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公開番号
2024159385
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-08
出願番号
2023117165
出願日
2023-07-18
発明の名称
植物細胞外小胞、その調製方法及び用途
出願人
株式会社システマックス
代理人
個人
主分類
C12N
5/04 20060101AFI20241031BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】植物細胞外小胞を単離するための新たな原料を提供すること、及びその原料から植物細胞外小胞を調製する方法を提供すること。
【解決手段】植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離する。一態様において、植物の蒸散物から、該植物の細胞外小胞を単離する。植物の蒸散物には、細胞外小胞が豊富に含まれる一方、植物細胞体由来の成分がほとんど混入していないため、簡便な操作で、高純度の植物細胞外小胞を回収することが可能である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
植物が気体中に放出した単離された植物細胞外小胞。
続きを表示(約 580 文字)
【請求項2】
miRNAを含有する、請求項1記載の植物細胞外小胞。
【請求項3】
全RNAに対する長さ200塩基以下のRNAの重量比百分率で定義される細胞外小胞の純度が30wt%以上である、請求項1記載の植物細胞外小胞。
【請求項4】
植物の蒸散物から単離されたものである、請求項1記載の植物細胞外小胞。
【請求項5】
植物が生息する地域の環境水から単離されたものである、請求項1記載の植物細胞外小胞。
【請求項6】
植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離することを含む、植物細胞外小胞の調製方法。
【請求項7】
植物の蒸散物から該植物の細胞外小胞を単離することを含む、請求項6記載の調製方法。
【請求項8】
植物の蒸散物を遠心分離、カラムクロマトグラフィー、又は限外濾過に付し、植物細胞外小胞を含む画分を回収することを含む、請求項7記載の調製方法。
【請求項9】
回収した画分が植物細胞外小胞を含むことを確認することを含む、請求項8記載の調製方法。
【請求項10】
植物が生息する地域の環境水から該植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離することを含む、請求項6記載の調製方法。
(【請求項11】以降は省略されています)
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物細胞外小胞、その調製方法及び用途に関する。
続きを表示(約 3,600 文字)
【背景技術】
【0002】
細胞外小胞は細胞から分泌される脂質二重膜からなる小胞である。1980年代ごろから,さまざまな細胞が小胞を分泌することが観察されており、これらの小胞は、大きさや細胞の期限等により、エクソソーム、エクトソーム、マイクロベシクル、シェディングベシクル、オンコソーム、プロスタソームなど、さまざまな名称で呼ばれてきた。International Society for Extracellular Vesicles(ISEV)では、これら細胞から分泌される小胞の総称として細胞外小胞(extracellular vesicle)の使用を推奨している。
【0003】
1990年代にはエクソソームは機能をもつ小胞であることが判明していたものの、長いあいだ、エクソソームは細胞にとり不要なものを詰めて外に捨てるためのゴミ袋だと考えられてきた。しかし,2007年、エクソソームはmiRNAおよびmRNAを含み,それらは細胞のあいだを輸送されることが明らかにされた(非特許文献1)。さらに、3つの研究グループにより同時に、エクソソームに含まれるmiRNAが細胞の間を輸送され、輸送された先の細胞において機能することが明らかにされた(非特許文献2~4)。同じころには、血液に存在するmiRNAを疾患の診断法に利用するという論文が発表されており、これ以降、エクソソームに関する研究が飛躍的に発展した。
【0004】
植物についても細胞外小胞が存在することは知られているが、動物由来の細胞外小胞に対して、論文の数が限定的であり、機能解析も進んでいない。植物の細胞外小胞の報告は1960年代からあるが、植物細胞がエクソソームを分泌するのが報告されたのは2007年である(非特許文献5)。近年では、様々な食用のフルーツや野菜から細胞外小胞が単離され、様々な疾患に対する治療や、薬物送達媒体への転用への応用が研究されている。しかしながら、フルーツや野菜には、細胞外小胞以外の成分が大量に含まれていて、大量の不純物から細胞外小胞を精製しなければならないため、不純物の混入が少なく、精製を簡便に行うことが可能な、植物細胞外小胞の原料が望まれる。植物の細胞外小胞も、動物の細胞外小胞と同様に、様々なタンパク質や核酸(DNA, mRNA, miRNA, non-coding RNA)を含み、細胞間コミュニケーションを媒介していると考えられているが、その詳細なメカニズムの解析はこれからである。
【0005】
