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公開番号2025079878
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-23
出願番号2023192725
出願日2023-11-13
発明の名称樹脂フィルムの製造方法
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B29C 55/14 20060101AFI20250516BHJP(プラスチックの加工;可塑状態の物質の加工一般)
要約【課題】
フィルム搬送方向の上流側から下流側に向けて、および/またはフィルム搬送方向の下流側から上流側に向けて流れる気流を制御し、熱処理工程で大量に発生するオリゴマやコーティング昇華物がテンターオーブン内で析出するによる工程汚染の抑制と、フィルム付着異物を低減することが可能な製造する方法を提供すること。
【解決手段】
本発明の樹脂フィルムの製造方法は、熱処理工程と、予熱工程、延伸工程および冷却工程のいずれか1つ以上の工程を有するテンターオーブンを用いて樹脂フィルムを製造する方法において、特定の気流を制御する手段を備える。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
熱処理工程と、予熱工程、延伸工程および冷却工程のいずれか1つ以上の工程を有するテンターオーブンを用いて樹脂フィルムを製造する方法において、
前記熱処理工程と、前記樹脂フィルムを処理する温度が前記熱処理工程よりも低い工程との間に、フィルム搬送方向の上流側から下流側に向けて、および/またはフィルム搬送方向の下流側から上流側に向けて流れる気流を制御する手段を備え、
前記気流を制御する手段が、搬送される前記樹脂フィルムにエアを吹き出す吹出しノズルであって、前記樹脂フィルムの通過面を挟んで対向する少なくとも一対の吹出しノズルと、
前記テンターオーブンの内部のエアを吸引排出する吸引排気機構であって、前記一対の吹出しノズルよりも前記樹脂フィルムの搬送方向の上流側にあり、フィルム通過面を挟んで対向する少なくとも一対の上流側吸引排気機構と、
前記一対の吹出しノズルよりも前記樹脂フィルムの搬送方向の下流側にあり、フィルム通過面を挟んで対向する少なくとも一対の下流側吸引排気機構と、を備える、
樹脂フィルムの製造方法。
続きを表示(約 660 文字)【請求項2】
前記上流側吸引排気機構および前記下流側吸引排気機構が、当該上流側吸引排気機構と当該下流側吸引排気機構からの総排気量が、前記吹出しノズルからの吹出し量よりも多くなるように調整され、
前記上流側吸引排気機構および前記下流側吸引排気機構の排気量がそれぞれゼロよりも大きくなるように調整された、
請求項1の樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記熱処理工程の前記気流を制御する手段との境界に近い側の静圧および前記樹脂フィルムを処理する温度が前記熱処理工程よりも低い工程の前記気流を制御する手段との境界に近い側の静圧とが、前記気流を制御する手段を設ける空間の静圧よりも、それぞれ1~30Pa高い、
請求項1の樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記吹出しノズルから吹き出すエアの風向が樹脂フィルムのフィルム搬送方向に対して垂直である、
請求項1の樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記テンターオーブンが、少なくとも前記熱処理工程と冷却工程を備え、
前記気流を制御する手段を、前記熱処理工程と前記冷却工程との間に設ける、
請求項1の樹脂フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記テンターオーブンが、少なくとも前記延伸工程と前記熱処理工程を備え、
前記気流を制御する手段を、前記延伸工程と前記熱処理工程との間に設ける、
請求項1または請求項5の樹脂フィルムの製造方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂フィルムを製造する方法に関し、特に樹脂フィルムを熱処理した際に発生するオリゴマやコーティング剤昇華物などの析出による工程汚染を抑制し、フィルム付着異物を低減することができる樹脂フィルムの製造方法に関する。
