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公開番号2025095564
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-06-26
出願番号2023211651
出願日2023-12-15
発明の名称プロペラブレード
出願人東レ株式会社
代理人
主分類B64C 11/24 20060101AFI20250619BHJP(航空機;飛行;宇宙工学)
要約【課題】UAMやドローン用のプロペラブレードとして好適であり、軽量性を保ちつつ、耐雷性と耐衝突性を改善するプロペラブレードを提供すること。
【解決手段】プロペラ形状に賦形された構造体の外表面の側に、複数本の繊維状またはリボン状の導電体と複数本の非導電繊維束が樹脂に包埋された樹脂層を有するプロペラブレードであって、導電体は、プロペラブレードの先端から根元に向かう方向に配向されており、プロペラブレードの外側からみた樹脂層A中の前記導電体と非導電繊維束の配置として、導電体が最も外側にある領域(この部分を便宜上「領域A」という)と、非導電繊維束が最も外側にある領域とを有して、複数個の領域Aが存在する配置とし、かつ、前記導電体がプロペラブレードの根元においてプロペラ取り付け部からアース可能な構成とし、樹脂層Aは電気的にみて最外層をなしていることを特徴とするプロペラブレード、とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項１】
炭素繊維強化複合材料がプロペラ形状に賦形された構造体の外表面の側に、複数本の繊維状またはリボン状の導電体と複数本の非導電繊維束が樹脂に包埋された樹脂層（この層を便宜上「樹脂層Ａ」と称する）を有するプロペラブレードであって、前記の導電体は、プロペラブレードの先端から根元に向かう方向に配向されており、かつ、プロペラブレードの外側からみた樹脂層Ａ中の前記導電体と非導電繊維束の配置として、導電体が最も外側にある領域（この部分を便宜上「領域Ａ」という）と、非導電繊維束が最も外側にある領域（この部分を便宜上「領域Ｂ」という）とを有して、複数個の領域Ａが存在する配置とされており、かつ、前記導電体がプロペラブレードの根元においてプロペラ取り付け部からアース可能な構成とされており、樹脂層Ａは電気的にみて最外層をなしていることを特徴とするプロペラブレード。
続きを表示（約 780 文字）【請求項２】
プロペラブレードの外側からみた樹脂層Ａ中の前記導電体と非導電繊維束の配置として、領域Ａが島、領域Ｂを含む領域Ａ以外の領域が海の海島構造とされている請求項１に記載のプロペラブレード。
【請求項３】
前記樹脂層Ａと前記構造体との間に絶縁層を有する請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項４】
前記樹脂層Ａにおいて、領域Ａが、５ｃｍ四方に１６か所以上存在する請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項５】
さらに金属製のレセプターを有し、該金属製レセプターは、樹脂層Ａに電気的に接合されている請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項６】
前記金属製のレセプターが、プロペラブレードの翼端からプロペラ全長の２０％以内の領域に形成されている請求項５に記載のプロペラブレード。
【請求項７】
前記複数本の導電体の全部または一部は、樹脂層Ａのプロペラブレードの外側からみて反対側の面の側で電気的な接合を有している請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項８】
前記導電体と非導電繊維束は編組組織（ブレイデッド・ストラクチャー）をなして樹脂層Ａ中に包埋されている請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項９】
前記導電体が、炭素繊維、金属繊維、金属コートされた炭素繊維若しくはこれらの混繊物または金属ストリップである請求項１または２に記載のプロペラブレード。
【請求項１０】
前記導電体の電気伝導率が樹脂層Ａよりも内層側に存在する炭素繊維複合材料層に含まれる炭素繊維の電気伝導率よりも高い請求項１または２に記載のプロペラブレード。
（【請求項１１】以降は省略されています）
発明の詳細な説明【技術分野】
【０００１】
本発明は、プロペラブレードに関する。
続きを表示（約 1,500 文字）【背景技術】
【０００２】
プロペラブレードは、翼形状を有し、駆動軸を中心に回転することで空気を後方へ押しやり推力を得る。効率良く空気を後方へ押しやるため、プロペラブレードでは根元から翼端に向かって迎え角や翼弦方向長さが変化する複雑形状となっている。
【０００３】
近年ではＵｒｂａｎＡｉｒＭｏｂｉｌｉｔｙ（ＵＡＭ）や、ドローン等新たな空の利用形態が開発されている。これらの機体では主として多数のプロペラブレードを機体に搭載し、これらのプロペラブレードを動力で回転させ、揚力、推力を得る。
【０００４】
ＵＡＭやドローンは都市部の飛行を想定しているため、静粛性が求められる。特にプロペラブレードの回転に伴う騒音低減の観点から、プロペラブレードの薄肉化や、小型のプロペラブレードを多数搭載することによるプロペラ回転速度の低減等の対策も取られている。また、ＵＡＭやドローンは運用中の雷撃や、鳥や跳ね石などの異物衝突に耐える必要がある。このため静粛性に加え耐雷性や耐衝突性もＵＡＭやドローン向けのプロペラブレードの特性として要求される。
【０００５】
静粛性と耐雷性や耐衝突性の両立について、例えばプロペラブレードを薄肉化、あるいは小型化した場合、雷撃や衝突体の衝突エネルギーに対し、プロペラブレードの許容エネルギーが小さくなるため、ＵＡＭやドローンに特に要求されるこれらの特性の両立は困難である。
【０００６】
また、ＵＡＭやドローンは主として電動であるため、バッテリーやモーターなどの重量が重く航続距離増加やペイロード増加のためには、当然ながら機体重量の低減が重要であり、機体に対して多数搭載されるプロペラブレードについても軽量化が求められているのは言うまでもない。
【０００７】
これらの状況を統合するに、ＵＡＭやドローン向けのプロペラブレードでは、耐雷性や耐衝突性の向上を追加の重量増加なく達成する手段が求められているといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
米国特許出願公開第２０２０／０１６５９１９号
国際公開第２０２１／１７８５４２号
特開２０２１－１４８０２４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
近年開発されているＵＡＭやドローンでは多数のプロペラブレードを有する機体が開発されている。これらの機体では航続距離、時間増加のため、軽量化ニーズが高く、一機体当たりの搭載数が多いプロペラブレードについて、特に軽量化ニーズが高い。この軽量化ニーズに応えるため、プロペラブレードには高比強度・高比剛性である繊維強化複合材料が適用されている。
【００１０】
特にプロペラブレードのスキンに繊維強化複合材料を用いる場合、繊維強化複合材料の高い比強度・比剛性の効果が得られやすい。一方で、繊維強化樹脂複合材料は金属と比較し導電率が低く、被雷時の損傷が大きくなる傾向にある。特に繊維強化複合材料に雷撃が入力された箇所においては、特に電流が集中し損傷が最も大きい。このため特許文献１や特許文献２に示されるように、例えば金属メッシュの耐雷層を設けたり、導電層の外層に多孔フィルムを設けたりすることで、雷撃による電流の入力を分散するなどの対策が提案されている。一方でこれらの耐雷対策は、プロペラブレードを補剛する効果が極めて小さく、軽量化と補剛という観点でみれば、これらは単にブレードを重くするだけである。
（【００１１】以降は省略されています）

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