一方、森林浴は、身体によいとされており、諸外国では森林浴セラピーや自然療法として、森林浴が実際に医療の現場で実用化されている。森林浴には、ストレスホルモン減少、副交感神経活動の活発化、交感神経活動の抑制、血圧や脈拍の低下、免疫力向上等の効果が期待されている。森林浴が人体にもたらす有益な効果は、フィトンチッドと呼ばれる樹木が作り出して放出している物質によるものであると考えられている。フィトンチッドは、テルペンと呼ばれる有機化合物で構成されている。フィトンチッドは体をリフレッシュするだけではなく抗菌、防虫、消臭などの様々な効果を有することが報告されている。しかしながら、樹木が放出する他の物質については、ほとんど報告がない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
Nat. Cell Biol., 9, 654-659 (2007)
J. Biol. Chem., 285, 17442-17452 (2010)
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 107, 6328-6333 (2010)
Mol. Cell, 39, 133-144 (2010)
Plant Signal. Behav. 2007, 2, 4-7
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、植物細胞外小胞を単離するための新たな原料を提供すること、及びその原料から植物細胞外小胞を調製する方法、及びその細胞外小胞の用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討したところ、驚くべきことに、植物が気体中に細胞外小胞を放出していることを見出した。植物の蒸散物には、細胞外小胞が豊富に含まれる一方、植物細胞体由来の成分の混入が少ないため、植物の蒸散物から、簡便な操作で、高純度の細胞外小胞を回収することができた。植物が生息する地域の環境水からも植物細胞外小胞を回収することができた。回収した細胞外小胞から多様なmiRNAが同定された。これらの知見から、植物細胞外小胞が森林浴においてヒトが浴びる主要な成分の一つであることが示唆された。本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を進め、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は以下に関する。
[1]植物が気体中に放出した単離された植物細胞外小胞。
[2]miRNAを含有する、[1]の植物細胞外小胞。
[3]全RNAに対する長さ200塩基以下のRNAの重量比百分率で定義される細胞外小胞の純度が70wt%以上である、[1]又は[2]の植物細胞外小胞。
[4]植物の蒸散物から単離されたものである、[1]~[3]のいずれかの植物細胞外小胞。
[5]植物が生息する地域の環境水から単離されたものである、[1]~[3]のいずれかの植物細胞外小胞。
[6]植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離することを含む、植物細胞外小胞の調製方法。
[7]植物の蒸散物から該植物の細胞外小胞を単離することを含む、[6]の調製方法。
[8]植物の蒸散物を遠心分離、カラムクロマトグラフィー、又は限外濾過に付し、植物細胞外小胞を含む画分を回収することを含む、[7]の調製方法。
[9]回収した画分が植物細胞外小胞を含むことを確認することを含む、[8]の調製方法。
[10]植物が生息する地域の環境水から該植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離することを含む、[6]の調製方法。
[11][1]~[5]のいずれかの植物細胞外小胞を含む組成物。
[12]凍結乾燥組成物である、[11]の組成物。
[13]植物細胞外小胞を含む、森林浴の疑似体験用組成物。
[14]香料を更に含む、[13]の組成物。
[15]香料がテルペン又は植物精油である、[14]の組成物。
[16]植物細胞外小胞を散布することを含む、森林浴の疑似体験方法。
[17]香料を散布することを更に含む、[16]の方法。
[18]香料がテルペン又は植物精油である、[17]の方法。
[19]空気1m
3
あたり10
7
個以上の植物細胞外小胞を散布する、[16]~[18]のいずれかの方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、植物が気体中に放出した単離された植物細胞外小胞が提供される。本発明により、植物が生息する周囲の空気環境中から植物細胞外小胞を調製することが可能となる。特に植物の蒸散物には、細胞外小胞が豊富に含まれる一方、植物細胞体由来の成分がほとんど混入していないため、植物の蒸散物から、簡便な操作で、高純度の細胞外小胞を回収することが可能である。植物が気体中に細胞外小胞を放出することは、これまでに知られておらず、植物が生息する周囲の空気や、植物蒸散物は、植物細胞外小胞の新たな原料となり得る。植物が気体中に放出する細胞外小胞には多様なmiRNAが含まれていることから、植物が気体中に細胞外小胞を放出し、その細胞外小胞を介して周囲の生物とコニュニケーションしている可能性があり、気体中に浮遊する細胞外小胞を介した生物間のコミュニケーションという、新たな学術領域が切り開かれる。更なる局面において、湧水などの植物が生息する地域の環境水からも該植物が気体中に放出した細胞外小胞を単離することが可能となる。更に、本発明により植物細胞外小胞を用いた森林浴の疑似体験方法が提供される。植物細胞外小胞は森林浴においてヒトが浴びる主要な成分の一つであることから、植物細胞外小胞を散布することにより、よりリアルな森林浴の疑似体験を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)
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