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公開番号2025095562
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2023211648
出願日2023-12-15
発明の名称中空回転翼
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B64C 27/473 20060101AFI20250619BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】回転翼として必要な強度・剛性を確保しつつ安価に製造可能であり、回転翼全体として軽量で、省エネルギー化にも適した回転翼とできる。
【解決手段】繊維強化複合材料で成形された翼の上面を模る上面スキン、繊維強化複合材料で成形された翼の下面を模る下面スキン、および、前記上面スキンと下面スキンとの間に存在してこれらを支えるシアウェブとを有し、前記上面スキンと下面スキンはその内層側表面に前記シアウェブを嵌合させるための嵌合部および重ね合わせ時に噛み合う段差部を有し、前記シアウェブが前記嵌合部に嵌合されている中空回転翼とする。
【選択図】 図2
特許請求の範囲【請求項1】
繊維強化複合材料で成形された翼の上面を模る上面スキン、繊維強化複合材料で成形された翼の下面を模る下面スキン、および、前記上面スキンと下面スキンとの間に存在してこれらを支えるシアウェブとを有し、前記上面スキンと下面スキンはその内層側表面に前記シアウェブを嵌合させるための嵌合部および重ね合わせ時に噛み合う段差部を有し、前記シアウェブが前記嵌合部に嵌合されている中空回転翼。
続きを表示(約 640 文字)【請求項2】
前記段差部の隣接する平面部分の2面角が90°を超えている、請求項1に記載の中空回転翼。
【請求項3】
前記嵌合部に発泡接着層を有し、該発泡接着層を介して前記シアウェブと前記上面スキンおよび下面スキンとが接着され、または、前記段差部に発泡接着層を有し、該発泡接着層を介して前記上面スキンと下面スキンとが接着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の中空回転翼。
【請求項4】
前記発泡接着層の厚みが0.05mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、請求項3に記載の中空回転翼。
【請求項5】
前記嵌合部または段差部を構成する繊維強化複合材料に含まれる強化繊維は、不連続繊維であることを特徴とする、請求項1または2に記載の中空回転翼。
【請求項6】
前記嵌合部が不連続な強化繊維がその中に分散された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料で形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の中空回転翼。
【請求項7】
前記シアウェブはその上面視において屈曲部を有していることを特徴とする、請求項1または2に記載の中空回転翼。
【請求項8】
スキンに含まれる強化繊維の体積含有率およびシアウェブに含まれる強化繊維の体積含有率が何れも嵌合部に含まれる強化繊維の体積含有率よりも10%以上大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の中空回転翼。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、中空回転翼に関し、とくにUAM(Urban Air Mobility:都市型航空交通)用飛行体(いわゆる「空飛ぶクルマ」)に好適に用いることができる、中空回転翼に関する。
続きを表示(約 2,600 文字)【背景技術】
【0002】
都市部の交通渋滞緩和や離島等への輸送手段の確保等を目的に、UAM用飛行体の開発が進められており、その過程で、UAM用飛行体向けの回転翼の設計をどのように行うかが課題の一つとなっている。
【0003】
従来の一般的な航空手段用回転翼は、セスナ機向けの航空機認定をとった高機能タイプと、ドローン向けの非認定/低コストタイプの2種類があるが、UAM用飛行体は比較的新しい分野であり、UAM用飛行体向けの回転翼はコスト面、信頼性面からどちらにも適合しないと考えられている。ただUAM用飛行体が都市部の上空を通過するものであることから、航空機に準ずる安全基準は設定されるものと考えられ、実際の設計に際しては、強度・剛性面やコスト面の要求に加え、軽量化や省エネルギー化の促進、さらに、性能上や成形上の改善が重要になると考えられる。
【0004】
