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公開番号2025077538
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-19
出願番号2023189807
出願日2023-11-07
発明の名称炭素繊維織物
出願人東レ株式会社
代理人
主分類D03D 15/275 20210101AFI20250512BHJP(織成)
要約【課題】力学的特性に優れたCFRPを成形することができるクリンプの小さい高目付炭素繊維織物を提供する。
【解決手段】
たて糸とよこ糸のそれぞれに炭素繊維を含む炭素繊維織物であって、織物目付が300g/m2以上800g/m2以下であり、織物厚みをt[mm]、織り密度をd[本/25mm]としたときに、arctan(td/50)が1.0°以上3.3°以下である炭素繊維織物。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
たて糸とよこ糸のそれぞれに炭素繊維を含む炭素繊維織物であって、織物目付が300g/m

以上800g/m

以下であり、織物厚みをt[mm]、織り密度をd[本/25mm]としたときに、arctan(td/50)が1.0°以上3.3°以下である炭素繊維織物。
続きを表示(約 510 文字)【請求項2】
前記炭素繊維の繊度が、1.000g/m(1,000テックス)以上4.000g/m(4,000テックス)以下である請求項1に記載の炭素繊維織物。
【請求項3】
前記炭素繊維のサイジング付着率が0.5質量%以上10質量%以下である請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
【請求項4】
せん断剛性の値が0.40N/°以上10N/°以下である請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
【請求項5】
たて糸方向および/またはよこ糸方向の剛軟度が170mm以上400mm以下である請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
【請求項6】
開口率が0%以上10%以下である請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
【請求項7】
前記炭素繊維の引張強度3,000がMPa以上7,000MPa以下、引張弾性率が200GPa以上600GPa以下である請求項1または2に記載の炭素繊維織物。
【請求項8】
たて糸および/またはよこ糸に熱溶着繊維を含み、前記熱溶着繊維によって炭素繊維が目止めされている請求項1または2に記載の炭素繊維織物。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維複合材料に用いたときに優れた特性を発揮する炭素繊維織物に関するものである。さらに詳しくは、たて糸とよこ糸の交錯で生じる織糸のクリンプ角度を制御することで、従来、織物目付の大きい炭素繊維織物でみられた力学特性の低下を抑制した炭素繊維織物に関する。
続きを表示(約 1,700 文字)【背景技術】
【0002】
炭素繊維とマトリックス樹脂からなる炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、軽量性や力学特性に優れることから、各種産業用途に幅広く利用されている。CFRPに用いられる補強基材としては、通常、シャトル織機やレピア織機により製織される、織糸が炭素繊維からなる炭素繊維織物が、CFRPの補強基材として多用されている。
【0003】
CFRPは、その優れた性能をいかして航空機部材、圧力容器部材、自動車部材、スポーツ部材、土木・建築分野の補修補強材として好適に用いられているが、現状におけるCFRPは従来の金属材料に比べてコストが高いという問題があり、CFRPのコストダウンが課題である。コストダウンを狙う方策として、炭素繊維の有する高性能な特性を最大限発揮させ、炭素繊維の使用量を低減させることが有効である。また、プリプレグや炭素繊維織物のような補強基材を複数層積層する場合は、1層あたりに含まれる炭素繊維量を大きくし、基材準備および成形時間を短縮させることも有効である。
【0004】
この補強基材としての通常の補強織物は、強化繊維をほぼ円形断面に集束させた強化繊維糸を用いて織物にしているので、織り込まれた状態においては、たて糸とよこ糸が交錯する交錯部における強化繊維糸の断面が楕円形で、織糸が大きくクリンプしている。特に、太い強化繊維糸を使用した補強織物では、太いよこ糸とたて糸が交錯しているのでこの傾向が大きくなる。このように強化繊維糸が大きくクリンプした補強織物をFRP材料とした場合、FRP材料に作用した応力が、織糸がクリンプした交錯部に集中して破壊の起点となるため、強化繊維の特徴である高い力学特性が十分に発揮できない。
【0005】
織糸のクリンプを小さくする手立てとして、織糸同士の交錯点を少なくした朱子織組織がある。この組織にすることにより織糸のクリンプを小さくすることができ、高い力学特性の発現が可能となるが、交錯が少ないことで織糸の拘束が弱くなっており、ハンドレイアップ成形のように、ローラー等でしごきながらマトリックス樹脂を含浸させるような成形方法の場合、もしくは、RTM(Resin Transfer Molding)成形のように高圧でマトリックス樹脂を含浸させるような成形方法の場合、織物の形状が崩れ強化繊維が蛇行しやすく、強化繊維の特徴である高い力学特性が十分に発揮されない問題がある。また、成形後の樹脂の硬化収縮によってCFRPに反りが発生する場合があり、精度が要求される部材には採用出来ないというような問題もあった。
【0006】
このような課題に対して、特許文献1では、薄くて幅の広い扁平な炭素繊維を織った強化繊維織物が開示されている。この織物は、糸幅/厚み比が20以上の扁平な強化繊維をたて糸とよこ糸の少なくとも一方とする強化繊維織物であって、織糸のクリンプが小さい扁平糸織物が開示されている。
【0007】
特許文献2では、糸幅/糸厚み比に加え、織り密度、ストランド繊度、織物厚みが規定された強化繊維織物が開示されている。しかしながら、織物目付が300g/m

以下の織物を対象としており、織物目付が高い領域においては、上述の課題は解決されていない。
【0008】
特許文献3では、クリンプ角度が1度未満である強化繊維織物が開示されているが、特許文献2と同様に、織物目付が高い領域においては、上述の課題は解決されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
特開平8-337942号公報
特開平6-136632号公報
特開平7-243147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載の強化繊維織物では、織物目付が大きく、クリンプ角度が小さい場合には、織糸の交錯点が少ないため織糸が動きやすく、成形時に強化繊維が蛇行しやすい。その結果、強化繊維の特徴である高い力学特性が十分に発揮されないという課題があった。
(【0011】以降は省略されています)

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