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公開番号2024171491
公報種別公開特許公報(A)
公開日2024-12-12
出願番号2023088526
出願日2023-05-30
発明の名称覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法
出願人大成建設株式会社
代理人弁理士法人磯野国際特許商標事務所
主分類E21D 11/10 20060101AFI20241205BHJP(地中もしくは岩石の削孔;採鉱)
要約【課題】目地部における新旧コンクリートの付着力を低減させて、覆工コンクリートの施工目地近傍のひび割れの発生を抑制することを可能とした覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法を提案する。
【解決手段】トンネルTの覆工コンクリート3を構成する先打ちコンクリート31と後打ちコンクリート32との境界部に形成される覆工コンクリート目地構造4であって、先打ちコンクリート31の後打ちコンクリート32との当接面33に縁切り膜5が被覆されている。
【選択図】図2
特許請求の範囲【請求項1】
トンネルの覆工コンクリートを構成する先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの境界部に形成される覆工コンクリート目地構造であって、
前記先打ちコンクリートの前記後打ちコンクリートとの当接面に縁切り膜が被覆されていることを特徴とする、覆工コンクリート目地構造。
続きを表示(約 590 文字)【請求項2】
前記縁切り膜が、前記当接面の内空側から一定の範囲に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の覆工コンクリート目地構造。
【請求項3】
前記縁切り膜が、前記当接面に付着した塗料であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の覆工コンクリート目地構造。
【請求項4】
前記縁切り膜が、前記当接面に貼着された樹脂製シートであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の覆工コンクリート目地構造。
【請求項5】
前記縁切り膜が、前記当接面に付着した塗料の膜と、前記塗料の膜の表面に貼着された樹脂製シートと、により形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の覆工コンクリート目地構造。
【請求項6】
先打ちコンクリートの隣りに後打ちコンクリートを打設して、連続した覆工コンクリートを形成する覆工コンクリート施工方法であって、
所定の位置に型枠を設置する型枠組立工程と、
前記型枠と、トンネル周壁と、前記先打ちコンクリートの端面と、に囲まれた空間に後打ちコンクリートを打設する打設工程と、を備えており、
前記打設工程の前に、前記先打ちコンクリートの端面を、縁切り膜で被覆する端面処理工程を備えていることを特徴とする、覆工コンクリート施工方法。

発明の詳細な説明【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法に関する。
続きを表示(約 3,400 文字)【背景技術】
【0002】
覆工コンクリートの施工目地の近傍は、ひび割れが発生しやすい(図5参照)。覆工コンクリートのひび割れは、将来的な浮き、剥離、剥落などの要因になり得る。
目地部において発生するひび割れは、新旧コンクリートの付着が主要因である。すなわち、先打ちコンクリートの端面に当接した状態で打設された後打ちコンクリートが、先打ちコンクリートに付着した状態で硬化する際、乾燥収縮等による体積変化に伴って先打ちコンクリートから離れる方向に変形する。その結果、後打ちコンクリートの内部に引張応力が発生し、若材齢の後打ちコンクリート側の施工目地近傍において初期ひび割れが生じてしまう。
覆工コンクリートの目地部におけるひび割れを抑制することを目的として、例えば、特許文献1には、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートのそれぞれに互いに異なる寸法を有した面取り部を形成した覆工コンクリート目地構造が開示されている。特許文献1に覆工コンクリート目地構造は、異なる寸法の面取り部同士の段差部分を先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの間の縁切り部とし、新旧コンクリートの付着を低減させることで、目地部におけるひび割れの抑制を図っている。
覆工コンクリートの目地部の型枠は、木製矢板を繰り返し使用するのが一般的である。ところが、木製矢板は、繰り返し使用することにより、矢板自体の劣化や、コンクリートノロの付着によって、覆工コンクリートの仕上がり面に凹凸ができる場合がある。覆工コンクリートの仕上がり面に凹凸があると、新旧コンクリートの付着力が増すため、後打ちコンクリートの硬化時にひび割れが生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開2022-158218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、目地部における新旧コンクリートの付着力を低減させて、覆工コンクリートの施工目地近傍のひび割れの発生を抑制することを可能とした覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の覆工コンクリート目地構造は、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの境界部に形成されており、前記先打ちコンクリートの前記後打ちコンクリートとの当接面に、縁切り膜が被覆されているものである。
