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公開番号
2024166076
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-11-28
出願番号
2024037981
出願日
2024-03-12
発明の名称
新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法
出願人
学校法人近畿大学
,
奈良県
代理人
個人
主分類
C12G
3/024 20190101AFI20241121BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】生柿を酒類例えば果実酒にするには、野生酵母を加熱殺菌しようとすると渋戻が生じ、渋戻を抑制しようとすると、野生酵母を殺菌できず、刺激臭をともなった果実酒となる課題があった。
【解決手段】柿を前処理して柿ピューレを得る工程と、
前記柿ピューレの糖度を調節し糖度調整後の柿ピューレを得る工程と、
前記糖度調整後の柿ピューレにペクチナーゼを添加し原料液を得る工程と、
前記原料液に殺菌工程を行い殺菌後原料液を得る工程と、
前記殺菌後原料液に酵母を添加し、仕込み原液を得る工程と、
前記仕込み原液を発酵させて柿醪を得る工程を有し、
前記酵母はサッカロマイセスセレビシエ種である酵母ZYY1(受託番号:NITE P-03859)若しくは酵母KNK2(受託番号:NITE P-03860)の何れかである新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法は、野生酵母の繁殖を抑え、なおかつ渋戻も起こさない柿を用いた酒類を得ることができる。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
柿を前処理して柿ピューレを得る工程と、
前記柿ピューレの糖度を調節し糖度調整後の柿ピューレを得る工程と、
前記糖度調整後の柿ピューレにペクチナーゼを添加し原料液を得る工程と、
前記原料液に殺菌工程を行い殺菌後原料液を得る工程と、
前記殺菌後原料液に酵母を添加し、仕込み原液を得る工程と、
前記仕込み原液を発酵させて柿醪を得る工程を有し、
前記酵母はサッカロマイセスセレビシエ種である酵母ZYY1(受託番号:NITE P-03859)若しくは酵母KNK2(受託番号:NITE P-03860)の何れかである新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法。
続きを表示(約 350 文字)
【請求項2】
前記殺菌処理の工程は、メタカリを投入し、その後クエン酸を添加する工程である請求項1に記載された新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法。
【請求項3】
前記仕込み原液を発酵させて柿醪を得る工程は、15℃±2℃の温度で発酵する工程である請求項2に記載された新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法。
【請求項4】
柿果実酒
前記酒類が果実酒であって、
前記柿醪を搾汁する工程をさらに有する請求項1乃至3の何れか一の請求項に記載された新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法。
【請求項5】
前記果実酒の全量に対して5.0質量%以上、6.0質量%以下の上白糖を添加する工程を追加する請求項4に記載された新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法に関するものである。
続きを表示(約 1,600 文字)
【背景技術】
【0002】
柿は季節性の果物で、収穫と消費期間が限られており、余剰な生柿や出荷できない生柿の有効利用が模索されている。
【0003】
柿は桃やリンゴのような特徴的な香りが少なく、加工品にした際に柿と認識されにくい。また、柿には一部の甘柿以外は一般に渋があり、糖度があるものの、渋抜きをしなければ食することができない。また、この渋は渋抜きをしても、加熱により渋戻があるので、加熱工程を有する加工品にできないという特徴がある。したがって、柿は干し柿若しくは柿酢といった加工品への応用がほとんどであった。そこで、柿を果実酒にすることで、生柿の有効利用を図るという提案があった。
【0004】
特許文献1には、渋柿を木になったままの状態で熟柿とし、かつ、木になったままの状態で自然凍結させる。または、渋柿を熟柿となる前に木から取って収穫し、-5℃以下-15℃以上の温度で冷凍する。次いで、渋柿のへたを取り、樽等の発酵容器に入れて発酵させたのち、布袋等のろ過材により、発酵容器内の発酵後物質を果肉と柿ワイン又は柿酢とに固液分離する方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、柿を用いて柿ワインを製造する方法において、ゼラチンまたはアルブミンとコロイド状シリカゾルとを併用して柿果汁または柿ワインを処理することを特徴とする柿ワインの製造法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2016-002017号公報:特許第5652685号公報
特開平6-90730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
生柿の皮の表面には野生酵母が付着している。しかし、この野生酵母は、生柿の破砕液を加熱せずに醸造すると刺激的な酸味臭を発生させるという課題があった。一方、この野生酵母を殺菌するために生柿の破砕液を加熱すると、渋戻が生じるという課題があった。つまり、これらの課題はトレードオフの関係になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するために想到されたものであり、加熱殺菌は行わず、新たに発見した酵母を使い、柿風味の残る新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法を提供するものである。
【0009】
より具体的には、本発明に係る新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法は、
柿を前処理して柿ピューレを得る工程と、
前記柿ピューレの糖度を調節し糖度調整後の柿ピューレを得る工程と、
前記糖度調整後の柿ピューレにペクチナーゼを添加し原料液を得る工程と、
前記原料液に殺菌工程を行い殺菌後原料液を得る工程と、
前記殺菌後原料液に酵母を添加し、仕込み原液を得る工程と、
前記仕込み原液を発酵さて柿醪を得る工程を有し、
前記酵母はサッカロマイセスセレビシエ種である酵母ZYY1(受託番号:NITE P-03859)若しくは酵母KNK2(受託番号:NITE P-03860)の何れかであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る新規酵母と柿を用いた酒類の製造方法では、パン酵母としてしられているサッカロマイセスセレビシエ種に属するジャスミン由来の酵母であるZYY1(受託番号:NITE P-03859)若しくは金木犀由来の酵母であるKNK2(受託番号:NITE P-03860)を発酵に用いる。これらの酵母を用いて作られた柿醪は、様々な種類の酒類の原料若しくは副原料として利用することができる。
(【0011】以降は省略されています)
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