続きを表示(約 2,000 文字)【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムの製造方法として、逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法が知られている。逐次二軸延伸法では、未延伸樹脂フィルムをその長手方法に延伸することにより一軸延伸フィルムを得た後、得られた一軸延伸フィルムをテンターオーブンに導入して、その中で、その幅方向に延伸する。同時二軸延伸法では、未延伸樹脂フィルムをテンターオーブンに導入して、テンターオーブン内で、その長手方向および、その幅方向に同時に延伸する。
【0003】
逐次二軸延伸法や同時二軸延伸法で製造される樹脂フィルムは、包装用途をはじめとして、各種工業材料用途などに広く用いられている。中でも、ポリエステル、ポリオレフィンやポリアミド樹脂の逐次二軸延伸フィルムは、その優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性等により、未延伸樹脂フィルムでは使用に耐えない用途に広く使用され、需要量も増加している。
【0004】
樹脂フィルムを製造するためのテンターオーブンの問題点として、テンターオーブンを構成する室でエアの循環が完結せず、設定温度の異なるエアが隣接する室へ流れ込んだり、テンターオーブンの室外から外気がオーブン内へ流れ込んだり、テンターオーブンの室内のエアがオーブンの外に吹き出したりする現象がある。これらはいずれもフィルム搬送方向にエアが流れる現象であり、このようなエアの流れは、MD(Machine Direction)流と呼ばれている。MD流は、樹脂フィルムが搬送される際の随伴気流や、テンターオーブン内へ供給される加温されたエアの給気量とテンターオーブン内から排出されるエアの排気量との差、等に起因して発生する。
【0005】
MD流が発生すると、室外から流れ込んだ異なる温度のエアが樹脂フィルムの近傍を流れながら、室内の加熱エアと混ざるため、樹脂フィルムを加熱する効率にムラが生じ、樹脂フィルムに大きな温度ムラが生じる。テンターオーブンでは、樹脂フィルムを所望の温度まで昇温する予熱工程、樹脂フィルムを所望の幅まで拡幅する延伸工程、樹脂フィルムを所望の温度で熱処理する熱処理工程、および樹脂フィルムを所望の温度まで冷却する冷却工程のうち、少なくとも1つの工程が行われる。これらのいずれかの工程で樹脂フィルムに温度ムラが生じると、樹脂フィルムの厚みムラおよび特性ムラの原因にもなり、製品の品質が低下する。製品の品質が低下する以外にも、テンターオーブン内でフィルム破れが発生し、生産性が低下することがある。
【0006】
また、特にポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)フィルムの製造において、熱処理工程ではフィルムからオリゴマ等の低分子量物(以下、単にオリゴマという)が揮発するため、熱処理工程の空気はオリゴマを大量に含有する。そして、オリゴマを大量に含有する熱処理工程の空気が隣接する延伸工程や冷却工程に入ると、オリゴマを含有する空気の温度低下に伴いオリゴマの飽和量が下がり、やがてオリゴマがテンターオーブン内で析出する。析出したオリゴマは、テンターオーブン内の工程汚染やフィルムへの付着異物の原因となる。
【0007】
更に、光学用途やディスプレイ用途フィルム等において、ベースフィルムに機能層を付与するため、樹脂フィルムに塗液を塗布し、その塗液をテンターオーブン内で加熱乾燥する場合がある。このとき、熱処理工程の環境下において、コーティング剤昇華物(例えばメラミン類等)が揮発するため、オリゴマ同様、延伸工程や冷却工程でコーティング剤昇華物が析出し、テンターオーブン内の汚染やフィルム付着異物の原因となることもある。
【0008】
オリゴマやコーティング剤昇華物によるフィルム付着異物を低減する技術として、特許文献1には、延伸工程と熱処理工程および冷却工程の間の圧力差を制御する技術が開示されており、給気と排気を備える中間室で炉内の圧力差を制御することが開示されている。また、特許文献2には、熱セット室と冷却室との間に中間室を設け、中間室に設置したエア噴射ノズルからの噴射エアで搬送フィルムに伴走する汚染エアを遮る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開2014-184718号公報
特開2003-39543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に開示の方法は、所望の圧力差に制御できる場合にはフィルム付着異物の低減に一定の効果が見込めるが、気流制御を室間の圧力差のみで行う場合はテンターオーブンの圧力変動の影響を受けてしまい、フィルム付着異物も突発的に多くなることがあることから、フィルム付着異物の低減を狙ったテンターオーブンの気流制御には改良の余地があった。
(【0011】以降は省略されています)

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