また、本発明の覆工コンクリート施工方法は、先打ちコンクリートの隣りに後打ちコンクリートを打設して連続した覆工コンクリートを形成するものであって、前記先打ちコンクリートの端面に縁切り膜を被覆する端面処理工程と、所定の位置に型枠を設置する型枠組立工程と、前記型枠とトンネル周壁と前記先打ちコンクリートの端面とに囲まれた空間に後打ちコンクリートを打設する打設工程とを備えている。
かかる覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法によれば、先打ちコンクリートの端面に縁切り部が形成されているため、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとの付着力が低減される。したがって、後打ちコンクリートが乾燥収縮等により変形した場合であっても、先打ちコンクリートに付着することにより発生する引張応力が低減され、ひいては、目地部近傍におけるひび割れの発生を抑制できる。
【0006】
なお、前記縁切り膜は、前記当接面の内空側から一定の範囲に形成されていればよい。覆工コンクリートの地山側(内空と反対側)は、吹付けコンクリート等に密着しているため、吹付けコンクリートとの付着によって変形が拘束されることで、ひび割れが生じ難い。また、先打ちコンクリートと後打ちコンクリートとが密着している部分を有していることで、目地部における湧水を抑制できる。
前記縁切り膜は、前記当接面に塗着した塗料であってもよいし、前記当接面に貼着された樹脂製シートであってもよい。また、前記縁切り膜は、前記当接面に塗着した塗料の膜と、前記塗料の膜の表面に貼着された樹脂製シートとにより形成してもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の覆工コンクリート目地構造および覆工コンクリート施工方法によれば、目地部における新旧コンクリートの付着を低減させて、覆工コンクリートの施工目地近傍のひび割れの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本発明の実施形態に係るトンネルのトンネル覆工構造を示す図であって、(a)は横断図、(b)は縦断図である。
(a)覆工コンクリート目地構造を示す断面図、(b)は縁切り膜の概要を示す分解図である。
覆工コンクリート施工方法を示すフローチャートである。
覆工コンクリート施工方法の各工程の作業状況を示す断面図であって、(a)は端面処理工程、(b)は型枠組立工程、(c)は打設工程である。
覆工コンクリートの目地部にクラックが生じた例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態では、NATM等の山岳工法によりトンネルTを施工する場合について説明する。図1にトンネルTを示す。トンネルTは、地山Gを掘削してトンネルTの切羽K(トンネルTの先端部)を前進させる作業と、トンネルTの掘削により露出した地山Gを支保工2により閉塞する作業とを繰り返すことにより形成する。支保工2は、トンネルTの掘削により露出した地山Gを早期に閉塞するものであって、図1(a)および(b)に示すように、地山Gに対して吹付けられた吹付けコンクリート21と、トンネル軸方向に対して所定の間隔により建て込まれた鋼製支保工22と、地山Gに打設されたロックボルト23により構成されている。なお、支保工2の支保構造は、地山等級に応じて設定するものとし、良好な地山Gの場合には鋼製支保工22やロックボルト23を省略してもよい。また、軟弱な地盤の場合は、ロックボルト23に代えて、あるいはロックボルト23と併用して、先受工法(例えば、フォアポーリングやパイプルーフ等)や地盤改良工法等の補助工法を採用する場合もある。
【0010】
地山Gの掘削に起因するトンネルTの周辺地山の変形が収束したら、支保工2の内側(内空側)に所定の厚さの覆工コンクリート3を形成することで、トンネル覆工構造1を構築する。覆工コンクリート3は、支保工2の内側に打設されたコンクリートからなる。覆工コンクリート3は、トンネル坑内に型枠(スライドセントル)を組み立てる作業と、型枠と支保工2との間にコンクリートを打設する作業とを繰り返すことにより、トンネル延長に沿って連続的に施工する。コンクリートを所定の打設スパン(本実施形態では10.5m)毎に連続的に打設することにより、覆工コンクリート3には、先打ちコンクリート31と後打ちコンクリート32との境界部に目地(覆工コンクリート目地構造4)が形成される。先打ちコンクリート31と後打ちコンクリート32との目地では、コンクリート同士の付着力が発生する。また、後打ちコンクリート32は、コンクリート打ち込み後の乾燥収縮により体積変化が生じ、先打ちコンクリート31から離れる方向に変形する。コンクリートの乾燥収縮ひずみを500×10
-6
、覆工コンクリートの打設スパンが10.5mの場合において、外部拘束が全くない条件では、5.25mmの収縮が生じる。そのため、目地部における先打ちコンクリート31と後打ちコンクリート32との付着が強い場合には、引張力が発生してしまい、目地部の面取り部やその周辺にひび割れや浮が生じるおそれがある。なお、後打ちコンクリート32の外周側は、支保工2(吹付けコンクリート21)と接触していることにより変形し難いが、後打ちコンクリート32の内空側は自由面のため外周側に比べて変形しやすい。
(【0011】以降は省略されています)

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