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公開番号
2024150853
公報種別
公開特許公報(A)
公開日
2024-10-24
出願番号
2023063850
出願日
2023-04-11
発明の名称
RNAの検出方法
出願人
東レ株式会社
代理人
主分類
C12Q
1/6816 20180101AFI20241017BHJP(生化学;ビール;酒精;ぶどう酒;酢;微生物学;酵素学;突然変異または遺伝子工学)
要約
【課題】本発明は、RNAを高感度かつ特異的に検出することを目的とする。
【解決手段】本発明は、56℃で5分間加温することで活性が50%以下に低下する脱リン酸化酵素で検出対象となるRNAの5’末端を脱リン酸化し、前記酵素を60℃以上80℃以下で失活させ、テトラアルキルアンモニウム塩存在下ハイブリダイゼーションを行う工程を経ることを特徴とするRNAの検出方法である。
【選択図】なし
特許請求の範囲
【請求項1】
試料中のRNAを検出する方法であって
工程a):前記試料に脱リン酸化酵素を作用させて前記RNAの5’末端のリン酸基を除去する工程、
工程b):工程a)で得られた反応液を60℃以上80℃以下に加温し、前記脱リン酸化酵素を失活させる工程、および
工程c):工程b)で得られた反応液を、テトラアルキルアンモニウム塩存在下、前記RNAを捕捉可能なプローブDNAに接触させて、当該RNAと前記プローブDNAとをハイブリダイゼーションさせる工程
を含み、
前記脱リン酸化酵素は、56℃で5分間加温することで酵素活性が50%以下に低下することを特徴とする、方法。
続きを表示(約 300 文字)
【請求項2】
前記RNAがマイクロRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
テトラアルキルアンモニウム塩がテトラメチルアンモニウムクロリドである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
テトラアルキルアンモニウム塩及び56℃で5分間加温することで酵素活性が50%以下に低下する脱リン酸化酵素を含む、RNA検出用のキット。
【請求項5】
検出対象のRNAがマイクロRNAである、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
テトラアルキルアンモニウム塩がテトラメチルアンモニウムクロリドである、請求項4または5に記載のキット。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAの検出方法およびRNA検出用のキットに関する。
続きを表示(約 2,100 文字)
【背景技術】
【0002】
DNAマイクロアレイは、支持体上に固相化したプローブDNAと検出対象核酸とのハイブリダイゼーション反応を検出原理としている。より多くの検出対象核酸を捉えるため、複数のプローブDNAを支持体上に固定化して用いるが、精度良く検出するためには、検出対象核酸に特異的な配列を持つように設計したプローブDNAを用いる必要がある。ゲノムDNAやメッセンジャーRNAの検出においては、塩基配列の相同性を指標に、他の分子と相同性の低い領域を選択し、20塩基~100塩基程度の長さのプローブDNAを合成して用いることが行われている。また、プローブ設計時には、ハイブリダイゼーション強度の指標であるTm値を計算し、複数のプローブDNA間でTm値に差が生じないよう工夫されている。
【0003】
特異的に検出するための別のアプローチとして、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを高めることで、類似配列のハイブリダイゼーションを抑える方法が行われている。具体的には、ハイブリダイゼーション反応温度や、ハイブリ反応溶液中の塩強度、ホルムアミドの添加等で、適宜調整することができる。
【0004】
また、RNAの検出における特異度向上の方法として、テトラメチルアンモニウム塩共存下でLAMP法による検出を行うことにより、プライマーとのハイブリダイゼーション配列依存性を低下させることで、検出の特異度を向上させる方法が報告されている(特許文献1)。
【0005】
近年、miRNAは、細胞内のみならず、細胞を含まない検体である血清、血漿、尿、脊髄液等の体液にも多く存在し、その存在量が、がんをはじめとした様々な疾患のバイオマーカーとなる可能性が示唆されている。miRNAはヒトにおいて2600種以上が存在し、高感度なDNAマイクロアレイ等の測定系を利用した場合、そのうちの1000種を超えるmiRNAの発現を血清・血漿中で同時に検出することが可能である。そこで、DNAマイクロアレイを用いて血清・血漿、尿、脊髄液等の体液を対象としたバイオマーカー探索研究が実施されており、疾患を早期に発見できるバイオマーカー検査への展開が期待されている。miRNAの検出精度について、マイクロアレイを含むいくつかの検出技術を用いた比較評価がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
特開2008-278779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
RNA検出の特異性を高めるため、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを高くすると、Tm値の低いRNAが検出できなくなる。このためマイクロアレイでRNAを特異的に検出することと、多くのRNAを検出できる感度を両立させることは、困難であった。特に、miRNAは15~25塩基と短く、特異的な配列を選択してプローブDNAを設計することは困難であることから、プローブ配列による特異性の確保やTm値を揃えることが困難であった。
【0008】
発明者は、試料中のmiRNAを、プローブDNAの固定化された担体と接触させることで検出することを試みた。具体的には、一般的な脱リン酸化酵素であるタカラバイオ社製アルカリホスファターゼ(型番2250A)を、試料に作用させて前記miRNAの5’末端のリン酸基を除去し、得られた反応液を、一般的なアルカリホスファターゼ失活処理温度である100℃に加温することで、前記アルカリホスファターゼを失活させた。得られた反応液に含まれる当該miRNAを、T4 RNA リガーゼによって蛍光色素標識し、得られた反応液を、前記miRNAを捕捉可能なプローブDNAに接触させて当該miRNAと前記プローブDNAとをハイブリダイゼーションさせることによって、miRNAを検出した(比較例1)。しかし、ハイブリダイゼーションの特異性が低いという問題があった。
【0009】
そこで、特許文献1を参考に、テトラアルキルアンモニウム塩を用いてハイブリダイゼーション配列依存性を低下させることで、ハイブリダイゼーションの特異性を向上させることを試みた。具体的には、前記プローブDNAとのハイブリダイゼーションの工程において、テトラメチルアンモニウムクロリド(TMAC)存在下でハイブリダイゼーションを行うことで検出の特異度の向上を試みた(比較例2)。しかし、この場合は検出感度が低下するという問題が生じた。
【0010】
このように、RNAの5’末端脱リン酸化を経る、ハイブリダイゼーションによるRNAの検出において、特にmiRNAの検出において、検出の特異度を向上させるためにテトラメチルアンモニウムクロリドを用いた場合、高感度での検出は困難であった。
【課題を解決するための手段】
(【0011】以降は省略されています)
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