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公開番号2024176900
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-19
出願番号2023095761
出願日2023-06-09
発明の名称短鎖核酸複合分子、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法
出願人国立大学法人東京科学大学,国立大学法人東北大学
代理人個人,個人,個人,個人,個人
主分類C12N 15/11 20060101AFI20241212BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約【課題】マイクロメートルサイズで分子の認識が可能で、分子の制御、捕集、輸送又は配置に用いることができ、かつコストが安価な短鎖核酸複合分子、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法を提供する。
【解決手段】配列の異なる核酸をそれぞれ含む複合短鎖を2種以上備えた短鎖核酸複合分子であって、前記複合短鎖の少なくとも1種は、前記核酸からなるステム部位と分子認識部位とを備え、前記分子認識部位は、特定の分子に特異的に結合可能な構造を備える、短鎖核酸複合分子、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法である。
【選択図】図1
特許請求の範囲【請求項1】
配列の異なる核酸をそれぞれ含む複合短鎖を2種以上備えた短鎖核酸複合分子であって、
前記複合短鎖の少なくとも1種は、前記核酸からなるステム部位と、分子認識部位とを備え、
前記複合短鎖の少なくとも1種は、前記核酸からなるステム部位と、前記核酸からなる粘着末端部位とを備え、
前記複合短鎖のうち少なくとも1種は、前記ステム部位の少なくとも一部が、前記複合短鎖のうち他の1種の前記ステム部位の少なくとも一部と相補的な配列を有し、
前記分子認識部位は、特定の分子に特異的に結合可能な構造を備える、短鎖核酸複合分子。
続きを表示(約 840 文字)【請求項2】
前記粘着末端部位の溶解温度T
m
(sticky end)と、前記ステム部位の溶解温度T
m
(stem)とが、次の(1)の関係を満たす、請求項1に記載の短鎖核酸複合分子。
0 < T
m
(sticky end) < T
m
(stem) < 100 [単位:℃]・・・ (1)
【請求項3】
前記分子認識部位は、核酸またはポリペプチドからなる、請求項1又は2に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項4】
前記分子認識部位は、アプタマー核酸分子または抗体分子である、請求項1又は2に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項5】
前記特定の分子は、核酸またはタンパク質である、請求項1に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項6】
前記粘着末端部位が、相互に粘着可能な配列を有する、請求項1又は2に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項7】
前記核酸が前記ステム部位の少なくとも一部の相補的な配列において互いに結合することにより、前記複合短鎖が3以上結合した結合単位を備える、請求項1又は2に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項8】
前記結合単位を2種以上備え、
前記結合単位のうち1種及び他の1種は、前記結合単位のうち1種に含まれる核酸の前記粘着末端部位が、前記結合単位のうち他の1種に含まれる核酸の前記粘着末端部位とは粘着できない配列を有する、請求項7に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項9】
前記ステム部位が前記粘着末端部位よりも長い、請求項1または2に記載の短鎖核酸複合分子。
【請求項10】
請求項1または2に記載の短鎖核酸複合分子と、溶媒とを含んでなる、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴。
(【請求項11】以降は省略されています)

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、分子構造および他の分子の認識を選択的に制御可能な短鎖核酸複合分子と、それを用いた短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及びそれを用いた生体分子の制御方法、すなわち分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング等の方法に関する。
続きを表示(約 3,500 文字)【背景技術】
【0002】
核酸分子はその塩基配列によって、遺伝情報を伝達する他、様々な物理的及び化学的性質を持つ。核酸分子のそれらの性質を利用して、機能的な素材の役割を果たす分子として用いる技術が開発されている。例えば、核酸分子のナノテクノロジーを利用したナノメートルサイズの分子ロボットの構築が行われ、新規のバイオナノデバイスやマイクロマシンへの応用が期待されている。
【0003】
例えば、特許文献1の技術は、RNA-タンパク質結合体を用いて、RNA構造と機能を制御することができるRNAナノマシンを提供しようとするものである。
【0004】
また、本発明者らは特許文献2において、2種以上の配列の異なる核酸を含み、前記核酸は、粘着末端部位と、ステム部位と、をそれぞれ備え、前記核酸のうち1種は、前記ステム部位の少なくとも一部が、前記核酸のうち他の1種の前記ステム部位の少なくとも一部と相補的な配列を有し、前記粘着末端部位の溶解温度T
m
(sticky end)と、前記ステム部位の溶解温度T
m
(stem)とが特定の関係を満たす、短鎖核酸、短鎖核酸が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法を開示している。
この技術は、マイクロメートルサイズで生体分子の制御、捕集、輸送又は配置に用いることができ、かつコストが安価な短鎖核酸、短鎖核酸が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法を提供しようとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
再公表WO2017/10568号公報
特開2021-97603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、生体内において、マクロファージは特定の分子又は分子集合体(粒子)、ウイルス又は細胞等を認識し、結合し、取り込んで変性(例えば、分解)する機能を有する。
