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公開番号
2024180606
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-12-26
出願番号
2024181358,2023133156
出願日
2024-10-16,2019-01-28
発明の名称
エタノール
出願人
積水化学工業株式会社
代理人
個人
,
個人
,
個人
,
個人
主分類
C12P
7/08 20060101AFI20241219BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】一酸化炭素および水素を含むガスを基質とする微生物発酵由来のエタノールを提供する。
【解決手段】ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)により測定したガスクロマトグラフにおいて、リテンションタイムが5分25秒~5分35秒のピーク、およびリテンションタイムが2分55秒~3分5秒のピークを有するエタノールとする。
【選択図】図1
特許請求の範囲
【請求項1】
微生物としてガス資化性細菌の発酵作用により、廃棄物由来の一酸化炭素および水素を含む合成ガスから得られた廃棄物由来のエタノール組成物であって、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)により、下記条件において測定したガスクロマトグラフにおいて、
リテンションタイムが5分25秒~5分35秒のピーク、および
リテンションタイムが2分55秒~3分5秒のピーク
を有する、廃棄物由来のエタノール組成物。
<GC/MS法の分析条件>
カラム:キャピラリーカラム(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
オーブン温度:40℃、1分間→5℃/分→100℃、10分間→10℃/分→250℃、4分間
サンプリング時間:5分
キャリアガス:He(3.0mL/分)
続きを表示(約 1,400 文字)
【請求項2】
前記ガスクロマトグラフにおいて、更にリテンションタイムが5分30秒~5分35秒のピークを有する、請求項1に記載の廃棄物由来のエタノール組成物。
【請求項3】
炭素源として廃棄物をガス化することにより、一酸化炭素および水素を含む原料ガスを生成する工程と、
前記原料ガスを精製して、一酸化炭素および水素を含む合成ガスを得る工程と、
前記合成ガスを微生物としてガス資化性細菌を含む発酵槽に供給し、微生物発酵によりエタノール含有液を得る微生物発酵工程と、
前記エタノール含有液を、微生物および/または微生物由来のタンパク質と、エタノールとに分離する分離工程と、
エタノール組成物を精製する精製工程と、
を含み、
前記精製されたエタノール組成物は、
ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)により、下記条件において測定したガスクロマトグラフにおいて、
リテンションタイムが5分25秒~5分35秒のピーク、および
リテンションタイムが2分55秒~3分5秒のピーク
を有する、廃棄物由来のエタノール組成物の製造方法。
<GC/MS法の分析条件>
カラム:キャピラリーカラム(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
オーブン温度:40℃、1分間→5℃/分→100℃、10分間→10℃/分→250℃、4分間
サンプリング時間:5分
キャリアガス:He(3.0mL/分)
【請求項4】
炭素源として廃棄物をガス化することにより、一酸化炭素および水素を含む原料ガスを生成する工程と、
前記原料ガスを精製して、一酸化炭素および水素を含む合成ガスを得る工程と、
前記合成ガスを微生物としてガス資化性細菌を含む発酵槽に供給し、微生物発酵によりエタノール含有液を得る微生物発酵工程と、
前記エタノール含有液を、前記微生物を除去した後に精製する精製工程と、
を含み、
前記精製されたエタノール組成物は、
ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)により、下記条件において測定したガスクロマトグラフにおいて、
リテンションタイムが5分25秒~5分35秒のピーク、および
リテンションタイムが2分55秒~3分5秒のピーク
を有する、廃棄物由来のエタノール組成物の製造方法。
<GC/MS法の分析条件>
カラム:キャピラリーカラム(長さ60m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
オーブン温度:40℃、1分間→5℃/分→100℃、10分間→10℃/分→250℃、4分間
サンプリング時間:5分
キャリアガス:He(3.0mL/分)
【請求項5】
化成品用である、請求項1または2に記載の廃棄物由来のエタノール組成物。
【請求項6】
ポリマー用である、請求項1または2に記載の廃棄物由来のエタノール組成物。
【請求項7】
請求項1または2に記載の廃棄物由来のエタノール組成物を原料とする化成品。
