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公開番号2025082874
公報種別公開特許公報(A)
公開日2025-05-30
出願番号2023196379
出願日2023-11-20
発明の名称塗膜付きシートの加熱装置
出願人東レ株式会社
代理人
主分類F26B 3/30 20060101AFI20250523BHJP(乾燥)
要約【課題】塗膜付きシートの生産工程において、シートに塗布された塗膜を加熱する際、塗膜が塗布されていないシート幅方向の両端部の過加熱を防止することができ、かつ塗膜を均一に加熱することができる加熱装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、シート幅方向の一方または両方の端部を除いて塗液が塗布された搬送中のシートの当該塗液に向けて輻射光を照射する加熱装置であり、塗液が塗布されている部分と塗布されていない部分との境界を含んだ領域に輻射光を照射する第一の加熱源と、塗液が塗布されている部分のみに輻射光を照射する第二の加熱源と、上記シートと上記第一の加熱源との間に設けられ、シートの塗液が塗布されていない部分を覆う遮蔽板と、が設けられている。また、上記第一の加熱源もしくは、上記第一の加熱源および、上記第二の加熱源がシート搬送方向から観察した形状が凸状に湾曲している反射材を備えている。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
シート幅方向の一方または両方の端部を除いて塗液が塗布されたシートであって、搬送されている前記シートの前記塗液を加熱するための加熱装置であって、
前記シートの前記塗液が塗布されている部分と塗布されていない部分との境界を含んだ領域に輻射光を照射する第一の加熱源と、
前記シートの前記塗液が塗布されている部分のみに輻射光を照射する第二の加熱源と、を備え、
前記第一の加熱源が、
シート搬送方向に延びる長尺の形状、またはシート搬送方向に並んだ複数の加熱源で構成された形態であり、
前記輻射光を前記シートに向けて反射する反射材であって、シート搬送方向から観察した形状が凸状に湾曲している反射材を備えた、
塗膜付きシートの加熱装置。
続きを表示(約 860 文字)【請求項2】
前記反射材がパラボラ型反射材である、請求項1の塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項3】
前記反射材が集光型反射材である、請求項1の塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項4】
前記第一の加熱源よりも前記シートに近い位置で、前記第一の加熱源から直接照射される輻射光および反射材で反射された輻射光が前記シートの前記塗液が塗布されていない部分に入射するのを遮る位置に配置された遮蔽部材を備えた、請求項1~3のいずれかの塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項5】
シート幅方向の一方または両方の端部を除いて塗液が塗布されたシートであって、搬送されている前記シートの前記塗液を加熱するための加熱装置であって、
前記シートの前記塗液が塗布されている部分と塗布されていない部分との境界を含んだ領域に輻射光を照射する第一の加熱源と、
前記シートの前記塗液が塗布されている部分のみに輻射光を照射する第二の加熱源と、を備え、
前記第一の加熱源および第二の加熱源がそれぞれ、
シート搬送方向に延びる長尺の形状、またはシート搬送方向に並んだ複数の加熱源で構成された形態であり、
前記輻射光を前記シートに向けて反射する反射材であって、シート搬送方向から観察した形状が凸状に湾曲している反射材を備えた、
塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項6】
前記反射材がパラボラ型反射材である、請求項5の塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項7】
前記反射材が集光型反射材である、請求項5の塗膜付きシートの加熱装置。
【請求項8】
前記第一の加熱源よりも前記シートに近い位置で、前記第一の加熱源から直接照射される輻射光および反射材で反射された輻射光が前記シートの前記塗液が塗布されていない部分に入射するのを遮る位置に配置された遮蔽部材を備えた、請求項5~7のいずれかの塗膜付きシートの加熱装置。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、塗膜付きシートの加熱装置に関する。
続きを表示(約 3,000 文字)【背景技術】
【0002】
シートに塗布された塗液を乾燥する装置としては、一般的に簡便な熱風ノズルが用いられている。また塗液の加熱を促進させる手段として反射板が一体構造となっている赤外線ヒーターが併用される場合もある。特許文献1では、塗液を効率よく乾燥させる加熱装置として、シートの搬送方向に熱風ノズルと熱風の排出口を交互に配置し、熱風の排出口に赤外線ヒーターを設置した加熱装置が開示されている。これは、赤外線ヒーターの輻射熱によってシートおよび塗液の温度を素早く上昇させるとともに、熱風ノズルから熱風をシートに吹き付け、シートの表面近傍の蒸発層を剥離させて外部へ排気するもので、シートを素早く加熱し、かつ塗液付近の蒸気濃度を低く保つことで、塗液を素早く乾燥させることができる。
【0003】
