
外用剤である、請求項3~5のいずれか一項記載の医薬組成物。
【請求項7】
請求項1又は2記載の吸収制御剤と有効成分を有する医薬部外品又は化粧品。
【請求項8】
以下の式2を満たす、請求項7記載の医薬部外品又は化粧品。
(電気抵抗値が1.3kΩ以上4.0kΩ未満のヘアレスマウス皮膚に対する有効成分の24時間累積透過量) ÷ (電気抵抗値が7.0kΩ以上10.0kΩ以下のヘアレスマウス皮膚に対する有効成分の24時間累積透過量) ≦5 ・・・式2
【請求項9】
前記吸収制御剤は、下記一般式(I)又は(II)で示されるアニオンを有するイオン液体であり、
前記有効成分は、グルタチオン、L-システイン、トリプトファン、ヒスチジン、ニコチン酸アミド、ヒドロキシプロリン、セリン、アルギニン、アラニン、γ-アミノ酪酸及びそれらの誘導体並びにそれらの薬理学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項7又は8記載の医薬部外品又は化粧品。
TIFF
2024163413000009.tif
61
119
(式(II)中、R
1
は、水素原子又はアシル基を表し、R
2
は、ハロゲン原子で置換されていてもよいアルキル基、ハロゲン原子、スルホ基、アリール基又はアルコキシ基を表す。)
【請求項10】
請求項1又は2記載の吸収制御剤と有効成分を有する、角層損傷を伴う疾患に対する治療剤又は予防剤。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体を含む吸収制御剤に関する。
続きを表示(約 1,300 文字)
【背景技術】
【0002】
医薬品の投与経路としては、経口投与、静脈内投与及び経皮投与等が知られており、有効成分の物性や特性等に合わせて適宜開発されている。
【0003】
なかでも経皮投与は、高齢者や認知症患者等の嚥下困難な患者でも服薬が容易であること、経口・注射投与による医薬品の血中濃度上昇に起因する副作用を避けられること、更に、食事による影響を受けにくいため多忙で食生活が乱れがちな患者にも安定した薬効を得やすいこと等の患者の薬に関わるコンプライアンスを向上させるといったメリットがある。しかしながら、一般的に水溶性薬物や分子量の大きい薬物は、高いバリア機能を持つ皮膚の角質層に阻まれるために皮膚透過性が低く、経皮投与に適用できる薬物は限定的であった。
【0004】
経皮投与での薬物の皮膚透過性を向上させる技術としては、経皮吸収促進剤を用いる方法が知られており、実際に貼付剤をはじめとする皮膚外用剤に使用されている。しかしながら、経皮吸収促進剤の使用により薬物の経皮吸収性を高めることで、高齢者や小児、皮膚疾患の患者等の皮膚バリア機能が弱い又は低下している患者に対しては、過剰投与になる可能性がある。一方で、皮膚バリア機能の弱い患者に対して最適な薬物投与量になるよう製剤設計を行うと、皮膚バリア機能が正常な患者や治療により皮膚バリア機能が正常になった患者に対しては薬物投与量が不十分となるといった課題があった。
【0005】
例えば、非特許文献1には、代表的な経皮吸収促進剤である界面活性剤、脂肪酸、脂肪酸エステルを用いた場合における、マンニトール等の親水性薬物やエストラジオール等の脂溶性薬物それぞれの薬物の透過係数と皮膚の電気抵抗値の関係について記載されている。
【0006】
また、特許文献1には、芳香族カルボキシレートイオン及び芳香族スルホネートイオンを含む温度応答性イオン液体を用いることで皮膚や粘膜等での薬物の透過性を向上させた医薬組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
国際公開第2021/070893号
【非特許文献】
【0008】
JOURNAL OF CONTROLLED RELEASE 110 (2006) 307-313.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、非特許文献1には、吸収促進剤がある条件下においても、皮膚の電気抵抗値と薬物の透過係数には負の相関があると記載されている。このように界面活性剤や脂肪酸といった既存の吸収促進剤を用いた場合には、皮膚の状態によって薬物の透過量が大きく変動するという課題があった。
【0010】
また、特許文献1には、温度応答性イオン液体を用いることで、皮膚や粘膜に対する薬物の透過量を向上させる技術が開示されているが、皮膚や粘膜のバリア機能の強さにかからず薬物等の有効成分の透過量を一定範囲に制御する技術については、示唆も記載もない。
(【0011】以降は省略されています)
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