上記のような観点から従来公知の回転翼を見渡してみると、例えば特許文献1~3が挙げられる。特許文献1には、炭素繊維に熱硬化性樹脂が含侵してなる表皮の内側に、熱硬化性樹脂が含浸してなる発泡体を含むコア部を有する無人航空機用回転翼が開示されている。特許文献2には、強化繊維と樹脂からなる複合材翼の背側部位と腹側部位との間に発泡剤を配置し、発泡剤を加熱膨張させて背側積層体と腹側積層体と内部発泡剤からなる複合材翼を成形する方法が開示されている。特許文献3には、第1、第2の複合繊維層間に配置された袋体を膨張させて風力タービン用の中空ブレードを成形する方法が開示されている。特許文献4、5には、スキンやシアウェブの嵌合箇所を含む風車用中空ブレード構造が開示されている。特許文献6には、上下スキンを接着・接合したヘリコプター用のローターブレード構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許第6971840号明細書
特許第6789887号明細書
特許第6066548号明細書
特開2005-147086号公報
米国特許出願公開第2020/0095978号
欧州特許出願公開第2724847号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1、2に開示の構造や方法では、回転翼の内部が発泡体や発泡剤で構成されていることで、翼全体の軽量化がはかられているが、内部に設けられる発泡体や発泡剤は、翼成形後にもそのまま残されるため、軽量化には限界が生じることとなっており、軽量化の効果が不十分である。この点、特許文献3~6に開示の方法では、ブレードの内部が中空に形成されるためブレード全体の軽量化は可能であるが、風力タービンやヘリコプター用の中空ブレードであるため、UAM用飛行体向けの回転翼とは基本的にサイズ、用途、全体形状、構造が大きく異なり、UAM用飛行体向けの回転翼に適用することは困難である。
【0007】
本発明の課題は、とくにUAM用飛行体向けの回転翼に好適に適用でき、望ましい強度・剛性、安価なコストの要求に応えることが可能で、軽量化や省エネルギー化を促進可能であり、さらに、性能上や成形上の改善も可能な中空回転翼を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のいずれかの手段を採用するものである。すなわち、
〔1〕 繊維強化複合材料で成形された翼の上面を模る上面スキン、繊維強化複合材料で成形された翼の下面を模る下面スキン、および、前記上面スキンと下面スキンとの間に存在してこれらを支えるシアウェブとを有し、前記上面スキンと下面スキンはその内層側表面に前記シアウェブを嵌合させるための嵌合部および重ね合わせ時に噛み合う段差部を有し、前記シアウェブが前記嵌合部に嵌合されている中空回転翼。
〔2〕 前記段差部の隣接する平面部分の2面角が90°を超えている、前記〔1〕に記載の中空回転翼。
〔3〕 前記嵌合部に発泡接着層を有し、該発泡接着層を介して前記シアウェブと前記上面スキンおよび下面スキンとが接着され、または、前記段差部に発泡接着層を有し、該発泡接着層を介して前記上面スキンと下面スキンとが接着されていることを特徴とする、前記〔1〕または〔2〕に記載の中空回転翼。
〔4〕 前記発泡接着層の厚みが0.05mm以上0.4mm以下であることを特徴とする、前記〔3〕に記載の中空回転翼。
〔5〕 前記嵌合部または段差部を構成する繊維強化複合材料に含まれる強化繊維は、不連続繊維であることを特徴とする、前記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の中空回転翼。
〔6〕 前記嵌合部が不連続な強化繊維がその中に分散された熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂からなる繊維強化複合材料で形成されていることを特徴とする、前記〔5〕に記載の中空回転翼。
〔7〕 前記シアウェブはその上面視において屈曲部を有していることを特徴とする、前記〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の中空回転翼。
〔8〕 スキンに含まれる強化繊維の体積含有率およびシアウェブに含まれる強化繊維の体積含有率が何れも嵌合部に含まれる強化繊維の体積含有率よりも10%以上大きいことを特徴とする、前記〔1〕~〔7〕のいずれかに記載の中空回転翼。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る中空回転翼によれば、回転翼として必要な強度・剛性を確保しつつ安価に製造可能であり、回転翼全体として軽量で、省エネルギー化にも適した回転翼とできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の一実施態様に係る中空回転翼の概略上面図である。
図1のA-A´断面図である。
図1のA-A´断面におけるリーディングエッジ部分の拡大図である。
図1のA-A´断面におけるトレーリングエッジ部分の拡大図である。
本発明の別な実施態様におけるシアウェブの配置を説明する概略上面透視図である。
本発明の別な実施態様におけるシアウェブの配置を説明する概略上面透視図である。
【発明を実施するための形態】
(【0011】以降は省略されています)

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