【請求項8】
請求項1または2に記載の廃棄物由来のエタノール組成物を原料とするポリマー。
【請求項9】
請求項8に記載のポリマーからなる成形品。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エタノールに関し、より詳細には、従来の石油資源由来やバイオマス資源由来によらない、一酸化炭素および水素を含むガスを基質とする循環型資源由来の新規なエタノールに関する。
続きを表示(約 2,000 文字)
【背景技術】
【0002】
我々の生活のさまざまなところに、石油化学製品が使われている。一方で、身近な製品であるが故、大量生産と大量消費により様々な環境問題を引き起こしていることが地球規模で大きな問題となっている。例えば、石油化学工業製品の代表であるポリエチレン、ポリ塩化ビニルは大量消費にて、使い捨てとされており、それら廃棄物が環境汚染の大きな一因となっている。加えて、石油化学工業製品を大量生産する上で、化石燃料資源の枯渇への危惧や、大気中の二酸化炭素増加という地球規模での環境問題も議論されている。
【0003】
そのような環境問題への地球規模での意識の高まりから、近年、石油化学工業製品の原料であるナフサ以外の原料で各種有機物質を製造する手法が検討されている。例えば、トウモロコシ等の可食原料から糖発酵法によってバイオエタノールを製造する方法が注目されている。しかし、このような可食原料を用いた糖発酵法は、限られた農地面積を食料以外の生産に用いることから、食料価格の高騰を招く等の問題が指摘されている。
【0004】
この問題点を解決するために、従来、廃棄されていたような非可食原料を用いることも検討されている。具体的には、非可食原料として廃材や古紙由来のセルロース等を使用して発酵法によりアルコール類を製造する方法や、上記のようなバイオマス原料をガス化し、合成ガスから触媒を用いてアルコール類を製造する方法等が提案されているが未だ実用化されていないのが現状である。また、これらの脱石化原料から種々の石油化学製品を製造できたとしても、最終的には自然には分解しない廃プラスチックとなるため、環境問題の抜本的な解決策としては有効ではないといえる。
【0005】
ところで、現在、日本国内で廃棄されている可燃性ごみは約6,000万トン/年にも及ぶ。そのエネルギー量は約200兆キロカロリーに相当し、日本国内のプラスチック原料用ナフサを大きく上回っており、これらのゴミも重量な資源であるといえる。これらごみ資源を石油化学製品に転換できれば、石油資源に依らない究極の資源循環社会を実現することが可能となる。上記観点から、特許文献1および2等には、廃棄物から合成ガス(CO及びH
2
を主成分とするガス)を製造し、その合成ガスから発酵法によりエタノールを製造する技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3においても指摘されているように、廃棄物から製造した合成ガス中には、解明されていない多種多様な不純物が含まれており、そのなかには微生物にとって毒性をもつものも存在するため、合成ガスから微生物発酵によりアルコールを生産する上でその生産性が大きな課題となっていた。また、合成ガスを微生物発酵して得られたアルコールにも、合成ガス中の不純物に起因した種々の成分が含まれており、これらの成分は蒸留等の精製処理によっても完全には除去できない。そのため、合成ガスの微生物発酵により得られたアルコールからの誘導品開発が大きな技術課題であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2016-059296号公報
国際公開2015-037710号公報
特開2018-058042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らの検討によれば、例えば、従来のエタノールに代表されるC2原料は、種々の化学製品の出発原料と知られているが、上述したように、石油資源やバイオマス資源によらない資源(循環型資源)から製造されるアルコールは、ナフサ由来の化学原料とは異なり、様々な微量の未知の物質が含有されていることが分かった。しかしながら、従来技術では物質の特性も不明であり、全ての物質を取り除けばよいのか、特定の物質のみを除去すればよいのか、従来は十分な検討がなされてこなかった。そのため、上記特許文献において循環型資源から製造されたアルコールが提案されていても、当該アルコールを実用化するにはまだまだ技術改良の余地が残されているのが現状であった。
【0009】
一方、上記文献によれば一般的な発酵・蒸留方法や最適な合成ガスの組成等が開示されているものの、その工程等の詳細は記載されておらず、また得られたアルコール物質の特定すらもされていない。
【0010】
そこで、本発明は、かかる背景技術に鑑みなされたものであり、その課題は、既存の石化原料よりも産業的価値のある実用的な新規なアルコール及びその誘導品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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