この特許文献1に開示されている加熱装置を、樹脂フィルムなどのシートの生産装置に適用した場合について説明する。図10は、樹脂フィルムの生産装置に加熱装置を適用した概略図であり、押出機7、口金8、冷却ドラム9、縦延伸機10、塗液塗布装置11、加熱装置12(22)、横延伸機13、巻取り装置14からなる。まず、押出機7によりポリマーを押し出し、口金8、冷却ドラム9を経て、溶融ポリマーをシート状に成形する。その後、シートは縦延伸機10で搬送方向に延伸され、塗液塗布装置11でシートの片面または両面に塗液を塗布する。加熱装置12(22)で塗液を乾燥した後、横延伸機13でシートは幅方向に延伸され、巻取り装置14によって連続的に巻き取られる。横延伸機13での延伸方法は、シートの幅方向両端部をクリップと呼ぶ把持機構などで把持して幅方向に延伸させるものである。
【0004】
このように、シートはその製造工程において一定方向に延伸することで、分子を変形方向に並ばせ、強度を増加させている。ただし、横延伸後のシートの幅方向両端部は、クリップなどの把持跡がつくため製品とはならない。よって、横延伸機13の出口で把持跡の付いたシートの幅方向両端部を切断している。切断したシートの幅方向両端部は、回収し、溶融してポリマーとして再利用しているが、この時、回収したシートに塗液が塗布されていると、溶融した際に不純物となるので、塗液塗布装置11ではシートの幅方向両端部は未塗布部とし、塗液を塗布しない。
【0005】
ここで、加熱装置12(22)で塗液を乾燥させる際、シートの幅方向両端の未塗布部は、塗布部のように塗液の蒸発潜熱で熱が消費されないため高温になりやすい。そのため、シートの幅方向両端の未塗布部が熱変形し、後の横延伸機13の入口でシート幅方向両端の未塗布部を把持機構で把持できない等の問題が発生する。あるいは、延伸時に高温の未塗布部のみが選択的に延伸されて厚みが不均一になる延伸不良が生じたり、製品となる塗布部が必要量延伸されずに、製品のシートの強度が不足したり、未塗布部を基点にシートが破れたりする等の問題もあった。特に塗布部の塗液厚みが厚い程、乾燥が完了するまでに与えなければならない熱量が大きくなるため、未塗布部はより過加熱状態となる。従って、未塗布部の過加熱を防止する必要があり、対策として、シートの幅方向両端部において、赤外線ヒーターおよび熱風ノズルと、シートとの間に遮蔽部材を設置する方法が挙げられる。この場合、熱風ノズルよりも赤外線ヒーターによる輻射熱が主な加熱源であるため、赤外線を遮蔽することが重要となる。赤外線を遮蔽する技術として、特許文献2には、多孔状の遮蔽板を用いて、シートの幅方向両端部に入射する輻射光を低減する技術が開示されている。また、特許文献3には、塗布部と未塗布部の境界近傍から、シートの幅方向両端に向かうにつれてシートから離れるように傾斜した遮蔽部材を用いて、シートの幅方向両端の未塗布部に入射する輻射光を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2010-101595号公報
特開2012-198012号公報
特開2022-145444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者らは、塗液の加熱を促進させる手段として併用される、反射板が一体構造となっている赤外線ヒーターについて詳しく検討した結果、ヒーターからの輻射状態は図8aに示すような状態であることを把握した。これは、ヒーターからの輻射光をシートおよび塗液に向けて照射するに際し、シートおよび塗液とは反対側に向かう輻射光を反射板で反射させ、シートおよび塗液の方へ照射させている一方、反射板での反射は拡散した状態で広がっているとわかった。この状態において、遮蔽部材で輻射光を遮蔽する場合、フィルムと赤外線ヒーターの位置関係によっては、遮蔽が必要な未塗布部へ輻射光が入射してしまい、未塗布部が温度上昇してしまう場合もある(図8b)。特許文献2の技術では、加熱ムラを抑制するため、遮蔽部材をフィルムに近接させる必要があるが、輻射光が常時照射される遮蔽部材は非常に高温となるため、遮蔽部材をフィルムに近接して使用すると、遮蔽部材から発せられる輻射熱や熱伝達によってフィルムの幅方向両端の未塗布部が加熱されてしまう(図8c)。またシートの搬送中、搬送方向に対して垂直方向上下のバタツキが生じた際には遮蔽部材がシートに接触し、シートがキズつく場合やシートの破れにつながる場合がある。また、多孔状の遮蔽部材を使用し、孔を流れる気体によって遮蔽部材を冷却する手段が開示されているが、遮蔽部材をフィルムに近接させると、気体が孔を流れにくくなるため、遮蔽部材の冷却効果が十分に発揮されない場合がある。
【0008】
特許文献3の技術でも、傾斜した遮蔽部材、特にその先端はシートに近接しているため、局所的に未塗布部が必要以上に加熱される場合や、遮蔽部材がシートに接触しキズつく場合や、シートの破れにつながる場合がある(図9)。
【0009】
本発明は、塗膜付きシートの製造において、塗布された塗液を加熱乾燥させる際、上記のような問題の発生を抑制し、未塗布部での過加熱を低減しつつ、塗膜に均一に輻射光を照射できる塗膜付きシートの加熱装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1] 上記課題を解決する本発明の第1の実施形態の塗膜付きシートの加熱装置は、シート幅方向の一方または両方の端部を除いて塗液が塗布されたシートであって、搬送されている上記シートの上記塗液を加熱するための加熱装置であって、
上記シートの上記塗液が塗布されている部分と塗布されていない部分との境界を含んだ領域に輻射光を照射する第一の加熱源と、
上記シートの上記塗液が塗布されている部分のみに輻射光を照射する第二の加熱源と、を備え、
上記第一の加熱源が、
シート搬送方向に延びる長尺の形状、またはシート搬送方向に並んだ複数の加熱源で構成された形態であり、
上記輻射光を上記シートに向けて反射する反射材であって、シート搬送方向から観察した形状が凸状に湾曲している反射材を備えている。
(【0011】以降は省略されています)

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