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公開番号2025133014
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-09-10
出願番号2024203661
出願日2024-11-22
発明の名称多孔質炭素シート
出願人東レ株式会社
代理人
主分類H01M 4/96 20060101AFI20250903BHJP(基本的電気素子)
要約【課題】
本発明の目的は、導電性とガス拡散性を両立した多孔質炭素シートを提供することである。
【解決手段】
多孔質炭素層と微多孔層を有する多孔質炭素シートであって、前記微多孔層は前記多孔質炭素層に含浸している含浸部分、および前記多孔質炭素層に含浸していない非含浸部分を有し、前記非含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率が前記含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率よりも大きい多孔質炭素シート。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
多孔質炭素層と微多孔層を有する多孔質炭素シートであって、前記微多孔層は前記多孔質炭素層に含浸している含浸部分、および前記多孔質炭素層に含浸していない非含浸部分を有し、前記非含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率が前記含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率よりも大きい多孔質炭素シート。
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
2MPa加圧時の微多孔層の表面粗さSq(JIS B0601:2013)が3.0μm以下である請求項1に記載の多孔質炭素シート。
【請求項3】
前記非含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率が50~100%である請求項1に記載の多孔質炭素シート。
【請求項4】
前記含浸部分の無加圧時に対する2MPa加圧時の厚さ変化率が0.1~20%である請求項1に記載の多孔質炭素シート。
【請求項5】
前記多孔質炭素層が炭素繊維と炭化樹脂で構成され、炭化樹脂の目付が炭素繊維の目付の0.7倍以上1.0倍以下である請求項1に記載の多孔質炭素シート。
【請求項6】
2MPa加圧時の前記含浸部分の厚さが2MPa加圧時の多孔質炭素層の単独層の厚さの0.60倍以上1.00倍未満である請求項1に記載の多孔質炭素シート。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の多孔質炭素シートを有する燃料電池。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載の多孔質炭素シートを有する水電解装置。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の多孔質炭素シートを有するレドックスフロー電池。
【請求項10】
請求項7に記載の燃料電池が搭載された移動体。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池や水電解装置、レドックスフロー電池に用いられるガス拡散層に用いられる多孔質炭素シートに関し、特に、燃料電池車や船舶などの移動体の電源として使用される固体高分子形燃料電池のガス拡散層に好適な多孔質炭素シートに関する。
続きを表示(約 1,400 文字)【背景技術】
【0002】
燃料電池は、水素、メタノールなどの燃料を電気化学的に酸化することによって、電気エネルギーを取り出す一種の発電装置であり、近年、クリーンなエネルギー供給源として注目されている。なかでも固体高分子形燃料電池は、標準的な作動温度が100℃前後と低く、かつ、エネルギー密度が高いことから、比較的小規模の分散型発電施設、燃料電池車や船舶などの移動体の発電装置として幅広い応用が期待されている。
【0003】
固体高分子形燃料電池の基本構成は、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両面に形成される触媒層と、この触媒層の外側に形成されるガス拡散層、および、それらを挟み込む2つのセパレーターである。
【0004】
燃料電池は水素と酸素が反応し水が生成する際に生じるエネルギーを電気的に取り出すシステムである。そのため、電気的な負荷が大きくなると、すなわち電池外部へ取り出す電流を大きくすると、多量の水(水蒸気)が発生する。この水蒸気が低温で凝縮して水滴になり、ガス拡散層の細孔を塞いでしまうと、ガス(酸素あるいは水素)の触媒層への供給量が低下する。そして、最終的に全ての細孔が塞がれてしまうと、発電が停止することになる(この現象をフラッディングという)。
【0005】
ガス拡散層として、具体的には、炭素繊維からなるカーボンフェルト、カーボンペーパーおよびカーボンクロスなどの導電性多孔質基材(多孔質炭素層)が用いられるが、その繊維の目が粗いため、水蒸気が凝縮すると大きな水滴が発生し、フラッディングを起こしやすい。そのため、炭素質粉末などの導電性微粒子からなる微多孔層(マイクロポーラス層ともいう)を導電性多孔質基材上に設ける場合がある。
【0006】
微多孔層を設ける場合、微多孔層は導電性多孔質基材に含浸している部分と、含浸していない部分を有する構成を取り得る。ガス拡散層の性能を上げるために、微多孔層の含浸部分と非含浸部分の厚さ比について様々な検討がされている。
【0007】
例えば特許文献1には、微多孔層の厚さを100%とした際のしみ込み部分の厚さの割合が30%以上70%以下であるガス拡散層が示されており、同手法によりガス拡散性が高いガス拡散層が得られることの記載がある。
【0008】
また、特許文献2には、微多孔層が導電性多孔質基材にしみ込んでいる層としみ込んでいない層について、しみ込んでいない層の厚さが0.0μm超20.0μm以下であり、かつ、しみ込んでいる層の厚さが微多孔層の全体の厚さに対して29%以下である燃料電池用ガス拡散層が示されており、同手法により電極触媒層との接触抵抗が低く、かつガス拡散性が高い燃料電池用ガス拡散層が得られることの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
国際公開第2018/061833号
特開2021-136056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1と特許文献2には共に、ガス拡散層の各層が加圧によりいかに変化するかを考慮するような記載がない。燃料電池に組み込まれる電極には高い圧力がかかるため、性能の高いガス拡散層を得るためには、加圧前後の各層の変化を考慮する必要がある。
(【0011】以降は省略されています)

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