【0007】
本発明者らは、生体内のマクロファージの有する機能に着目した。そして、本発明者らの見出した短鎖核酸からなる分子に、特定の分子を認識する機能を設けることで、マクロファージの機能の一部を持たせることが可能であると検討した。仮に短鎖核酸からなる分子に、選択的に特異的な特定の分子を認識する機能を設けることができれば、マクロファージの機能を有する構造体をデザインし、製造するために寄与することができる。この技術は、選択的な機能を持たせた、いわゆるマクロファージ様の分子ロボットを製造する技術として有用と思われた。
特許文献1の技術ではRNAの構造を制御することができる。また、特許文献2の技術では、短鎖核酸からなる分子の構造を制御し、他の分子や粒子を収納し集積、輸送等を行うことができる。これらの技術に、分子を認識する技術を応用することで、マクロファージ様の分子ロボットの製造技術に応用できる可能性を見出し、さらに研究した。
【0008】
本発明は上記のような事情を鑑みてなされたものであり、マイクロメートルサイズで分子や細胞等の認識が可能で、分子の制御、捕集、輸送又は配置に用いることができ、かつコストが安価な短鎖核酸複合分子、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は以下の態様を有する。
[1] 配列の異なる核酸をそれぞれ含む複合短鎖を2種以上備えた短鎖核酸複合分子であって、
前記複合短鎖の少なくとも1種は、前記核酸からなるステム部位と、分子認識部位とを備え、
前記複合短鎖の少なくとも1種は、前記核酸からなるステム部位と核酸からなる粘着末端部位とを備え、
前記複合短鎖のうち少なくとも1種は、前記ステム部位の少なくとも一部が、前記複合短鎖のうち他の1種の前記ステム部位の少なくとも一部と相補的な配列を有し、
前記分子認識部位は、特定の分子に特異的に結合可能な構造を備える、短鎖核酸複合分子。
[2] 前記粘着末端部位の溶解温度Tm(sticky end)と、前記ステム部位の溶解温度Tm(stem)とが、次の(1)の関係を満たす、[1]に記載の短鎖核酸複合分子。
0 < Tm(sticky end) < Tm(stem) < 100 [単位:℃]・・・ (1)
[3] 前記分子認識部位は、核酸またはポリペプチドからなる、[1]又は[2]に記載の短鎖核酸複合分子。
[4] 前記分子認識部位は、アプタマー核酸分子または抗体分子である、[1]から[3]のいずれかに記載の短鎖核酸複合分子。
[5] 前記特定の分子は、核酸またはタンパク質である、[1]から[4]のいずれかに記載の短鎖核酸複合分子。
[6] 前記粘着末端部位が、相互に粘着可能な配列を有する、[1]から[5]のいずれかに記載の短鎖核酸複合分子。
[7] 前記核酸が前記ステム部位の少なくとも一部の相補的な配列において互いに結合することにより、前記複合短鎖が3以上結合した結合単位を備える、[1]から[6]のいずれかにに記載の短鎖核酸複合分子。
[8] 前記結合単位を2種以上備え、
前記結合単位のうち1種及び他の1種は、前記結合単位のうち1種に含まれる核酸の前記粘着末端部位が、前記結合単位のうち他の1種に含まれる核酸の前記粘着末端部位とは粘着できない配列を有する、[7]に記載の短鎖核酸複合分子。
[9] 前記ステム部位が前記粘着末端部位よりも長い、[1]から[8]のいずれかにに記載の短鎖核酸複合分子。
[10] [1]から[9]のいずれかに記載の短鎖核酸複合分子と、溶媒とを含んでなる、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴。
[11] [10]の短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴の構造を制御する工程を含む、分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[12] 前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴の制御は、前記短鎖核酸複合分子。が凝集してなる液滴の温度を変化させることにより行う、[11]に記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[13] 前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴の制御は、前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴に酵素又は核酸分子を添加することにより行う、[11]又は[12]に記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[14] 前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴の制御は、前記核酸を切断し、又は前記核酸の2本鎖結合を解離する、[11]から[13]のいずれかに記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[15] 前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴に分子又は粒子を包含させ、前記分子又は粒子の捕集、輸送又は配置を行う、[11]から[14]のいずれかに記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[16] 前記分子又は粒子は、前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴に親和性のある化合物によって修飾したものを用いる、[15]に記載の分子、粒子又は細胞の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[17] 前記短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴に親和性のある化合物は、核酸分子を用いる、請求項[16]に記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
[18] 前記分子又は粒子は、タンパク質分子、核酸分子、これらを含む粒子又は細胞である、[15]に記載の分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、マイクロメートルサイズで分子の認識が可能で、分子の制御、捕集、輸送又は配置に用いることができ、かつコストが安価な短鎖核酸複合分子、短鎖核酸複合分子が凝集してなる液滴、及び、それを用いた分子又は粒子の集積、輸送、配置又はセンシング方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
(【0011】以降は省略されています)

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